黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

バタバタしています。

2009-02-21 10:43:04 | 文学
 このブログの記事も書けないほどバタバタしていました。というのも、大学の方で事務的な仕事(卒論、修論、博士論文を読み、講評する、他に人事に関する委員会が何故か集中して5種類あり、それぞれ会議やら会合やらがあり、また入試業務もある、という次第で)が集中し、また原稿締め切りが重なったりして、ともかく余裕のない日々を過ごしていました。
 ようやく、昨日(2月20日)で一段落したので、この間の仕事(文学)について、中間報告的な事柄もあるのですが、ご報告しておきたいと思います。
①「村上龍論」:多忙な日々の合間に書き継いで、ようやく7章まで書き終わりました(10章予定)。3月中旬には完成原稿を渡すと版元に宣言しましたので、もう待ったなしです。
②「太宰治選集」(全3巻 柏艪社)の「総解説」(10枚)、これは「週刊読書人」にも書いたのですが、今までの編年体(作品発表順)の編集と違って世代のニーズに合わせて編集した「選集」で、第1巻と第2巻、第2巻と第3巻とダブって収録されている作品もあります。解説も、第1巻が作家の角田光代で第2巻が太宰研究家の東大准教授安藤宏、第3巻が俳優の石坂浩二、というものである。全部で101編を収録し、A5版で1巻730~820ページのボリューム、定価は3巻で15000円、太宰治生誕100年を記念した企画で、いよいよ3月に刊行される。版元の柏艪社とは、先に「小檜山博全集」(全8巻)の解説を依頼されたときに知り合い、③の「増補版 三浦綾子論」を出すという縁があります。
③「増補版 三浦綾子論」は、三浦さんが今年で「没後10年」ということもあり、実現した企画だが、昨年から取りかかり、ようやく3月末か4月初めに刊行されます。前の小学館版(1994年刊)と同じように司修さんに装幀をお願いしました。すごく素敵な本になりました。
④「書評集」(僕の)の編集も進んでいます。
⑤「辻井喬 創造と純化」(小川和佑著 アーツアンドクラフツ刊)の書評(5枚)を「図書新聞」に書きました。辻井喬に対して「オマージュ」ばかりが捧げられた作家論、辻井さんに関する初の作家論なのですが、ちょっと辛口の批評になったかも知れません。
⑥「月光」の編集会議:歌人の福島泰樹さんが以前編集していた季刊雑誌「月光」が、新たに福島さんに加えて立松和平、黒古、太田与志朗、竹下洋一の4人を編集委員とし、装い新たに4月に「復刊第1号」を出す予定で、月1回編集会議を行ってきた。第1号は「中原中也特集」、第2巻は「宮沢賢治」、第3巻は「全共闘と文学」、第4巻は「吉本隆明」(予定)ということで編集を進めている。僕自身は特集の記事の他「文化・文芸時評」を連載することに決まっている。第3号の場合、企画の責任者として構想を立てなければならない立場である。
 この季刊「月光」に関しては、4号分(1年間)を単位に「定期購読者」を募ることになっている。詳細はまだ未決定だが、近日中に決まる予定なので、決まり次第お知らせします。このブログの読者の皆様、どうぞ奮って「定期購読者」に応募していただければ、と思います。僕らは「読んで面白い」季刊文芸総合誌を目指していますので、どうぞよろしくお願いします。
⑦「立松和平全小説」(全24巻 第1期8巻、第2期8巻、第3期9巻)の編集がほぼ終わりました(黒古の責任編集 勉誠出版刊)。定価などの詳細は未定ですが、毎月1巻配本、各巻の巻末に立松自身による「自伝的解説」(15枚前後)と僕の「作品解説」(「立松和平の文学」、各巻20~25枚)が載ります。6月頃から配本が開始される予定ですが、毎月20~25枚の「解説」、頑張らねば、と思っています。この「全小説」には初期のもう手に入らない作品から最新作まで全てを収録するつもりです。「個人全集」が苦戦している状況を考えると、この企画は無謀と思われかねませんが、こちらの方も購読していただけると幸いです。
 
 というようなことがあって、大学の仕事も盛りだくさん、家人に言わせると「こんなに真面目だったかしら?」というような状況にありました。
 一段落したとは言え、まだまだしばらくはこんな状態が続くのではないかと思いますが、「中間報告」ということで書きました。そのうち、「太宰治選集」や「辻井喬 創造と純化」について書いた文章などを転載するつもりです。なお、先に書いた「月光」の定期購読申し込みや「立松和平全小説」を購入する場合、版元へ「黒古のブログで知った」と言えば、版元と相談して「特典」が得られるようにいたします(僕の本に関しても、その旨言ってくだされば、「特典」があります)。
 では。