玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

党首討論の採点表 ~政策論抜きでの評価~

2005年08月31日 | 政治・外交
遅まきながら月曜に行われた党首討論の感想を書く。
以下はあくまでも党首のみなさんそれぞれの発言の仕方や表情を見て感じたものであり、各党の政策の是非について賞賛したり批判するものではない。私は政策について論じる気もないし能力も持たない。政策論について論じたい方がもしいらっしゃったら、他のブログをお読みください。木走さんのところは論客の熱いコメントを歓迎しておられるようです(…って、紹介しても良かったのかな?)。

まずは先攻の野党から。

■ 野 党
● 民主党代表 岡田克也氏
話し方が一本調子でせわしない。聞いていて疲れる。小泉氏が話している途中で割り込むのはマナー違反。
真面目で一生懸命なのは伝わるが、毎回毎回小泉氏に正面から挑んではかわされる有様を見ると、「機転とか応用力とかあるのか、この人には?」と不安になる。小泉批判よりも地道に政策を訴えたほうがいいのに。
60点。

● 共産党委員長  志位和夫氏
話し方は岡田氏よりうまい。温厚な高校教師のよう。
「生涯一野党」の諦観か、それとも老舗(現存する最古の政党)の誇りか、がっついたところがない。
自分がもし共産党支持者だったら志位さんにはかなり満足できそうな気がする。
75点。

● 社民党党首 福島みずほ氏
ご本人は一生懸命やっておられるのだろうが、声質といい話し方といい国会議員としては不適切なほど幼稚に見える。
「そういうところがいい」「純粋でけなげだ」というコアなファンに支えられているのだろう。
40点。

● 国民新党代表 綿貫民輔氏
さすがに元衆議院議長だけあって、列席者の中では一番の貫禄。
話し方も生粋の保守政治家らしく重厚。ただし、アドリブには弱そうである。
小泉氏から「綿貫さんの顔を見ると痛む」と振られたときの笑顔は人間的厚みを感じさせた。
70点。

● 新党日本代表 田中康夫氏
知事の公務のため欠席。
結果的にそのほうが良かったかもしれない、と言っては失礼だろうか。
採点不能。


■ 与 党
● 自民党総裁 小泉純一郎氏
私は小泉さんのファンなのだが、ここではなるべく贔屓目を入れないで客観的に評価したい。
…と書いたそばから褒めるのは気が引けるのだが、やはり小泉氏は役者が一枚上である。
さくらさんが「小泉さんは芸能人ですから」と書いておられる通り。一言で言えば華がある。
一人だけ白いクールビズでビジュアル的に先手を取った。似合わなければ場違いで恥ずかしいが、小泉氏は世界のベストドレッサーに選ばれるほどなので何を着ても似合ってしまう。
話し方はいつもの小泉流儀で、ゆっくりとした話し始めはやや自信なさげにも見えるが、話している途中で興が乗り力強さが増し最後には独演会となる。自己演出の巧みさはさすがで、伊達に映画やオペラや歌舞伎を見ていない。話の各所にユーモアを交えるのも上手。
話が長く繰り返しが多いことが難点か。
90点。

● 公明党代表 神崎武法氏
困った。「そうはイカンザキ!」のインパクトが強すぎて顔を見ただけで笑ってしまう。というわけでよく覚えていないのだが、小泉氏が靖国神社参拝を続ける意向を語ったときの苦虫を噛み潰したような表情が印象的だった。小泉さんを支えていくのはいろいろと大変だ。
70点。




選挙戦もいよいよ本番、各党党首の方々はどうか正々堂々と自らの政策を主張してください。
ネガティブキャンペーンはほどほどに、熱中症に気をつけて。

恥知らずな朝日新聞

2005年08月26日 | 日々思うことなど
■ <朝日新聞>社内資料流出認め謝罪 「月刊現代」記事で
NHK特集番組が政治家の圧力で改変されたと報じた朝日新聞の詳細な取材内容が「月刊現代」に掲載された問題で、朝日新聞は25日、「社内資料が社外に流出したと考えざるを得ない」として、取材先の松尾武NHK元放送総局長、中川昭一経済産業相、安倍晋三自民党幹事長代理の3人に謝罪の文書を郵送したことを明らかにした。これに対し、3人側はいずれも文書の受け取りを拒否した。朝日は、流出に関与した人物は特定できていないとして社内調査を継続し、9月中にも社幹部を処分するという。
 朝日が郵送した文書は24日付で、「流出によってご迷惑をおかけした」との内容。この問題を調査している自民党プロジェクトチームにも郵送したが、同様に拒否された。
 月刊現代の記事はジャーナリストの魚住昭氏の執筆で、朝日記者と3人との取材のやり取りを一問一答形式で掲載した。
 朝日は調査の結果「月刊現代の証言記録は、いずれも朝日記者がインタビューした内容を整理した社内資料がもとになっている」と断定した。取材資料にかかわった社員ら40人以上から聞き取り調査をしたが、関与を認めた者はいなかった。朝日は「信義に反し、痛切に責任を感じている」とのコメントを発表した。
 松尾氏は「取材記録をすべて明らかにするよう求めてきたが、今も聞き入れられていない。朝日内部から他のメディアに漏えいされたことを聞き、強い憤りを感じる」とのコメントを出した。
 自民党は、役員が記者会見以外の朝日の取材を受けることを自粛中だが、プロジェクトチームは25日、朝日に「不祥事をうやむやにする処理であり、追加措置を検討する」との通知書を出した。
 NHK広報局は「漏えいした取材記録だけみても『政治的圧力を受けてNHKが番組を改変した』とする朝日の記事を裏付けるような証言は見あたらない。改めて取材記録のすべてを明らかにするよう強く求める」としている。
(毎日新聞) - 8月25日20時19分更新


26日午前1時現在、www.asahi.comに記事は見当たらない。
他の会社が情報を流出させたとき朝日がどれだけ叩いたか。それなのに自分のところの不始末には頬かむり。
いまさらだが、朝日新聞って本当に、もうどうしようもなくダメだ。

がんばれこくみんしんとうにっぽん

2005年08月26日 | 政治・外交
■ 国民新党の長谷川氏、新党日本に…「政党要件」満たす

レンタル移籍おめでとうございます。
こういうことができるのは、国民新党の先生がたが「自分たちの本籍地は自民党」とお思いになっておられるからかと拝察いたします。残念ながら小泉さんが「劇的ビフォーアフター」を行ってみなさまが帰れる「古きよき自民党」はなくなりそうです。どうか頑張ってご自分の政治的信念を貫いてくださいませ。

さて、新党結成会見における綿貫氏の「国民」の絞所(*)、じゃなくて紋所を大書した印籠パフォーマンスで世人を瞠目せしめた国民新党がまたやってくれた。

■ 国民新党ホームページ 4コママンガ
その1
その2
その3


……いや、もはや何も言うまい。
絵柄も内容も実に素朴かつアナクロである種のいい味を出している。
こういうのを喜ぶ人もいるのだろうし、ニッチ狙いの政党としては正しいアプローチなのかもしれない。
少なくとも2ちゃんねらーたちは大喜びしている。
彼らが国民新党に投票するとはとても思えないが。

* 「その2」4コマ目のセリフ、訂正される前は「この『絞所』が目に入らぬか!」となっていた

2つの選挙CM

2005年08月23日 | 政治・外交
■ 民主党 新TV-CM「日本を、あきらめない編」

…なんですかこれは。
怖すぎ。子供が見たら泣くぞ。
真っ白な部屋で一人座っている岡田氏の姿は寂しい。まるで党内での孤立を(以下略)
椅子の位置が妙に左に寄っていてバランスが悪い。まるで新・社会党と揶揄される(以下略)
怒りの声が幾重にも重なって聞こえてくる演出は、言っちゃ悪いがまるでオウムの洗脳ビデオのよう。
「日本を、あきらめない」というコピーも何だかなあ。
国の将来を諦めている、あるいは諦めるしかないと思ってる国民はあまりいないと思うぞ。
民主党の政権公約についてはとやかく申し上げないが、このCMだけは一日も早く差し替えたほうがいいと思う。


■ 公明党 「TVCM予告:あのオヤジギャグが・・・」

…なんですかこれは。
面白すぎ。子供が喜んで真似しそう。
「そうはイカンザキ!」のシーン、繰り返しのリズムがいい。まるで出崎統演出のよう(褒めすぎ)。
赤バックで視聴者に力強さを印象付けるのもうまい。
前半は時代劇、後半はスターウォーズのパロディーとハチャメチャな作りだが妙にまとまっている。
公明党恐るべし。いろいろな意味で。

日本を汚さないで

2005年08月23日 | 政治・外交
小林興起氏ら、新党日本を結成・代表に田中康夫氏

新党の結成、おめでとうございます。

…しかし、なんとも疑問だらけの新党ではある。

● 想定している支持層が不明
小林興起氏は保守的な人だと思っていたが、党首の田中康夫氏ははっきり左寄り。右とか左とかで分けるのはもしかして古いのだろうか。その点「国民新党」のほうが明確な保守でわかりやすい。

● いまさら田中康夫?
私は田舎者なのでよくわからないのだが、都会では田中氏はいまだに人気者なのだろうか。うーむ。長野県での支持率は低下の一途をたどり今や35%しかないのだが。

● 党名その他
「新党日本」ならまだしも新党「日本」はやめてほしかった。「日本代表・田中康夫」うわー、勘弁してほしい。
党のマークも日の丸を妙な具合にいじくって嫌な感じ。頼むから日本を汚さないでくれ。
「チームニッポン!」という気勢のあげ方も「ニッポン、チャチャチャ」も、後方の白いポロシャツ軍団(フェイスペインティング付き)も妙に寒い。「ナウなヤングにバカウケ」というセンスだ。いったい誰があの演出を考えたのだろう?

残暑を厳しくする男

2005年08月20日 | 政治・外交
てっきりフカシだと思っていたら、本当に出馬するとは。

堀江氏、無所属で広島6区から出馬を正式表明 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ライブドアの堀江貴文社長は19日午後、自民党本部で記者会見し、国民新党の亀井静香・元建設相が出馬する衆院広島6区に、無所属で出馬することを正式に表明した。


このブログでは以前のニッポン放送買収騒ぎのときは堀江氏のことを「ほりえもん」「ホリエモン」と書いてきたけれど、選挙に立候補するということなので愛称・もしくは蔑称的な呼び方はやめて投票日までは「堀江氏」と中立的な呼び方にします。

堀江氏の意図は私にはよくわからないが、単純に「面白そうだ」と思っただけなのかもしれない。もしかしたら亀井氏が嫌いなのかも。大林監督の映画に憧れていて「尾道選出」の国会議員になりたかっただけだったりして。まあどうでもいい。堀江氏の発想法は私にはわからない。
ちょっと意外なのは、お山の大将になりたがりの堀江氏が無所属の一個人として立候補したこと。彼が政治の舞台に上ろうとするときには必ず新党を作って党首に納まるものだと思っていた。まあ、当選した後で同志を集めて堀江新党を結成することだってできるわけだが。
もし当選したら何をやるのか、それとも何もできないのか、多少の興味はある。といって彼の当選を望んでいるわけではない(落選を願っているわけでもない、どうでもいい)。無所属の(もしかしたら自民党の会派に入るかもしれない)一年生議員が何か特別な仕事をできるとは思えないが、なにか深い考えでもあるのだろうか。こつこつと政策を勉強して有権者の声を聞く姿は想像しにくい。大橋巨泉氏のように「嫌になったから投げ出す」ようでは男を下げるばかりだが、まさかそんなつもりはないだろうな。

自民党が堀江氏を公認候補にしなかったのは利口なやり方といえる。自民党支持の保守層には堀江氏のようなラディカルなぶっ壊し屋タイプは受けが悪そうだ。むしろなんとなくアンチ自民で野党に投票する人たちにアピールするはず。「自民党公認候補には入れたくないが、無所属ならまあいいか」という人とか「堀江氏が自民党をぶっ壊すことを期待する」人たちの票を多く集めそう。
マスコミ的人気者の堀江氏が「郵政民営化推進派」として登場することで民主党の存在感はますます薄れる。民営化の是非については正直言って私にはよくわからないが、イメージ戦略では自民党が常に先手を打ち一歩も二歩も先を行っている。

堀江氏はこれまで「政治家になるつもりはない」「ほとんど投票に行ったことがない」と公言していたそうである。その点を問題視して政治家としてふさわしくないとする人もいるようだ。だが、私としては「これまで政治に無関心だった堀江氏が一躍奮起して(?)立候補する」ことを今のところは肯定的に見たい。少なくとも、「自爆解散」だの「やけっぱち解散」だのと選挙の意義を貶める輩よりもずっとマシだ。もしかしたら彼の立候補によって投票率が数%上がるかもしれない。

立候補の記者会見は断片的にしか見ていないのでまとまった感想は書けないが、期待に反して(?)まともそうなことを言っていたようである。ニッポン放送買収騒ぎのときのような人をムカつかせる言葉遣いをしたらすかさず突っ込んでやろうと思ったのに。ちょっと残念。
何にしても、これから投票日まで(もしかしたら特別国会以降も)毎日のように堀江氏の姿をテレビで見せられることになる。今年の残暑は精神的にも厳しいものになりそうだ。

自民党クラシック

2005年08月18日 | 政治・外交
郵政反対派の「国民新党」旗揚げ・綿貫氏ら5人参加
郵政民営化法案に反対して衆院選で自民党非公認となった綿貫民輔元衆院議長、亀井静香氏らは17日、国会近くの憲政記念館で記者会見し、「国民新党」の結成を正式発表した。代表に綿貫氏、幹事長には亀井久興氏が就任。ほかに自民党を離党した長谷川憲正氏と民主党に離党届を出した田村秀昭氏の両参院議員が参加し、5人でのスタートとなった。

 綿貫氏は会見で、小泉純一郎首相と自民党執行部が郵政民営化反対派への対抗馬擁立を進めていることについて「1法案について信じることを堂々とやった人間を党からはじき出すのは断じて許すことはできない」と批判。「刺客と称して対抗馬を立てるのを座視するには忍びないとの気持ちで立ち上がった」と結党の理由を説明し、「トップダウンと称して密室でつくった政策を押しつけることのない政治のため、先兵となる」と強調した。


とりあえず、新党結成おめでとうございます。
ご自分の政治信条に則り、堂々と選挙を戦ってくださいますよう希望します。

さて、社交辞令はこれくらいにして。
いかにも遅きに失し、後手に回った印象を否めない。
自民党公認をもらえなかったから「仕方なく」新党を結成したという経緯からして高い志や決意を感じさせない。いかにも選挙のための急造政党で、これくらいの戦略を事前に立てておけなかったのか?と政治的能力に疑問さえ抱く。
彼らの主張とは「古きよき自民党の復活」以外の何物でもないように思える。私が名付けるなら「自民党クラシック」とか「なかよし党」で、国民新党の「新」の字がとても浮いている。
多くの国民が「自民党の馴れ合い体質」として嫌ってきたものを彼らは愛しているようで、これがニッチ市場を狙った意図的戦略なのかそれとも単純に浮世離れしているのか判断に迷う。
どうやら小泉嫌いの保守層に絞ってアピールしていくようだが、その戦略は正しいとして、平沼氏を誘い込めなかったのはいかにも痛い。対北朝鮮強硬派であり靖国参拝でも愛国者ぶりを主張している平沼氏が参加すれば、選挙目当てにでっちあげた感を少しは薄められただろうに。平沼氏も「自分の選挙は安泰だから反対派の同志たちがどうなろうと知ったことではない」みたいな姿を見せてしまい男を下げたのではないか。まあどうでもいいけど。

立党のいきさつを別にすれば、改革派・小泉自民党を批判する「真正保守」の政党ができたのはよろしかったのではないか。私は以前から小泉さんは保守というよりはリベラルだよなあと思っていた。たぶん小泉自身は「保守でもリベラルでも好きなように呼べ、俺は俺のやりたいことをやるだけ」と言うだろうけど。

外した予測、当たった予測

2005年08月14日 | 政治・外交
「参議院で郵政法案は可決される」と予測して恥をかいてしまった私だが、自民党造反議員たちの有様を見ると「恥をかいただけですめば儲けもの」という気になる。何しろ彼らは甘い予測のために議員という職や政治生命を失いかねない瀬戸際に立たされてしまったのだから。

■ 山本一太「シンプル・メッセージ」:NO.1442 「小泉首相との5分:その2」 2005年8月11日
参議院で郵政改革法案が否決され、衆院解散になる数日前だったと思う。衆院本会議で反対票を投じたある議員とある場所で会った。「参院否決で解散など打てるはずがない。だいたい、造反組の選挙区に候補者など立てられるはずがない。法案が通らなければ、小泉はそのまま討ち死なんだよ」と言うので、「いや、否決されて総辞職なんてあり得ません。小泉首相は500%、解散に打って出ますよ。しかも、造反のあった37選挙区の候補者は公認しないと思います!」と反論した。某議員は最後にこう言い残した。「たとえ解散になっても、反対派を公認せざる得ない。それが永田町の常識だ。選挙が終われば、また一緒になる。ただし、小泉首相はリコールされるよ。」

小泉さんが総理総裁になって4年余り、一般国民よりはるかに身近に見てきたはずの国会議員がどうしてこれほどまでに「小泉という男」を見誤ったのか不思議でならない。岡目八目などというがそれだけではとても納得できないほど身勝手で馬鹿げた誤ちだ。かつて大日本帝国が「仏印に軍を進駐させてもアメリカは黙認する」という甘い判断をしたために在米資産凍結、鉄鋼と石油の禁輸、そしてハルノートと追い込まれたことを思わずにいられない。さらに言えば、大日本帝国にはあえて対米戦を辞さない勇気、あるいは蛮勇があったけれど大方の造反議員には何もない。解散後はひたすら泣き言をならべるか虚勢を張るだけで、離党して自民党の非を鳴らすとか有権者に対し堂々と自らの理を訴える姿が見られないのは情けない。一例を挙げる。

■ asahi.com: 出馬断念の「造反」能勢前議員、「まさかこんなことに」
「まさか衆院解散はない」と思っていた。しかし、その「まさか」がもう一つ重なった。小泉首相による造反組への「公認外し」。

 法案に反対した37人の中で、立候補を断念したのは能勢氏が初めて。会見で、小泉政治の手法をこう評した。

 「すさまじい政治の世界を感じた。うーん、すごいな。そういうことであります」

何が「まさか」なのかちっともわからない。以前から小泉総理は「否決されれば解散」「反対票を投じた議員は公認しない」という意思を明らかにしていたことは私でさえ知っている。自民党の国会議員でありながら、彼女は小泉の言うことを信じなかったのか。重大な政治課題についての発言が信じられないような総裁であれば罷免を求めるのが筋のはずだが、造反議員は「倒閣運動ではなく法案に反対しただけ」などとヌルいことを言うばかりで、彼らがいったい何がやりたかったのか皆目分からない。単に嫌がらせをしたかっただけか。子供じゃないんだから「いたずらをしても泣けば許してもらえる」はずがなかろう。
派閥や支援者たちからのしがらみが無視できなかった、あるいは信念として反対票を投じたこと自体はまだ理解できるが、「まさかこんなことに」とか「すさまじい政治の世界を感じた」などと恥ずかしげもなく口にするような甘い人はもともと政治家としての資質を持たなかったのだ。能勢氏が出馬を断念されたことをご本人と日本のために祝福する。

予測を外してしまった人は結局どこかで自らの愚かさの代償を支払うことになるのだから(小泉総理とて例外ではない)、私が嵩にかかって批判してみても意味のないことではある。不快に思われた方がおられたらお詫び申し上げる。しかし、自分の甘さを棚に上げて誰かに責任を擦り付ける卑怯者は見苦しい。造反組の中でも城内氏は強力な対立候補を立てられても泣き言を言わず頑張っているようで好感が持てる。むしろ男を上げたとさえいえる。今回の選挙で当選するのは難しそうだが、城内氏の健闘を期待し造反議員たちが彼の姿を見習ってくれることを願う。

法案成立の見通しはすっかり外してしまった私だが、実は「もっと前の予測は当たっていたな」と思って少しばかり自己満足にふけっている。
5月22日のエントリ「小泉総理は郵政解散の夢を見るか?」で「素人の無責任と蛮勇をもって、『小泉は抜き打ち解散する』とここに断言する」と書いたのだが、そのころ解散の可能性について論じた新聞・雑誌やブログはほとんどなかったように記憶している。「郵政解散」という言葉もためらいつつ使ったことを覚えている。
もっとも、そのときの私の予測は「小泉は民主党をうまく突ついて審議拒否を続けさせ、『改革する小泉か、改革を阻む民主党か』という二者択一を有権者に迫るだろう」ということであって、まさか自民党内の反小泉勢力をも敵に仕立て上げようとは思わなかった。緻密な計算のもと(だろうと思う)、造反気分を抱く兵を切り捨てて改革派の精兵だけで戦いを挑む小泉総理は私の想像を超える名将なのだろうか。それとも織田信長きどりの大馬鹿者か。答えは9月11日に日本国民が下すことになる。

どこが「わかりにくい」のかわからない

2005年08月13日 | 政治・外交
敢えて大真面目に書いてみる
これほどまでに、議会民主制の精神が顕れた選挙が、未だかつてあったでしょうか?

今までの選挙と言えば、与党も野党も争点をぼかし、
都合の良い、耳障りの良い、財源のアテもない非現実的な公約を掲げ、
イメージ戦略とスキャンダル対策のみに奔走し、
国民は議員の雰囲気や人柄や知名度、
もしくは単に「人から頼まれた」だとか「組合が支持しているから」という理由で、
政策の内容など二の次な投票を行ってきました。

テキトーな政策、テキトーな投票。
それこそが、これまでの選挙でした。

マスコミは、政治的な争点を取り上げつつも、
肝心なところは一切ぼかし、年金の未払いがどーの、ワイロ貰っただのと、
政治家個人のスキャンダルの弾数で「あっちがオススメ」だの「こいつはダメだ」などと、
非常に低レベルな報道を繰り返しています。

呆れたことに、マスコミのこの低レベルっぷりは、
「これだけ争点がはっきりしている選挙においてすら」健在です。


今度こそ、国民は政治というものにしっかりと向き合い、
「自分の投じる一票が国の行く末を変えるのだ」という意識をもって臨むべきと思います。


Vossさんのご意見に同意します。
愚かなニュースキャスター(名前は挙げないが古館伊知郎である)はこれほどまでに争点がはっきりしているのに「わかりにくい」を連発して恥じることがない。「一見わかりやすいが実は複雑」ということをわかりやすく伝えるなら立派だが、ただ阿呆面さげて「わかりませんねえ」と首を振ってどうする。わかりにくいことをわかりやすく伝えるのがお前の仕事だろうに、恥を知れ恥を。
以前のエントリでも書いたが、「自爆解散」とか「争点が分かりにくい」とか賢しげな言葉で有権者の選挙への熱意を冷まし投票率を下げようとする手合いが嫌いだ。棄権を必ずしも否定はしないが、よくよく考えた上で「自分には選べない」という結論に至ってほしい(その意味で、私は参議院での大仁田議員の棄権をそれほど強く批判する気になれない)。「どちらに投票しても変わらない」といった冷笑的な態度はやめよう。小選挙区で自分の支持する候補が明らかに劣勢ときは空しくなるが、比例区の一票は死票にならないのだから有権者諸賢にはぜひ投票に行っていただきたいと思う。