◎ 「指導医」の養成に取り組んでいますね 亀田ファミリ-クリニック館山院長 “家庭医の層を広く厚く”
「指導医」とは文字通り、医師を指導・養成する 医師のことだ。指導医の質が上がれば、医療現 場全体の質が向上する。「医療の中身を患者の 思いをくみとる医師が求められています」指導医 を育てる研修を個人で始めて4年目になる。ほぼ 無報酬。指導の基本は米国で学んだ。米国は1 970年代、どんな病気でも幅広く診られる「家庭医」を増やす政策を とり、教師役の指導医の要請に予算を割いた。欧米で、家庭医は専 門分野の一つだ。
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「研修を通じて、指導医を育て、それによって家庭医を増やしていきた い」と考える。医療の高度化に伴ってもてはやされる「臓器別」の専門 医とは対極の立場だ。日本では、内科をはじめ学会ごとに指導医を認 定してきた。厚生労働省は、指導医とは「研修医を指導するため原則 7年以上の臨床経験を有する医師」と位置づける。指導医となる医師に、 厚労省は必要な研修の受講を促す。研修は国の基準に従って、個人 による研修は皆無に近く、人気を集める。名づけて「HANDS-FDF」。 年に四回、計9日間で修了する。神戸大学医学部を卒業後、家庭医を 目指す。だが、日本では家庭医養成の仕組みが整っていなかった。 3年目で米国へ。ピッツバ-グ大学関係の市中病院で家庭医療学を 学び、指導医研修を受けた。5年を要した。「こんな苦労するのは自分 で終わりにしたい」と思い、帰国後、いまの指導法を確立させる。受講 するのは、医師免許を取って5年以降の中堅だ。本年度の初回は7月、 十勝管内更別村であった。2泊3日の合宿形式で、家庭医や小児科医 ら14人が参加した。研修を進めるうえで、鍵を握るのは「いかに、うまく 褒めるか」だ。参加者が指導医役を務める模擬授業がある。指導医役 の意図が生徒である研修医にきちんと伝わっていなくても、「狙いは悪 くない」といったふうに、改善すべき点を含めて褒める。全員で評価し合 い、目的地に着けるよう軌道修正する。「フィ-ドバック」と呼ぶ手法が 研修では効果を挙げている。
参加者は研修修了後、学んだことを実践する。研修医を指導する様 子をビデオに撮り、次回、持ち寄って意見を仰ぐ。本来、1週間程度 の中身の研修を4回に分けるのは「アウェ-(研修)とホ-ム(現場) を行き来することで教育効果を高める」ためだ。過去3年間で、全国 30数人が研修を終えた。目標は「フィ-ドバックを必要とせず、自ら の成長や資質を管理できる医師を育てること」だ。
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日本の医学教育では、「背中を見て覚えろ」式の職人気質が残る。 医学知識を教わることはあっても、医学教育の方法を教わることはま ずない。患者とよく意志疎通できず、安心感を与えるために検査を多 用する医師がいるとの指摘もある。千葉県内の亀田ファミリ-クリニ ック館山で、成人、小児の診療はもちろん、傷の縫合から妊娠検診ま でこなす。「家庭医とは究極の個別化医療、つまり『あなたの専門医』 なんです。患者一人一人の背景や価値観、志向を詳しく知っておく必 要があります」研修を「誰が生徒か先生か分からない」めだかの学校 に例える。実際、若い医師に教えられ、成長していると感じる。研修で は医療そのものは教えない。「指導医の育成を通じ、彼らが預かる多 くの研修医に影響を与えたい」と願う。その先にあるのは患者本位の 医療の実現だ。
http://handsfdf.mywiki.biz/HANDS-FDF%82%CC%82%A4%82%ED%82%B3/
http://tadao-okada.blogspot.com/2008/09/blog-post_01.html
張本人です。