玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

いつまでも坊さんと思うなよ

2008年07月09日 | ネタとか
平凡な大学を平凡な成績で卒業した「ぼく」は地味な大企業に入社する。
運試しのつもりで入社試験を受けたら受かってしまったのだ。
入社式ではなぜかお偉方が頭の形や声量をほめてくれる。皮肉めいたことを言う人も。

不思議に思いながら初出社。
「企画開発五部」の辞令を渡される。野心があれば「企画開発」に喜ぶのだろうが、平凡に生きていきたい「ぼく」は総務を望んでいた。不安がる「ぼく」を人事部の人が励ます。「君の頭の形のよさと声量があれば大丈夫」。
連れて行かれた「企画開発五部」は地下倉庫の奥。なぜか抹香臭い。
防音扉を開けると読経の声がとどろく。

観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄。舎利子。色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。受・想・行・識亦復如是。舎利子。是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減。是故空中、無色、無受・想・行・識、無眼・耳・鼻・舌・身・意、無色・声・香・味・触・法。無眼界、乃至、無意識界。無無明、亦無無明尽、乃至、無老死、亦無老死尽。無苦・集・滅・道。無智亦無得。以無所得故、菩提薩埵、依般若波羅蜜多故、心無罣礙、無罣礙故、無有恐怖、遠離一切顛倒夢想、究竟涅槃。三世諸仏、依般若波羅蜜多故、得阿耨多羅三藐三菩提。故知、般若波羅蜜多、是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪、能除一切苦、真実不虚。故説、般若波羅蜜多呪。
即説呪曰、羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶。般若心経

中には10人ほどの坊さんと尼さんがいてお経を読み木魚を叩いている。
「な、何ですかここは」
「わが社の中枢、企画開発五部・通称B部(坊主部)へようこそ」

世間では普通の電気部品メーカーと思われているK電機の秘密、それが「読経による鎮護会社」を業務とするB部だった。
といっても社風が特に仏教的というわけではない。一般社員のほとんどはB部の存在自体知らないか、知っていても興味を持たない。なぜB部のような非生産的な部門が存在しているのかというと、創業者であるカリスマ会長(谷啓)の趣味らしい。現社長(会長の息子)はB部を廃止したがっている。その動きに対抗して会長が特に指名した「頭の形がよく声量のある新入社員」こそが「ぼく」だった。

「仏教大学を出た本職を入れればいいじゃないですか」
「会長は色事でも宗教でもプロがお嫌いなのだ」「銀座のバーに行ったことがないといつも自慢しておられる」
「そんな無茶な」
「君は会長に見込まれた期待のエースだ、逃げるのは許されない。さあ、さっそく剃髪だ」
「うわあああああ」

B部の社員のほとんどは宗教心を持たない「コスプレ坊さん・尼さん」である。
他部署でトラブルを起こしたり仕事に行き詰った社員が息抜きとしてB部に配属される。彼らは数年間「坊さんごっこ」をしているという意識だ。個性的な人間ばかりで、真面目で素直な「ぼく」は翻弄される。
まともに仏教と向き合っているのは部長(柄本明)と広末(広末涼子)の二人だけ。「ぼく」は袈裟の着こなし、経の読み方、木魚のたたき方を厳しく仕込まれる。

ときどき会長が現れては謎の訓辞をする。深い意味があるようでないような内容。他の社員は聞き流しているが「ぼく」はますます頭が混乱する。気が付くと広末だけがいつも会長訓示を欠席している。
実は広末は会長の愛人の娘だった。現社長からは家族として認められていない。小さい頃から仏教好きで「将来の夢は尼さん」だったのが、会長の命令で無理やりB部に入れられた。彼女は会長のいい加減さとわがままさに反発している。

部長はただ一人の本職である。実家の寺を潰してしまい、路頭に迷っていたところを居酒屋で会長に拾われた。ちょうど前部長(これも元坊さん)が定年を迎えB部は存続の危機を迎えており、「まともに経が読めれば誰でもよかった」というのが本当らしい。それでも部長は会長に忠誠を誓い、B部の存在に疑問を持たず熱心に経を読み続けている。

B部の存在について緘口令が敷かれているわけではないが、なぜか社外への秘密が保たれている。
それは会長のカリスマ性のためだとも、あるいは会社の恥部としてタブーにされてるのだとも言われているが本当のところはわからない。

「ぼく」と坊さん社員たちとの交流。バカバカしいトラブルが続出。
個性的な連中が起こすドタバタの尻拭いはいつも「ぼく」と広末先輩の役目だ。二人の間になんとなくいい雰囲気が。
袈裟も読経も板に付き、立派な「坊さん社員」となった「ぼく」は「これこそ天職ではないか」と思い始める。
そこに勃発する大事件。
K電機を揺るがす騒動はやがて日本の存亡、世界の運命にも関わる未曾有の法難であることが明らかとなる。これを止められるのは素人坊主の集まり「企画開発五部」しかない!
ついに語られる会長の秘密、「B部」の謎、そして坊さん社員たちの意外な過去と能力。
果たして「ぼく」は世界を救えるのか、そして恋の行方は!?



…という夢を見た。
「なんだ夢の話か」とがっかりした読者は正しい。人の夢の話ほどつまらないものはない。
夢を見ていたときは「なんておもしろいんだろう!」と興奮したのに書き起こしてみたらそれほどでもなかった。なんだか「ショムニ」「ケイゾク」「鹿男あをによし」と、タモリ倶楽部「東京ボーズスタイル2008」を混ぜ合わせたみたいだ。
ヒロスエの尼僧姿が見たい!というマニアが2000万人くらいいたらドラマ化されるかもしれない。
ちなみに私自身は、夢でたくさん見たからもういいや。特に広末涼子のファンじゃないし。
それにしてもなぜ広末なのだろう。謎。


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3 コメント

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続きが見たいので (うちゃ)
2008-07-09 21:59:40
今晩、私の頭に電波を飛ばしてください(笑)
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おもろ (nagonagu)
2008-07-09 22:02:59
カテゴリーを知りなお、「ほんとうにみた夢ですか」とたずねたくなるほど、おもろかった。
会長いいっすね。アマチュアリズムを持つプロこそほんものだ。
私も広末の尼僧には興味ないけどドラマ化されたらみてみたい。テレビないけど、どうにかみる。
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主人公 (玄倉川)
2008-07-11 01:19:28
うちゃさん、nagonaguさん、楽しんでいただけたようでありがとうございます。
実は夢の中ではもっとずっと面白かったのです。抱腹絶倒のギャグがいくつもありました。残念ながら目が覚めたら忘れてしまいました。
主人公の顔は見えなかったのですが(夢なので自分が主人公役)、ドラマ化するなら田中幸太朗がいいですね。「風林火山」の春日源五郎やソフトバンクのCMで上戸彩の彼氏をやってます。頭の形はどうなのかは確認してません。
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