日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

スクーリング「地理情報システム」・・・地図の世界は奥深い。

2016-01-09 20:41:38 | 大学通信 スクーリング
卒論提出後の今、止まっていた時計が動き出したかのように、時間を遡って、夏の出来事について記しておきたいと思います。

8月の上旬、奈良大学通信教育のスクーリング科目「地理情報システム」を受講しました。この科目は、自由選択で、履修しても卒業単位には含まれません。PCを使って授業を行うので、人数制限もあります。
私は、今の学校で地理の授業も担当しているし、卒論で、遺跡の場所を地図上で表示するなどの技術が使えたらいいなと考え、卒業単位を稼ぐためではなく自分の勉強のために受講することにしました。

先生は2名で、三日間をちょうど半分ずつ担当されました。
前半を担当したF先生は、学内で2番目に若い先生だそうで、お話をうかがうと、とてもアウトドア派の先生でした。先生のゼミは、島流しゼミとかサバイバルゼミとかいわれているらしく(離島で魚を釣って食糧にするとか)、過疎地などに滞在してフィールドワークを行っているようです。
猛暑の日にご自宅から?大学まで何キロだったか忘れてしまいましたが、相当な距離をランニングして来られたり、かなり体力には自信のある先生のようでした。若いっていいですね。

「地理情報システム」という科目のタイトルは、「GIS」(Geographic Information System)の略で、一つの学問分野なのですね。その解説から始まって、最終的には、GISとは何か、についてまとめなさい、という、テストのようなレポートのようなものを授業の最後にPCを使って書いて提出させられます。

簡単に言うと、地図の表示とデータベースが結びついているもので、地図をクリックすると、いろいろな情報が見られるようなネット上の情報(例としてレオパレスの部屋探しのページや楽天トラベルなど)のこと、です。

授業では、一人一人がPCを使いながら、私達でも使える具体的なサイト・ソフトを紹介してくださいました。

まず、「今昔マップ」。これは、文字通り、その土地が昔どうであったかを左右に今と昔の地図を並べて表示するものです。今住んでいる場所とか学校などが昔どういう土地だったのか見るのも面白いですよね。
http://ktgis.net/kjmapw/

次に、「オープンストリートマップ」。これは自由に使える地図として紹介してくださいました。
Googleの地図などは、レポートなどに印刷して使ってはいけないのだそうで(ネット上で表示するのはよい)、このオープンストリートマップはOKとのことです。
これは、地図好きなボランティアの方が作っているのだそうです。自治会のマップにして配ってもOKだし、Tシャツやポスターを作る人もいるそうです。

https://openstreetmap.jp/

卒論には使いませんでしたが、何かの機会に使ってみたいですね。

午後には、先生が月1くらいで通って調査されている、島根県のHという過疎地について、映像などを交えて紹介してくださいました。ここは、初めて過疎という言葉が使われた場所だとのこと。
昭和38年の大雪、いわゆるサンパチ豪雪で被害を受けて集団移住せざるをえなくなり、過疎が進んだようです。

先生は、火曜の5限の授業の後、大阪から夜行バスで現地に向かい、帰って来て朝1で授業をやったりということもあるそうです。同行する学生さんの方が参ってしまうらしいです。タフですね。先生は意外と、細身なのですが、鍛え方なのでしょうか。私も、遅ればせながら、筋肉隆々の心身ともにタフな女になりたいのですが、年齢の上限てあるんでしょうかね?

さて、一応授業からメモ的に抜き出しますと、その過疎地を流れる高津川は日本一の清流といわれているとのこと。実際に、今ネットで調べると高津川は4年連続で日本一の清流(水質日本一)になっているようです。

映像を見ると、本当に驚くべき過疎地でありましたが、そういった地域に入って行って、地域の方・起業家の方などと交流される先生のお仕事ぶりは興味深いものでした。

その他、「QGIS」というソフトも操作しましたが、難しくてあまり記憶に残っていませんので省略。

後半の、S先生の授業はまたガラッと雰囲気等も変わって、内容もまた別の意味で濃いものでした。
S先生は、ご自分で「地図屋」とおっしゃっていたように記憶していますが、とにかく頭脳明晰、早口でできるだけ多くの情報を私たちに伝えようとされ、同時にPCを自由自在に操ります。スマホはなんと、お持ちでないそうなのですが、PC操作は神技的早さでした。

こちらの授業は、私が実際に使えそうな知識・ツールを教えていただいた感じがします。

例えば、国土地理院のHPにある地図。

http://www.gsi.go.jp/

私も卒論関係で地図を見る時に、国土地理院HPの地図を何度か参照しました。そういう時にネット上で検索するには、私の場合「GSI」と入力します。すると簡単にトップページが出てきます。

トップページの上部に、さりげなく小さな日本地図の画像があって、「地理院地図」と表示がありますが、これが結構便利なんです。
クリックして、どんどんスクロールしていくと、詳細な地図にアクセスできるし、二点間の距離も測れますし、地図上にさまざまな情報を加えた図も作って保存できます。とにかく、HP上ではさりげない地図に見えますが、中に入るとかなりいろいろなことができます。ただそれを印刷したり加工したりするためにはそのままは使えません。

私は、神保町の三省堂で2万5千分の1の地図をちょっと買ったりしたこともあるのですが、それを、ネット上で、「欲しい場所の地図を、大きさや表現を選択して購入できます。」というコーナーがあります。上で話題にしたトップページ「地理院地図」の横に表示されている「電子地形図25000」というものがそれです。すごいですねー。好きな場所を切り取って地図にして購入できるというのです。
いつか何かで使ってみたいと思いました。

「地図・空中写真閲覧サービス」もすばらしいです。これも、地域ごとの航空写真などの地理情報が、かなり古い時代、場所によっては明治時代などから見ることができます。
これのいろいろな見方を、時間もないのでハイスピードで先生の説明によって見ていきましたが、これも有意義です。

「地理院地図3D」のページでは、立体画像も見られるし、3Dプリンタで立体模型も作成できちゃいます!

以上、国土地理院のホームページは、知る人ぞ知る、という存在かもしれませんが、かなり使える面白いサイトですよ、と宣伝しておきます。自分も備忘のためにここに書いておきます。
「GSI」で簡単に検索できます。

それから、立体視用の青赤画像(アナグリフ)の作り方についても紹介がありました。
青赤メガネもいただいて、それを使ってアナグリフの画像を見て立体を体感しました。
以下授業のレジュメより。

「関谷氏のサイト「STEREOeYe‘3D’」http://www.stereoeye.jp/に無料ソフトあり。
デジカメ風景写真からも作成可能。青赤メガネの購入も可能。

アナグリフメーカーの使い方についても説明がありました。
自分達でもサンプル画像を使ってPCで作ってメガネで見たりしました。
先生が撮影した写真で作成した画像もありました。
自分で作れるらしいということがわかったのは収穫でした。

また、GISソフト「MANDARA」の使い方も簡単に学びましたがこれは私には有効で、卒論でこれを使った図を作りました。

MANDARAは無料ソフトで、WEBサイトからダウンロードできます。

http://ktgis.net/mandara/

非常に詳しいマニュアルもそのサイトにありますのでそれを読み込めば使えるようですが、参考書を買ってもいいというとで、私は参考書を買いました。

都道府県別の分布状況などを図で表すのにとても便利です。市町村レベルでもできそうです・・・

9月のスクーリングで卒論の骨格を各自発表することがあったのですが、私もそうですが他に同様にMANDARAを使って作図していた方がいらっしゃいました。お昼をご一緒したときに、やはり地理情報システムを受講したということがわかりました。

MANDARAもすばらしいです。こういうものが無料で公開されているというのがすばらしいです。

それから、地理院地図を使って、古墳の位置を記号などで表示するという方法も紹介してくださいました。時間がないので、先生のデモンストレーションで超早ワザ、目にもとまらぬ速さでしたので、自分でもできるかどうか・・・ですが。

簡単に概要を書きますと、まず表示したい古墳の表を作ります。
地理院地図の古墳の所でクリックすると下のタブに緯度経度の情報が出ます。
途中から私は画面を撮影し始めましたがもっと前の方からやっていればよかったです。


そのデータをエクセルの表にコピーします。その時に、そのままセルにコピーすると「スクリプト云々」と変なのが出てくるので、エクセル画面の上の方の「fx       」の□部分にコピーすると数字だけ入ります。

データの区切り位置というのが問題らしく、緯度経度の○度○分といったものを区切るのですが、計算式を作って変換しないといけません。詳しくはもちろんここでは省略。


もうこのへんは何をやっていたのかよくわからなくなっています。
MANDARAを使っていたのだと思います。


データを整理して入れてできあがった表。

表を作ってデータを入れ、古墳の形ごとに、円墳は○、前方後円墳は□、など、地図上にそれが表示されます。というか、おそらく、MANDARAで作成したものに国土地理院地図を重ねたものが以下の写真。


先生が超スピードでデータを加工して図を作成していくのを、受講生の私達はおおーっと声をあげながらあっけにとられて各自の画面を見つめていました。
自分の覚え用としても写真をここにアップします。
もしかして著作権上問題などありましたらご教示ください。

こうした作図をする上で必要な緯度経度の取得方法についても教えていただきました。
お店の名前と住所の表を作って、緯度経度を出す場合
住所を緯度経度に変換するサービス「アドレスマッチングサービス」というのがあるそうです。東大が提供しているらしいです。精度はわかりませんが。
遺跡の緯度経度については、奈文研のサイトを見ると、出てくるそうです。

何しろ時間が短いので、それぞれ簡単にしか触れられませんでしたが、要領よく、いろいろな方法を教えていただきました。活用できるかは、自分次第という感じ。

質問や相談などあれば、先生のメールアドレスや大学のeラーニング経由の方法で、という紹介もレジュメにありました。ありがたいことです。

卒論で、少し活用させていただいただけでも有益でしたが、他にもいろいろと、地図の世界も奥深いものだなということがわかって、そこにひたって、いろいろやってみたいところですが、当面、そういうこともなさそうです。しかし、やる気があっていろいろやりたいならば、先生は応えてくださるような感じがしました。

というわけで、かなり有益な授業でした。受講するかどうか検討される方には、お勧めします。どこか公開講座のようなものでこういうのをやっている所はないでしょうか?

今日は以上です。

にほんブログ村 歴史ブログ 考古学・原始・古墳時代へにほんブログ村

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。