- 風呂上がり すぐに保湿を
- 洗い過ぎ 皮脂失い逆効果
- 顔だけでなく すねもケア
冬ははだの乾燥か゛気になる。「ドライスキン(皮脂欠乏性皮膚)は皮膚炎などトラブルを招きやすいため、早めに保湿を」とよく言われるが、どこをどのように対策するといいのか。医師ら専門家に注意点やコツを聞いた。
適切な対策を講じるには、まず肌の仕組みから。加藤直子皮膚科スキンクリニック(札幌市中央区) の加藤直子院長によると、肌の最も外側にある角質層が十分に水分を含んでいれば「肌は潤っている」と感じることができるという。逆に言えば、カサカサ肌は角質が乾燥している状態だ。健康な肌は、脂質と汗でできた「皮脂膜」、角質細胞間のすきまを満たす「セラミド」などの特殊な脂質、アミノ酸などから成る「天然保湿因子」の三つが水分を保ち蒸発を防いでくれる。ところが加齢などで新陳代謝が悪くなると、これらを作る能力も低下する。さらに冬は汗をかきにくいため、皮脂膜が薄くなりがち。
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そこで湿度の低い空気にさらされると、角質の水分が逃げてしまい、結果、カサカサ肌になってしまう。「顔ばかりに意識がいきがちですが、特にすねは皮膚膜の数が少ない。乾燥肌から皮膚炎に進行し悩む例は結構あります」乾燥し、バリア機能が弱った肌に「ふた」の役目を果すのが保湿剤だ。オイルやクリ-ムや乳液など形状、成分などさまざまな商品が出ているが「基本はかぶれなければOK」。ただし、パサパサの皮膚に直接塗っても効果は出にくい。風呂上り後3~5分以内、角質層がふやけている状態の時がベスト。水分を逃さないよう保湿剤を塗ろう。同じ理屈で、顔も、化粧水などで整えてから保湿剤を塗る方が効果を実感しやすいという。
洗い過ぎも注意。必要な脂を落としてしまうと皮膚の乾燥を強めるからだ。「せっけんで毎日洗うのはわきや外陰部など汚れやすいところだけでもいいくらい。ナイロンタオルでゴシゴシこするのは、乾燥どころか皮膚炎も起しかねません」。洗顔も、夜に洗顔剤でメ-クや汚れなどを落としたなら翌朝はぬるま湯で十分という。
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大手日用品メ-カ-花王(東京)で、乾燥性敏感肌向けブランド「キュレル」を担当する吉田智保学術マネジャ-は「保湿剤の量も注意」と話す。過去の調査で「もったいないからと指先に少量乗せ、肌に染みこませたいとゴシゴシのばしている例をけっこう見ました」。ここでもやはり、角質を無理やりはがしバリア機能を弱める「ゴシゴシ」は禁物、顔の薄い皮膚はなおさらだ。「手のひらに保湿剤を広げ、肌を包み込み、大きく円を描くよう、優しく塗り広げましょう」手にハンドクリ-ムを塗るとき、甲側だけパパっと塗って済ませていないだろうか。吉田さんによると、乾燥し、荒れやすいのは指先や指と指との間(水かき)。指はさまざまなものに触れ、刺激を受けやすいためだ。手とかかとは、乾燥すると顔に比べて角質が厚い分、固くなってひび割れを起しやすいので、こまめな保湿を心がけたい。ほおより薄い唇の皮膚は「リップクリ-ムで水分の蒸発を防ぐことが肝要」。できだけ肌に負担を掛けないために、軽くリップクリ-ムを唇の広い面にあて、温めて軟らかくしてから塗るとよい。