先のエントリにおいて「いわゆる『男系派』を『皇統派』、いわゆる『女系(容認)派』を『直系派』と呼びたい」と書いた。
自画自賛すれば、この呼び方は皇位継承をジェンダー論争に矮小化する危険から遠ざけ、また双方の勢力に中立的でもありなかなか良い方法だと思う。だが残念ながら一般的に使われてはいない。
Googleで検索してみると、それぞれのヒット数は
「男系派」 約 15,500 件 「女系派」 約 9,110 件
に対して
「皇統派」 約 122 件 「直系派」 約 127 件
にすぎない。
気になるのは、皇統派を皇「道」派と間違えて使っている例がいくつか見受けられたことだ(一例)。Wikipediaによる皇道派の定義を引用する。
私が現在のいわゆる「男系派」の呼び換えとして提案した皇「統」派はもちろん皇「道」派とは無関係である。
「皇位継承は歴史と伝統に基づいた方法で行われるべきだ」と主張するのが私の言うところの皇統派であって、国家改造などという革命思想の対極に位置する。「クーデター」を企んだり「天皇親政」という非現実的な主張をする輩を見たことがないし、もしそういう主張をするものがいれば強い批判を受けるだろう。もちろん私も批判する。
私の言うところの「皇統派」(いわゆる男系派)と昭和初期の「皇道派」はまったく違うのだが、文字では一文字だけ、発音を比べても「こうとうは」「こうどうは」と濁点の有無しか違わない。これではうっかり間違える人がいても無理はないし、悪意を持って両者を重ね合わせようとする動きが出てこないとも限らない。
ではどうするか、というと正直いっていい考えがない。
「男系派」「女系派」という呼び方はジェンダー論のようで良くないが、といって「皇統派」と言い換えても「皇道派」を思わせて悪いイメージを与えかねない。困った。何かいい呼び方はないものだろうか。
自画自賛すれば、この呼び方は皇位継承をジェンダー論争に矮小化する危険から遠ざけ、また双方の勢力に中立的でもありなかなか良い方法だと思う。だが残念ながら一般的に使われてはいない。
Googleで検索してみると、それぞれのヒット数は
「男系派」 約 15,500 件 「女系派」 約 9,110 件
に対して
「皇統派」 約 122 件 「直系派」 約 127 件
にすぎない。
気になるのは、皇統派を皇「道」派と間違えて使っている例がいくつか見受けられたことだ(一例)。Wikipediaによる皇道派の定義を引用する。
皇道派(こうどうは)とは、天皇が神であるという説に基づき、当時の腐敗した財界や政界を直接行動(クーデターのような過激な運動も辞さない)で天皇親政による国への国家改造を目指していた大日本帝国陸軍内のグループである。皇道派はこれを昭和維新と称した。この思想は主に青年将校たちに広く支持されていたという。象徴的な人物は荒木貞夫。(⇔統制派)
私が現在のいわゆる「男系派」の呼び換えとして提案した皇「統」派はもちろん皇「道」派とは無関係である。
「皇位継承は歴史と伝統に基づいた方法で行われるべきだ」と主張するのが私の言うところの皇統派であって、国家改造などという革命思想の対極に位置する。「クーデター」を企んだり「天皇親政」という非現実的な主張をする輩を見たことがないし、もしそういう主張をするものがいれば強い批判を受けるだろう。もちろん私も批判する。
私の言うところの「皇統派」(いわゆる男系派)と昭和初期の「皇道派」はまったく違うのだが、文字では一文字だけ、発音を比べても「こうとうは」「こうどうは」と濁点の有無しか違わない。これではうっかり間違える人がいても無理はないし、悪意を持って両者を重ね合わせようとする動きが出てこないとも限らない。
ではどうするか、というと正直いっていい考えがない。
「男系派」「女系派」という呼び方はジェンダー論のようで良くないが、といって「皇統派」と言い換えても「皇道派」を思わせて悪いイメージを与えかねない。困った。何かいい呼び方はないものだろうか。
「男系・女系」よりは「父系・母系」のほうがいいですね。
とはいえ、現在の有識者会議案のような男女を問わず長子相続では「母系」ともいえない無系、あるいは雑系ではないかとも思いますが。
私のブログでは当面は「皇統派(いわゆる男系派)・直系派(いわゆる女系派)」という呼びかたにします。ご提案いただいたみなさま、ありがとうございました。
自分の頭の中を整理するためにいろいろな言葉を考えるのはいいかもしれませんが、これほど広まってしまった異常「男系・女系」に変わる言葉は作れないかもしれません。
まあ、せいぜい使ってもらえるとしたら「父系・母系・雑系」まででしょうか。検索を描ければ「父系・母系」は数万件引っかかります。それに昔はこちらの方がメジャーな言葉でした。
5文字だと長い気がします。
>南郷力丸さん
どうも「誰もが納得できる呼び方」はなさそうですね。
「8人の女帝の前例はあるが、女系はない。」
「宇多天皇の前例はあるが、臣系はない。」
の厳密派。
そして、女系容認派と「臣系」容認派。
両方容認という人は実際にはいませんでしょうが、理屈ではありえますね。
ということになると、「男」も「女」も使わずに、このうちの2派を束ねる用語は、ますます難しい。
>陽吉良景さん
現行憲法はあまりにも宗教否定的すぎる気がします。
総理大臣の神社への参拝や皇室の宗教的側面まで認めないのであれば行きすぎです。
まあ、国と宗教の垣根を低くすると仮に公明党が政権を取ったとき「国立戒壇」とか作りそうなおそれもありますが。
>Unknownさん
初詣で神社にお参りする人を「神道教徒」だとすれば日本人の多くはそうなので、「神道派」をカルトとするのは当たらないと思います。
とはいえ、それはあくまで理屈であり、「自ら宗教の名を冠して「~派」と名乗るのは変」だと思う人のほうがむしろ多いでしょうね。私も自ら「神道派」と名乗ろうとは思いませんが(陽吉良景さんごめんなさい)人からそう呼ばれても特に苦にしません。
ご提案いただいた「復古派」というのは納得できません。男系による継承は現在の皇室典範に定められているので「古に復す」のとは違います。
「神道派」はカルトみたいでコエーよ。
「復古派」にしたらどうでしょ。
「憲法派」も「自由派」のほうがいいと思うけどな。
日本という国が天皇にどういう役割を求めるのかが議論の主題となるべきです。ですから、憲法とセットにして考えるべきでしょう。
また、旧宮家復権を内閣法制局が許さないというのなら、整合が取れる憲法にすればいいのです。
宗教色が付いてしまうのはどうかな、とも思いましたが、この問題を突き詰めると、皇室のあり方は宗教的面(有形無形の文化の保持)を主とするのか、日本国憲法が指定する国事行為や慈善事業を主とするのかに行き着くと思います。
ならば、下手に隠さずにそれを前面に押し立てて正面突破を図る方がいいのかもしれない、というのが私の考えです。
ただし私も国家神道は日本の伝統にそぐわなかったと思っていますので、戦前の神道の復活は望んでいません。
また、聖徳太子以来日本最古の仏教信者の一族としての、皇族という面も大事にしたいです。仏教徒としての皇族については、御寺である泉涌寺のホームページをご覧ください。分かり易い説明があります。
「君臣の別」論は宇多天皇の例もありますし私は気にしてません。
旧皇族の方々は「臣籍降下」ではなく(GHQの強制による)「皇籍離脱」だとも聞いてますし。
> 自分の立場を厳密にする言葉
自分の考え方にあった言葉をそれぞれ工夫して使えばいいと思います。
やがて多くの人が納得する言葉が一般的に使われるでしょう。
現在一般的な「男系派」「女系(容認)派」という言い方は、皇位継承に仮託してジェンダー論を語りたい人には向いていますが、そうでない人たち(両派ともに)にとっては必ずしも適切ではないと思います。
>陽吉良景さん
「神道派」「憲法派」いいですね。
これまでお寄せいただいたご提案の中でいちばんしっくり来ます。
直系派(女系派)の人たちの多くに「戦後体制・日本国憲法」を唯一至上のものとする感覚が見受けられてどうも馴染めません。皇室の歴史は日本国憲法のそれよりはるかに長いのですから、憲法万能主義で断じてほしくありません。
女系強要派は「憲法派」です。
男系維持を最も強硬に訴えているのは神社本庁や神道政治連盟です。麻生外相のような、ちゃんとしたキリスト教徒も、伝統の維持を訴えています。
それに対して女系強要の案を作ったのは憲法絶対でしか行動を許されていない官僚たちであり、社民党や民主党左派などの日本国憲法大事な人達が賛同を示しています。
男系維持派は、近代法や近代の哲学だけでは解明し切れていない価値が、戦数百年間守られてきた伝統には込められていると訴えています。
対する女系強要派は、男女平等、象徴天皇、慈善事業、世襲身分の禁止(旧宮家復権の反対)等日本国憲法が実現を目指してきた価値観を皇室でも実現するために女系天皇を支持しています。
私自身は、伝統や慣習は「男系」だけではなく、例えば「姓賜りて、人に仕え」の場合、先帝の子という例外しかなく、その後裔の皇位は、女系以上に論外という立場ですが、男系維持論には男系なら誰でもいいのかというようなのもあります。もちろん、ジェンダー論に取り込まれた論も見られます。
こういう、伝統や慣習の一部だけをつまみ食いした男系維持論は、その意味で女系容認と正統性において大差ないように、個人的には思っています。
ですので、一般的な区分を表現する言葉としては、単純に「男系優先派」「直系優先派」でやむを得ないか、その上で自分の立場を厳密にする言葉が必要かと思うわけです。
>南郷力丸さん
「原則派」ですか。うーん、正直言ってあまりピンときません。
なんだか現代人が頭で考えたことのように見えます。私自身は「皇位の男系による継承」は原則というより伝統とか慣習と考えるほうが馴染めます。あくまでも個人的な好みですが。
直系派の方々が現実派を名乗るのはよろしいのではないでしょうか。私としては「現実追認派」と呼びたくなりますけれど。
どちらの勢力も正統派を名乗らないほうがいいというお考えには同意します。
>Unknownさん
Unknownさんがそう呼びたいのならそのようになさればいいと思います。
私は皇位継承問題とジェンダー論争を切り離したいので「男」「女」を対置する呼び方を使いたいとは思いませんが。
それなら「歴史」を「当為」にすりかえただけの男系維持論とは違うわけで、「皇統」を単なる歴史ではなく、ある「原則」に従った結果とする立場ですから、原則派でいかがでしょうか。
それなら、女系容認は「歴史」と「当為」を分けた上で、今日的な「正統性」として「直系」を主張するわけですから、現実派でいかがでしょうか。
原理主義と現実主義と言ってしまうと、マイナスイメージが強いですし、いずれも、違う正統性を主張しているわけですから「正統派」は使えませんね。
>南郷力丸さん
> 男系維持というのが、歴史的な価値観の完全な継承を第一義とするわけですから
うーん、これはどうなんでしょうか。
他の方は知らず、私自身は「歴史的価値観の完全な継承」を求めているつもりはありません。
それならなぜ皇統(男系による継承)にこだわっているのかといえば、皇統以外には歴代天皇すべてを貫く正統性が存在しないからです。「完全派」というよりも「最後の一線死守派」ではないかと思っております。
>欣さん
たしかに皇統派は「理念的・理想主義的・空想的」で直系派は「実感的・現実主義的・現実的」ですね。
しかしながら、欣さんの「どうせ神話なんだから変えればいい」というお考えには反対です。現代の価値観で神話を書き換えたら神話の力も価値もなくなります。「民主主義」とか「男女平等」といった概念も現代の神話ではないかという考えかたもあります。皇室(古代からの神話)と民主政治(現代の神話)を分離して住み分けるのがエコロジカルだと考えます。
>hiroさん
一系派というのはなかなかいいですね。古代から現代までぴんと張った一筋の糸を思わせます。
難点を言えば、「いっけい」と聞くと渡辺いっけいの顔を思い出すことです(冗談です)。
「双系」という言葉は直系派(女系派)の一部の人たちが使っていますが、どうも私には納得できません。hiroさんのおっしゃるとおり、安易に「正統な血筋」という概念を拡大すると結局のところ雑系になるだろうと思います。
男系派 → 一系派 女系派 → 双系派(雑系派、直系派)はどうでしょうか?
貴族のいない日本では いわゆる女系継承の場合、年月が経てば 国民との違いがなくなっていくので 雑系がいいと思っています。
個人的には「皇統」の定義を
「父親を伝って確実に神武天皇につながる(とされる)経路が記録に残っている」
から
「親を伝って確実に神武天皇につながる(とされる)経路が記録に残っている」
に変えりゃいいじゃん、と思うけど。それで300年も続けりゃ全然当たり前になると思うよ。
ま、どうせ神話なんだし。
最初に平民を母親に持つ天皇が即位したときも、最初に女帝がたったときも、最初に継体大王が皇位についたときも、なんでも最初にやるときは「歴史上初めて」の伝統破壊なんだから。
歴史的にも、厳密な皇位継承ルールも順位も決めなかった「曖昧ないい加減さ」こそがいかにも日本らしくていいと思います。
私の場合、揶揄的に「尊厳死派」「延命治療派」なんて言い方もしてましたが、玄倉川さんは使いたくないでしょうから。
不快にお思いになった方々にお詫び申し上げます。
言い訳をさせていただくと、このエントリも以前のエントリも
「男系派・女系派を呼びかえる「正しい」言葉をどうするか」という大それた問題提起をするつもりはなく、あくまでも「「玄倉川の岸辺」では男系派・女系派という言葉は使いたくない」という当ブログ内での呼称の問題として書きました。
他のブロガー、あるいは掲示板住人の方々がご自身の考えで「男系派・女系派」と呼ぼうと「Y遺伝子死守派・ジェンフリ直系派」あるいは「存続派・断絶派」と呼ぼうととやかく言うつもりはありません。
>OGUさん
「家族」と「伝統」を対立概念にすると、伝統を重んじる人たちから不満が出るでしょう。
「家族」と並べるなら「氏族」という言葉のほうがいいかもしれません。
「家族派」はいわゆる皇室ご一家を重視し、「氏族派」は皇室全体をひとつの氏族として皇位(氏の長者)の伝統的継承を重視するということで。
>shubeさん
私も個人的には皇統の断絶=易姓革命だと思いますので「直系派」を「革命派」と呼ぶことに違和感がありません。
ですが、直系派の人たち自身は(たぶん)革命をめざすつもりはないでしょうから受け入れられないと思います。
皇統派が「あなたたちのやろうとしていることは「皇室の維持」ではなく皇統の断絶であり革命なのだ」という主張を込めて使う場合は適切でしょう。
>02-17 13:58:23のUnknownさん
「神武天皇派」ですか。うーんどうでしょう。
もし私がそう呼ばれたら「ちょっと勘弁して…」と思ってしまいます。さすがに神武天皇を記紀に書いてあるような形で実在した人物とは信じておりませんので。
いっそのこと「神話派」と「現実派」と呼ばれるほうがまだ私には抵抗感が少ないです。
>やまさん
「嫡子」という言葉はちょっと分かりにくいですね。というか、実は私自身もよくわかりません。
goo辞書によれば
ちゃくし 1 【嫡子】
(1)家督を相続する者。古代以来、原則として嫡出の長男であるが、中世には嫡出・庶出の別なく器量により選ばれることもあった。世継ぎ。跡取り。てきし。→庶子(しよし)
(2)正妻が生んだ子。嫡出子。
ということですが、現代では「庶出の別なく」を「男女の別なく」と読み替えて「器量のある(人気のある)愛子様とその子孫が選ばれるのが当然だ」ということになりそうです。
一般人の「嫡子」と皇室独特の概念である「皇統」とは似ているようでずいぶん違う気がします。
>02-17 13:58:23のUnknownさん
「革新」とか「改革」という言葉にはポジティブなイメージがあるので、「保守派」とされた人たちにとって不利になりそうです。去年の選挙の「改革派 v.s. 守旧派」の構図にも重なります。
直系の男子が絶えた時に傍系の男子を「養子」にして「嫡子」とする事は家の維持においていつの時代も行われてきました。
「神武天皇派」と「昭和天皇派」
略して「神武派」と「昭和派」
単なる「伝統派」という呼称にインパクトも特別なニュアンスもないことは確かです。でもことさら新奇や威厳を付加するのも些か気が引けます。今までの有様を「あたりまえ」と思ってこれからもそれで行きましょうというだけなのですが。
「伝統重視派」でもいいかなと思います。しかし「直系派」は「革命派」の方がいいのではないでしょうか。結果として「易姓革命」なのですから。日本はチャイナではない。
男系と云う歴史を重視するか、家族のつながりを重視するかと云うことで。
家庭だと秋篠宮家を考えに入れていないようなので、家族にしてみました。
>shubeさん
伝統派というのはとても分かりやすいですね。
ただ少し心配なのは、「伝統」は普通に使われる言葉なので「皇室の存在の特別さ」を意識させないことです。
> むしろ「直系派」に揶揄するニュアンスを付ける方向で
あからさまに揶揄すると中立的ではなくなってしまうので…
一方を「ジェンダーフリー派」とすると反対する側は「反ジェンダーフリー派」ということになってしまい、ジェンダー論争を皇位継承問題から切り離したい私にとって望ましくありません。
>まじめに議論してるのでは?さん
「Y遺伝子死守派」ですか。うーん手厳しい。
私はそういう呼び方はされたくないので、直系派(女系派)のかたがたを揶揄したり侮蔑した呼び方はいたしません。
「男系派」でも別にいいのですが、私は(そしておそらくは多くの皇統派も)「男と女」(ジェンダー)の問題ではなく「伝統的な皇位継承方法」を重視しており、それが「男系(万世一系)」なのはあくまでも結果なので、ちょっと違うような気がします。
>鐘楼さん
たぶん、直系派の方々は「今上天皇(昭和天皇・明治天皇)の血筋を継承すること」を重視しているのでしょうから、「断絶派」と呼ばれるのは心外だろうと思います。直系派の目から見れば「皇統派の主張こそ「断絶」だ」となりそうです。私はまったくそれには同意できませんけれど。
単純に、
男系派=父系派=皇統存続派=存続派
女系派=母系派=皇統断絶派=断絶派
でよいと思うのですが。
ちなみに私は存続派です。皇位というものに敬意を持てば自然と存続派になると思います。
「男系派」と「直系派」でよいかと思います。