玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

国会議員のジョーク(?)二題

2009年11月29日 | ネタとか
いったいどこが面白いのやら。

Twitter / 蓮舫
本が欲しい、という娘と本屋へ行く途中。私「なんで本が欲しいんですか?」、娘「文字のあるものを読みたいからです」、私「買わないで図書館で借りればいいのでは?」、娘「大切に手元にとっておきたいから」、私「でも、今までの本は全部整理されてないですよね」、娘「いいから買って!」。はい。

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蓮舫議員のつぶやきをネタとかブラックジョークと呼んで賞賛する人が多いけれど、私にはちっとも笑えない。ウケている観客の姿を含めて、なんだか嫌なものを見せられた気がする。この感じが何かに似ていると思ったら、安っぽいテレビバラエティーだ。
島田紳助とか和田アキ子のような柄の悪い大物タレントが「ヤンチャな」武勇伝を披露して、スタジオの若手芸人や二流タレントが生ぬるい賞賛やニヤニヤ笑いで受け入れる。私は「ケッ」と思って即座にチャンネルを変えるけれど、そういうのを喜ぶ視聴者は多いらしい。

moyari氏の批判が私には一番しっくり来る。
「『悪の官僚相手に一歩も引かなかった私。でも娘には弱いの』ですか。もしかして『そんな私も好き』だったりするんですかね?」
他人に厳しく自分(身内)には甘い。2ちゃんねる式に言えば「スイーツ(笑)」というやつだ。これをネタにするには厳しいツッコミが欠かせない。
突然現れたビートたけしがピコピコハンマーで蓮舫議員の頭をぶっ叩いて
「いつまでカワイコぶってやがる、このオバサンが!」
「そのうちお前も『私を党の代表候補として選挙を戦うおつもりはありますか』とか言い出すんじゃないか?」
とぶった斬ってほしい。それでやっと笑えるようになる。



蓮舫議員についてはツッコミが足りなすぎるけれど、その一方で小池百合子議員には必要以上に厳しいツッコミが入りまくり、雪合戦で石の入った雪玉をぶつけられているようでこれまた笑えない。

Twitter / 小池百合子
中共の「日本解放工作要綱」にならえば、事業仕分けは日本弱体化の強力な手段。カタルシスを発散させながら、日本沈没を加速させる…。

はてなブックマーク - Twitter / 小池百合子: 中共の「日本解放工作要綱」にならえば、事業仕分けは日 ...

私の感覚だと、蓮舫議員よりは小池議員のつぶやきのほうがまだしもジョークとして成立しているように思う。別に面白いジョークじゃないけれど。
小池議員がどういうつもりで言ったのか知らないが、冗談だとすれば陰謀論のパロディーだし、本気だとすれば(そうでないことを願う)小池議員の存在自体がジョークみたいなものだ。
現在の小池議員は野党の一議員にすぎないから、陰謀論ジョークを飛ばそうが小池氏自身がネタにされようが、直接国民の生活に影響することはない。事業仕分けで大鉈を振るう蓮舫議員がトラだとしたら、予算編成に影響力ゼロの小池議員は猫みたいなものだ。「つまらないジョークだな、真面目に仕事しろ」とか「バカじゃなかろうかこの人は」の一言で片付けられる。熱心な自民党支持者は「これじゃ困るよ」と苦情を言うだろう。嬉々として石つぶてを投げるのは自民党叩きが趣味の人たちに違いない。

■追記

小6息子は巨人ファン!蓮舫議員が乾杯~(社会) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース
 【スポーツニッポンフォーラム】懇親会には民主党の蓮舫参院議員が出席し、乾杯の音頭を取った。政府の行政刷新会議による「事業仕分け」の仕分け人として連日作業している市谷の国立印刷局体育館から駆けつけ、「今、日本で最も気の強い女として報道されていますが、こんな晴れやかな場所に呼んでいただきスポニチさんの懐の深さを感じます」とあいさつ。「きょうは“思いやり予算”(防衛省の在日米軍駐留経費負担)を仕分けしてきましたが、スポニチさんだけは仕分けたくない」と話し、笑いを誘った。また、小学6年の長男(12)が巨人ファンといい「原さんにこんなに近くでお会いできてうれしい。巨人も仕分けたくない」と笑顔で語った。

だ め だ こ り ゃ

真珠湾攻撃は「秀才の100点答案」だって?

2009年11月24日 | 日々思うことなど
たとえ話というのは使い方によっては大変便利なものだ。
いくら熱弁しても理解されないことが、適切なたとえを見つけて説明すると簡単に納得してもらえることもある。

だが、たとえ話は諸刃の剣でもある。
変なたとえを使うとかえって誤解を招く。それどころか、「おかしなたとえを持ち出して得意げな顔をするこいつはバカじゃなかろうか」と思われて信用をなくすことにもなりかねない。典型的な例としては、2007年に当時の柳沢伯夫厚労相が少子化問題を説明するために使った「生む機械、装置の数は決まっているから、機械と言うのは何だけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと思う」という言葉がある。柳沢氏は女性を蔑視しているというレッテルを貼られてバッシングを受けた。たとえ話をしくじると高くつく。

どうして日本軍は真珠湾を攻撃したのか (内田樹の研究室)
「権力中枢に蝟集するワルモノ」というのは、「お勉強のできる人たち」ということである。
秀才というのは、その定義からして「100点答案」を書くことにしか興味がない。
そういう人たちは「後退局面」とか「負け戦」とか「後始末」とか「負けしろの確保」とかいうことについては対応できない。
というのも彼らは「絶対負けない」ということを信条として、秀才としての自己形成を果たしたわけだからである。
こういう人たちは外交や軍事にはまったく向かない。
東条英機というひとは陸士・陸大卒の秀才であり、100点答案を書く名人ではあったが、軍事的にはまるで無能な人物であった。
それは彼の起草した『戦陣訓』を読めばわかる。
曰く「必勝の信念は千磨必死の訓練に生ず。須く寸暇を惜しみ肝胆を砕き、必ず敵に勝つの実力を涵養すべし。勝敗は皇国の隆替に関す。光輝ある軍の歴史に鑑み、百戦百勝の伝統に対する己の責務を銘肝し、勝たずば断じて已むべからず。」
「百戦百勝」は不可能な軍事的事実である。
そんなことは誰でもわかる。
誰でもわかる不可能事を平然と書けるのは、「過去に不可能であった単称言明から、それが未来永劫不可能であるという全称言明は帰納できない」というヒューム的遁辞が用意されているからである。
万分の一でも可能性があれば、「100点の答案」を書きたくなるというのが秀才のピットフォールである。
満州事変以後、太平洋戦争敗戦に至る全行程において、大本営は「これがこうなって、あれがこうなれば、皇軍は完全勝利する」という類の「風が吹けば桶屋が儲かる」式というか「わらしべ長者」式というか、そういう「うまいことだけが選択的に続けば、圧倒的勝利を収めるであろう」的推論だけを行って戦争を遂行した。
これは秀才だけが能くなしうる仕事である。
日露戦争から35年、日本の軍事機構には秀才だけを登用し続け来た。その結果、太平洋戦争開戦時に、日本軍の中枢には、参謀本部にも軍令部にも、もう秀才しか残っていなかった。
真珠湾攻撃は秀才の「100点答案」である。
という話をする。


内田氏の言いたいことは、日本の「権力者交替の手順」が秀才の自滅でしか行われないということなのだと思う。私は内田氏の文章がどうも苦手で、何を読んでも半分しかわかった気がしないのだけれど多分そう外れてはいないだろう。
内田氏の権力交代論について特に意見はないのだが(あまり読む気もしない)、たとえ話として持ち出された「真珠湾攻撃」がどうにもこうにも不適切なので、文章全体がはなはだ間抜けなことになっている。よく知らないことならたとえに持ち出さないほうがいいのに。
少しでも戦史に興味がある人なら、真珠湾攻撃がどのような経緯で立案・実行されたのか大体知っている。一言でいえば、内田氏の言うような「秀才の100点答案」をひっくりかえした大博打だった。

真珠湾攻撃 - Wikipedia

帝国海軍の「秀才の100点答案」は米艦隊を引きつけて迎え撃つ艦隊決戦である。
海軍大学校を出た秀才たちが日露戦争の後何十年も研究を続けた帝国海軍の既定方針であり模範解答だ。だが、それでは勝てない(図上演習ではほぼ常に日本艦隊が劣勢)と見た連合艦隊司令長官・山本五十六が、太平洋に暗雲の立ち込める1941年になってほとんど泥縄式に立案させたのが真珠湾奇襲作戦である。
山本自身は真珠湾攻撃のアイデアを以前から持っていたようだが、いきなり作戦として検討せよと命じられた「秀才」参謀たちは目を白黒させたはずだ。実際、「軍令部において9月に行われた兵棋演習では、敵戦艦5隻、空母2隻の撃沈破と引換えに味方正規空母4隻中3隻沈没、1隻大破で機動部隊全滅という結果」に終わった。とても「秀才の100点答案」などというものではない。
山本の奇抜なアイデアを作戦計画にまとめた功労者は秀才というより天才肌で「奇人参謀」と呼ばれた黒島亀人だった。

黒島亀人 - Wikipedia
山本長官の下で参謀長は次々交代したが、黒島だけは唯一不動で山本に寵愛された。こうして黒島も初めて己の才能を理解してくれる人物に出会い、ますますその異能を発揮することとなった。時代は日米開戦必至の雲行きで、山本の頭に開戦劈頭のハワイ攻撃という奇想が宿る。大西瀧治郎少将と源田実少佐作成による真珠湾攻撃の航空作戦草案を、黒島は旗艦長門の私室にこもり心血を注いで全体成案を練った。(略)ヘビー・スモーカーで素っ裸で部屋にこもり、想を練り始めると時間の観念も忘れ、ひたすらタバコを吸いながら、食事も取らず風呂にも入らず没頭した。だがこの奇人ぶりは日露戦争時の秋山真之(天才肌で奇人として有名)を意識して故意にまねていたのではないかともいわれている。


・ あくまでも真珠湾奇襲にこだわり、自分のクビを賭けた山本五十六司令長官
・ 山本に寵愛された「奇人参謀」黒島亀人

個性豊かな二人が常識外れのアイデアを一年足らずで纏め上げ、乾坤一擲の大博打を打ったのが真珠湾攻撃である。「真珠湾攻撃は秀才の『100点答案』である。」という内田氏の見解はどこから来たのか知らないが史実を無視したトンデモとしか言いようがない。
だいたい、真珠湾攻撃について書くのに東条英機だけで山本五十六の名前が出てこないのはどういうことだろう。まさかとは思うけれど、「真珠湾攻撃は帝国海軍の既定方針だった」とか「真珠湾作戦を立案したのは東条英機だ」とか勘違いしているのか。

内田氏の文章中の「真珠湾攻撃」を「日米開戦」に置き換えて読むと多少は理解しやすくなる。東条英機がマジメ人間(秀才とは呼べないと思うけど)なのは定評があるし、彼が日米開戦を決定した最高責任者なのは間違いない。
それにしても、真珠湾攻撃を「秀才の『100点答案』である。」と断定されては「内田氏は日米戦史について何も知らないんじゃないか」と疑ってしまう。こんなヨタ話を聞かされた朝日のイシカワ記者もずいぶん困ったことだろう。

タックスヘイブンを勧める総理、金持ちに矜持を説く総理

2009年11月15日 | 政治・外交
鳩山総理
「国民に税金が課されていないと聞いた。日本国民もブルネイに移住したいと考えるだろう」


麻生元総理 
(定額給付金について)「貧しい人には全世帯に渡すが、『私はそんな金をもらいたくない』という人はもらわなきゃいい。(年収が)1億円あっても、さもしく1万2000円が欲しいという人もいるかもしれない。それは哲学、矜恃(きょうじ)の問題で、それを調べて細かく(所得制限を)したら手間が大変だ」


鳩山発言が今のところそれほど問題にされず、麻生発言が総スカンを食った理由が全然わからない。
麻生氏が総理だったとき「日本人は無税のブルネイに移住したいだろう」などと言えば「真面目な納税者をバカにしている」「国の財政を何だと思ってるのか」とマスコミ総がかりのバッシングを受けたのは間違いない。
逆に、鳩山氏が「大金持ちが国から小金をもらいたがるのはさもしい」と言ったとしたらどうだろう。高い支持率に配慮したマスコミが「さすが鳩山さん、これこそお金持ちの矜持ですね!さもしい金持ちは恥を知れ!」ともみ手してヨイショするんじゃなかろうか。

「誰が言ったか」を抜きにして考えてみる。
「日本国民もブルネイに移住したいと考えるだろう」という発言は「タックスヘイブンの勧め」であり国民と企業の節税・脱税志向を肯定している。火の車の財政を預かる政権与党の政治家として無責任すぎるし、ましてや総理大臣としては論外だ。
対して、「大金持ちが国に小金をタカるようなさもしい真似をするな」という発言は政治家としても金持ちとしても真っ当だ。以前にも書いたけれど、あの発言に怒った「金持ちでもなんでもない一般人」はいったいどういうつもりなのか理解しがたい。まさか「俺も10年後には年収1億円だぜ!」と信じているわけでもなかろうに。

ついでに言っておくと、ブルネイとかモナコとかいった税金のない(安い)国に移住できるのは大金持ちか特別な能力の持ち主だけだ。うなるほどの財産やあふれる才能とは縁のない一般人が夢見るなら「ああいう国に生まれたら楽なのに」くらいがせいぜいのところだ。
どうせ無理な夢を見るなら、「無税の国に移住したい」なんてセコい話じゃなくて「月に移住したい」とか「火星に移住したい」とか壮大な夢を見たいものである。独特のセンスで「宇宙人」とも呼ばれる鳩山総理の身辺にはなぜか銅臭が漂っている。


鳩山首相が軽率発言。「日本国民も無税のブルネイに移住したい」 - MSN産経ニュース
 【シンガポール=松本浩史】鳩山由紀夫首相は14日、シンガポールでブルネイのボルキア国王と会談し、個人に対し所得税が課せられていない同国の税制について、「国民に税金が課されていないと聞いた。日本国民もブルネイに移住したいと考えるだろう」と述べた。

 国民に課税している日本政府のトップとしては不適切な発言である上、首相自身は政治資金収支報告書の虚偽記載問題で、自民党の大島理森幹事長から「脱税の可能性がある」と追及を受け、「税はしっかりと払っている」と反論した経緯がある。加えて、首相自身の資産報告書などの記載漏れも発覚したばかりで、「軽率発言」とのそしりは免れそうにない。


鳩山首相の資金団体 領収書不要の人件費/毎年6000~7000万円に
 鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)の偽装献金疑惑が広がっていますが、支出の面でも年間6000万円を超す不自然な「人件費」の存在が注目されています。