黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「ねじれ」は、僕らの意識に!(8)――思考停止か?  

2013-07-16 09:31:49 | 仕事
 参院選も終盤、相変わらず自民党が高い支持率を誇り、各種の世論調査に拠れば、自民党が「単独過半数を占める」勢いだという。昨日も書いたが、東京都選挙区や岩手選挙区が象徴しているように、複数区で野党(民主党)が分裂した結果自民党が「漁夫の利」を得るということもあっての調査結果なのだろうが、そのこと以上に僕が問題だと思うのは、総体として与党(自公政権)が「争点ぼかし」ないしは「争点隠し」をしているのではないか、そしてそれは「将来」を見据えた「国民全体の利益」の追求ということではなく、当面「目先の利益」しか目に入らない「特定の組織」に頼った選挙を行う、ということに繋がっているように思える。
 例えば、僕が1票を投じることになる「群馬選挙区」には「4人」が立候補しているが、前にも書いた「東京新聞」のアンケート(その結果は、今日16日と18日の2回にわたって公表されるという)、それは民主党の新人(女性)、自民党の現職(男性)、共産党の新人(女性)の3人に宛てたものであり(何故か、諸派<幸福実現党>には送られなかったようだ)、今日の回答項目を見ると、以下のようになっている。
 ①憲法(改憲に賛成ですか)
 ②農業政策(群馬の農業政策の最大の課題を地震の農業体験に基づいて)
 ③農地集約(群馬で農地集約は有効策ですか)
 ④消費税(消費税を予定通り来年4月に8%に引き上げるべきですか)
 ⑤アベノミクス(アベノミクス(安倍政権の経済政策)をどう評価しますか)
 ⑥少子化対策(少子化対策で勧めるべき政策は何ですか)
 いずれも、今度の参院選の「争点」だと思うが、自民党現職はいずれの質問項目にも「回答なし」であった。いやしくも「公器」であるメディア(新聞)の「公開質問」に対して、「回答なし」というのは、いかに自民党(候補)が「驕っている」か、あるいは有権者を「馬鹿にしている」かのどちらかであって、「誠実さ」に欠ける行為に他ならない。昔、自民党の「重鎮」が首相であったときに、「有権者はあまり投票に行かず、眠っていてくれた方がいい(低投票率の方がいい)」と言って、選挙に惨敗したことがあったが、自民党という保守政党の体質は変わらないのだろう。「回答なし」というのは、有権者に「考える材料を与えない」ということを意味し、その点ではまさに自民党は「争点隠し」「争点ぼかし」をしていると言われても仕方がないだろう。
 この「争点ぼかし」「争点隠し」ということでは、安倍首相が「原発再稼働」についても、「TPP参加(5品目を関税撤廃の例外とする。―たった5品目を!)」や「(年金・医療・子育てなどの)社会保障」についても、そして「憲法改正」についても、その具体策となると「あいまい」かつ「ぼかした」言い方しかせず、ただ「(アベノミクスの成功)で経済は再生しつつあります」(具体的に、国民の生活が「豊か」になったとは思われないのに)と「日本を取り戻す」などという抽象的な言い方をしていることに代表される
 国民を馬鹿にしている、としか思えないのだが、国民(僕ら)は「低投票率」という形でしか、自民党にの「傲り」に対抗できないとしたら、何とも悲しいことである。しかし、野党が「林立」している現状では、「低投票率」は組織票をフル動員している自民党、公明党、共産党が「利益」を得るだけで、自公で議席の過半数を占めることになれば、仮に低投票率でも(得票数が少なくとも)「これで、自分たちの政策は認められた。これからは、何でもできる」ということになり、憲法改正も、原発再稼働も、弱者切り捨ても、やりたい放題になるのではないか、と思う。
 どのメディアの「調査」でも、参院の「ねじれ解消」に反対が多いにもかかわらず、たぶん、自公政権は「今でしょう!」とばかりに、東アジアを緊張状態に導く「危険」な政策を実行してくるだろう。何とも「不気味」だが、今一番大事なのは、何度でも言うが、「目先の利益」ではなく、「将来の日本」をどのようにみすえているか、である。「目先」の利害損得ではなく、おのれの「心」に深く問いかけ、そしておのれの「良心」に恥じないような投票行動を勧めたい。