ありがたいことに「86」の部品配置図を入手できたので、現物と照らし合わせができる。
まず整流管からチョーク、コンデンサー、チョーク、デカップリングコンデンサーをチェックしてみる。ほとんどの電解コンデンサーが該当します。
1本あたり8μFの電解コンデンサー。回路図ではパラ接続されて16μFになっているところもなぜかコンデンサーは一つ。WE91のようなシリーズ接続は無い模様。現物は元の回路に外付けコンデンサーを設置しているのでまずこのコンデンサーは除去しましょう。視界も良くなるし。
ワイヤーハーネスが乱れていないのが嬉しいです。
やはりフィルムコンデンサーのよう。接着剤で貼り付けてあったのをカッターで剥がして取り外した。チョークコイルと電源トランス周辺のワイヤーを整理してみた。
インプットトランスはシャーシ角を除くネジ3本で固定されています。トランスの下は前段用のチョークがある。はずして一応チェック
チョークインプット後のコンデンサーC8は8μF、陽極にパラにC10とC13が接続されている。300Aのヒーター中点から抵抗器60Ω+510Ωがアースに落ちていて(自己バイアス)抵抗間にコンデンサーは接続されている。この意味は何だろうか??
手持ちの資料では「AC分(B電源のリップル、出力管のアンバランスから生じる歪み)をキャンセルする手法。また300Aの高域の電源インピーダンスを下げる効果、16μFでパスコンも兼ねている」とのこと。
117V入力でB電圧を測定すると447V、前述の16μF両端では371V。追加されていたコンデンサーを取り払って信号を入れてみると思った通り「ブー」という通奏低音が流れる。オリジナルに戻すことの難しさかと思うが戻した状態が健全な状態で判断せねば。
一番手前のコンデンサーはC10で頭は膨らんでいて爆発寸前。
この複合ホーロー抵抗は多分300Aのヒーター巻線のセンターからアースに落ちるまでの60Ω+510Ωの代用品かと思われます。
接着剤と接続をはずしてみると
中央のメーター切り替えロータリースイッチと周辺の抵抗器はシャーシに2本のネジで留められています。はずしてみると、、
ワイヤーハーネスは余裕ある長さでこの状態だとメンテナンスし易い。それにしても80年溜まったすごいホコリです。ロータリースイッチの下部が特に。
ロータリースイッチの下には2本の複合ホーロー抵抗がメッシュのカバーに収まる。
手前の太い方はR6で外部電源用、奥はR5でカソード(無いけど)抵抗の60Ω+510Ωで当たり前に断線している。
外した代用抵抗を見ると
100Ω+1000Ωだったみたいで深いバイアスとなっている。なぜこうしたかは不明ですがやはりオリジナルの値に戻そうと思います。抵抗の両端には86Vかかっていた(実測)ので86/1100 X 86 =6.72Wの発熱があった。電流は300A2本で78.2mA。300Aの電流が少なすぎる。
しかし結構太いホーロー抵抗が2本とも焼き切れている。1本の300Aの電流を70mAとして、70mAx2 X 570Ω X 70mAx2=11.172W) この数倍が必要か。。
隣りの極太ホーロー抵抗は外部電源用でB電源とアースを結んでいる。配線はしてある様子だが導通は無くこれも切れている。いったいどういう状態だったのだろう。複合抵抗値は19KΩ+7KΩ+14KΩで合計40KΩ。B電圧は実測447Vだがこれは高すぎでしょう。チョークインプットからコンデンサーインプットへと改造した関係で上昇したと思われます。バイアスを深くせざるを得なかったのか。しかし447V/40KΩ=11.18mA。消費電力は447V X 0.011A=5.37W。。ブリーダーの役割も果たしていると思われるのでここも修復することにします。
2本のホーロー抵抗を外すのは結構ホネが折れます。そのままではボルトが横方向へ抜けないのでコンデンサーをずらさないといけない。
なんとか外しました。この空間に新たな抵抗器を組み込むことになります。部品注文した。
ジャンク箱にあった2mm厚のアルミ板を曲げて(これが一番時間がかかる)、Daleのメタルクラッド抵抗を配置して、ラグ板を端子代わりに。放熱のメッシュカバー内部にレイアウトしてみる。
この配置で配線してみます。
たかが2本の複合抵抗の代用品なのにこの物々しさ。。1930年代の製品には似合わないなあ。。メタルクラッドがなるべく見えないようにラグ板立てたつもりだったのだが。。
装着してできました。これからコンデンサーにかかります。