牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

美味しい牛肉には粗飼料が大事

2008-04-24 20:03:27 | 牛の成長
美味しい牛肉は、乾草と稲わらから作られると言っても過言ではない。勿論、穀類など高カロリーの配合飼料の影響が大きいのは言うにおよばない。
乾草などの粗飼料が、牛肉生産に深く関わっている理由は、前述したが、牛は草食動物であることに関わりがあるからである。草食動物でなく、雑食であれば、豚と同様であり、反芻胃の必要性が無くなる。
肉量と肉質を期待する我が国では、粗飼料だけで、肥育することはとうてい考えられない。脂肪交雑の蓄積を差ほど期待しない外国では、広い放牧地に放し、牛が成長するのを待って、間引き的に出荷している。つまり、草食動物の特性を生かした低コスト生産が行われている。
これまで草に加えて配合飼料を多給する肥育方式は、日本のお家芸であったが、美味しい牛肉生産を期待する日本をターゲットにオーストラリア、アメリカで実施され、韓国、中国等でも自国消費用に実施されるようになった。
和牛では、全ての素牛が高級牛肉になることを期待して肥育されているのが現実である。
先ず乾草の拘わりである。この肥育における飼料の給与パターンは前述したが、導入後約5ヵ月間は、良質でカロチン含量の高い乾草を飽食させる。これにより消化管機能を高めるとともに、肝臓内にビタミンAを多量に蓄積させることができる。この結果、生後約15ヵ月目からは仕上げ用配合飼料を給与し始めるが、順調に多量の摂取量が取れることになる。通常この時期は、肉質を高めるために、ビタミンAをコントロールするが、育成期に多量の乾草を接しているために、ビタミンAの欠乏症は回避される。
次に稲わらである。肥育用の粗飼料として最適なのが稲わらである。脂肪交雑を期待することは、体脂肪を蓄積させなければならない。それには、穀類など配合飼料を如何に食い込ませるかにかかっている。肥育前半から体脂肪を可能な限り蓄積させることが、不可欠であることは、前述した。この間、仕上げ配合とコンビで給与する粗飼料が稲ワラである。稲わらは嗜好性もいい。そして稲わらは多量に与える必要がない。精々一日1頭あたり1kg前後でいい。稲わらの繊維はかなり硬い。麦わらは掌の中ですり潰すと粉になるが、稲わらはそうはいかない。その硬さが、体脂肪の生産には好都合である。また、配合飼料を順調に摂取させるための手助けにも稲わらの効果は大である。
摂取した飼料が第1胃内に出来るだけ長く貯留することで、脂肪生成に有効とされ、それに有効な役目を果たすのが稲わらである。また稲わらに含まれている納豆菌が有効との説もある。最近の輸入わらは、加熱処理が義務づけられているが、加熱することで納豆菌は死滅することから、肥育用の稲わらは、国産わらが最も適している。最近、肥育センターでは、国産稲わらの収集に躍起なのである。



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