玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

「こんにゃくゼリーを政治主導」デマに踊らされる情報強者を哂う

2010年10月09日 | 政治・外交
週刊ポストがまたこんにゃくゼリー「政治主導」問題についてデマを書いている。
マッチポンプ大勝利宣言みたいで胸糞が悪い。
前の記事でも批判したけれどもう一度叩くことにする。

NEWSポストセブン|仙谷氏のこんにゃくゼリーの形と硬さ決定に若手議員舌打ち
 週刊ポストが「仙谷官房長官が“政治主導”でこんにゃくゼリーの形と硬さを決定した」と先週報じたが、この件が永田町で大きな話題となっている。

 同盟国アメリカから見捨てられていた「仙谷官邸」の無様を報じた記事……なのだが、記事の本論とは少し違って、注目を集めたのは、仙谷氏が「政治主導」で「こんにゃくゼリーの形と硬さ」を決めようとしているというくだり。
 
 結局、政権を担った経験もない人が最高権力を握ると、政治主導もこの程度、という皮肉がいたく民主党議員たちの心に響いたようなのだ。若手議員の弁。

「仙谷さんの“オレ様”ぶりと、政権運営能力の隔たりに、日に日に党内の目が厳しくなっています。議員会館の食堂で、ある議員が“こんにゃくゼリーに全力で取り組んでる場合かよ”と舌打ちしていました」

※週刊ポスト2010年10月22日号

ああくだらない、くだらなすぎる。
そもそも「こんにゃくゼリー規制問題」自体が大騒ぎするような話じゃないのに、三流週刊誌が政治的意図(菅政権・仙谷官房長官叩き)からデマを流し、それを多くの人が鵜呑みにして空騒ぎする姿は愚かとも醜悪とも言いようがない。お前らみんなバカか?と言いたくなる。もういいかげんにしてくれ。
改めて言っておくと、「仙谷官房長官が“政治主導”でこんにゃくゼリーの形と硬さを決定した」という週刊ポストの記事は信用に値しない。まさに週刊誌ネタ、真偽の怪しいゴシップに過ぎない。
なぜそう言いきれるのかというと、消費者庁の正式発表と矛盾しているからだ。

こんにゃくゼリーの安全性、指標作成へ研究会  :日本経済新聞
 ミニカップ入りこんにゃくゼリーによる窒息事故対策を検討している消費者庁は27日、ゼリーの形状や大きさなど、具体的な安全基準となる指標を作成するため、専門家らによる研究会を立ち上げた。指標は年内めどに作成する方針だが、法的拘束力がない上にメーカー側の反発も予想され、実効性のある指標になるか疑問視する声もある。

 研究会は医学や食品安全などの専門家7人で構成。この日の初会合にはマンナンライフ(群馬県)、UHA味覚糖(大阪市)などメーカー側の担当者も参加した。10~11月にゼリーの形状や大きさ、硬さなどを分析、実験し、窒息事故の危険性を改めて検証。12月にもガイドラインのような安全指標を具体的な数値を示した上で作成する。


要するに、「こんにゃくゼリーの基準は専門家を集めて科学的に検討してもらいます」「メーカーの人も呼んで意見を聞きます」「法的に規制することは考えてません」ということだ。文句のつけようがない、まことに理にかなったやりかたである。仙谷官房長官の「政治主導」とやらの陰も形も(今のところは)存在しない。「今のところ」と保留したのは、もしかしたら仙谷氏が研究会に横から圧力をかけたり、あるいは研究会の報告を世論を扇動する道具として使い「こんにゃくゼリー問題を政治主導」する姿を演出する可能性はゼロではないからだ。

考えてみると、「政治主導」という言葉の使われ方はずいぶんいい加減である。政治家がどれくらい影響力を行使すれば「政治主導」なのか、客観的な基準は何もない。政治家自身の評判があがる話なら、実態は官僚任せでも「私が政治指導した」と威張り、逆に評判を下げる問題は自分が深く関わっていても「官僚が勝手にやったことだ、けしからん」「政治主導で正していく必要がある」と都合よく使い分けたりする。今回の騒ぎのようにバッシングに使われる場合もまた然り。

過去に問題になった例として、鉄道の路線決定や駅の設置について見てみよう。
「我田引水」ならぬ「我田引鉄」という言葉がある。それこそ大物政治家が「政治主導」で自分の地元に鉄道を通させ駅を置かせることを言う。

鉄道と政治 - Wikipedia
我田引鉄
「我田引鉄」と呼ばれる行為は戦前からしばしば問題視され、現在でも新線計画や新駅設置を巡ってその様な事が話題に上る事がある。

特に戦前はまだ自動車が世間一般に広まっていた訳ではなく、専ら鉄道が陸上交通の要であったため、その経路に選ばれるかどうか、駅が設置されるか否かが地域の盛衰を直接左右する生命線になった。このため、衆議院選挙の度に政党(特に立憲政友会)によって地域への鉄道敷設と引換にその地域の票を獲得しようとする工作が行われ、この集票手法は戦後まで継承される事になる。現在の高速道路・整備新幹線建設に関わる政治問題の根本と言われることもある。また、大都市周辺の地下鉄の郊外延伸線構想などを巡っては、現在でも政治家が選挙などの際に持ち出す事が少なくない。

現在大きな問題となっているのは中央リニア新幹線のルート選定だ。JR東海は距離が短く経済合理性が高いCルート(南アルプス貫通ルート)を望んでいるが、長野県は北に大きく迂回して諏訪に駅を置くことを強く求めている。仮に政治家の圧力によりCルート以外が選ばれることになれば、それこそ誰の目にもわかりやすい「政治主導」の成果といえる。この場合、成果といっても喜ぶのは長野県民(の一部)と撮影スポットが増える「撮り鉄」くらいだろうが。

こんにゃくゼリー規制問題の場合は、「リニアをCルートから外せと圧力をかける」ような理不尽な政治主導は実態として存在しない。小沢応援団の週刊ポストが仙谷氏批判のレッテルとして「政治主導」という言葉を利用しただけだ。仮に仙谷氏が「専門家がなんと言おうとこんにゃくゼリーの大きさは直径5cm以上、硬さは500g /cm2以上とする」(数字は適当です)と決め込んでゴリ押しすればまさに「こんにゃくゼリーの形と硬さを政治主導」したことになるが、そんな話はどこにも書かれていない。
どうやらポストの記事とそれに踊らされている人たちは「政治主導」という言葉をごくいい加減に使っているようだ。極端な話、「こんにゃくゼリー規制について専門家に検討してもらいます」と言っただけで「政治主導宣言だな!」と叫ぶようなヒステリーに陥っている。「政治主導」の言葉だけがあって実態が何もないのに「こんにゃくゼリーを政治指導かよ、バカじゃないか」と嘲笑するのに夢中だ。三流週刊誌の扇動に踊らされ、「こんにゃくゼリー」でニュース検索することなど考えもしない。「一犬虚に吠え万犬これに和す」ということわざを絵に描いたようなみっともない姿である。アホらしくてとてもつきあいきれない。


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