今回はなすのつぼやき、いや謎のつぶやきモードでお送りします。
数日前に私が実際に体験したことをお話します。
いえ、実体験とはいっても、状況や単語やその他もろもろの9割を変えたり曲げたり丸めたりしてあります。なんというかその、ジャガイモから作っても片栗粉、みたいな話です。
このあいだ関西から来た女性とお話しました。
彼女は昨夜初めて関東のおでんを食べたそうです。
「関東の関東炊き、じゃなくて『おでん』って変なもの入ってますね」
「変なもの?それはどんなものですか」
「ちくわに似てるけど、食べてみたら粉っぽくてねっちりしてまずいの!」
「ああ、それは『ちくわぶ』ですね」
[東京ちくわぶ 製造販売 川口屋]
「何ですか、その『ちくわぶ』って?」
「ちくわの形をした生麩みたいなものです」
「なんでそんなもの入れるんですか?まぎらわしいじゃないですか」
「別にまぎらわしいってことは…」
「ああ、わかった。ちくわのニセモノですね。材料費をケチるために入れてるんだ」
「いえ、そうじゃありません」
「それならなんであんなまずいもの入れるの?おかしいじゃないですか!(怒)」
「えーと、関西では食べないようですが、関東ではあれがおでん種のなかで一番好きだという人が結構います」
「信じられない!舌がおかしいとしか思えません」
「まあ好みはいろいろですから」
「だってあんなにまずいのに!まずいという事実は動かせません」
「あなたにとってはそれが事実でしょうが、関東では長年親しまれた食材なんです」
「関東の食文化なんて知りません。だいたい料理の味の話をするのにそんな話をする必要ありません」
「えーと、そういう考え方もありますが、料理を語るなら食文化とか材料とか作り方とか歴史とか知ったほうが深く理解できるんじゃないでしょうか」
「私は料理の『味』そのものについて話してるんです(怒)」
「はあ」
「材料とか作り方とか歴史を気にしないと味が語れないなんて、そっちのほうが変です」
「うーん、困ったな。別にあなたの味覚を否定しているわけじゃありません」
「じゃあ何なんですか」
「ちくわぶのことをご存じなかったようなので、親切心というか何というか、つい説明を…」
「余計なお世話です」
「はあ」
「だいたいあなたは何なんですか?そんなにちくわぶにこだわるのは異常です。ちくわぶ業者の人ですか?」
「いえ、そうじゃありません。ただ私は知ってることを」
「ああ、しつこい。そこまでしてちくわぶを庇うちくわぶマニアの動機が理解できません」
「えーと、ごめんなさい。そろそろ失礼します」
ほうほうの態で逃げ出す羽目になりました。
考えてみれば、彼女がちくわぶのことをどれほど誤解しようと、私はぜんぜん損をしないのでした。余計なおせっかいを焼いて怒られたのでは割に合いません。相手にも不快な思いをさせてしまいました。二度とこんなことはするまい、と固く心に誓いました。
…半年後には忘れてるんだろうなあ。
ちなみに、私はちくわぶのことが好きでも嫌いでもありません。
おでんに入っていれば食べますが、なくてもぜんぜん気付きません。
参考記事
ちくわぶ - Wikipedia
『ちくわぶ倶楽部』ホール
数日前に私が実際に体験したことをお話します。
いえ、実体験とはいっても、状況や単語やその他もろもろの9割を変えたり曲げたり丸めたりしてあります。なんというかその、ジャガイモから作っても片栗粉、みたいな話です。
このあいだ関西から来た女性とお話しました。
彼女は昨夜初めて関東のおでんを食べたそうです。
「関東の関東炊き、じゃなくて『おでん』って変なもの入ってますね」
「変なもの?それはどんなものですか」
「ちくわに似てるけど、食べてみたら粉っぽくてねっちりしてまずいの!」
「ああ、それは『ちくわぶ』ですね」
[東京ちくわぶ 製造販売 川口屋]
「何ですか、その『ちくわぶ』って?」
「ちくわの形をした生麩みたいなものです」
「なんでそんなもの入れるんですか?まぎらわしいじゃないですか」
「別にまぎらわしいってことは…」
「ああ、わかった。ちくわのニセモノですね。材料費をケチるために入れてるんだ」
「いえ、そうじゃありません」
「それならなんであんなまずいもの入れるの?おかしいじゃないですか!(怒)」
「えーと、関西では食べないようですが、関東ではあれがおでん種のなかで一番好きだという人が結構います」
「信じられない!舌がおかしいとしか思えません」
「まあ好みはいろいろですから」
「だってあんなにまずいのに!まずいという事実は動かせません」
「あなたにとってはそれが事実でしょうが、関東では長年親しまれた食材なんです」
「関東の食文化なんて知りません。だいたい料理の味の話をするのにそんな話をする必要ありません」
「えーと、そういう考え方もありますが、料理を語るなら食文化とか材料とか作り方とか歴史とか知ったほうが深く理解できるんじゃないでしょうか」
「私は料理の『味』そのものについて話してるんです(怒)」
「はあ」
「材料とか作り方とか歴史を気にしないと味が語れないなんて、そっちのほうが変です」
「うーん、困ったな。別にあなたの味覚を否定しているわけじゃありません」
「じゃあ何なんですか」
「ちくわぶのことをご存じなかったようなので、親切心というか何というか、つい説明を…」
「余計なお世話です」
「はあ」
「だいたいあなたは何なんですか?そんなにちくわぶにこだわるのは異常です。ちくわぶ業者の人ですか?」
「いえ、そうじゃありません。ただ私は知ってることを」
「ああ、しつこい。そこまでしてちくわぶを庇うちくわぶマニアの動機が理解できません」
「えーと、ごめんなさい。そろそろ失礼します」
ほうほうの態で逃げ出す羽目になりました。
考えてみれば、彼女がちくわぶのことをどれほど誤解しようと、私はぜんぜん損をしないのでした。余計なおせっかいを焼いて怒られたのでは割に合いません。相手にも不快な思いをさせてしまいました。二度とこんなことはするまい、と固く心に誓いました。
…半年後には忘れてるんだろうなあ。
ちなみに、私はちくわぶのことが好きでも嫌いでもありません。
おでんに入っていれば食べますが、なくてもぜんぜん気付きません。
参考記事
ちくわぶ - Wikipedia
ちくわぶは、小麦粉に水と塩を加えて捏ね、棒などに巻きつけ成形、その後蒸して作る食材。漢字では「竹輪麩」と書く。生麩の一種であるとされるが、グルテンのみから作られる本来の生麩よりかなり粉っぽく、だんごやすいとんに近い食味となる。外側に歯車のようなギザギザが付き、竹輪のように、芯が無く穴が開いているのが特徴である。
そのものにはほとんど味が無いため、煮込んで味を付けて食べる。きな粉をまぶしたり、しるこなどの具として用いられることもある。東京発祥といわれ、関東地方では人気の高いおでん種として知られるが、それ以外の地方では存在自体が知られていないことも多い。(TV番組『秘密のケンミンSHOW』(ytv製作・日本テレビ系)の企画で大阪府民がはんぺんと一緒に試食した際は、はんぺんが好評を得たのに対し、ちくわぶはほとんど不評であった。
『ちくわぶ倶楽部』ホール