玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

世論の7割は菅総理の続投を支持(無能なのに)

2010年08月29日 | 政治・外交
民主党代表選挙ははたしてどうなるのか。
無能な菅氏と真っ黒な小沢氏のどちらが選ばれてもまともに政権運営できないだろう。期待度ゼロだから、どちらがマシか考えるだけ空しい。とはいえ、実質的に日本の総理を決めることになる代表選挙だから勝敗の行方には興味がある。

小沢氏が出馬するからには当然勝つつもりだろう。それも辛勝ではなく大差で勝つ自信があるはずだ。民主党国会議員の過半数はすでに抑えた、と計算しているのではなかろうか。だが世論は小沢氏に厳しい。いや、ほとんど「論外」「言語道断」扱いとさえいえる。

菅氏69%、小沢氏15% 民主代表選で緊急世論調査 - 47NEWS(よんななニュース)
 共同通信社が27、28両日実施した9月1日告示の民主党代表選に関する全国緊急電話世論調査で、代表になってほしい候補者に菅直人首相(党代表)を挙げたのは69・9%で、15・6%の小沢一郎前幹事長を大きく上回った。民主支持層では菅氏支持は82・0%に上った。首相続投支持が世論、支持層の大勢であることが鮮明になり、党所属の国会議員や地方議員、党員・サポーター票の動向に影響を与えそうだ。

 菅内閣の支持率は48・1%で、7、8両日調査の前回から9・4ポイント増。不支持率は8・6ポイント減の36・2%で、7月の参院選後、初めて支持が上回った。代表選の結果、首相が交代した場合、「衆院解散・総選挙を行うべきだ」とする回答は56・1%。「行わなくてもよい」は39・1%だった。「小沢首相」は世論の解散圧力にさらされることになりそうだ。


ダブルスコアは当然でトリプルも予想していたけれど、まさか菅氏と小沢氏の人気が4.5倍も違うとは思わなかった。しかも民主党支持者ではさらに菅氏の支持率が高い。常識的に考えればとても勝負にならない状況だ。だが常識や良識などカケラも期待できないのが小沢氏だから、このままゴリ押しで代表選を戦うのだろう。
小沢氏と側近は戦闘意欲旺盛でも、小沢支持に数えられた民主党議員はどうか。とてもついていけないと浮き足立ちそうだ。国会議員、特に衆院議員にとって一番重要なのは次の選挙で自分が生き残れるかどうかである。このまま小沢氏を支持して大丈夫なのかと考え直さざるを得ない。

仮に小沢氏が代表選に勝って総理に就任しても、国会のねじれ状態は変わらない。支持率が極端に低いから野党に連立を呼びかけてもうまくいかない。たちまち行き詰って衆院解散、総選挙となる可能性が高い。となると小沢氏を支持した民主党衆院議員は一蓮托生だ。船長を変えたとたんに「民主丸」が猛烈な逆風を食らって転覆、荒れ狂う海に投げ出される、というのは民主党衆院議員にとって最悪のシナリオだ。

菅総理が続投した場合はどうなるか。ひどい経済無策なのに「アンチ小沢ブーム」のおかげで支持率が上がったから、もうしばらくは政権が持ちそうだ。小沢派が離党したら逆にそれを利用して公明党か自民党に連立を持ちかける。かつて小沢主導の大連立構想に反対した菅氏がどの面下げて、と批判されても背に腹は変えられない。オポチュニストの菅氏なら土下座でも何でもして政権を維持するだろう。
しばらく解散を先送りできれば神風が吹いて経済が上向くかもしれない。馬鹿げた政争が呆れられて円が下がれば好都合。あとは野となれ山となれ。
…というわけで、小沢支持に数えられた議員の中で日和見したり寝返りをたくらむものが出てくるのは間違いない。

小沢氏の代表選出馬が明らかとなり、マスコミの票読みで小沢優勢が伝えられても菅総理の表情はなぜか明るかった。たぶん小沢氏の極端な不人気ぶりを知っていたのだろう。調子に乗るとたちまちコケるのが菅氏の芸風(年金未納追求→自身の未納が明らかに→お遍路、高支持率→消費税引き上げ宣言→参院選大敗)だから何が起こるかわからないが、小沢氏の「豪腕」にむざむざとしてやられることはなさそうだ。

「宮崎の顔」が都知事を目指す(?)

2010年08月27日 | 政治・外交
東国原宮崎県知事が東京都知事への鞍替えを目指すとか。
ご本人は都民が喜んで自分を迎えてくれると自信を持っているのだろうが、私は2009年に「私を自民党総裁候補として迎えるつもりがあるのか」とふっかけて顰蹙を買った二の舞になるような気がしてならない。

東国原宮崎県知事、都知事選出馬へ:社会:スポーツ報知
 宮崎県の東国原英夫知事(52)が、来年4月に予定されている東京都知事選への出馬を検討していることが26日、複数の関係者への取材で分かった。次期県知事選(12月予定)には出馬せず、1期限りで知事を引退する意向をすでに固めている。引退表明は、9月定例県議会の閉会日となる10月12日になる見通し。宮崎県で手腕を振るい、高い支持率を得てきた同知事だが、さらなる「地方分権」を実現させるべく、都知事の座を目指すとみられる。


改めて言うまでもないが、東京は日本の首都である。
もちろん都民のプライドは高い。大阪府民や名古屋市民がいくら東京にライバル意識を持とうが、都民はまったく気にしない。そもそも同格の都市とは思っていないのである。都民がまぎれもなく対等のライバルと認めるのはニューヨークだけだろう。パリやロンドンは文化的にはともかく経済的には格下、北京や上海の経済力は認めざるを得ないが、近代都市としての積み重ねがない。東京の都市としてのGDPは世界一であり、ミシュランガイドで三ツ星を最も多く持つ街でもある。アキハバラやツキジはいまや世界的なブランドとなった。経済力と文化的魅力で世界に冠たる日本の首都、それが東京だ。
その東京を率いる都知事にどのような人が選ばれてきたか。ここ半世紀ほどは見事に「東京の人」ばかりである。

美濃部亮吉 - Wikipedia
鈴木俊一 (東京都知事) - Wikipedia
青島幸男 - Wikipedia
石原慎太郎 - Wikipedia

美濃部氏と青島氏は東京出身の東京育ち。チャキチャキの東京っ子だ。
鈴木氏は山形県出身だが学業は東京で修め高級官僚となった。石原氏は兵庫出身の北海道(小樽)・神奈川(湘南)育ちだが、作家・政治家としての活動はずっと東京で行っている。どちらも都民から「東京の人」と認められるのに充分なキャリアだ。
だが東国原氏はどうか。最近はすっかり「宮崎の顔」であり、芸能人として活躍していたころの「東京の人」イメージは消えている。プライドの高い都民が素直に自分たちの知事として認めるとは思えない。「田舎者が勘違いしやがって」と軽侮されるのではないか。
前回の都知事選挙には元宮城県知事の浅野史郎氏が立候補したが、石原氏に大差を付けられて落選した。
その原因について私は二回記事を書いている。

誰が勝つのか都知事選 - 玄倉川の岸辺
仮に浅野氏が「どうか私に都知事をやらせてください」という謙虚な姿勢であれば都民のプライドを傷つけることはないが、「市民団体」から懇願されて「仕方ないから出てやる」という形では「イナカモノが、何を偉そうに」と反感を呼ぶばかりだ。

「酢豆腐」を食った浅野氏 - 玄倉川の岸辺
政策論はさておき、候補者のイメージ論だけで言えば浅野氏はとにかく田舎臭かった。
田舎っぽさを自覚してそれを実直さに見せかけるような工夫があればよかったけれど、妙に気取っていてそのくせセンスが悪い。やることなすこと東京っ子(と、上京した元・田舎人)の顰蹙を買うばかり。
ただの野暮天なら愛嬌もあるが、「酢豆腐」の若旦那と同じくらい変てこな通人気取りだ。


小利口な東国原氏のことだから浅野氏の轍を踏むことはないだろうが、それでも「宮崎県知事としての実績」を訴えることが必ずしも都民にアピールしないというジレンマからは逃れられない。はてさてどうなることやら。

「君が代合唱演出」の怪

2010年08月05日 | 政治・外交
無能とは辛いものである。
国会予算委員会での菅総理を見てつい同情してしまった。
自民党の谷垣総裁には叱咤激励され、石破政調会長には安全保障問題を講義され、「イラ菅」もまざまざと能力不足を思い知らされて涙目という感じだ。「日本の総理があんな無様な有様でいいのか」とたいへん情けない。
とはいえ、菅氏が総理の座についたのは彼の権力欲のためだけではない。昨年の衆院選で民意を得た鳩山総理が一足先に無能をさらけ出して辞任したのが直接の要因だし、つい二ヶ月前には国民の60%が菅新政権を支持していたのだ。政治情勢と「民意」が菅氏を総理に押し上げた。無能な菅氏が総理を務めることになった責任の半ば以上は民主党と「世論」にある。

お恥ずかしい話だが、私自身も「俺って無能だなあ」とよく思い知らされている。もちろん菅総理のように重い地位にあるわけじゃないけれど、能力のなさゆえに失敗したり人から蔑みの目で見られるのは悲しいものだ。菅総理を支持しているわけではないけれど、つい同情してしまうのはダメなやつ同士(?)の連帯感だ。菅氏には麻雀計算機とかブーメラン伝説とかお遍路とか面白エピソードが多く、人間味があってなんだか憎めない。

菅総理につい同情してしまう私だが、もちろん野党に対して「手心を加えてやれ」などとは言わない。総理大臣の無能は国民の不幸である。批判すべきは手厳しく批判してもらう。谷垣氏と石破氏の質問は厳しいなかにも礼儀を忘れず立派なものであった。
だが揚げ足取りのような質問で時間を無駄にする自民党議員もいてがっかりする。麻生総理がバー通いだの漢字の読みちがいだのくだらないことで責められた意趣返しのつもりかもしれないが、まことにつまらない話だ。

FNNニュース: 「ラジオで君が代斉唱拒否」に菅首相が強く反論 放送したラジオ日本「歌わなかった」
自民党の平沢衆院議員の「総理は日の丸、君が代、賛成ですか、反対ですか?」の質問に、菅首相が強く反論した。
平沢議員は、2002年に、故・ミッキー安川さんが司会を務めたラジオ番組に菅首相が出演した際の話を持ち出し、「この番組の冒頭、みんなが立って、君が代を歌って、それから番組に入るんです。総理はその時に、『わたしは君が代を歌いたくない』と言われました」と述べた。
菅首相は、この質問を遮り、「そんなこと言わない、うそだ! うそです、それは!」などと反論した。
また、菅首相は「私だけ座って、あるいは斉唱しない。そういう行動を取るはずがない、自分の中で。そこまで言うのであれば、きちんと証拠を上げていただきたい」と述べた。
この放送をしたラジオ日本は、スーパーニュースの取材に「この時、総理は、ミッキー氏に促され、起立はしたものの、君が代は歌わず、ミッキー氏の『君が代は嫌いか?』との問いかけに、『そうだ』と言った」と回答した。


本当にバカじゃなかろうか。もちろん、こんなくだらない質問をする平沢氏のことだ。
「菅総理が8年前にラジオ番組で君が代を歌ったかどうか」を国会で問題にする必要性がまったく理解できない。番組中で歌うことに特別な意味があるならともかく、テーマソング(?)のような形で利用しているだけじゃないか。だいたい、どんな番組か知らないが「冒頭、みんなが立って、君が代を歌って、それから番組に入る」という演出が謎だ。「愛国者」専用の番組だから左翼は聞くな、というマーキングか。だとしてもインストゥルメンタルで済むことで、素人がヘタクソな君が代を合唱する必要はない。アメリカのトークラジオのような「愛国放談」をする前の景気付けか。国歌が「駆けつけ三杯」代わりに使われるとは情けないことだ。

「君が代合唱演出」を行った出演者とスタッフ、それに疑問を感じない人たちはたぶん自分たちを愛国者だと思っているのだろう。それは結構だが、はっきり言って私には君が代をもてあそんでいるようにしか見えない。どこかのお店が「われわれは皇室を尊敬しています」と称して天皇皇后両陛下の写真を包装紙の図柄として利用したら、多くの人が不快に思うだろう。私が「君が代合唱演出」に抱く嫌悪感はそれに似ている。
意味不明な「君が代合唱演出」に素直に従うほうが変だと思う。もし私がその番組に出るとしたら、「君が代を歌う意味がわかりません」と拒否するだろう。

菅総理が8年前のラジオ番組で「君が代」を歌ったのかどうか私は知らない。知りたくもない。まったくもってどうでもいいことである。
だが、もしも「歌っていなかった」ことが明らかになり(あるいはそういうことにされて)菅氏が批判を受けるとしたら、私は断然「くだらないラジオの演出のために君が代を合唱する必要などない、菅氏が拒否したのは正しい」と擁護するつもりだ。