黒古一夫BLOG

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「虚しさ」との戦い(9)――もうすぐ「徴兵制」が……

2015-07-09 09:10:06 | 仕事
 「特定秘密保護法」の制定から「集団的自衛権行使容認」の閣議決定、そして現在の「安保法制=戦争法案」をめぐる安倍自公「極右」政権の在り方、および原発再稼働への動きや2020年の東京オリンピック開催に向けて莫大な費用を掛けて建設が進められようとしている「新国立競技場」問題などを見ていると、いかにも安倍自公政権が「独裁(ファシズム)的」な体質を持った危険極まりない政権だという確信を持たざるを得ない。
 幸い、この間の「安保法制=戦争法案」論議の結果なのだろうが、各種世論調査の結果、安倍自公「極右」政権の支持率が50パーセントを切り、不支持率が支持率を上まわるものが出てきた。一部上場企業だけが利益を享受し、国民全体では収入が減李、その結果「格差」が固定・増大されるという。もう「まやかし」としか言えないアベノミクスの化けの皮がようやくはがれてきた結果だろうと思うが、そうであるが故に、政権幹部から漏れてくる「安保法制=戦争法案」を早期決着(強行採決)すべきという声、たぶん対米従属化の強化(深化)を急ぐ自公政権は、間違いなく「強行採決」してこの「戦争法案」を成立させてしまうだろうが、何としてもこの「恐ろしい」戦争法案を阻止しなければならないと思いながら、このまましばらく自公政権が続けば、余り遠くない将来に私たちは「徴兵制」が敷かれることを覚悟しなければならないのではないだろうか、と心配になる。
 徴兵制に関しては、僕らロートルは現実問題として余り関係ないかも知れないが、孫たち、あるいはその下の世代が男女の区別なく強制的に「人殺し」を強いられることを考えると、「徴兵制」が「安保法制=戦争法案」の制定と直接的に結びついている現実を、僕らはもっと真剣に憂慮すべきなのではないか、と思う。マスコミは、安倍首相もまた政権幹部も「現憲法下で、徴兵制は絶対ありえない」と言っているから「徴兵制」はあり得ないだろう、と高をくくっているように思えるが、「憲法違反」を承知で「安保不正=戦争法案」を制定しようとしている安倍自公政権、何をするか分からない。
 また、徴兵制を廃止したアメリカがイラク戦争やアフガン戦争に「若い兵士」を動員している仕組み――それは、「奨学金付き志願兵募集」というもので、貧しく大学へ行けない男女を一定程度の兵役を経れば大学進学のための「奨学金」を与えるというものである――を知れば、アメリカに追随してきた(アメリカの言いなりになってきた)日本のことだから、「徴兵制」を敷く代わりに、「奨学金付き志願兵」を大量に募集するのではないか、と思う(誰が儲けるか分からない新国立競技場建設に「2520億円」以上の税金を投入しようとしている現自公政権でることを考えれば、「戦争をするために」多額の税金を「奨学金」という形で使うことなど、朝飯前だろう。
 そんなことを思うのも、もう10数年前になるが、縁あって沖縄にある極東最大の空軍基地「嘉手納基地」を見学する機会があった。4000メートル級滑走路を2本備えた広大な基地を案内人の車で見学していたとき、入り口に「Branch school of ××Collage」の看板を掛けた建物が2棟あるのに気付き、聞いたところ、それは2つともアメリカ本土に本校がある大学の分校で、経費の一切は米軍持ちで、若い兵隊たちは「無料」だ大学教育を受けることができ、大学卒の資格を得ることもできる、ということであった。その分校で学ぶ兵隊は「貧しい」家庭出身の黒人やヒスパニック系、それにネイティブ・アメリカン(インディアン)が多いということで、そこからは僕らが想像する以上に貧富の差が激しい「格差社会」であるアメリカの現実が垣間見え手来るような気がした。
 また、これももう15年前のことになるが、シアトルのワシントン大学に在学研究で行っていたとき、4万人ほどの学生が学ぶその大学の一角にライフル銃で武装した兵士が入り口に立つ建物があり、同行していた大学院生に「あそこは何学部?」と聞いたところ、「海軍に所属する学生(兵隊)が学ぶところで、僕らは許可がなければ入ることができない」との答えが返ってきたことを思い出す。

 その時は「軍學協同」とはこのようなことを言うのだと思っただけだったが、「安保法制=戦争法案」が国会通過すること(強行採決)が見えてきた今日、国立大学の全てに軍人(学生)が大手をふるって歩き回る日も近いのではないか、と怖れる。

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