Q 七十六歳女性。頑固な便秘で、三十年以上前から市販の便秘薬 を飲んでいます。数年前からは胃腸科で処方された薬をのんで何とか 出ていたのですが、半年ほど前から出なくなり、腸閉塞で約二ヶ月 入院しました。退院後も食事に気をつけていたのですが、また詰まって しまい、再入院しました。毎日少量の魚、芋、煮野菜等の食事しかして いないのに詰まってしまうと、何をどのくらい食べていいのか分からず、 体重も減る一方です。何かよい治療方法はないのでしょうか。
<回答>札幌いしやま病院 胃腸科 樽見 研 さん
三十年以上前から市販の便秘薬をのんでいたということですが、市販の 便秘薬の多くには刺激性下剤が含まれています。刺激性下剤を長年 服用し続けると大腸を動かす神経が萎縮して大腸の筋力が低下し、 大腸の便を送り出す運動(ぜん動運動)が弱くなってしまいます。弱く なった大腸を動かすためにさらに強い刺激が必要になり、刺激性下剤を 増やさなければ便が出なくなってしまいます。これを下剤連用の悪循環 といいます。このような状態に陥ってしまうと急に食事療法を行っても 大腸はほとんど動かず、大腸は長くゆるんだ状態になつているため、 便だけでなくガスも出ずらくなり、お腹が張って腸閉塞に至る危険もあり ます。大腸の働きを取り戻すためには、刺激の少ない下剤を主に使用し て、刺激性下剤は数日に1回服用するといったように、ゆっくり時間をか けて減量していく必要があります。
食事療法ですが、もちろん食物繊維を多く摂取するのがよいのですが、 動きの弱くなった大腸には芋、野菜といった不溶性の食物繊維だけで なく、海藻類、キノコ類、果物などの水溶性の食物繊維も摂取すること が大切です。そのほか味付けに酢の物を小鉢一つ作り、食すと大腸の 活動が促進されるとのことです。また、ビタミン類は血行を改善して大腸 の蠕動運動を活発にしますし、乳製品は大腸内の環境を整えるのに役 に立ちます。バランスの取れた食事をたくさん摂取するように心がけると 良いでしょう。また、お腹をマッサ-ジしたり、腹筋運動などをすると 大腸が直接刺激されます。蠕動運動が促されるので、便がスム-ズに 押し出されるようになります。試されると良いでしょう。長くゆるんだ大腸 を切除してしまうことも一見良さそうな治療方法ですが、大腸の働きが 改善されるわけではなく、逆に大腸が癒着して動きが悪くなることも考 えられます。手術することによって得られる利益、不利益を比較して考 えると、やはり勧められる治療法ではありません。 スリムドカンは食物繊維が多く含まれた健康サプリメント !?