道立道南農業試験場研究部長 赤司 和隆 見直される緑肥の力
畑で赤クロ-バ-や、黄色い花を咲かせている ヒマワリ、アブラナ類を目にすることがあります。 これらは堆肥にせずに畑にすき込まれる緑肥で す。中でも、クロ-バ-類などのマメ科緑肥は 根粒菌を通じて吸収していた空気中の窒素を 土壌中へ放出するので、昔から「緑のこやし」として利用されてきま した。最近、有用微生物の増殖や病害虫・雑草の発生抑制に有効 な新しい緑肥も明らかにされました。減化学肥料・減農薬栽培の普 及もあり、その栽培に弾みがついています。現在、道内の緑肥栽培 面積は15年前の1・5倍の約四万四千㌶です。全体の約68%を占 めるのは後に作緑肥とよばれるもので、秋まき小麦などの収穫後の 畑が空いた時期に栽培されます。8月に種子がまかれ、晩秋ないし 翌春に畑にすき込まれます。一方、約25%を占める休閑緑肥とよば れるものは、春から晩夏に栽培されます。主作物の栽培を休まなけ ればなりませんが、十分な緑肥の成育量が得られ、高い導入効果が 期待されます。主な緑肥はエン麦です。中でも土壌中の有害線虫を 少なくするエン麦野生種の作付けが急増しています。アブラナ科の シロカラシ、へアリ-ベッチ、ヒマワリも増加傾向です。緑肥は利用 する人の畑で栽培され、そこにすき込まれるため、トレ-サビリティ、 運搬コスト、農村景観の面から望ましい有機物といえます。