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牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

絵画に出てくる牛たち

2009-05-27 17:08:14 | 予防治療


この絵は、有る大学の玄関ホールに飾られているもので、早坂貴代史作「新緑萌える」という力作である。
絵の素晴らしさもあって、絵画に出てくる牛たちは、牧歌的で、放牧風景がリアルに描かれている。
いつもは牛たちに囲まれていても、油絵などに描かれている牛たちには、ニュアンスは異なるが、心惹かれるものがある。
この絵を見ていると、牛は牧畜であるという本来の牛社会を意図されて描かれている絵であり、日頃牛に関わっている作者の作品であろうことが伺える。
だから描かれた牛たちにも親近感が湧いてくるのかも知れない。
汗まみれであっても、相場が気掛かりでも、あくせく働く合間に、この様な素晴らしい文化に触れて観ることで、牛飼いならではのひとときの喜びを、ひしひしと味わえることになる。






恐るおそる触る

2009-05-25 17:22:18 | 予防治療







小学生2年生の学外授業は地元施設を探検するというもので、5名の生徒が当センターを引率の父兄代表1人で訪れた。
聞いたことをメモると言うので、事務室で対応した。
一人ずつ、習ってきたであろう挨拶をしてくれた後、8項目の質問を一人ずつ手分けして聞いてきた。
全員がB4のコピー用紙に罫線で等分に区切った中に、質問内容と回答を記録するスペースを拵えて、メモる用意が出来ていた。
私の回答を、メモっては消し、メモっては消しながら真剣である。
学校へ帰ったら調べたことを発表することになっているらしい。
まだ2年生のことで、多くを話しても理解やメモがし難いようであった。
質問が終わったら、2~3の牛舎を案内することにした。
5名の内、始めて牛を見た生徒は4名であった。
驚いたことに、始めて牛を見た生徒らはいきなり「こわい!」であった。
経験のある生徒は牛に触りたいという。
座って近付いたら触れるよというと、気持ちいいわと頭部を触り回す。
すると、もう一人の生徒も興味を持ち始めた。
子牛の前ではそれでも、やや後ろに下がり気味でも舎内をついて回った。
ところが、仕上げ舎では、3名の生徒が、怖いといきなり逃げ出してしまった。
二人は、800kgぐらいの牛に触ろうと必至である。
この状況を見て、自宅に牛や家畜がいれば、抵抗はないのであろうが、無理もないことだと苦笑いであった。
最後に、「うしさんのかお」のレジメを全員に渡しながら、「学校やお家のお父さんお母さんと一緒に見て、内容を教えて貰ってください」と私の思いを託した次第である。
地元の子供たちの来訪は初めてであったが、願わくば高学年の見学会が増えることを大いに期待したいものである。


子供らのために

2009-05-23 17:30:51 | 予防治療


珍しく、小学生らが、来週センターを探検に来ることになった。
センターを所望した子供たちは、僅かに5名だそうである。
見学以来に、質問事項が8項目ほど羅列されていた。
それで、1時間余り見学させて欲しいというものであるが、余りにも話題に乏しそうなので、写真のような4ページのパンフを手作りした。
そのためにこのところ、熱意に欠けるブログであったと自省している。
帰りには、ポイと捨ててしまうであろうが、一人ぐらいは、最後まで目を通してくれるであろうと、最近になくまじめに取り組んだ。
5分の1で、20%である。上々である。
これくらいの勢いで、将来牛や理科に感心を保って欲しいと切なる思いである。


飼い牛のお守り

2009-05-20 19:34:00 | 予防治療



関西の著名な大学の牧場の牛舎で見かけた牛のお守りである。
昔から、農耕牛を飼っていた農家の牛舎には、「牛馬観音」の御札が貼り付けられていたものである。
最先端の研究が行われている現在の牧場に「北野天満宮飼牛守護」の御札がマグネットでそれとなく止められていた。
牛たちの無事を祈るは、科学者であっても、当然な願いであり、大変殊勝な光景であると気分良く離場した。

全国和牛登録協会賛助会員

2009-03-23 22:50:01 | 予防治療


社団法人全国和牛登録協会の個人賛助会員制度があることを最近知った。
この制度は、平成16年6月から始まった制度だという。
同会員の特典は、機関誌「和牛」や「和牛だより」の送呈と一部の定期刊行物の割引配布がある。
年会費は4,000円で、申込は、同協会の各県支部などで取り扱っている。
同協会の情報は「和牛誌」に詳細に掲載されているが、購読しないとそれらの情報はなかなか取得しにくいのが現状である。
繁殖牛を繋養する全員が、同協会の正式会員として入会し、会費を納めている。
これらの会員は、繁殖牛の登録検査を受け、子牛が生まれれば、子牛登記を行うとともに、同協会の支部や支所、JAなどからの情報が得られる。
しかし、肥育センターなど肥育関係者は、その情報を得るケースは少ない。
同賛助会員数もまだ数十件に過ぎないと聞く。
繁殖にしろ、肥育にしろ和牛改良の中枢である同協会から発信される情報を収集することは、その経営や技術向上の一端にそれらを生かす手段として有益であると信じている。
筆者も本日、賛助会員の申込書にサインして、明日投函する。
入会することで、同協会の事業内容や年間行事、和牛の改良に関する論文や和牛産地などの取り組みなども見えてこよう。
肥育関係者の入会を広げて、肥育現場からの情報や要望などを同協会へ提供する機会とすることが、和牛界全体の発展に寄与するものと期待している。


産業の盛衰は関係者の熱意次第

2009-03-17 22:29:43 | 予防治療


写真の牛は、一見鹿児島産とも思えるボリューム満点の牛たちである。
ところがこれらは、京都中丹家畜市場から導入した去勢牛であり、どの牛も大きな口をした増体抜群の牛たちである。
これまでの京都産牛は但馬系で、この様な増体型は皆無であった。
聞くところによると、今では鹿児島産の母体がかなりの割合で導入されているようである。
肥育サイドからは、むしろこの様な素牛の方が、肥育成績が得られるのは確かである。
しかし、これまでの京都牛のイメージは、次第に消滅の途にあると感じている。
地元関西における素牛導入市場は、兵庫と京都ぐらいとなった今、肥育関係者の京都牛に掛ける期待度は余りあるものがある。
しかしながら、このところ数年間は和牛子牛価格の高騰で、黄金時代であったと言うに、この間市場上場頭数は、年々減少傾向にあり、今では年間約700頭に至っている。
産業振興に具体的な対策が有るか無いかの結果がシビアに現れた一例であろうか。




第6次産業と肉用牛飼育経営の今後

2009-03-14 23:33:45 | 予防治療
21世紀の農業は第6次産業が目玉だそうだ。
テレビを見て既に周知のことだろうが、実に複雑な産業の有りようであると感じた。
東大の今村奈良臣名誉教授が発案した産業らしい。
一次産業と二次産業それに三次産業を同一経営者が行う産業で、つまり生産から加工、流通販売(店舗)までを行うもので、これらの一次二次三次の数字を加えた数字6をもじって6次産業と名付けたという。
これを肉用牛飼育経営に例を挙げれば、子牛を生ませ、肥育した枝肉を加工し、牛肉を自らの店舗で販売したりステーキハウスを経営すると言うのが6次産業である。
これまで都会地郊外では、滋賀・京都・兵庫などでは以前から行っているケースはあったが、最近では、地方都市や、田舎の観光地などで、その様な例を聞くこととなった。
これらのケースでは、ファミリーレストランなどの牛肉の品質とは異なり、自家生産による明白な和牛肉で高級感のイメージがあることから、予約無しでは入れないケースもあるという。
現時の枝肉価格低迷期では、この様なケースでの経営は、それらに左右されることなく結果が得られることになろうが、不況による影響がないとは言い難い。
従来からの経営に、産業的地位を与えたに過ぎないために、これらを新時代の目玉としたところで、爆発的に6次産業が幅をきかせるとは考えられない。
産業の発展の段階では、それぞれの分野で、やむを得ず取り入れなければ立ちゆかぬ場合には、プラスαを導入することはある。
さらなる産業発展は、本来の業種を尊重しながら、そのノウハウを効率よく生かすことを継続することにあると認識している。
肥育現場では、子牛生産地の高齢化による離農者に代わり、肥育サイドが肩代わりして生産するケースが、今後の形になろうと予測している。
子牛生産者が一環経営で肥育を行う場合は、成功する例はあるが、逆に肥育関係者が子牛生産を行う場合は、問題点が多々ある。
肥育部門での繁殖では、肥らすことが本来のノウハウなので、繁殖雌牛を肥らせすぎて繁殖障害や異常分娩で子牛を死なすケースがままある。
肥育以上に繁殖技術は複雑で、我々人間同様の体調管理を維持するノウハウが不可欠である。

子供らの見学に目尻が下がる

2009-02-26 22:59:58 | 予防治療


大阪府高槻市内の小学生が見学にやってきた。
始めて和牛(黒毛和種)を見た子供たちばかりであった。
始めは一瞬、たじろぎ気味であった。
牛はどんなものを食べて、大きな肥育牛になるかなどを説明したことで、彼らの興味は牛に餌を与えることであった。
乾草を一つかみほど持たせて、それぞれの牛に与えるように促すと、おそるおそる牛に近付き、身体はのけぞっているが腕だけを差し出すという仕草が、滑稽である。
それでも、牛が乾草をくわえると、「食べた!」と一斉に興奮する。
と同時に、牛に親近感が湧いてきたようで、何とか全部を喰わせようと真剣になる。
ほぼ食い終わる頃には、おっかなさも無くなる。
次には手を差し伸べて、牛を触ってみようとする子供が現れると、一斉にそのまねを始める。
牛に触れたことで、さらに興奮状態となる。
生まれて初めて、牛たちと戯れた経験は、彼らにとって生涯忘れることのない出来事となったはずである。
彼らが成人した暁には、和牛に関心を持ってくれればと期待感が過ぎる。
そして、ふと思うことがある。
ブログを書き始めた当時の角や耳や目などの話を、今はやりの食育教育の一環として、子供たちに話してやりたいと。
しかし、現実はなかなかその時間が取れそうにないのがジレンマでもある。

一人当たりの肥育頭数を考える

2009-02-13 00:04:39 | 予防治療


肥育場における労働量は、牛舎の収容能力や棟数、立地が傾斜地であるか否か、飼料給餌が人力なのか自動給餌機なのかなど、様々な条件によって、それぞれに異なるためにその適正人数は異なってくる。
これらに長けた経営者らは、それらの条件を網羅した上で、畜舎の建築に取りかかる。
例えば、70 ~100頭規模の牛舎で1,000頭飼養するケースと、200頭規模で2,000頭飼養する場合では、配置人数は両方とも同人数での管理は可能である。
200頭規模で各舎に自動給餌機が設置され、削蹄や牛床の入れ替え、導入や出荷牛の出し入れ運搬などを外部発注した場合は、3,000頭までは、6~7名でも管理は可能であろう。
当方の場合は前者であり、15棟に1,000~1,200頭を収容し、その全ての管理は、自前で行い、自動給餌機等は一切使用していなく、実質9名で管理することは前述した。
飼育効率を判断する場合、畜主がその成果を結果的に満足して始めて、効率良しと判断すべきであり、上記2例の場合、肥育成績に一長一短あると考えている。
通常、規模拡大するために、自動化や別注方式で人員を抑える経営を考慮するケースが多々ある。
この場合、肥育のノウハウを熟知した上でなければ、漸次問題が発生する。
枝肉相場が好調であれば問題はないが、その80%が4等級以下である現実と相場を考慮に入れれば、後は如何に事故率を下げるかに掛かっている。
とくに、現況では、死亡や疾患牛のままの出荷など事故率が経営の致命傷に繋がるケースがあるからである。
この様な対策として、舎内通路を50~60cm高尚にして房内の牛を見易くしているケースもある。
一方、当方では、肥育牛の事故率1%以下を本来の目標としているが、ここ7年間の平均事故率は0.5%未満を推移している。
作業の全てを手作業で行う場合は、一人で約130頭余りを管理するため、牛の顔を見ながらの給餌等の管理により、早期発見早期治療を行うことで、事故率が他に比し少ない原因であろうと判断している。
要は、一人当たり130頭管理するか、350頭管理するかであり、肥育牛1頭当たりの年間人件費を1万円にするか、2.5万円で配置するかである。
事故率や肥育成績に差がなければ、当然この前者の方が適正配置といえる。
問題は、物財費が掛かる牛ほどそれに比例して収益性があればよいが、現実はそれをものにするには厳しい現実がある。
この現実も、日頃の牛の体調が左右していることは否めない事実であり、それだけに牛の顔色を見届ける肥育経営こそが肝要であると考えている。

堆肥化処理

2009-02-09 23:48:15 | 予防治療






乳肉生産牧場で、ほっとけない一つに堆肥処理がある。とくに都市型酪農など草地生産を基盤としていない場合の堆肥処理には、何処とも苦慮されておられているようである。
その大方は、共同処理場を利用されているようである。最近では発酵させないで、最初だけ電気に頼り厩肥を燃やす方式が取られているケースがあると聞く。
この様に、酪農家サイドでは、厩肥に含まれる水分割合が高いため、発酵し難い条件を抱えて、かなりの労力と負の投資を余儀なくされているようだ。
一方肥育センター等の場合は、肥育各房に大鋸屑を入れるため、厩肥は大鋸屑と糞尿のみであり、水分含量も発酵にそれほどの悪条件に至るほどでもなく、適切な発酵処理を行うことにより、良質の堆肥化処理が行われている。
大型の肥育センターなどでは、堆肥舎に積まれた厩肥をドリル型の大型処理機が、電動で回転しながら、発酵を促すという自動処理装置を稼働させているケースもある。
当方では、大鋸屑厩肥であるが、大型の堆肥舎処理施設があり、幅6m×奥行き15mの処理スペースが8列有り、厩肥槽、1~6で移動切り返し、最後は仕上げ槽となっている。
これらの切り返し移動は、大型のホイールローダーで行っている。
切り替えし期間は、1回目から仕上げまで4~5ヶ月間で5~6回切り返し、各処理スペースは2mずつ3列の蒲鉾型に積み上げて、その3列の真ん中の底面にはブロアでエアーを送風して発酵を促している。
完熟堆肥は、袋詰め(現地渡し200円)、軽トラ(1,000円)、フレコン500kg入り、2~4トンバラ積みなどによる販売を行っている。
堆肥は、評判が良く、地元だけでなく複数の県外から軽トラや大型車での購入者もあり、毎年完売している。