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スウェーデンの知られざる真実

キャッチーなタイトルをつけてしまったなあ。

スウェーデン留学中に、「素顔のスウェーデン」(上)・(下)というレポートを書いたことがあったが、そのタイトルを上回るキャッチーなタイトルにしてしもーた。

私のことだから、タイトル通りの激しい内容にはならない。とってもラーゴムなトーンで、しかし世間の印象とは大きくかけ離れたスウェーデンの知られざる真実を、エビデンス(証拠)を示しながら解き明かしたいと思う。

北海道のmasaさんは、1月7日の記事で、スウェーデンの認知症高齢者の数と日本のそれとは異なるので、スウェーデンのような個室型のユニットケアを求める厚生労働省および介護保険の目指す方向は大きな問題を残すことになるとしている。

ここで、まず明らかにすべきは、スウェーデンの個室型ユニットケアがどの程度行われているかである。

常にそうであるが、スウェーデンはその実情・現状よりも、望ましい方向で、理解される。福祉国家スウェーデンと呼ばれる以上、理想的な高齢者ケアを実践しているに<違いない>という<思い込み>。

私も1998年夏までは、<違いない>と<思いこんでいた>。

まず、スウェーデンでは、認知症高齢者のグループホームもADLの低い要介護高齢者のナーシングホームも区別されていない。施設ケアはまとめて、「介護の付いた特別住宅」と呼ばれ、統計もこれ一種類しかない。

「介護の付いた特別住宅」は、ほぼ個室である。ナーシングホームの中には、まだ二人部屋も残っているが大多数が個室、グループホームは全て個室である。

ケアは全てユニット・ケア方式である。

手元にある2005年のデータでは(新しいデータは後日何とかします)、

この介護の付いた特別住宅は100,200人分(うち、13,200人分は民間が運営)で、毎年少しずつ減ってきている。

スウェーデンにおける高齢者数は、約1610000人。

介護の付いた特別住宅への入居率は、約6.2%。

目が飛び出るほどの激しい数字ではない。

北海道のmasaさんは、スウェーデン流のグループホーム化を日本の介護保険が目指しているために、介護スタッフ不足を招きシステムが崩壊すると、嘆いておられるが、

グループホームにおける職員配置も、スウェーデンと日本で、ほとんど差がない。この点については、拙著『スウェーデンの高齢者ケア』新評論を立ち読みしていただきたい。

スウェーデンの高齢者ケアは、一般的に考えられているほど理想的な状況でもないし、日本のシステムにはない構造的な問題を少なからず抱えている。

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