玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

ネットイナゴの90日

2006年08月27日 | ネット・ブログ論
“「ネットイナゴ」の現状”の続き。
最近Google検索ヒット数におけるネットイナゴの増殖が激しい。



10万~15万件で安定するかと思っていたら、急に20万を超えて驚いた。
理由はよくわからない。とりあえず関係ありそうな出来事を並べてみる。

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6月26日 
朝鮮日報:【W杯】韓国のネチズン大暴走…FIFA公式HPを攻撃 「ネチズンW杯」なら優勝候補間違いなし!?
7月24日
youtubeで「JAP言うな!」と怒る善良なアメリカ人に、勘違いした"一部の"にちゃんねらーが攻撃を仕掛けた事件に関する詳細調査ファイル
8月 2日
上村愛子オフィシャルブログ:亀田興毅くんの世界タイトルマッチに興奮です(>_<)
8月18日
他人の不幸は蜜の味: ファミリーマートで売られている「半熟ゆで卵」は半熟ではないので、十分に注意してください。
livedoor ニュース - [子猫殺し]直木賞作家・坂東さんがエッセーで告白
秋になり稲穂が実るとイナゴはさらに猛威を振るうのだろうか?

本質と演出

2006年08月20日 | 政治・外交
■ マニアは本質を語りたがる 一般人は演出が気になる
靖国マニアと反靖国マニアは「靖国問題の本質」について時に格調高く時に口角泡を飛ばして声高に主張する。
一般人は高邁な本質論を聞かされても良くわからないし、もっとはっきり言えば興味がない。むしろ、「靖国問題」の舞台に登場するプレイヤーたちの演技や舞台の演出に目を引かれる。
いろいろ言われている亀田選手の試合にしても、もうすこし上手く勝利を(あるいは敗北を)演出していれば大方の視聴者は素直に「よくやった!」と喜んだはずだ。ボクシングの本質を理解して批判できるマニアはそれほど多くない。

■ 「ゲド戦記」もあれば「時かけ」もある
演技や演出の必要を知らないのは論外として、演出のやり方にもいろいろある。
2005年の中国における反日デモは大いに不興を買った。恐怖と威嚇の演出は失敗した。平成の御世の日本人は心優しく一見すると柔弱だが決して腑抜けではない。
それに対して、8月15日の小泉総理靖国参拝はおおむね好評だった。「個人的参拝」「厳粛な表情」「慰霊と不戦の誓い」という演出コンセプトは多くの国民に受け入れられたようだ。

■ シーラカンスも夢を見る
8月15日の靖国神社という桧舞台で起きた奇妙な出来事。
  痛いニュース(ノ∀`):【靖国】青いヘルメットのサヨク集団"全学連"、一般市民にボコられ退散
テレビの画面に一瞬だけ映し出された彼らの姿、ヘルメット・サングラス・タオルのマスクというスタイルは生きた化石そのものだ。参拝反対派に「昭和の過激派」のイメージが強く焼き付けられてしまった。もし私が参拝反対派であれば、あれは右翼のなりすましじゃないかと陰謀論を唱えたくなる。左翼のみならず右翼にもご忠告申し上げる。「過激派」というコンセプトは時代遅れであり、笑われるだけです。

■ 「靖国問題」の鬱陶しさは「プロ野球中継の時間延長」に似ている
野球ファンの方にはごめんなさい。
プロ野球の(ジャイアンツの)人気が低迷するようになり、これまで当たり前のように行われていたテレビの野球中継延長がなくなった。本当に喜ばしい。だいたいマスコミは年がら年中プロ野球に熱中しすぎである。バファローズが解散しようと、ジャイアンツが低迷しようと、タイガースが優勝しようと、プロ野球ファン(マニア)以外にはまったくどうでもいいことだ。毎日のように巨人戦を放送し、いや放送するだけならいいのだが毎日のように時間延長して他の番組に中止や放送時間変更を強いるのは横暴である。中継延長がなくなって本当によかった。
8月15日が過ぎて「靖国問題」の空騒ぎが終わった。この清々しさは、プロ野球の延長を気にせずビデオを予約できる喜びに似ている。

参考リンク
  invisible-runner:参拝に反対する理由って、本当はもっとあるのでしょう?
  invisible-runner:こんなに長くなるなんて。
  uumin3の日記:靖国問題はA級戦犯の分祀では解決できない
  Feel in my bones:靖国神社、若者の保守化、左翼の低潮化、とか。
  できるだけごまかさないで考えてみる:日本のマスゴミや中韓が使う「解釈の強制装置」(前編)
  できるだけごまかさないで考えてみる:日本のマスゴミや中韓が使う「解釈の強制装置」(後編)

靖国参拝の演出法

2006年08月19日 | 政治・外交
世論調査によれば、小泉総理の8月15日靖国参拝は国民の半数に支持されたという。

ZAKZAK:小泉ホッ…各紙世論調査で靖国参拝支持が5割超
 小泉純一郎首相(64)が行った8月15日の靖国神社参拝について、読売新聞、毎日新聞、共同通信が行った世論調査で「参拝を支持」「評価する」と答えた人が5割を超えたことが17日、わかった。16日の新聞は、朝日新聞を筆頭に産経新聞を除くほぼ全社が参拝を憂えていた。だが、世論調査によると、逆の傾向が出たことで、国民は意外と冷静に見ていたことが浮き彫りになったといえそうだ。

 3社の調査はいずれも15、16両日、電話によって行われ、それぞれ約1000人から回答を得た。

 それによると、首相の「参拝を支持する」と答えたのは読売52.6%、毎日50%、共同51.5%で、軒並み5割を超えた。「参拝を支持しない」は、読売39.1%、毎日46%、共同41.8%-だった。

 参拝支持の理由をみてみると、それぞれ最も支持が高かったのが読売「首相が戦没者を慰霊、追悼するのは当然だから」(35.1%)、毎日「戦没者を哀悼するには首相の参拝は欠かせない」(54%)だった一方、共同は56.6%が「他国によって影響されるべきではないから」と答えた。

 支持しない理由では、いずれも「中韓両国との関係悪化」と「いわゆるA級戦犯合祀」が大半を占めた。


首相の靖国参拝、「支持」53%…読売調査
 首相の参拝を「支持する」は「どちらかといえば」を合わせて53%、「支持しない」は計39%だった。

 それぞれの理由を聞いたところ、支持する人では「首相が戦没者を慰霊、追悼するのは当然」が35%で最も多く、「不戦の誓いになる」31%、「中国や韓国の反発でやめるのはおかしい」25%が続いた。

 支持しない人では、「中国や韓国との関係が悪化」41%、「A級戦犯が合祀(ごうし)されている」27%、「政教分離の原則に反する」16%の順だった。

 小泉首相は今回の参拝について、<1>中国、韓国の反発で中止するのはおかしい<2>A級戦犯ではなく、戦没者の追悼が目的<3>政教分離を定めた憲法20条違反ではなく、「心の問題」――と説明した。これについて、「納得できる」は計59%で、「納得できない」計35%を上回った。

 中国、韓国が首相の靖国参拝に強く抗議していることについて、「納得できる」は計33%、「納得できない」が計57%だった。


保守派・右翼の方々はこの調査結果に喜んでおられるようだ。
たしかに、あれだけマスコミで「8月15日靖国参拝」が批判されていたのに、いざ実行されたら以前の調査よりも支持率が上がった、というのは予想外の好結果といえる。

だが、私にはこの調査結果がこれまで「靖国神社」を支持していなかった国民が支持に変化したものとは思えない。増えたのは「靖国で慰霊してもいいではないか」という消極的な支持であり、「慰霊の場所は靖国でなければならない」という積極的な支持ではない。本質は「靖国支持」というよりも「戦没者慰霊」支持なのだと思う。
「総理は靖国に行ってはならない!」と叫び続けたマスコミと中韓の態度は偏狭とみなされ、宗教的寛容を美徳とする日本人の心に反発を生んだ。
そこのところを保守派・右翼が読み違えて「靖国原理主義」的な発言を強めるようであれば、国民はその偏狭さを嫌い「ああ、やっぱり靖国神社は慰霊の場所ではなく右翼イデオロギーの中心なのか」と失望するだろう。

世論の動きはデリケートなものだ。「靖国問題」は生活と無関係なので一般国民には実感が持てない。「靖国マニア」と「反靖国マニア」以外の国民の気持はちょっとした印象によって大きく動く。「富田メモ」のとき引き波となった世論が、参拝後には寄せ波となり支持を押し上げた。
だが、参拝のやり方が少し違っていれば、支持ではなく反発が生まれただろう。
仮に小泉総理が参拝を終えた後で靖国の群集に向け笑顔で手を振ったとする。視聴者が「なんだ、『心の問題』と言ってたくせにあからさまに政治利用してるじゃないか」と思えば参拝支持率は10%下がってもおかしくない。もし参拝後の会見を(中曽根「公式参拝」のように)靖国の境内でやっていれば、「俗事を聖域に持ち込む不敬」が嫌われただろう。
実際に官邸で行われた参拝後の会見はおおむね冷静で論理的だったと好評のようだが、同じ内容であってもヒステリックな口調、興奮した表情であれば「やましさを隠そうとして逆切れしてる」と思われ軽蔑される。
靖国参拝を「純粋な慰霊と不戦の誓い」として演出するのに失敗していれば、支持するのは熱烈な靖国支持者(と小泉信者?)だけだったろう。

今回の参拝支持の世論は小泉総理の特異なキャラクターによるところも大きい。「小泉さんならしょうがない」「あの人は頑固だから」という苦笑まじりの容認がかなりの部分を占めているはずだ。国民が認めたのは実は「小泉純一郎の靖国参拝」であって「日本国総理の靖国参拝」ではないのかもしれない。

「靖国問題」の基底準位

2006年08月17日 | 政治・外交
「静かな参拝、騒がしいマスコミ」にsakuさんからコメントをいただいた。
静かな参拝 (saku) 2006-08-17 00:16:47

 小泉首相自身には、多分靖国で「A級戦犯」を称え先の戦争を正当化し中韓を弾劾する大演説をするなんて意思も思想もないと思います。
 小泉首相を尊敬されている玄倉川様には失礼な邪推と怒られるかもしれませんが、私は小泉首相の靖国参拝は、個人の思想・信条あるいは信教の自由の問題で参拝されているのではなく選挙対策、はじめは総裁選における橋本氏支持者の切り崩し(橋本元首相は遺族会が支持団体のひとつであった記憶してますので)、後には靖国参拝を「毅然と」行うことによって中・韓に反発する層の支持を集めることができるという政治的な理由で参拝されただろうと思っていました。ただし、先述したとおり小泉首相には多分靖国で「A級戦犯」を称え先の戦争を正当化し中韓を弾劾する意思はないと思います。しかし、今回の出来事が、数年後には先の大戦の日本の行動を称え、先の大戦の指導者を称え、先の大戦は謝罪すべきでも反省すべきものでもなくアジアの人民を植民地支配より救った聖戦であるとの見解に日本が立つ端緒であったと思い浮かべることになるのではないかと懸念するのです。(少なくとも靖国神社はそうした立場に立っているのではないかと思います。)私の懸念は杞憂でしょうか。また玄倉川様はこうした靖国神社の見解に賛同されますでしょうか。(申し訳ありません。私の靖国神社に対する理解自体が間違っているのかもしれませんが、実際に私が靖国に参拝し、遊就館にも見学しておそらくそうした思想にあるのだろうと思った次第です。)


sakuさん、コメントありがとうございます。
私は小泉総理の靖国参拝それ自体は個人的な信仰・信条による「戦没者慰霊と不戦の誓い」であることを疑いません。
ですが、2001年の総裁選で参拝を「公約」したのは政治的な目的あってのことだろうと思います。
sakuさんのおっしゃるように靖国参拝の「公約」には票集めのつもりがあったのでしょう。劣勢が予想されていた小泉さんにはどうしても必要な票だったのです。
私は個人の宗教行為を「公約」するのはおかしなことだと思います。小泉総理も反省したのか、その後の選挙で「公約」するのはやめました。参拝の実績を重ねればなにも「公約」する必要はありません。
先日マスコミに「8月15日靖国参拝の公約」について聞かれた小泉総理は「公約は生きている」と答えてましたが、きっとあれは「心の問題を公約すべきではなかったけれど、公約した以上は実行すべき」ということなのでしょう。次期総理と目される安倍氏は参拝を「公約」するつもりはないようで結構なことです。どうしても公約し公務として宗教施設に参拝したければ、先に憲法改正するのがスジです。

先の戦争を正当化するいわゆる「遊就館史観」ですが、靖国神社に参拝する人・小泉総理の参拝を支持・容認する人たちの多く(7割くらい?)は特にそのような考えは持っていないだろうと想像します(はっきりした根拠はありません)。彼らは戦死者の慰霊を望み、外国が日本人の心に干渉するのを嫌っているのです。
小泉総理も遊就館史観の持ち主ではありません。国際会議で「村山談話」を踏襲し国会で「A級戦犯は戦争犯罪人と認識している」と答弁しました。遊就館史観の右翼の多くから小泉総理は嫌われています。

私には右翼と左翼の歴史認識は「高エネルギー状態」という意味において相似形であり、小泉総理(と靖国参拝者の多く)の歴史認識は「低エネルギー状態」のように見えます。先の戦争を全肯定する右翼と全否定する左翼は互いの鏡像です。一方がエネルギーを強めれば、もう一方も呼応して電圧を高めます。左右からの高電圧で「靖国問題」に激しいスパークが飛んでいます(不幸にも加藤紘一氏が直撃を受けました)。

ですが、私はこの情況はそう長く続かないだろうと楽観しています。
私は物理学についてほとんど知りませんが、「励起状態にある原子(電子が高いエネルギーの軌道にある原子)はやがて自然にエネルギーを放出して,基底準位という最も低いエネルギーレベルに落ちる。」のが自然の法則だそうです。右翼も左翼もやがて疲れてくるでしょうし、左翼でも右翼でもない多くの国民は不毛な争いにうんざりし「戦没者慰霊を政治化してはならない」と思うようになります。その兆候はすでに現れていて、「『靖国問題』で大騒ぎするマスコミが悪い」という意見が急増しています。

小泉総理の靖国参拝への支持率は過半数を超えました。

首相の靖国参拝、「支持」53%…読売調査
  首相の参拝を「支持する」は「どちらかといえば」を合わせて53%、「支持しない」は計39%だった。

高い支持率の理由は小泉総理が慰霊と不戦の誓いのため靖国参拝していることが認められたからでしょう。もし小泉総理が参拝を積極的に政治利用していれば、国民の多くは嫌悪感を抱きます。85年の中曽根「公式参拝」のときは政治臭が芬々してましたが、小泉総理の参拝は爽やかです。もし小泉さんが靖国の境内で「『A級戦犯』を称え先の戦争を正当化し中韓を弾劾する大演説」をしていれば支持するのは右翼の一部だけでしょう。

私が次の総理にふさわしいと思っている麻生氏は「靖国神社が、やかましい議論の対象になったり、いわんや政治的取引材料になったりすることは、絶対にあってはならないことです。」と言っています。大いに同感です。

静かな参拝、騒がしいマスコミ

2006年08月15日 | 政治・外交
小泉総理が靖国神社に参拝した。
テレビの大騒ぎを見ていると、まるで総理が靖国で「A級戦犯」を称え先の戦争を正当化し中韓を弾劾する大演説をするのか?と思ってしまうが、もちろんそんなことはなくこれまでと同じように静かに参拝して風のように去っただけである。
深刻そうな顔を作りつつ実は嬉しそうなレポーターやキャスターの顔を見ているとカルガモ親子タマちゃん騒ぎを思い出す。興奮しているのはマスコミとそれに煽られた人ばかりで、本人(本鳥・本動物)は付きまとわれて迷惑している。
以前から思っていたことだが、「靖国問題」の大半はマスコミが作り上げた空騒ぎでしかない。

ただでさえうるさいマスコミがさらに大騒ぎするから「8月15日」の参拝はやめたほうがいいのに、と思っていたけれど、実際に総理が参拝する姿を見るとその気持ちは薄れてしまった。大騒ぎするのは反対する勢力ばかりであり小泉さんは静かに慰霊したいだけなのだ。
これは例年のことだが、神社内でマスコミ対応しないのは良かった。もし中曽根総理の85年参拝のように靖国の境内で「日本国総理として参拝しました」と得意げに語ったり、石原都知事のように「つまらんことを聞くな」と攻撃的な態度を示したりすれば「参拝に邪念があるのではないか」と疑ってしまう。お参りは静かに個人的にするのがいい。
みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会なるものがあるが、なぜ「みんな」で連れ立って参拝しなければならないのかわからないし何だか威圧的な印象を受けるので私は嫌いだ。小泉さんは以前は在籍していたらしいが団体で参拝したことはないという。彼らしい「変人」ぶりに共感する。

参拝後に官邸で行われた記者会見がとてもよかった。
こちらで動画と会見内容の書き起こしを見ることができる)
「不戦の誓い」「犠牲者に対する敬意と感謝」「日中・日韓友好論」「参拝しないことを首脳会談の条件にするのはよろしくない」「違いを乗り越えた未来志向」「『A級戦犯』のために行っているのではない」「神道奨励でも戦争美化でもない」「心の自由」「批判する人はよく考えてほしい」「考えは自由だ」
借り物ではない自分の考えを率直に語り、居丈高になることもなかった。批判的な記者に囲まれた全国放送の生中継でこういうことができる政治家は残念ながら少ない。
靖国参拝を問題視する人たちの意見を3つに分類して丁寧に答えている。小泉総理の考えに同意するのもしないのも自由だが、これだけ噛んで含めるように説明されてなお「わかりにくい」とか「説明不足」と言うものがあれば(たくさんいそうだが)、その人の理解力は平均以下であり、はっきり言って馬鹿だ。

去年の10月に「小泉首相は来年8月15日に靖国神社に参拝しない」したけれど見事に外れてしまった。
言い訳するのもみっともないが、口を拭って逃げたとも思われたくないので少しだけ言い訳を書く。
10月のエントリでは「参拝しない」理由として以下の四点を挙げている。

● 首相就任以来、次第に「8月15日」へのこだわりが薄れた
今日の会見で小泉総理は「8月15日を避けてもいつも批判・反発する。そしてなんとかこの問題を大きく取り上げようとする勢力。変わらないですね。いつ行っても同じです。」と言っている。8月15日を選ばせたのは本人のこだわりというより批判する勢力への反発のほうが大きいように思える。

● 9月に行われる総裁選への悪影響を避ける
ここまで安倍氏が総裁選レースで独走するとは思ってもみなかった。これでは小泉総理が8月15日に靖国参拝してもしなくても大した影響はない。反小泉勢力は福田氏のようなデコイに引っかからず強力な統一候補を立てるだろうと予想していたが、買いかぶっていた。

● あくまで「慰霊のための参拝」であり「靖国史観の肯定」「中韓への挑発」と誤解されることを避ける
小泉総理は自分が「靖国史観」を肯定せず日中・日韓友好論者であることに疑いなく、国民に向けて真剣に説明すれば(郵政解散のときのように)理解されると考えたのだろう。記者会見を見たあとでは私も小泉総理の言葉の力を信じたい。

● 8月15日の靖国神社は混雑し今年のように参道を歩いて参拝するのは危険
6月の最高裁判決で「神社への参拝行為は他人の信仰生活に対して圧迫、干渉を加えるような性格のものではなく、損害賠償の対象となるような法的利益の侵害があったとはいえない」とされ、今後「違憲判決」が出る可能性がなくなった。参拝が違憲とされる可能性が残っていたら、たぶん今回のように昇殿することは避けただろうし、だとすると8月15日に参拝するのは困難だったろう。

予想は外れたが、やはり私は総理大臣の靖国参拝は8月15日を避けるべきだと思っている。ただでさえ暑い夏をさらに熱くする(本人の望んだことではないけれど)のはよろしくない。靖国神社の側も「8月15日には特に意味はない、例大祭の参拝が望ましい」と言っている。次期総理と目される安倍氏はマスコミに騒がれることなく四月の例大祭に参拝していたけれど、できれば総理になってもそのやり方を続けてほしい。

「靖国問題」の解決策

2006年08月09日 | 政治・外交
「靖国問題」に解決策があるとしたら、麻生外相の靖国特殊法人化案はそれに最も近いだろう。

靖国に弥栄(いやさか)あれ 麻生太郎
 靖国神社に関わる議論が盛んです。特定の人物を挙げ、「分祀」の必要を言う人があります。国会議員にそれを主張する人が少なくありません。わたしに言わせれば、これは根や幹から問題を見ようとしない、倒錯した発想によるものです。  
 わたしは靖国神社についてものを言う場合、常に物事の本質、原点を忘れぬよう心がけて参りました。
私には「『靖国問題』は本当に問題なのか」とか「問題だとして解決できるのか」「どうしても解決する必要があるのか」といった疑問があるので麻生私案に諸手をあげて賛成はしないが、誠実に考えられたよい文章だと思う。
それではすんなり実現するかというと、どうも難しそうだ。


1・靖国神社が「特殊法人化」を受け入れるか
靖国神社:麻生外相私案にコメントせず 過去に国営化案:MSN毎日インタラクティブ
 靖国神社を国営の特殊法人化する「靖国神社国家護持法案」の制定について、同党が制定を目指し国会に計5回提出されたが、いずれも廃案になった。特に74年5月、衆院法制局が神社を公的機関にする以上、憲法20条との関係で「宗教性を帯びない性格にする」必要があるとの見解を示してからは、神社側も態度を硬化。75年以降は事実上の立ち消え状態となった。

30年ほど前「靖国神社国家護持法案」のときは「非宗教化」の強制を嫌った靖国神社が拒否したが、「麻生私案」では政府によって神道色を排除することは考えられていないようだ。

Let's Blow! 毒吐き@てっく: 靖国麻生私案の補助線
(問)そうすると神道色をまるっきりなくすということですか。

(外務大臣)それは新しい団体でお考えになることであって、私達がそれをとやかくいうことではないのではないかと思います。ましてや新聞社が言うのもいかがなものかということだろうと思います。

(問)まるっきり宗教色を無くすと、今まで言われている独立の無宗教の施設とどう違うのか。「靖国」という名前が残るだけではないかという気もするのですが、この辺の本質的な違いというものは。

(外務大臣)いい指摘だと思います。違いは伝統的な格式に戻ると書いていますので、その伝統的なものをどうされるかは自分達でお決めになれば宜しいと思います。これを従来、明治2年からずっと続けているからこれでいくというのであれば、それはそれでいいのだと私は思います。
従って今、千鳥ヶ淵の話と一緒なのではないかと仰いましたが、千鳥ヶ淵に祀られているのは英霊ではありません。戦没者だと思います。元々の経緯を詳しく読まれた上で聞いておられると思うのですが、あの話の元々の最初の3行目位のところから経緯が書いてあると思いますが、そこを読んでいただければ少なくとも靖国神社というものは国のために尊い命を捧げた英霊を祀ることを目的としているのであって、片方は被災された戦没者の鎮魂を目的としていると書いてあって、元々のいきさつが全く違うように作ってあると思います。
30年前と違って、遺族が高齢化した靖国神社が今後の存続に不安を感じているという報道もある。
靖国神社に「麻生私案」が受け入れられる可能性は70%はあるものと見る。


2・世論は「靖国神社の国営化」を受け入れるか
これはちょっと予想しにくい。
左翼は「政教分離違反」、右翼は「神道色の希薄化」「『A級戦犯』分祀」に反発するだろう。
だが、靖国神社にも政教分離にも思い入れの少ない一般国民は案外すんなり受け入れてしまうのではないか。
クリスチャンである麻生氏が言い出したことで「靖国国家護持」「国家神道の復活」といったおどろおどろしい印象が薄れたこと、国民のあいだに「もう『靖国問題』はうんざり、早く解決したい」という気持ちが広がっていることを考えるとその可能性は高い。
「麻生私案」が世論に支持される可能性は70%としておこう。


3・憲法20条(政教分離原則)に違反しないか
法律知識のない私には判断できない。
A.Yottiさんは「追悼や慰霊は、宗教的な行為です。ですから、「無宗教の国立追悼施設」は言葉の定義上、成立しません。「無宗教の国立顕彰施設」なら、まだ理解できますがね。つまり、「無宗教の国立追悼施設」は、この無能な日経記者が書いている「憲法の政教分離原則に抵触せず」とは逆で、明らかに憲法20条に抵触するんです。」と書いておられるけれど、さてどうなんだろう。
自衛隊の存在や私学助成金が憲法違反にならないのなら、「靖国神社国営化」「無宗教の国立追悼施設」もあいまいな形で認められそうな気もする。そのためには世論の強い支持(70~80%?)が必要だし、なかなかそれは難しそうだけれど。
麻生氏のようなベテラン政治家が満を持して発表したのだから、きっと「私案」の適法性に心積もりがあるのだろう。
「麻生私案」が憲法違反にならない可能性はこれも70%とする。

「近隣諸国」(中韓朝)の反応は考慮しない。どうせすべて反対だろうし、そもそも戦没者慰霊に外国が口を出す資格はない。
マスコミの影響も無視する。「靖国問題」が大好きなマスコミは大騒ぎするかもしれないが、賛成派(読売・朝日・日経?)と反対派(毎日・産経?)である程度バランスが取れてしまい総体として影響力はないだろう。
政治家や政党がどう動くかわからないが、世論の大勢が決まれば自民党・民主党の政治家の多くはそれに従うだろうと思う。小泉総理のように「世論よりも自分の心に従う」変人(良い意味でも悪い意味でも)はそれほど多くない。

「麻生私案」が実現するためには「靖国神社の同意」「世論の支持」「法律論のクリア」の3点が必要だ。
各要素の確率が70%とすると総体的な実現可能性は
  0.7×0.7×0.7=0.343
約34%となる。

世論には勢いというものがあり、何かのはずみで「靖国特殊法人化案」が盛り上がってあれよあれよという間に実現する(郵政民営化のように)可能性もあるが、どうすればそんなことが起きるのか今の私には想像できない。
私は「麻生私案」に反対しないし、もし可能なら好ましいと思うけれど、どうも実現しそうな気がしない。

参考ブログ記事
  泥酔論説委員の日経の読み方:「靖国、無宗教・国立に」・麻生氏私案
  さくらの永田町通信: 8・8
  Dr.マッコイの非論理的な世界矛盾だらけの靖国改造~麻生私案
  兵頭二十八の放送形式: 官僚の宗教無知を悟れぬ麻生氏はシナに勝てないだろう

靖国狂騒曲

2006年08月05日 | 政治・外交
ああ、くだらない!

自民総裁選、「靖国」参拝が最大争点に浮上 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
自民党総裁選(9月20日投開票)で、靖国神社参拝をめぐる問題が4日、最大の争点として浮上した。

asahi.com :【社説】安倍氏の参拝 これでは解決にならない
安倍氏が認めるように、この問題は日本の政治、外交をめぐる大きな焦点になっている。口をつぐんで済まされる問題ではない。自民党総裁選の最有力候補とされる安倍氏ならなおさらだ。きちんと考えを語る責任があるはずだ。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 社説:安倍氏靖国参拝 「この先」は明確な言葉で
次期首相を目指す安倍氏が靖国神社参拝で中国を納得させうる論理を持っているのかどうか。「この先どうするか」こそ、国民が知りたいことだ。他の総裁候補者はそれぞれ語っている。難しい問題である。だからこそ、小手先ではなく、真剣な言葉を聞きたい。

NIKKEI NET:社説・避けられぬ靖国問題の総裁選争点化
 安倍晋三官房長官が4月15日に靖国神社を参拝したことが明らかになった。小泉純一郎首相は「毎年、靖国神社を参拝する」と公言しているが、小泉内閣の外相と官房長官は外交上の配慮からこれまで靖国神社参拝を控えてきた。次期首相の最有力候補である安倍氏の参拝は内外に波紋を広げ、自民党総裁選で靖国問題が大きな争点になるのは避けられない情勢になってきた。

中日新聞:社説 危険なゲームはだめだ
 安倍晋三官房長官の靖国参拝が明らかにされた。四月半ばのことをこの時期になぜ、と意図をいぶかる人もいるだろう。伝えたいメッセージがあるのなら堂々と述べよ。中韓両国もここは冷静に。

論じる意味のないことを論じようとする愚。
そもそも安倍晋三という人は「靖国に参拝する政治家」なのである。
彼が「安倍晋三」という名前であること、父が安倍晋太郎であり祖父が岸信介であること、顔が垂れ目であること、アイスクリームが好物なこと。これらと同じように、安倍晋三に備わった属性が「靖国に参拝する政治家」なのだ。
「なぜ靖国神社に参拝するのか」「真意を説明しろ」という議論は「なぜあなたは安倍晋三という名前なのか説明しろ、真意を述べよ」と問いかけるのと同じくらい無意味だ。世の中にはそういう議論に価値があると考える人がいるかもしれないが、私には時間と労力の無駄遣いとしか思えない。
どうしても安倍氏が靖国参拝する真意を知りたければ「美しい国へ」を読めばいい。厚さも内容も薄い本だから立ち読みで済ませるのだって簡単だ。

マスコミの空騒ぎぶりは2004年の「政治家年金未納騒ぎ」と同じくらいひどい。
あのとき怒っていた人は多いが、今になって「年金未納」政治家批判が年金問題解決のため意味があったと思う人がいるだろうか?
「報道ステーション」では嬉々として「未納」政治家の顔写真を巨大なパネルに並べていたが、本当にくだらない騒ぎだった。
福田官房長官が辞任し、菅直人が自分の投げたブーメランに当たってお遍路に行く羽目になったのが唯一の「成果」だ。それにしても、福田氏は未納ではなく食言の責任を取って辞めたのだし、菅氏だって空騒ぎしなければ民主党代表を辞める必要などなかった。

マスコミがどうしても「安倍官房長官、四月に靖国参拝」を問題にしたいのなら、安倍氏に向かって「真意を説明しろ!」と騒ぐより国民(特に自民党員)に向けて「次期総理が靖国に参拝するような人でいいのですか?」と問いかけたほうがよほど意味がある。
世論調査で安倍氏が独走している情況から見て、国民の答えは「それでも別に構わない」になるだろう。
そうなるとマスコミの世論への影響力低下が誰の目にも明らかになってしまう。たぶんマスコミはそれを恐れて「真意を語らない安倍氏はけしからん!」という批判に固執しているのだろう。

実に馬鹿馬鹿しいかぎりだ。

常識の悲しみ

2006年08月01日 | 日々思うことなど
じょうしき じやう― 0 【常識】
〔common sense〕
(1)ある社会で、人々の間に広く承認され、当然もっているはずの知識や判断力。
「―では考えられない奇行」「―に欠ける」
(2)「共通感覚」に同じ。
                            三省堂提供「大辞林 第二版」より

ロリコンファルさんのところで知った一般常識診断をやってみる。

その結果はこうだった。



政治の90点はたぶん運スレのおかげ。経済の90点はまぐれ。今だに「リフレ」とはなんのことだかチンプンカンプンなのになぜ90点も取れたのか不思議だ。法律には無知なので70点は御の字。歴史は好きなのに70点しか取れなかった。ベルリンの壁が完成したのが59年か60年か61年かなんて聞かれてもわかりませんってば。国語の100点は納得。自慢じゃないが、と前置きして自慢するのだが、全国模試(大昔である)の国語で二ケタ台の順位をとったこともある(お勉強関係で唯一の自慢)。

総合的には自分でも意外なほどの好成績である。
これまで私のことを非常識と罵った連中を見返してやったぞ、わははははははは
…と、素直に喜べない。
単に「常識には弱いが雑学には強い」だけなのだった。
「職場の常識」「人間関係の常識」「恋愛の常識」などを出題されたら惨敗する自信がある。
ドラマ「結婚できない男」の桑野(阿部寛)を見て「これは自分のことか!」と身につまされてしまう。

いい成績をとったはずなのに、何だか情けない。