玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

恥の上塗り

2006年11月26日 | 政治・外交
いよいよ明日は「郵政造反議員」たちの復党願提出期限である。

「造反組」問題、平沼・中川氏なお溝…堀内氏は復党へ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 郵政民営化に反対して自民党を離党した「造反組」無所属衆院議員12人の復党問題は、27日午前に復党願の提出期限を迎える。

 「造反組」は12人そろっての復党を目指しているが、平沼赳夫・元経済産業相は25日、中川幹事長が復党条件を緩和しない限り、復党願提出は難しいとの見解を表明した。12人全員が同一行動をとれるかどうかは不透明だ。

 「造反組」の堀内光雄・元自民党総務会長は25日、山梨県富士吉田市内で記者団に対し、「27日に(復党願を)提出する。(私は)基本的に復党する考えだ」と明言した。今村雅弘衆院議員も既に期限通りに復党願を提出する意向を表明している。

 一方、平沼氏は25日、岡山県津山市で自身の後援会の会合に出席し、復党願を提出するかどうか対応を協議した。会合終了後、平沼氏は「変な形で戻っても、何の主導権も発揮できないことも考慮の中に入れなければいけない」と記者団に述べ、中川幹事長が「郵政民営化支持表明」などの復党条件を見直さない限り、復党願提出は難しいとの考えを示した。また「(後援会幹部が)『信念を通せ』と言ってくれたことも胸に秘めて決断したい」と語り、今後、他の支援者の意見も聞いたうえで、27日午前に最終判断する考えを表明した。

 これに対し、中川幹事長は広島市で講演し、「筋道を通すことが一番大事だ。原理原則を説明できるやり方をしなければ、民意を失う」と述べ、復党条件を変更する考えがないことを強調した。こうした情勢を受け、中川氏と堀内氏が26日、会談し、復党条件について改めて協議することになった。

私自身は世論の支持を得られない形での「造反議員」復党には反対だ。
逆に言えば「世論の支持さえ得られたら復党も可」ということであり、確固とした意見があるわけではない。
そういういい加減な立場から見ても、「造反組」の議員たちのやりかたがあまりにも愚かしく身勝手でぜんぜん支持する気になれない。たぶん国民の多くがそう感じているはずだ。自民党に寄せられた意見のほとんどは「復党反対」だったそうだ。

陽介日記 2006年11月24日(金)
自民党本部には様々な意見が寄せられている。今回の復党問題をはじめ、様々な政策についてメールや電話で寄せられている意見を「国民の声」として毎週まとめている。

復党問題について、党本部で過去4週間を取りまとめた数値を聞きとった結果。
反対96.3%
賛成3.7%
であった。

自民党支持者は概ね反対であることは明らかであり、世論調査での反対50数%、賛成30数%は、野党支持者の数値も入っている事を考慮しなければならない。

不思議でならないのは、「造反」議員たちが平沼赳夫氏に復党の交渉役を任せたことだ。
郵政民営化にあくまで反対し続ける平沼氏(そのこと自体は一貫した姿勢を評価できる)を先頭に立てて現在の執行部に挑戦するような形をとればスムーズな復党が叶わないのは当然のことである。仮に国民のあいだに「郵政民営化を見直すべき」という声が高まっていれば強面を通すこともできただろうが、今はそのような情況ではない。そもそも平沼氏以外の11議員は「選挙結果に表れた民意」を理由として郵政法案に賛成票を投じたのではなかったか。それなのに「あくまで反対」の平沼氏を交渉役に選んだのはなぜなのかまったく訳がわからない。
引き受ける平沼氏もどうかしている。「私はあなたたちと立場が違うので引き受けられません」と身を引いていれば「さすが(自称)侍だ」と感心したのに、彼がやっているのはその逆である。

強まる対立 『復党』問題 糸口見えず
■平沼氏 『一方的条件』声高に批判

 平沼氏は約百五十人の後援会幹部の前で、強気一辺倒の中川氏について「一方的に一人の幹事長によって突き付けられた条件をのんで、私の先行きが切り開かれていくのか」と声を荒らげた。

 自らの復党願提出については「熟慮に熟慮を重ねて、二十七日午前中には態度を表明したい」と明言を避けたが、民営化に反対し続ける「信念」の正しさをアピール。

 幹部からの意見聴取でも、「信念を貫いてこそ、平沼先生だ」との声が大勢を占めた。

 平沼氏は会合後、記者団に「私が信念の政治家だということは理解されている。変な形で戻っても、何の主導権も発揮できない」と述べ、中川氏が軟化しない限り復党は困難との認識を示した。

 平沼氏を除く十一人の造反組の間では、同氏の譲歩を期待する向きもあるが、現状では難しい。地元での言動からは、中川氏へのいら立ちを募らせている平沼氏の様子が浮かび上がってしまった。

平沼氏の言う「私の先行き」っていったい何なのだろう。いくら支持者の前とはいえ、「私」にこだわるのは(自称)侍らしくない。公のために私心を捨てるのが武士道ではなかったのか。「一人の幹事長によって突きつけられた条件」というのもわからない。無役の実力者(小泉前総理とか)が条件を突きつけたというなら「筋が通らない」と憤慨するのもわかるが、総裁に党運営を任された幹事長の出した条件はすなわち党の意思である。「幹事長何するものぞ」という平沼氏の態度は「復党したら執行部を無視して好き勝手にやる」と宣言しているようなものだ。

平沼氏は「そういう人」なのでしかたないとしても、11人の造反議員は明日どうするつもりなのだろう。
「郵政民営化反対を訴えて当選」しながら選挙後の国会で郵政法案に賛成票を投じた彼らは、今度は「復党交渉を一任」した平沼氏を裏切って復党願いを提出するのだろうか。もしそうであればこれ以上ないほど見事な「恥の上塗り」である。


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4 コメント

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さすがです.... (テツ)
2006-11-27 09:19:01
私もうすうす感じておりました。
何故に交渉人が平沼氏なんでしょうかと?
本当の意味でのサムライなら、平沼氏は自分のことはさておき、11人の思惑通り動いてあげるのがいいのでは?ともおもいましたが、何だか見ていて恥ずかしいですね。
別に年を越えて議論してもいいのに、年内ということばかりに気にするから、お金が欲しいだけじゃねーのっていう見方もあらわれてくる。

どーしよーもないですなあ。
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政党交付金の問題じゃないか (やま)
2006-11-27 23:33:39
>年内に復党すれば来年の同党への政党交付金は約2億5500万円増額する計算

金の為に復党したと言われて当然でしょう。違うのなら年内復党に拘る理由が無い。
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結局 (玄倉川)
2006-11-28 19:20:07
>テツさん
「11人が平沼氏を押し立てた」のか「平沼氏が『俺に任せろ』と(無言の)圧力をかけた」のかわかりませんが、何となく後者のような気がします。

>やまさん
結局はそういうことでしょうね。
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「復帰させるのが当然だ」という態度が無ければ平沼氏を評価できるのだけれども… (Nishi)
2006-11-29 08:14:44
なるほど、仮に平沼氏がハナから復党条件飲んで戻るつもりがなかったとしたら、こうして引っ掻き回せばますます復党組が無様に、相対的に平沼氏が引き立つ形ができますね。十分ありそうだ。


私は今回復帰を認めた執行部はどうしても評価できませんが、これから復党組に懲罰ペナルティを課すのだとしたら、多少考えを改めます。
党則に逆らわず、政権の方針を順守すると誓った上で戻ってくるのですからね。当然、粛々として受け入れるでしょう。もはや、党則に拘束されない除名無所属議員ではないのですから!

ご当人たちはそりゃあ無所属議員として屈辱の日々を送っておられたつもりでしょうが、普通の有権者から見れば(落選して無職になった人たちはともかくとして)当選して日々国政に携わることができる立派な一国会議員。これまでの経過で相応のペナルティを受けたなどと言われても、とても納得できないでしょう。

いずれにせよ、政治公約を平然と放棄できる人間の"誓約"なんぞとても信じることはできません。どれほど誓約を守れるか、態度を示して貰いたいところです。
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