牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

子牛には辛い去勢顛末

2010-10-06 17:56:59 | 牛の病気
導入して間もない生後6ヶ月令の去勢牛の睾丸が異常に腫れているたため、無去勢の子牛と勘違いして、導入先の担当者に連絡を取ったところ、去勢は確実に行ったとの返事であったため、それならと腫れた睾丸を調べた結果が、写真の通りであった。
この施設では今でも挫滅去勢ではなく、観血去勢を実施していて、化膿箇所を詳細に調べたところ、メスを入れる場所が睾丸の下端から若干上部であった。
そのために術後の漿液が睾丸の底部に残ってしまったらしい。
切開箇所が塞がらず漿液が暫く残っていれば、当然腐敗し化膿に至る。
観血去勢後、抗生剤を使用するケースもあると聞くが、去勢を手順通り行えば、ヨウチンなどの消毒薬を塗布するだけで問題はないはずである。
観血去勢時の切開箇所は睾丸の先端であるべしが鉄則である。

この子牛の化膿処置は、胸と下ケン部の辺りに縦に1本のロープをそれぞれ巻いて、そのロープの両端を前後に引くことで、子牛は楽に横たわり、前後肢をロープで固定したところで、獣医師の出番であった。
鎮静剤を打って、暫くして睾丸を握りしめ、加圧すると写真のように白濁した膿が飛び出してきた。
ほぼ出し切ったところで、内部を生理食塩水で洗い流し、抗生剤を内部に満遍なく注入して終わった。
鎮静剤の効果を解除するための注射をすると、何事もなかったかのように群中に戻ったが、化膿が酷かったため、暫くは要治療とのことであった。

子牛には2度も大変辛い思いをさせてしまった。


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2 コメント

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導入牛の選畜 (牛飼い初心者)
2010-10-06 22:42:13
導入牛の問題が多いようですが、素牛の買い付けは誰がされているのですか?
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Unknown (べっと)
2010-10-09 11:26:38
挫滅式とはいわゆるバルザックですよね、どちらかというとバルザックの方がもはや古い方式になってますね。実施する人にもよりますが100%でないということで、今は観血去勢のほうが主流だと思います。ただ術式が昔とは変わっています。陰嚢を切開するのではなく切り落としてしまう方が多いと思います。
個人的にも、観血のほうが術後の痛みも少なく、写真のようなトラブルもないので良いと思います。獣医でないと出来ないという欠点がありますが。。。
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