玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

ザビエルが来た!

2008年06月29日 | ネタとか
やっぱりザビエルだよな! あいつはイカしてるよ!! 最高!!!
……などと妙に興奮してしまった。小学生か俺は。

asahi.com(朝日新聞社):卑弥呼は正解99% 歴史の人物、業績は?小6など調査 - 社会
 日本の歴史上の人物はどんな業績を残したか。小学校6年生では卑弥呼や外国人の正答率が9割を超えた一方、幕末~明治に活躍した政治家は軒並み5割以下だったことが、国立教育政策研究所が27日公表した調査結果で分かった。研究所は「近現代史では登場人物が増え、特徴的なエピソードを教えるのが難しくなる。特に明治以降は工夫が必要だ」と分析している。

 この調査は社会科の理解度を調べるのが目的で、07年1~2月、全国の小6生6665人と中3生9394人を対象に実施された。

 小学校の学習指導要領に明記された42人の業績を示し、どの人物なのかを選ばせる問題では、「邪馬台国の女王になった」卑弥呼が正答率トップ。以下、「キリスト教を伝えた」ザビエル、「黒船で来航した」ペリー、「黄熱病の研究」の野口英世、「水墨画を完成させた」雪舟と続く。

私は九州出身でもクリスチャンでもないので、特別ザビエルに思い入れする理由はない。だが、小学生中学生に強い印象を残した理由はよく分かる。なんといってもザビエル様はカッコいい。個性的で超ビジュアル系でインパクト抜群だ。正答率97.7%は伊達じゃない。


ザビエル様


小学六年の社会科教科書でザビエル様に出会ったとき、脳天から爪先まで衝撃が走った(大げさ)。
「な… なんだこいつは!」
感銘を受けたのは私だけではなかった。前の席にいたお調子者の男子(吉田くん)は「すげー!」と叫び、隣の席のかわいい女子(中山さん)はくすくす笑った。
先生は「こら、騒がない! …まったく、このページになるといつもこうなのよ」とぼやいた。
先生がどれほど注意しようと、ザビエル様のお姿は小学生の心をつかんで離さない。休み時間にはほぼ全員の教科書に落書きされ、無残にもザビエル様の頭には角が生え、サングラスをかけ額に「ハゲ」の文字が刺青されるのであった。

大人になってから見てもやはりザビエル様のお姿はインパクト抜群だ。
まず独特の髪型。あれは「トンスラ」という。ドラゴンクエストにも出てた。いや、それはトンヌラだ。サマルトリアの王子弱すぎ。

トンスラとは - はてなダイアリー
tonsure

髪型の一つ。頭頂部の毛を円形に剃ること。

キリスト教の信者が聖職者である司祭になる修行の通過儀礼として行う。

なお、頭頂部を丸く剃る理由としては、

「キリストの頭に巻かれていたイバラの冠の形に似せているため」

というのが最も有力な説である。

小学生がイバラの冠など知るはずもなく、ザビエル様の髪型は「カッパハゲ」だということでクラス全員の意見は一致した。

ザビエル様のチャームポイントは髪型だけではない。天を見上げるまなざしも素敵だ。
神への熱烈な愛情を見て取るのが正しい鑑賞法だが、小学生の素直な感想は「危ない目つきのおじさん」である。「高橋先生に似てる」「駄菓子屋のオヤジそっくり」「吉田のお父さんじゃないか」といった言葉が飛び交い、吉田くんは「ぜんぜん似てないよ!」と本気で怒った。

そしてザビエル様の手。
なんだか折り紙細工のように立体感がない。指が骨折したように見える。
それはともかく、自分の心臓を手に持ち、そこに十字架が突き刺さってる。こんな不思議なものを見たのは初めてだ。
 「心臓を取り出すと死んじゃうよ」
 「なんという勇者」
 「というより無茶」
 「絵が下手だなあ」
 「昔はこれでも上手だったんだよ」
 「わたしのほうがうまく描けそう」
 「俺のほうがうまいぞ」
 「えー」
 「何を、それなら勝負だ!」
小学生はつまらないことですぐケンカする。


ザビエル様はカトリック教会で認められた聖人だ。「聖パウロを超えるほど多くの人々をキリスト教信仰に導いたといわれている」偉大な宗教家である。
そんな人をカッパハゲとか目つきが危ないとか書いてしまい、不快に感じた方にはおわびします。申し訳ありません。
ザビエルやカトリックを揶揄するつもりはまったくない。
キリスト教のことなど何も知らない小学生の心にザビエルの画像はインパクトを与えた。落書きしてはしゃいだのは子供の頃の懐かしい思い出である。ザビエル様ありがとう、というのが私の偽らざる気持だ。
本当に、正答率97.7%は伊達じゃない。


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4 コメント

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トンスラ!! (annoncita)
2008-06-30 10:12:19
ザビエル様だ!やっほー!
と妙なテンションでこの記事に喜びを表した私は、カトリックのクリスチャンなんですけども、この絵のインパクトによるとは言え、「フランシスコ・ザビエル」の名が日本中に浸透しているのはうれしいなあ。
かく言う私も、小学生時代はノンクリでしたし、この絵によってたかって大喜びしたクチです(笑)。

成長して、ミッション校に進学し、その母校にはザビエル様の祝日に、周囲が勉学に勤しむ間休日となるんですけれども、他学の学生との「何で休み?え?ザビエル祭?」という会話の時に、小学生時代のあの衝撃がよみがえるらしく、相手がいつも含み笑いだったことを思い出します。

現代に生きるトンスラを検索してみました。カトリックの中でもとくに伝統的な修道会では今でも剃髪するみたいです。

http://orbiscatholicus.blogspot.com/2007/04/il-mondo-non-basta-tonsure-lives.html
フランシスコ会の一派のご様子
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アルシ○ド (安部奈亮)
2008-06-30 18:25:59
 最初に来たのがザビエルだったおかげで、後々までキリスト教は日本でだいぶ得をしているような損をしているような。

 教会見たらあの絵のことが思い浮かんでしまって、どうしても敬虔な気持ちになれません(笑)

 あれに勝るインパクトがある絵はなかなか無いですよね。聖徳太子も結構いけていると思うのですが、最近あれは実物と違うとかいって教科書に載っていなかったりしますし。あと瓦版のペリーも結構好きです。
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世の中見た目が99% (安部奈亮)
2008-06-30 18:34:29
ランキングを見ましたが、名前の短さと顔のインパクトで正答率が決まっているような気がしてなりません。
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Unknown (ほわい)
2008-07-01 18:35:27
このエントリーのタイトル、本多勝一の「マゼランが来た」を念頭に置いたんですか?
思わず吹いちゃいました。
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