セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

今日の日経「経済教室」:2009/1/6

2009-01-06 21:04:23 | 社会経済
シリーズタイトルとNo.:危機を超えて 世界新秩序と日本 2
タイトル:希望再興へビジョン描け
筆者:村上龍(作家)

【要旨】
サブプライム問題発生以前から、日本社会の各層、各組織相互の信頼が失われつつあったが、経済危機でさらに表面化した。経済は悪循環を起こしているが、政治は空転し不信がさらに増幅される。既に始まっている悪循環への対応策は、1つは短期的な対応として、複数の対立項を結ぶ情報の開示と正確な現状認識(アナウンスメント)、2つめは中期的な対応策としては、悪循環が始まっているシステムと考え方から離れ、新しい別の社会システムを築くことである。1つ目については、マスメディアの報道が対立と不信を増幅させる面があるので、客観的な情報の提供と事実のアナウンスメントが求められる。2つ目のあたらしいシステムとして重要なのは、「環境」と「家族・世間などの親密で小規模な共同体」である。

【小耳の知識】
資料として掲載されている折れ線グラフで「現在の生活に対する満足度」は1963年ぐらいからのものだが、常に満足が不満を上回っている。長期的な傾向は読み取れないが、中期的には1995年が満足と不満の差が大きい(つまり満足がかなり多い)く、そこから急速に差が縮まっていたが、2003年ごろとまり2006年にはいったん満足が増えたが、2007年から急に不満が増え始めた。なお歴史的にみて折れ線グラフ上1974年ごろが満足と不満がほぼ50%で拮抗していた。つまり不満が一番多かった。
「今後の生活の見通し」のグラフ(1968年頃から)「同じようなもの」が常に「良くなっていく」と「悪くなっていく」を押さえて1番多く、またずっと上昇傾向である。「悪くなっていく」は1995年まではあまり変わらなかったが、1996年以後は上昇傾向になっている。「良くなっていく」は長期的に低下しているが、1996年からははっきりと「悪くなっていく」を下回っている。

【我がノート】
村上氏は、マスメディアが派遣労働者や期間工の窮状を主に報じるが、需要減で赤字になった輸出企業が雇用をそのまま維持すればどうなるかという経営側に状況はほとんど知らされていない、という。一応の指摘ではある。ただマスメディアもそんなに無責任に煽りたてているのではないと思う。派遣切り等で焦点になっている輸出企業は史上最高額の内部留保を持っている大企業だというのも経営側の状況だ。だから単純に雇用を維持するとすぐつぶれるとは言い切れない。しかし、村上氏の言うように、「個別企業ではなく、セーフティーネットなどの社会システムの見直しが求められる。」というのは正論だ。欧米では職能別の労働組合なので、労働組合が失業組合員の生活費を支給するということもある。日本も企業別組合でなくて、派遣社員・正社員も・期間工・子会社の人・競合他社の人も、自動車を作っている人は同じ組合員として助けあったどうだろう。