クリスマスも無事に終わり、いや無事というのは悪いことだけじゃなく個人的に良いことが何もなかったという意味で「無事」なのであり情けない気もするが、とにもかくにも年末を実感させられる今日この頃である。
年末大掃除(やってないけど)の一環として、ここしばらくのあいだ書こうか書くまいか迷っていたことを書いてしまおう。
古人曰く、「もの言はぬは腹ふくるるわざ」とか。言いたいことを言わず、書きたいことを書かずにいるのは気持ち悪い。
と、前振りは大げさだがこれから書くのは本当にどうでもいいことなのである。
「日本や世界を憂えて」などという崇高な気概とはまったく無関係な、言ってみれば「爪のささくれが痛い」というレベルのごく個人的な不愉快について書く。多忙な方もそうでない方もこれから先をお読みになるのは時間の無駄遣いになるだろう。
さて、私が最近とても不愉快に思いながら書かずにいたのは、
「STOP THE KOIZUMIの左脇でチラチラするジョン・レノンとオノ・ヨーコのgifアニメが鬱陶しい、気色悪い、悪趣味だ!!」
…ということである。
「STOP THE KOIZUMI」呼びかけ人のthessalonike2氏はもともとジョン・レノンとgifアニメが好きな人で、
彼のブログを訪ねると
「キスするジョン・レノンとオノ・ヨーコの画像」それに
「にこやかに手を振るイケメン外国人」が迎えてくれる。
どちらも私には悪趣味としか思えないが、thessalonike2氏個人のブログで彼の個性を表現する一端としてやっていることに文句を言うのは余計なおせっかいである(とはいえ、もし彼が以前のようにアイルトン・セナの画像を使うようになったら私は「やめてくれ!」と叫ぶだろう)。
しかし、
STOP THE KOIZUMIブログはthessalonike2氏個人のものではない(…はずである)。
小泉総理の顔の上に大きく赤い×を書いたり、ブッシュ・ヒトラー・スターリンと並べてみせたりする
タイトル画像も悪趣味だが、反小泉ブロガー同盟としては別に不自然ではない。「この手の安易な中傷を喜ぶ人たちの集まりなのだな」という情報を見るものに与えるという意味で有益でもある。
だが、小泉総理とジョン・レノンの間にいったいどんな関係があるというのか。
生前のジョン・レノンが小泉純一郎という名前を知っていたとは考えられないし、その彼が反小泉ブロガー同盟に "I ENDORSE YOU" 「私がSTOP THE KOIZUMIブロガー同盟を保証する」と言うはずもない。
おそらくthessalonike2氏も「同盟」に参加したブロガーたちも「本当にジョン・レノン(の霊)が自分たちに共鳴し賞賛している」と心から信じているわけではなく、気の利いたジョークのつもりなのだろう。
だが、私には彼らのやり方はあまりにも悪趣味で死者の尊厳を貶めるものとしか思えない。
thessalonike2氏がジョン・レノンの熱烈なファンなのはご自由だが、故人の画像を彼の生前の意思にかかわりない政治的運動のため勝手に使うのは悪趣味だ。もしオノ・ヨーコ氏に画像の使用許可を取っていたとしても(たぶん取ってないだろうが)、やはりそれは故人の意思とは無関係である。もしこれがSTOP THE KOIZUMIではなく「世界に愛と平和を」という呼びかけであれば、ジョン・レノンの画像を使うことにこれほどの嫌悪感を抱かなかっただろう。
別に「反小泉運動が使っているから」ジョン・レノンの画像が不愉快だ、と言っているのではない。
「死者の画像を生前の意志とは無関係な政治的運動に使うこと」が不愉快なのである。
小泉総理を応援するブログが、たとえば
HIDE(X JAPAN)の画像に「日本の未来は小泉総理に任せた」と言わせたとしたら、私は同じくらい不愉快だろう。私はX JAPANのファンでも何でもないが。
ついでに言うと、商業広告でマリリン・モンローとかオードリー・ヘップバーンといったすでに亡くなったタレントを使うのも好きではない。「シャネルの香水の広告にモンローを使う」のなら納得できるけれど、故人が見たこともない製品の宣伝に使うのは「恐山のイタコがモンローを呼び出して東北弁で質問に答える」のと同じくらい滑稽に思える。