玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

気の毒な眞鍋さん、愚かな城内氏

2009年07月30日 | 政治・外交
政治の、というより一人の愚かな政治家のせいでとばっちりを受けた眞鍋かをりさんがかわいそうだ。

無許可で?「城内実ポスター」に…眞鍋かをり猛抗議 ブログで全面否定「特定の政治家の応援はしてない」
 タレントの眞鍋かをり(28)が、次期衆院選に静岡7区から無所属で立候補を予定している城内実氏(44)の後援会ポスターに登場したことに大困惑している。眞鍋はブログで城内氏や政治との関係を全面否定しているが、これに対し、城内氏も30日朝のブログで、「掲載許可をいただいた」と猛反論。選挙戦の本番前に、思わぬ場外バトルだ。

 問題のポスターは『国家国民のために』のスローガンを挟んで、上半分に城内氏の顔写真の横に『信念を貫く』の文字。下半分には眞鍋の顔写真の横に『あたたかな政治を!』と書かれている。城内氏の後援会ポスターとして、静岡7区(浜松市北西部ほか)の関係先や事務所に掲出されていた。


 ところが、眞鍋は知らされていなかったようで29日、自身のブログで城内氏との関係を全面否定した。

 「候補者の方と私が一緒に写っている写真が使われていますが、その方とは全く関係がございません。1年ほど前に一度だけ対談でお会いしてそのときに写真を撮りましたが、なぜその写真がポスターになってしまっているのかわからず困惑しています。私は特定の政党や政治家の応援はしていません」

 眞鍋は、さらに“元祖ブログ女王”らしく、コメント欄の反響に応えて文面を「補足」した。

 「事務所にどこまで把握しているのかを聞いてその上で自分がそういった声明を出して良いか確認をしています」と、所属事務所も了解の上での“抗議”であることを強調している。

 ただ、ポスターが実際に掲出されていたことを重くみて、眞鍋は30日朝、レギュラー出演のフジテレビ系情報番組「とくダネ!」の出演を見合わせた。

 これに対し、城内氏は同日朝、自身のブログで、「当方は、ポスター作成に際し、都内在住の知人のご好意で、眞鍋かをり氏所属事務所より、ご本人の写真をお借りして、掲載許可をいただいた上でポスターを作成いたしました」と、無断使用ではないことを主張。また、同ブログでは昨年、眞鍋と対談した際の動画もアップされていた。

眞鍋かをりのココだけの話 powered by ココログ: ポスター掲載の件
☆お知らせ☆ ポスター掲載写真の件について « 城内実のとことん信念ブログ   (魚拓)

眞鍋さんがはっきりと「政治に関して特定の人物を応援することはありえない」と言明しているのだから、すでにポスターの価値はゼロである。
政治家の応援じゃなくて企業のCMであっても、タレントが「日立のテレビを買ってほしいとは思いません」とか「ニキビ薬のCMなんて出たくなかった、ギャラ安すぎ」などと公言したらたちまち降ろされる。良いイメージを売り込むのがCMタレントの仕事なのだから当たり前だ(毒舌を売り物にしているタレントならある程度許されるかもしれないが、眞鍋かをりはそういうタイプではない)。

ところがそれがわからない人がいる。城内実氏と一部の(?)支持者たちである。
本人が「応援していない、写真を使うのはやめてほしい」と宣言した以上、城内氏がポスターを使い続けることは「嫌がっている眞鍋さんの顔と名前を勝手に利用している」と思われるだけだ。セルフガソリンスタンドならぬセルフネガティブキャンペーンにしかならない。いわゆる自爆である。それなのになぜ城内氏陣営はポスターを回収しないのか。
どうやら「無断使用」と見られたことにこだわっているようだが、そんなことはこのさい些事である。仮に城内氏の主張するように許可を得て写真を使ったのだとしても(私は信じてないが)、「タレント本人が『応援していない』と公言した時点でポスターの価値はゼロ、長引かせても悪いイメージが広がるだけ」というとっさの判断ができないのは政治家として致命的だ。
本当にまともな契約をして写真を使ったのなら、選挙の後で眞鍋さんと所属事務所に損害賠償請求すればいい。一ヵ月後に投票日というこの時期に、チンケなプライドにこだわって自ら悪いイメージを拡大する城内氏の気が知れない。

ここまで書いたことは、城内氏に最大限好意的な見方をしたうえでの批判である。
眞鍋さんの言うように写真を無断使用したのであればまさに論外だ。単に愚かなだけでなく恥知らずと呼ぶほかない。
私は城内氏を応援するつもりはないけれど、というかはっきり言って落選してほしいと思っているが、レギュラー番組への出演を自粛させられた眞鍋かをりが気の毒なので一日も早くこのトラブルが解決することを願う。その第一歩は城内氏が直ちにポスターを回収することだ。

日蝕ツアーと「ボッタクリ」

2009年07月23日 | 日々思うことなど
日蝕はご覧になりましたか?
私の住む地方では残念ながら曇りでちっとも見えなかった。NHKの中継を見てとりあえず満足。テレビって偉大だ。
ついでに言うと、ネットでのリアルタイム中継はアクセス過多でぜんぜん見られなかった。ネットが放送に取って代わる、みたいなことを言う人はまだまだ気が早いと思う。


YouTube - 46年ぶりの皆既日食・硫黄島

2ちゃんねるでは「トカラ諸島への日蝕ツアーの料金が高すぎる」とか「ツアー参加者以外の退去を要請するのはけしからん」みたいな話がさかんに論じられていた。

痛いニュース(ノ∀`):「日食見たい。島民に迷惑はかけない」 高額ツアーに参加しない“自粛破り”の上陸者続出…鹿児島・トカラ列島
はてなブックマーク - 痛いニュース(ノ∀`):「日食見たい。島民に迷惑はかけない」 高額ツアーに参加しない“自粛破り”の上陸者続出…鹿児島・トカラ列島

はじめに言っておくと、私は料金設定も退去要請もそれなりに理由のあることで、島民への批判は行きすぎだと思っている。とはいえ、今回書きたかったのはそのことではない。私が気になったのは、高額の日蝕ツアーが「ボッタクリ」だという批判だ。言葉の使い方が何か違うような気がする。

ぼったくりの意味 国語辞典 - goo辞書

ぼったくり

物やサービスを提供する者が,消費者から不当に高額な対価を請求する行為。低料金に見せかけた勧誘を行い,実際には高い料金を請求するなど。
補足説明 盗人の隠語で「かっぱらい」,また大阪方言の「ぼったくる(=無理に奪いとる,ふんだくる)」からか

辞書にはこう書いてあるけれど、「不当に高額な対価」というのも人それぞれの基準があってなかなか難しい。
私が思うに、由緒正しい(?)ボッタクリには二種類ある。

一つは「騙すボッタクリ」。
繁華街の客引きが「1万円のセット料金、それ以上は1円もいただきません」とか甘い言葉で店に誘い込み、シケたサービスしか提供しない上に10万円の請求書を突きつける、みたいのが典型的だ。あるいは「価値のある貴重な絵だ」と称して大量生産のリトグラフを何十万で売りつける、とか。本質的には詐欺と同じだが、典型的なボッタクリでもある。

もう一つは「弱みに付け込むボッタクリ」。
終戦直後の食糧難の時代、高級な着物を持って農家をたずねてもわずかな米としか交換してくれず、泣きの涙で帰る。他には被災地で生活必需品を高価で売りつけるとか、水不足のときにミネラルウォーターを値上げするとか。
それがないと生きていけない、生活が立ち行かないものを足元を見て高く売りつけるのは卑怯である。

離島への日蝕ツアーが「由緒正しいボッタクリ」の中に入るのかどうか。
ツアー募集の際に嘘はついていない。旅行会社が「高級ホテルに宿泊します、行き届いたサービスをお約束します」とか言っておいて実際はテント住まいさせられたらまさにボッタクリだが、参加者は離島の不便さ、宿泊施設のレベルを承知の上で応募したはずだ。
「弱みに付け込む」というのもちょっと違う。日蝕見物ははっきり言えばレジャー、物見遊山である。日蝕を見ないと仕事に差し支えるとか生きていけないなんて人はツアー参加者にはいないはずだ。「物好きな人たちがすべて承知の上で人数限定の高額なツアーに参加する」のがボッタクリかというと、どうもそうは思えない。

2005年の愛・地球博のとき、「飲食物が高すぎる」「持ち込めないのはひどい」という批判があった。
「高い飲食物も入場料金のうち」と思えば納得できないこともない、ような気もするのだが、小泉総理の「弁当の持ち込みを認めるべき」という鶴の一声に世間は喝采を送った。あのときも私は「これで本当によかったのかな」とちょっぴり疑問に感じた。高いテナント料を払ったお店は赤字だったのではないか。別に大もうけしてほしいとは思わないが赤字は気の毒である。スキー場のように「食事クーポン付きの割引入場券」を作れば関係者もお客もハッピーだったかもしれない(あったのかな?)。
愛・地球博の場合は、国が関わる大イベントでもあり、入場者はごく普通の人たちだから「高いけど自己責任で」とは言いにくい。だが、日蝕ツアーは「離島に起きる自然現象を物好きな人たちが見に行く」という形である。極端なことを言えば、参加者さえ満足すれば30万だろうと100万だろうと他人がとやかく言うことじゃないような気がする。

「正当な価格」とは何か、というのはなかなか難しい問題だ。
私は経済学を学んだことがないのでデタラメなことを言うかもしれないけれど、万人が納得する正しい価格というのはありえないんじゃないかと思う。それをやろうとした社会主義国は軒並み失敗した。スーパーの陳列棚を眺めたり、あるいは美術商のショーウィンドーを冷やかしたりすると「ジャガイモが300円で、ラクガキのような現代美術が300万円、ということの意味は何なのだろう」とわけがわからなくなる。

以前の記事で「何でもかんでも簡単に『騒ぎすぎ』と決め付けるのはいかがなものか」という趣旨で「KSK問題」(簡単に 騒ぎすぎだと 決めつける)なる言葉を考えたことがある。ぜんぜん広まらなかったけれど。
それにちなんで、「自分の感覚では理解できない高額なモノ(商品・サービス)を簡単に『ボッタクリ』だと決めつける」ことを「KBK問題」と呼びたい。高価な美術品もボッタクリ、希少な食材もボッタクリ、人数限定の秘境ツアーもボッタクリ。自分の好みと財布に合わないものは全部ボッタクリと決めつけるような人が典型的なKBKだ。
バブル期(すでに歴史の一ページである)の風潮を裏返しにしたのがKBKだ。バブルの頃は「高いもの=良いもの」という思い込みがほとんど信仰の域に達し、本人も価値を理解できないようなシロモノに大金を出すのがもてはやされた。現在のような長く続くデフレ基調になると「高いものはみんなボッタクリだ、なんでも安ければ安いほどいい」というKBKが流行する。
まことに正当な価格を見極めるのは難しい。

中川三成、関が原に立てず

2009年07月17日 | 政治・外交
自民党の内紛はとりあえず収まる方向のようで、まずはよかった。

【衆院解散】自民最終攻防 反麻生の「敗戦」濃厚 水面下で何が… - MSN産経ニュース
【衆院解散】自民、両院議員総会見送りへ 21日に首相出席し緊急集会 - MSN産経ニュース

ここ数日の騒ぎは「政権政党のゴタゴタ」と思うと腹立たしくて情けないが、他人事として見ればなかなか面白い人間ドラマである。まるで「関が原」の前日譚のようだ。この場合、反麻生派が西軍、執行部側は東軍という見立てになる。反麻生派の中心人物である中川秀直氏はもちろん石田三成の役どころ。


太閤(小泉総理)のもとで辣腕を振るった石田三成(中川秀直)だが、太閤が没して(小泉が退陣・引退宣言して)からは要職から遠ざけられた。太閤の遺志(新自由主義・構造改革路線)をないがしろにした家康(麻生総裁)の専横に三成は怒りを募らせる。

家康が上杉討伐のため大坂を去った(都議選で敗北して責任を問われた)のを好機と見た三成は、家康打倒の旗を掲げる。
手当たり次第に大名(議員)をかき集めて数の上では一大勢力を作るが、それぞれの考えはバラバラでまとまりがない。「家康許すまじ」(麻生総裁を引きずりおろせ)と思っているものばかりではなく、「三成にだまされた」と不信感を抱く大名が少なくない。

自民の両院総会署名簿「した、してない」で混乱も : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 署名した議員の中には、総会で総裁公選規程を改正し、総裁選前倒しを実現して麻生首相の交代を狙う議員もいる。一方で、首相が地方選の総括と反省、次期衆院選に向けた決意を述べればよしとする議員もいて、「目的や意図はバラバラ」との見方が出ている。

 実際、中川氏らが名簿を提出した後になって、「自分は『麻生降ろし』には賛同しない」「自分は直接、署名していない」などとして、署名名簿から外すよう求める議員も複数出た。逆に、新たに名簿に加わった議員もいる。各派閥は、署名名簿に掲載された所属議員に、署名の真偽や目的をただすなど、確認に追われた。


何よりも問題なのは西軍(反麻生派)に家康(麻生)に対抗できる旗頭(人気のある次期総裁候補)がいないことだ。
首謀者の三成(中川秀直)には人望がなく、なんとか西軍総指揮官に据えた毛利輝元(与謝野)は家康(麻生)打倒の気魄が足りない。

与謝野財務相、解散署名に応じる考え示唆 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 与謝野財務相は17日の閣議後の記者会見で、衆院解散の閣議書に署名するかどうかについて、「日本の経済財政、国際金融、金融システムに一閣僚として責任を持っている。選挙の直後には国際会議も開かれる。そういうことも万端考慮しながら自分の行動を決めたい」と述べた。与謝野氏は、これまで解散に反対して署名を拒否することに含みを持たせていたが、17日は署名に応じる考えを示唆したものと見られる。

こんなことで家康(麻生)を討てるのか。三成(中川秀直)の苦悩は深まるばかりである。


…などと空想してみたが、実際の関が原と比べると自民党の役者はよっぽど小粒だ。
麻生氏を「東海一の弓取り」家康にたとえるのは麻生ファンの私にもちょっと厳しい。そして、史実の三成はなんとか西軍をまとめて関が原で大決戦を戦ったのに、中川秀直氏の反麻生運動は両院議員総会も開けずに鎮圧されそうである。

卑怯・愚劣な「麻生おろし」

2009年07月16日 | 政治・外交
いよいよ解散総選挙、というこの期に及んで自民党内がゴタゴタしている。

与謝野財務相、麻生首相の自発的辞任を促す : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 与謝野財務相は15日、首相官邸に麻生首相を訪ね、約40分間、会談し、東京都議選の敗北を受けて次期衆院選は厳しい戦いになるとの考えを伝えた。


 首相の自発的な退陣を暗に促したものだ。一方、自民党執行部は同日、都議選を総括するため、週内に党所属国会議員が参加する会合を開く方向で検討に入った。しかし、首相は、党内の混乱にかかわらず、あくまでも21日に衆院を解散する考えだ。

 与謝野氏と首相との会談には、石破農相も同席した。この中で、与謝野氏は、このままでは次期衆院選の情勢は厳しいとの認識を伝えた。石破氏は、これに同調したうえで、首相が両院議員総会に出席して、衆院選に向けた党勢回復策について自ら説明すべきだと進言した。

署名簿で津島派「首相退陣には同調できぬ」 : 総選挙 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 自民党津島派会長の津島雄二・元厚相は16日午後、都内の同派事務所で記者会見し、同党の中川秀直・元幹事長らが提出した両院議員総会開催を求める署名について、「偏った考え方を示している関係者がいる。(津島派で)署名した人の大多数は、純粋に麻生首相と意見交換したいという気持ちだ。総裁選とか、総理をどうするかを念頭に置くなら同調できない」と述べ、首相退陣を求める中川氏らとは一線を画す考えを明らかにした。

 同派からは35人が署名している。津島氏は「130人余りの署名が集まったと言うが、(総裁選前倒しなどの)シナリオにはならないと明確に言っておきたい」と強調した。

両院総会求め134人の署名簿を提出 : 総選挙 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 麻生首相に批判的な自民党の中川秀直・元幹事長らは16日、党本部で細田幹事長と会い、両院議員総会の開催を求める134人の署名を提出した。

 署名した国会議員は、党則で総会開催に必要とされる党所属国会議員の3分の1(128人)を上回っており、与謝野財務相、石破農相の現職閣僚も含まれている。
(中略)
 署名した議員の中には、総会で総裁公選規程を改正し、総裁選前倒しを実現して麻生首相の交代を狙う議員もいる。一方で、首相が地方選の総括と反省、次期衆院選に向けた決意を述べればよしとする議員もいて、「目的や意図はバラバラ」との見方が出ている。


やっと東国原騒動が収まったと思ったら今度はこのザマか。見苦しいにもほどがある。
私はこれまでずっと麻生総理を応援してきたから、世間の空気に逆らって「麻生自民党」に投票するつもりでいた。バカだ、アホだと呼びたい人は呼べ。そんな最後の麻生ファンを裏切ってまで、自民党は総理の首をすげ替えるつもりなのか。もし本当にそんなことになったら、いくら神経が鈍い私も本気で怒る。もうほとんどブチ切れです。もちろん選挙区も比例区も自民党には入れない。

麻生自民党が三方ヶ原の戦いに臨む家康のように勝算の薄い決戦に打って出るなら、いっそ潔い。もしかしたら戦場は三方ヶ原じゃなくて設楽原(長篠の戦)で、有力武将が軒並み討ち死にすることになるかもしれないけれど。
普通に選挙をしても風速40mの逆風に煽られることは目に見えている。苦慮した古賀選対委員長が東国原氏を担ぎ出す奇手を仕掛けて無残に失敗した。もはや八方塞りだ。この上は正々堂々戦って愚直に敗れるほかない。代議「士」たるもの議席を惜しまず名を惜しむべし。
ところが、首を洗って覚悟を決めるべきときに総大将を引きずりおろそうとする猪口才な連中がいる。笑止である。麻生総裁はほんの10ヶ月前に自分たちで選んだリーダーではないか。しかも、自民党は小泉の後で安倍・福田・麻生と国民に信を問うこともなく総理の座をタライまわしにしてきた。健康問題で辞職した安倍氏は少々気の毒としても、後はすべて本人の都合、自民党の勝手である。この上さらに麻生総理を引きずりおろして、誰か国民に受けのいい「選挙の顔」を据えようとするのは卑怯、愚劣、国民を馬鹿にした言語道断オコの沙汰と言うほかない。恥を知れ恥を。

個人的な怒りはこれくらいにしておこう。実際のところ、世論はけっこう移り気である。
世間で人気があるらしい舛添氏あたりが新総裁になれば自民党の支持率がググッと盛り返すこともありえないこともない、という可能性は否定できない(ほとんどないと思うけど)。落選する恐怖に襲われた議員が、藁にもすがる思いで「首のすげ替え」を画策するのは理解できる。
だが、そこでこらえるのが政治家の品格、人間としての信義だと思うのである。自民党が負けるとしたら(間違いなく大敗するだろう)、それは麻生総理だけの問題ではなくて、2005年の郵政選挙以来ずっと自民党がやってきた(やらなかった)ことのツケが回ってきたのだ。支払うべきツケを先送りにし、請求書をごまかして「なんとか値切れないものか」とこすい計算をするのはいかにも器が小さい。そんな有様では当座はしのげても長い目で見れば信用を失う。「貧すれば鈍す」などというけれど、卑怯な真似をして老舗である自民党の名を汚すような真似をしてはいけない。

ちょっと気になるのは、両院議員総会の開催を求める署名に石破農相が名を連ねていること。
私は石破氏は自民党の中でも最も真面目で、政局騒ぎとは距離を置く人だと思っていたので意外な感じがしている。もしも麻生総裁の足を引っ張るようなら、私の石破氏への評価は急落してしまう。とはいえ、石破氏の属する津島派は「麻生おろし」に同調しない方針だという。石破氏の本心が「首相が両院議員総会に出席して、衆院選に向けた党勢回復策について自ら説明すべき」と言ったそのままだと信じたい。

東国原英夫の野望 天翔記

2009年07月14日 | 政治・外交
人気に押し上げられ、人気におごり、人気を失って出馬断念。
「人気者政治」のはかなさと危うさを象徴するような騒ぎだった。

asahi.com(朝日新聞社):東国原知事、国政転身「非常に厳しい状況」 - 政治
 自民党から次期衆院選への出馬を要請されている宮崎県の東国原英夫知事は13日、衆院の解散が目前に迫る中、自身が同党に突きつけた「総裁候補」などの条件が受け入れられるかどうかは「非常に厳しい状況」と明言した。ただし、最終決断については「後援会と相談して決めたい」と述べるにとどめた。県庁で記者団に答えた。

 東国原氏は「知事なのに国政とか、総理ポストなどけしからんとの声は粛々と受け止めないといけない」と述べるとともに、10日夜にタレント時代の師匠であるビートたけし氏から出馬断念を忠告されたことについては「重く受け止める」と語った。

 一方、自民党宮崎県連の米良政美幹事長は都議選での同党の敗因の一つに東国原氏の出馬騒動が挙げられていることについて「自民党がなめられた感じがしないでもない。ちょっと言い過ぎでないかなと。全国に迷惑をかけた」と述べた。福岡市で開かれた九州ブロック緊急幹事長会議終了後、記者団に語った。東国原氏の出馬については「もうないでしょ。出ない方がいい。本人も意欲なくしたんじゃないの」と冷淡だった。

東国原知事:師匠たけしさんの「宮崎に帰れ」を「重く受け止めたい」 - 毎日jp(毎日新聞)
asahi.com(朝日新聞社):「東国原氏擁立問題を引責か」 古賀氏支援者ら見方示す - 政治

とりあえずお疲れさまでした。ご本人も自民党も国民も誰も得しない無駄な騒ぎだったと思うけれど。
東国原氏と自民党について何も言うことはない。私が言わなくても、マスコミやネットでさんざん批判されている。東国原氏と古賀氏(と東国原擁立に動いた人たち)はしっかり反省してください。

終わってみれば何もかも茶番としか思えないが、まかり間違えば本当に東国原氏の人気が盛り上がり「自民党総裁候補として選挙を戦う」可能性もあった。それというのもマスコミが、特に政治報道のプロとされている人たちが東国原氏の野望を見くびり、政治的能力を過大評価して好意的に伝えていたからだ。
実例を挙げて見ていこう。

東国原知事への出馬要請は 何への布石なのか? | 時評コラム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
 東国原知事や橋下知事が、自民党から衆議院選挙に出るわけがない。
(中略)
 私は、彼は絶対に受けないだろうが、「橋下大臣」なんてこともあり得るだろうと思っている。「東国原大臣」だってあるかもしれない。彼らは衆議院議員としてではなく、むしろ大臣として、内閣改造の“目玉”になり得る。

その後の経緯を見れば、自民党(古賀氏)の「出したい、担ぎたい気持」よりも東国原氏の「俺を出せ、俺を担げ」という野望のほうがずっと大きかったのは誰の目にも明らかだ。

牧太郎の大きな声では言えないが…:男は度胸!の政治学 - 毎日jp(毎日新聞)
 「その情熱、今の自民党にない新しいエネルギーが欲しい」と口説かれて「自民党は私を次期総裁候補として戦う覚悟がありますか?」と切り返した宮崎県の東国原英夫知事。なかなかの役者である。

 「一番の高値」で自分を売り込もうとする魂胆。見上げたもんだよ、屋根屋のフンドシ! 度胸が良い。
(中略)
 「顔を洗って出直せ!」との声もあるけど、世間は前代未聞の「天下盗(と)り宣言」を楽しんでいる。政治に対する不信が極限まで広がって、世間は(“お笑い”でもいいから)「維新前夜」が見たい。

度胸はよくても三流役者。一世一代の晴れ舞台のつもりが観客の罵声を浴びてほうほうの態で閉幕とは無残である。

近聞遠見:日向の国からミサイル=岩見隆夫 - 毎日jp(毎日新聞)
 なにしろ、人気者とはいえ、九州の一知事が、出馬条件として、

 「私を次の自民党総裁候補として、衆院選を戦うご覚悟があるのか」

 と前代未聞の爆弾発言をしたのだ。麻生をオレに代えろ、と要求している。

 爆風にさらされた自民党内から、とっさに、あほらしい、ジョークだろ、顔を洗ってこい、などの反応が出たのは無理もない。スポーツ紙がいっせいに、

 <自民、なめられた>

 の大見出しを立てたのもわからないではない。だが、いずれもマトをはずれていた。

 とりわけ見当違いだったのは、民放テレビのコメンテーターたちだ。図々(ずうずう)しい、ただの中央志向、国民をバカにしている、情けない、こっけい、高く売りつけている、などなど、否定的、感情的発言で占められていた。

 東国原ショックの爆弾効果を評価するコメントがまるでない。テレビ政治の危うさを改めて印象づけることになった。
(中略)
いま、<東国原首相>が実現するとは思えないが、もし実現すれば、自民党は変わった、と国民は実感する。そのレベルのことを断行しろ、と東国原は迫っているのではないか。

東国原氏自身の資質については目をつぶり、「爆弾効果」とやらを褒めそやす。「テレビ政治の危うさ」を語る岩見氏のほうがずっと危なっかしい。

東国原と橋下自民を食う - 雑誌記事:@niftyニュース
鳩山邦夫前総務相の辞任騒動で揺れた数日後。東国原英夫宮崎県知事は友人らを誘い、県内で夕食をともにした。肌に生気なく、疲れきった様子の知事は政治の話はほとんどせず、ひたすら昔話に花を咲かせた。

「とにかく、癒しを求めている様子だったようだ」(県政界関係者)

 知事を悩ませていたのは、県議会対策でもホームシックでもない。鳩山騒動の前後から続いていた、自民党による国政転出の誘いをどう断るかだった。

 国政への意欲は知事就任時からとはいえ、宮崎1区の中山成彬前国交相が引退を表明した際に国政転出騒動が起こってからというもの、県政への意欲は明らかに衰えたと周囲は見ていた。

「最近、知事は議会とケンカもしない。淡々としていて表情の変化がとぼしくなった」(親知事派の若手県議)

 心はすでに宮崎にあらず、と誰もが思う状況での、今回の立候補要請は渡りに船のはず。ところが、知事には昨年の転出騒動の逆風がいまだに心に残っていたようだ。

「マニフェストを掲げて当選しながら、1期も務めないのはおかしいでしょう」(元側近)

もう笑うしかない、完全な読み違い。東国原氏のむき出しの野望がぜんぜん見えていなかった。実際のところ「渡りに舟」とばかりに出馬の誘いに飛びついた東国原氏の心はすっかり東京に飛んでいた。

知事の責任 - 社説 - miyanichi e press
■「1年半プラーっと」■

 国政転身に反対と答える人の多くが「知事として県政発展に貢献を」と今後へ期待をこめている。だが、それは期待薄のようだ。

 先日の政治資金パーティーで知事は、「(国政に)行くなと言うんだったら行かない。1年半プラーっとさせてもらう」などと発言。また、「(2010年度の)予算編成して来年2月に議会に示し、採決されれば事実上、僕の仕事は終わり」とも述べている。

 知事の下で働く多くの県職員がこの言葉に憤り、やるせなさを覚えただろう。無責任な発言だ。

 もう心、宮崎にあらずか。ならば県民が無理に知事に任期まっとうをお願いする意味はない。

宮崎の地元紙のほうが全国紙の政治記者よりよほどクールに見ている。

東国原ヨイショの極めつけは内閣改造のときの新聞辞令だ。

麻生首相:東国原知事の入閣で調整 分権改革担当を検討 - 毎日jp(毎日新聞)
 麻生太郎首相が閣僚人事で、次期衆院選に自民党公認候補として擁立を打診している東国原英夫宮崎県知事を入閣させる方向で検討していることが6月30日分かった。(中略)衆院選に向け、国民的な人気の高い東国原氏を自民党の「選挙の顔」にすることで、民主党に対抗するのが狙い。

全く検討していない-首相 東国原知事の入閣問題 - 47NEWS(よんななニュース)
 麻生太郎首相は1日、閣僚補充人事で東国原英夫宮崎県知事の入閣を検討したのかとの記者団の質問に対し「全くない。なかった」と明確に否定した。

 河村建夫官房長官も記者会見で「検討の中でもそういうことはなかった。閣僚の補充はこれでおしまいだ」と述べた。

東国原氏を「国民的な人気の高い」と断言した毎日新聞は現在の逆風をまったく予想できなかったようだ。「国民的な人気が高いとされる」とか伝聞の形にしておけばまだしも言い訳できたものを。


東国原氏自身は、政治的能力も人望もない、いや「無い」と言い切ってしまうと語弊もあるが、自民党総裁や総理の椅子を狙うにはまったく力不足の人物である。あるのはバラエティー番組が作り上げた安っぽい人気ばかり。そんな東国原氏でもマスコミが気に入って押し上げればかなりのところまで行く。しかも、ワイドショーの無責任なコメンテーターばかりではなく、名の知れた大物ジャーナリストまでが面白がって「人気者」を持ち上げる。「小泉劇場」を反省したはずのマスコミだが、東国原氏のような際物をもてはやして踊っているようではどうしようもない。いや、むしろ劣化している。
いよいよ衆院解散と総選挙の日程が固まったようで、「政権交代論」が大いにもてはやされるのだろうが私はぜんぜん興味がもてない。政権交代それ自体には特に反対しないけれど、「政権交代論ブーム」「政権交代煽り」には近づきたくもない。

東国原英夫の野望 覇王伝

2009年07月02日 | 政治・外交
どうやら「東国原英夫の野望」のゲームは終わりに近づいているようだ。
暑さは続くが夏至は過ぎ日は短くなるばかり。
「もう終わり」と言い切るのは気が早いけれど、マスコミの伝え方、地元の雰囲気、ネットで見る意見はすべて彼の「旬」が過ぎたことを示している。それに気付いていないのはどうやらご本人だけのようで、なにやらお気の毒になる。

asahi.com(朝日新聞社):東国原知事、期待の大臣職巡ってこず 「コメントなし」 - 政治
 1日の閣僚人事でひそかに注目されたのは、自民党から総選挙への出馬を要請され、条件として「総裁候補」を突きつけた宮崎県の東国原英夫知事の去就だった。「落としどころ」として総務相などでの入閣も取りざたされたが、結局、大臣ポストはめぐってこなかった。

 東国原氏はこの日、宮崎県高千穂町であった県民フォーラムで、約50人の町民を前に熱弁をふるった。「3年前に知事選に出る時、高千穂で決めた。神のお告げがあった。天孫降臨の地で、ぼくに白羽の矢が立ったと勝手に思っている。くしくもこんな日、また高千穂に来たのも何かの縁と感じている」。閣僚人事が発表になる3時間前、国政転身に向けて決断する節目の日になるかもしれないとほのめかした。高まる気分を抑えきれない様子だった。

 「自民党は総選挙で負けると言われているのに、なぜ自民党から立候補するのか」との質問には、「ぼくがいたら、負けません、負けさせません」とも強調した。

 フォーラム後、東国原氏は記者団に「総裁候補ではなく、大臣ポストを提示されても国政に行くのか」と聞かれ、「大臣になったら次の総裁候補じゃないですか、違いますか」と語気を強め、入閣に対する期待感をのぞかせた。

東国原知事の思い上がり:Net-IB|九州企業特報|データ・マックス
“入閣密約説”立ち消えで笑い物も…諦めない東国原 - ZAKZAK
「宮崎にオメオメと帰るのか」 東国原知事の「行く場所」は?:スッキリ!!:J-CAST テレビウォッチ

「神がかり」と「思い上がり」の最強コンボ。
これではよほどの東国原ファンでもない限りついていけない。「ああ、やっちゃった…」という感じだ。
一週間前「衆院選出馬の打診を受け、逆に総裁候補としての処遇と地方分権を要求」という最初のニュースが伝えられたときには、マスコミも世論もおおむね好意的だった。とはいっても、東国原氏が期待したはずの「それはいい、ぜひやれ」という応援よりも「面白いこと言うなあ、さすが芸人だ」という感じでネタとして受け取る向きが多かった。
私はこのときに「あ、これは危ない」と思った。東国原氏が利口なら「好意」をうまくふくらませ、「ネタだろ」というからかいをだんだんしぼませてしっかりした支持に作り変えることは可能だ。マスコミの後押しがあればさらにたやすい。これはひょっとしてひょっとするかも、「東国原総裁」「東国原総理大臣」が実現してしまう可能性が10%、もしかしたら30%くらいあるんじゃないかと本気でおののいた。

私が東国原氏だったら、「本気なのか、出馬を断るための冗談なのか」はっきりしないあいまいな状態を保とうとしただろう。真意を聞かれても笑顔を見せるだけで黙っているとか、気を持たせるようなことを言ったり、あるいはただの冗談だというふりをしたり。
そうして世間がだんだん「東国原」と「自民党総裁候補」の文字が並ぶことに慣れるのを待つ。「最初は冗談かと思ったけど、東国原自民党総裁、いや東国原総理っていうのもアリじゃないか」「否定するのは頭が古い」「これからは地方分権改革だ、それができるのは東国原以外にいない」というムードを盛り上げる。
待望論が高まってきたところでいよいよ「私ごときがいきなり総裁候補などと言っても誰も相手にしてくれないと思ったが、多くの国民から『ぜひお前がやれ』『逃げるな』と叱咤激励され、自民党からも好意的な返事をいただいた。ここで引いては男がすたる。宮崎県民のお許しをいただければ、わが身をなげうって日本のためにリーダーシップをとりたい」と宣言する。
はっきり言って露骨な猿芝居だが、「オレが、オレが」と野望をむき出しにするよりはマシだろう。

ところが、東国原氏は期待の高まりをじっくり待つよりも「オレが、オレが」「本気だ、真剣だ」とつばを飛ばして熱弁するほうを選んだ。よほど自分の人気と発言能力に自信があったようだが、どうやら裏目に出た。その決め手となったのが元検察官である河上弁護士との対決である。


河上和雄氏 東国原英夫知事に生放送で 苦言

livedoor ニュース - 河上弁護士が東国原知事を痛烈非難 「地方分権だけで国政やっていけない」
東国原知事、元検事の河上氏に逆ギレ(動画) どっちが悪いかの判断は任せる。:アルファルファモザイク
ネットゲリラ: 東がバカなのがよくわかった

老練な河上氏に軽くあしらわれ、政治家としての能力不足、人間としての器の小ささが露呈してしまった。


たしか山本七平の本で読んだと思うが、会社の経営が悪化して倒産しそうになると怪しげな人物が現れて「オレにまかせれば全部うまくいく、オレを信じろ」と断言するそうだ。景気のいい話を並べてバラ色の夢を見せ、なによりも自信たっぷりなのでつい信用してしまう。ところが頼りにした再建請負人は詐欺師まがいの人物で、会社の財産を巧妙に掠め取って姿をくらます。後に残るのは会社の抜け殻と激怒した債権者ばかり。
自民党が、麻生総理が東国原氏に自民党勝利・政権維持の夢を預けたとしたら、ほぼ間違いなく似たような結果に終わっていた。ギリギリのところで政権の晩節を汚す(晩節と言い切るのも失礼だが)ことから逃れた麻生氏は世間で言われているほど愚かではない。

東国原英夫の野望 永田町風雲録

2009年07月01日 | 政治・外交
真偽のほどはともかくとして、閣僚だ、いや首相補佐官だと東国原知事を要職に起用する話がちらほら伝えられる。
「東国原英夫の野望」が永田町に風雲を巻き起こすのだろうか。

麻生首相:東国原知事の入閣で調整 分権改革担当を検討 - 毎日jp(毎日新聞)
 麻生太郎首相が閣僚人事で、次期衆院選に自民党公認候補として擁立を打診している東国原英夫宮崎県知事を入閣させる方向で検討していることが6月30日分かった。首相は閣僚の兼務解消などに伴う人事を一両日中に断行する方針で、東国原氏を地方分権改革担当などのポストで処遇することで調整している。衆院選に向け、国民的な人気の高い東国原氏を自民党の「選挙の顔」にすることで、民主党に対抗するのが狙い。

自民、批判かわす秘策!?東国原知事を首相補佐官に - ZAKZAK
 自民党内で、宮崎県の東国原英夫知事を「地方分権担当の首相補佐官」に任命する秘策が検討されている。次期総選挙での「総裁候補」を要求した東国原氏には、内閣改造で総務相や地方分権担当相にする案もあるが、閣僚と知事の兼務は支障があるうえ、知事をすぐ辞めることも難しいため折衷案として浮上したという。ただ、東国原氏が納得するかどうか…。

 関係者によると、これは党幹部周辺の発案といい、首相に近い閣僚も「いい考えだ」と承知しているという。首相自身の意向は不明だ。


どちらの記事にも今のところ続報がないので、飛ばし記事か観測気球のように思われる。というか、そうであってほしい。
毎日の記事には

「衆院選に向け、国民的な人気の高い東国原氏を自民党の「選挙の顔」にすることで、民主党に対抗するのが狙い。」

と書かれているけれど、どうも私の実感とはかけ離れている。
ネット世論(2ちゃんねるやブログ等)を見渡しても、身近な人の表情からしても「東国原氏が好きだ、信用できる、ぜひ国政に来て日本を変えてほしい」というような人はあまり見かけない。むしろ「ちょっとどうなの」「本当にこんなことでいいのか」「国民、特に宮崎県民をバカにしている」といった疑問や批判のほうが多く聞かれる。東国原氏の「人気」はマスコミ(特にテレビ)の中だけで、有権者が投票につながる実体のあるものとは違う気がする。
東国原氏の国政転身がどれほど支持されているのか、それとも支持されていないのか、宮崎県以外で世論調査が行われていないようなのではっきりしたことは言えないけれど、私が検索したあたりではこんな感じだ。

Yahoo!ニュース - 意識調査 - 東国原知事は国政転身してもいい?
回答数2160 転身してもいい(289) | 転身しない方がいい(1298) | 分からない(14) | その他(188) | 回答なし(371)
 支持   13 %
 不支持 60 %

東国原知事「自民総裁候補なら」発言が波紋 みなさんは東国原氏の発言を支持しますか? - goo ニュース畑
 東国原氏の発言を支持する  38 %
 東国原氏の発言を支持しない 51 %
 どちらでもない、その他     11 %

東国原知事の衆院選出馬要請に対する発言について|世論調査.net - みんなの声!
 次期衆院選に出馬し、次期総理になってほしい。            7.3 %
 次期衆院選に出馬し、経験をつんでいずれは総理になってほしい。  7.7 %
 次期衆院選出馬は反対、知事の任期を全うするべきだ。       36.5 %
 衆院選出馬は考えず、2期目も宮崎県知事でいてほしい。       9.4 %

知事国政転身「反対」63% 本紙世論調査 - 県内のニュース - miyanichi e press
 「国政転身に反対する意見が63・0%に達し、賛成を大きく上回った。」

YouTube - 河上和雄氏 東国原英夫知事に生放送で 苦言
 コメント欄では東国原批判のほうが支持より多い感じ。

東国原知事、元検事の河上氏に逆ギレ(動画) どっちが悪いかの判断は任せる。:アルファルファモザイク
 2ちゃんねらーも厳しい突っ込み。

「東国原 人気」とか「東国原 支持」といった言葉で検索したが、熱心な支持者はほとんど見つけられない。

東国原宮崎県知事を大いに支持する|隠された毎日

このブログが一番熱心に東国原氏を応援しているけれど、コメント欄ではさっそく反論されている。


私自身が不信感を抱いていることを差し引いても、今の東国原氏に「国民的な人気の高い」感じがしない。
本当に人気がある、時代の風に押し上げられている、というのはたとえば2001年から2002年の田中真紀子外相とか、2005年の郵政選挙での小泉人気のことを言うのである。ブームの最中に真紀子氏や小泉総理を批判するとたちまちコメント欄が炎上したような覚えがある。それとくらべると「東国原人気」はずっと小粒だ。
自民党はこんな人(と言っては失礼だが)を選挙の顔として担いで勝つつもりなのだろうか。東国原氏は自分の人気は自民党の頽勢を立て直すほど力があると信じているのだろうか。どうも不思議なことである。

とはいえ、世論はかなりのところ水物であって、マスコミが今の調子で「東国原氏は国民的人気者だ」「地方分権改革」「総裁候補だ、大臣だ、首相補佐官だ」とはやし立てたらそんな気になってしまう有権者がけっこういるのだろう。
自民党は独自の世論調査を行っているそうだ。「東国原劇場」の一見するとバカバカしい筋立ては計算されたものなのか。
2005年の郵政選挙でも、マスコミや評論家の多くは「追い詰められた小泉に勝ち目はない」「造反だ、刺客だというゴタゴタに国民はうんざり」「本当の争点は郵政民営化ではない」と言っていたが、彼らの「客観的な」予測は小泉自民党の圧倒的勝利によって打ち砕かれた。人気者は理屈を超えた力を発揮するから怖い。

そのあたりの危なっかしさ、政治が擬似イベント化するくだらなさについては小田嶋隆が痛烈に批判している。

 おっちょこちょいのヒマ人、「世論」を作る:日経ビジネスオンライン

登録しないと全文は読めないが、それだけの価値のある文章である。ぜひご一読をお勧めする。