牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

肥育牛の肺炎

2008-05-25 11:53:18 | 牛の病気


牛の肥育事態、牛を出来るだけ長生きさせるなどを目的に飼育している訳ではない。
可能な限り、短期間で大きくして、良い肉を作ることを目的として飼われている。
つまり、草食動物本来の正常な飼い方ではないのである。
肉用牛は、牛肉生産を目的とした品種である。
われわれは、人類の食料となり、経済動物として飼育する家畜の存在を常に認識しながら、管理しなければならない。
肥育技術は、より効率よく、如何に患畜にならない飼養法を日々構築して、その技術を常にそのままコピーし続けながら飼うことであると、前述した。
しかし、その認識があっても、肥育牛は様々な疾患を発症する。
発熱から食欲不振は、季節毎の定番みたいな症状である。先ず典型的な風邪症状であるが、肺炎症状でもあり、コクシジューム症など体内に何らかの炎症があり発熱する場合もある。
だから、獣医師は往診時に最初に行うことは、先ず検温からである。
肥育牛の主な病症には、肺炎があるが、子牛時から発症するケースが殆どである。
肺炎が治ったとして、子牛市に出荷された子牛を偶々導入する場合がある。
最悪の場合は、導入後1ヵ月で死亡するケースもある。家畜保健所で死因調査を行ったところ、肺の一部が既に腐っているとのことであった。
これは極端な例であるが、肺炎は、この様に肥育を開始してからの発症例は極少ない。
何れも、子牛時に肺炎を治療した経歴の牛が大半である。
つまり、肺炎に限れば、むしろ肥育牛の疾患とは言えないのかも知れない。
慢性化が予測できる子牛の肺炎については、市場名簿に宣告して貰いたいものである。
また、肺炎を罹患して体力を落とす子牛は、頭部などに象皮状の皮膚炎にかかっている例が多い。肺炎が改善され、体力が回復すれば、自然治癒する。
肺炎を持病とする牛は、心音や呼吸音がかなり早く、挙動はおとなしくしているが、意外と食い込みが極端に低下することなく、仕上げ期まで飼育を継続できるケースもある。
導入後の体調をこまめに注視し、勢い不足の子牛は、一月おきに肺炎対策を行うのが得策であろう。




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