(愛知県南設楽郡鳳来町川合 1997年10月26日の日記から)
“三河川合”へは何回か通り過ぎながら、降り立ったことはなかった。
川合はその名の通り、豊川水系の宇連川と亀淵川、乳岩川、大島川の各河川が合流するところ、ということで付けられた地名である。
川合駅を降りると、今まで車窓から見ていた風景同様ひっそりしている。然し昔は別所街道(宇連川左岸)と望月街道(宇連川右岸)の分岐点にあたるこの地は交通の要所であり、その名残も町並みから伺い知ることができる。現在は鳳来湖や乳岩峡への玄関口の場所といった感じである。
川合と対岸の名号を結ぶ橋にも印象深いものがあった。そして、「長瀬渕」に架かる吊橋が目にとまった。人一人が通れる程の狭い吊橋だが、現在は使用されておらず、床板も所々抜けており、進入禁止の標識が置かれていた。そのすぐ隣りには、今年3月完成したばかりの逆三角形ワーレントラス補鋼形式の水管橋が並び、過去と現在の二面が一面に合成されたような歴史の流れを感じた。ここから少し下ったところには、川岸から少し突き出た物体が見えた。また、川の中央にも柱状のものが建っていた。これは旧別所街道郡界橋跡であり、別所街道が県道に昇格したのをきっかけに、明治13年に造られたものである。昭和27年に木造であった橋桁部分を取り替えたのが最後で、昭和32年新道の鳳来橋が竣工し、やがてその役目を終えた。次第に欄干、橋桁が朽ち、現在に残る“遺跡”となったのである。川合側のたもとの旧路面上には住宅が建っている。
大正9年、鳳来寺鉄道時代に建設された飯田線三河川合駅舎(平成10年解体)
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