牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

但馬牛のこと

2008-07-17 19:35:35 | 牛の成長

写真の親子は、正真正銘の但馬牛であるが、生後3日目の初産牛である。
子牛の生時体重は、23kgだったそうである。
昨日は、兵庫県のとある牧場へ見学に伺い、但馬牛についてのノウハウを教わった。
その中で、早期離乳はナンセンスと述べたばかりだが、成る程という現実を知らされて、例外のあることを認めざる得ない事態となった。
早期離乳でなければならない理由の一つに、但馬牛は母乳の少ない母牛が多いと言うことである。
これまで、但馬牛は子牛の体重が小さいから、乳量が若干少なくてもそれなりに子牛は育つはずであると確信していた。
ところが、初産の場合などは、日にちが経つに従って、体重が減るケースが結構あるというのである。
それで、早期離乳して人工乳を適量飲ませることによって、母乳より順調に育つという。
写真の子牛も、母乳を飲み終わると同時に、我々の見る前で離乳となった。
その二つ目は、管理上の理由であった。
畜舎を効率よく利用して多頭化しようとすることで、親子連れを多数頭管理するには、親子のための房がその頭数分必要となり、そうなると管理上煩雑で、必要以上の手間がいる。
母牛を数十頭の群飼いにすれば、子牛を同時に入室させる訳にはいかない。
そうなると事故が考えられるからだ。
授乳時だけ一緒にしたら、子牛の盗みのみが多発しかねない。
その場合も事故に繋がる。
見学した牧場では、繁殖親雌牛群は約40頭が1室に群飼いされ、子牛たちは段階的にそれぞれ群飼いされて、りっぱに育っていた。
早期離乳することで、少ない房でこれらの問題から解放されていた。
繁殖牛を多頭化し、早期離乳する場合、最低でも全母牛頭数の20%の数くらいの分娩房がいる。
分娩房は、安産が絶対条件であるからには、分娩予定日の約1月前から入房させ、房での環境に慣らす必要がある。
これらのことを考慮にいれ、早期離乳のケースがあることを柔軟に理解した次第である。
但し、母乳の多い牛を多頭数飼われていないケースでは、論外である。






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2 コメント

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写真を見ると… ()
2008-07-18 18:25:26
(・ω・)/
やはり小さいですね。
それにしても、乳量不足で子牛が小さくなるとは…。
濃い近親交配の弊害でない事を祈っています。

時間とお金に余裕があれば、
自分も色々な牧場を見てまわりたいものですが、
一人で牛の世話をしている身にそれは無理な話…。

恵みの雨を期待していた台風7号は、
ほとんど雨を落とさぬ風台風でした…。

ヾ( ´ー`)
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piyoさんへ (kuroiusi)
2008-07-18 18:43:10
台風の影響は如何でしたか。

ところで、兵庫県では、但馬牛が和牛でそれ以外はその他の牛のようなのです。
生時体重が20kgに満たない子牛も、結構いるようです。
小さくても、但馬牛独自の育て方や、肥育法があるようです。
結構、我慢強く気長に牛と拘わるのが良いようです。
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