セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

今日の日経「経済教室」:2009/1/7

2009-01-07 22:28:26 | 社会経済
シリーズタイトルとNo.:危機を超えて 世界新秩序と日本 3
タイトル:中東の混迷も見落とすな
筆者:山内昌之(東京大学教授)

【要旨】
ドイツの社会経済学者、グナル・ハイゾーン教授の指摘した「ユース・バルジ」(過剰なまでに多い若い世代)の問題こそが、経済不安にも匹敵する危機として世界の未来に暗い影を投じている。北アフリカを含めた中東では多子若齢化が進んでいる。中東では人口の6~7割を25歳未満が占める。これこそが20%台半ばという世界最高の失業率を中東で産む背景だ。欧州の人口膨張の歴史的経験にみて、4人の息子がいる家族だと2人は手近なところで就職できるが、あとの2人に残された道は、国外移住、犯罪、国内クーデータ、内戦または革命、集団殺害と追放、越境戦争の6つしかない。ユース・バルジにおける失業とテロルには明らかに相互関係がある。ユース・バルジの力はすぐに衰えるとは思えない。しかしトルコの世俗主義経験は転換モデルとして学ぶに値する。
雇用機会の少ない中東の若者をテロや戦争に掻き立てないため。多数の移民を受け入れる選択肢もあるが、世界史的不況の中で欧米でも納得できる職が得られず、ユース・バルジの暴力が再生産される危険性も高い。

【小耳の知識】
中東の人口は1970年に約1憶9千万人だったのが、現在は5億に達し、2020年には6億人となる見込み。「戦闘に最適な年齢」の男性(15-29歳)の分布では、2005年の段階で欧州は1000人あたり89人、北米は39人だが、イスラム圏では280人で、2020年では300人になる見込み。

【我がノート】
危険な現実があるということだ。歴史の大きな波動の中で人類が繰り返し経験することで避けられないかもしれない。いかに悲惨な結果を回避するかが重要だ。日本社会も異質な生活習慣の集団が多量に流入するのはコストが多いかもしれないが、人類史的には避けられないかもしれない。