そんなわけで、久しぶりにHIV関連の記事です。
東京・新宿で11月30日から3日間行われた日本エイズ学会に参加してきました。
少し前の記事にも書きましたが、普通は、こういう医学系の学会って、関係者が参加するもので、
エンドユーザーの患者が直接参加する例は、あまり参加する例がないのでは?と思います。
しかし、数年前からHIV陽性者団体が集まって、エイズ学会に患者が直接参加するプログラムを作っていて、
そのプログラムを利用して、参加してきました。
そもそも、陽性者団体のボランティアのお手伝いをしている友人が、
兼ねてなら面白そうに学会の話をしていたのをきっかけに、
スカラシップ委員会が主催するエイズ学会報告会へ参加したのが始まり。
参加者がとても生き生きと感想を発表しているのと同時に、
そもそもどんな内容でどんな雰囲気なんだろうと自分で確かめてみたくなったのです。
学会で発表される、基礎分野、臨床分野、社会分野と三分野のうち、
文系の自分に解るのは社会分野だけかなと思っていたのですが、これが大違い。
臨床の分野でも、データや解説が難しくても、導き出される結論や考察が解りやすいものもあったり、
発表内容が分野を超えたり、学際的な要素のものもあったりします。
一番難しい基礎分野でも、会期中、今年の発表のまとめ的なセッションがあり、
素人の自分でも少しはわかる感じです。
エイズの分野は、相当に進歩が速く、8年前に自分が感染したばかりの頃や投薬を始めた頃に、
いろいろ知識を吸収していた時期にはなかったような言葉がたくさんあり、冷や汗です。
2008年に発売された新薬なども含めた最新の臨床データの発表や、今年改訂された新しいエイズ予防指針の内容、
陽性者が早めに投薬を始めた場合の感染防止効果を測定した世界的な治験の発表、
米を使ったワクチンの開発の話や、長期投薬による合併症についての話。
各地で取り組まれている予防啓蒙活動の効果測定の結果についてなど、
感染告知8年目の自分だからこそ、刺激的な内容も沢山ありました。
発表の中で一番心に残ったのは「過去と他人は変えられないけど、未来と自分は変えられる。」という、
とある演題の座長だった先生の言葉でした。
今回は、ゲイの陽性者専用SNSの中にある、学会コミュ二ティで行われた、オフ会にも参加。
なんとなくツイッターで繋がっていた人にリアルで会えるなどのサプライズもありました。
来年は、横浜で、やはり11月の後半、の土日月3日間の開催なので今年聞けなかったことも、
また応募して参加させてもらいたいな。
この週末は、世界エイズデー関連のイベントも盛りだくさん。
HIVと関係がなさそうと思っているストレートの方も、身近で一緒に生きる時代が来ていることを、
すこし感じてもらえるとうれしいです。
最近の医学の進歩はすごいですね。
自分もちょっと面倒な病気にかかっていますが
薬のおかげで普通の人と同じ生活を営めています。
「過去と他人は変えられないけど、未来と自分は変えられる。」ってすごく前向きでジーンときました。
「陽性者支援」というテーマの演題での話だったのですが、
口演で「病院には来るけれどちゃんと薬を飲まないなど、治そうという意欲がない」
という治療困難な症例を発表した時に、締めの言葉で釈の言葉を借りて、「過去と他人は変えられない」と演者が言ったのに対し、
座長さんが、「だけど、未来と自分は変えられる、ということですよね」と
アドバイスしていた時のやり取りでした。
患者自らの意思に寄り添って治療を進めないといけないという意味だったように覚えていますが、
とても心に響いて、会場からも拍手が出ていた気がしましたよー。