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薬師寺の個人的な覚書き

2011-01-04 | 旅行が好き

私にとって、奈良のお寺は特別で、とても大好きな場所です。
広がる空や流れる氣がゆったりで、
それでいて、上の方に抜けているような感じをうけます。




薬師寺の東塔と西塔が眺められる場所から写真を撮っていたら、
「東塔と西塔の違い、わかる?」
と、薬師寺関係者のおじさまに声を掛けてもらいました。

「西塔の方が、東塔と比べて屋根が大きくて反りが大きいでしょう。
塔は木で作られているから、年月を経るとどうしても縮んで反りが小さくなる。
だから、1000年後には、東塔と同じ状態・形になるように、
その当時に西塔を作った棟梁が計算して、
あのような大きさと反り具合になっているんです。」

と、そのような感じの説明をしていただきました。
なるほど~!!




思わず、ぽか~んと見惚れてしまいます。(笑)
口開けっぱなし(笑)


とてもわかりやすく為になる説明に、
「ありがとうございました!」とお礼を言って、玄奘三蔵院伽藍へ。
すると、また先ほどのおじさまに出会い、
それから、まるで個人ガイドのように、
とってもわかりやすく素晴らしい説明をしていただいたのでした☆
その説明に私は心底感動してしまったので、
その感動を忘れないように、覚書として残しておきたいと思います☆
最近、「自分の記憶はあてにしないで、とにかくメモする」がモットーです(笑)



玄奘三蔵院伽藍にお祀りされている大唐西域壁画は、
他には類を見ない、日本画の仏様で、
お経を上げて仏様の魂を込めた時から、絵身舎利として祀られているそう。
これは金堂にいらっしゃる、薬師如来様、そして両脇の日光菩薩様、月光菩薩様と同じ配置。
「西方浄土須弥山」の絵が薬師如来様、
その両脇の絵「高昌故城・中国」が日光菩薩様、
「バーミアン石窟・アフガニスタン」が月光菩薩様なのだそうです。
(ちなみに、これらの壁画は、
朝日新聞社のHPで観ることができます。)


大唐西域壁画は全て、日本画の平山郁夫画伯により25年の歳月をかけて描かれたものです。
それぞれの絵一枚が畳6畳分とのことですが、
絵から数メートル距離が離れているため、
(絵は、ガラス張りの向こうにあり、近寄ることができません。
この空間に入れるのは、お坊様がお経を上げる時だけだそうです。)
感覚的にはもう少し小さく思えます。
でも相当な大きさの迫力であることは間違いありません。

須弥山の絵は、畳6畳が3枚並んだ特大サイズであるばかりではなく、
絵の具の厚さも2cmあるとのこと。
つまりちょっとした3Dなのですね☆

絵を見てハッとさせられるのは、須弥山の雪肌の輝くばかりの白さなのですが、
この白さが出ているのは、大理石を用いて描かれているからなのだそう。
ちなみに、これらの絵の頭上にある、シルクロードに広がる夜空をイメージした天井には、
向かって右に太陽、左に月、そして無数の星たちが描かれているのですが、
その群青色の夜空は、全てラピスラズリで描かれているのだとか!

大理石やラピスラズリ。
絵の具だけで1億円程かかったというのですから、相当なものです。


ところで、壁画の向かい側には、「ナーランダの月・インド」という絵があります。
(この絵はガラス張りのこちら側にあるので、近寄ってみることができます。)
うっすらと深い蒼の中に、ぼわ~っと建造物が浮かび上がった幻想的な絵です。
ナーランダとは、今でいう最高峰の仏教大学だそうで、
薬師寺と縁のある玄奘三蔵さんが学んだ場所でもあります。

そして、平山郁夫完成したこの絵に、最後に一筆付け加えたのが、
存在自体が、淡く光をまとっているような「人の姿」です。





私が購入した本「平山郁夫と玄奘三蔵 おはなし名画シリーズ」では、
この人物は玄奘三蔵さんだと書かれてありましたが、
この日おじさまから聞いた説明によると、
このお姿は、薬師寺の故・高田好胤管主を現しているのだとのことです。


薬師寺の故・高田好胤管主と平山郁夫画伯とは、とても強い絆があります。
若かりし平山画伯はしばらく絵が認められずにいた時、
「この絵を描いてだめだったら、もう絵筆は置こう」
と思って描いたのが、代表作である「仏教伝来」。
そして、その絵に目を留めたのが高田管主だったのだそうです。
お二人は、それからまるで兄弟のように親しくされて、親交を深め
平山画伯は、薬師寺の天井画を復元したり、この壁画の依頼を受けられたのです。

そして、この壁画の完成には、依頼を受けてから25年かかったそうなのですが、
残念ながら完成の3年前に高田管主が亡くなられてしまったそうです。
高田管主はこの壁画の完成を誰よりも楽しみにされていたそうで、
そのことをとても残念に思った平山画伯は、
ナーランダの月の絵の中の玄奘三蔵さんに、
高田管主のお姿を重ねて描かれたのだと言います。
ナーランダの月は、壁画のちょうど向かい側にあります。
そこからの眺めはいわば特等席です。
つまり、高田管主がいつでもこの壁画をよく見えるように、との
平山画伯の想いがこめられているのだそうです。


・・・と、ここまでが私が聞いた(つもりの)お話。
何しろ、私のことなので(笑)
私が聞き違えたことや、間違って解釈したことがあるかもしれません。
ご参考程度・・・にしていただけるとうれしいです。




今回の旅行ではあまり建物の写真を撮らなかったみたいなので・・・
2007年に奈良に旅行した時に撮った金堂・東塔・西塔の写真を探し出しました。
確かに、西塔の屋根は大きく、反り返っていますね!

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