salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

心が揺さぶられる文章

2007-02-13 01:06:19 | 本・雑誌
この人の名前は、なんとなく知っていた。
石田千さんの、「千」って
なんと読むのかな、と思っていたら
「せん」さんでいいそうです。

石田さんのエッセイ、『ぽっぺん』(新潮社)を読みました。

少し前の新聞の書評で、重松清さんが
石田さんの『屋上がえり』を紹介していた。
読みたいなと思って本屋さんに行ったら
『ぽっぺん』の表紙のかわいさにつられて
こっちを買ってしまいました。

「ぽっぺん」が何かは置いといて
読み進めるほどに、石田さんのまなざしの深さに
吸い込まれてゆく。
日々の暮らしの隅々、身の回りのものや人たちに
一秒ごとに心を向けているのがわかる。
それを小さな頃から、今でも変わらずに
やってきている人の文章。
繊細、という言葉でもいいんだけど
それだけでは表しきれない、強さやゆるぎなさも感じる。

きっとこういう人は
ほかの人が見過ごしているものを、とらえられると同時に
気づかなくてもいいようなことも、感じ取ってしまい
ツラクなることもあるだろうな、と想像する。
(あくまでも想像)
「ぼんやりしたこども」だった、という記述もあるけど
無意識に心が、あらゆることに通ってしまうのだろうな。

本を読んでいくうちに
自分も視線がいろんなところに向くような気がしてきた。
錯覚かもしれないけど。
忘れていた子どものころの記憶とか
数年前のことでも、急にはっと思い出して
気持ちが揺さぶられたり。
静かなエッセイなのに、とても強い。

この本を読んでわかる、石田さん像は
お酒が好きで、猫や子どもが好きで
競馬が好きで、野球も好き。
ごはんやお弁当をちゃんと作る人。
本に出てくる「ふろふき大根」が食べたくなって
思わず作ってしまった。
でもまだまだ謎の人、石田さん。
でもでも、なんかいいな、石田さんになりたい。
(夢中になりすぎて意味不明…)

『屋上がえり』も読みたくなった。
そしたら図書館に、数年前のエッセイ『月と菓子パン』があり
静かに狂喜乱舞して借りてきた。

それにしても、読み終わるのがもったいなくて
ちょこっとずつ読む、なんてこと
これまでなかったな。
そんな本に出会えて幸せ。