Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Nakamichi 700 のメインテナンス

2018-03-30 17:50:42 | カセットデッキ

 ちょっと前に軽く掃除して動いていたのだが今回不具合発生、その間7ヶ月。再生はするが巻き戻し、早送りとも動かずにすぐ解除される。再生時もガサガサ音が聞こえる。いよいよしっかりしたメンテナンスが必要になった。
 



 

 マニュアルの構造図があるとありがたい。というのも細かなテフロンワッシャーが転がり落ちた時にどこに入っていたかよくわからないことがあるのとプーリーなどの上下反対に組んでしまう間違いを避けられるから。
 2本のキャプスタン軸を外すと再生時の巻き上げと早送り、巻き戻しのメカニズムが現れる。キャプスタン軸を駆動するモーター軸からもう1本のベルトが出ていて巻き上げを行うのと、早送り、巻き戻し専用モーターからの駆動でこれらは行われる。特に早送り、巻き戻しのメカニズムは専用モーターの回転方向だけで各々の軸へのドライブが切り替わるというスマートさでカセットテープレコーダーでは当たり前の構造かもしれないが感心してしまった。マニュアルの比較的冒頭部分にこの概念図が載っているのを見るとご自慢の(?)機構だったのかもしれない。皮肉なことに今回は残念ながらこの部分の不具合ということになる。
 実際の動きを観察すると専用モーターからのベルトが伸びていて十分駆動されていないように見える。また駆動軸に接する首振りプーリー(勝手に命名)が各々の軸に接触していない。動きが渋くなっている様子。まずこのドライブベルトから交換してみましょう。比較的太いベルトが用いられていて駆動軸を回すだけでなく首振りプーリーまでコントロールする関係で結構力がかかるらしい。ベルト交換のためには首振りプーリーの首振軸(ややこしい)を抜かなければならずスプリングでテンションがかかっていたり、間にテフロンワッシャーが入っていたりで大いに難航した。小さい部品を紛失しないように細心の注意を払って作業したのだが残念ながらこのワッシャーを紛失してしまってこれには凹んだ、、というよりキカイの存続の危機だ。。また困ったことにプーリーが抜けないように止める小さな金具も同様に行方不明になってしまった。

 代用品を探して一応取り付けたがこれでは美しくない。◯ノタロウで扱ってないかと探してみたら、、ありました。テフロンワッシャーは「PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ワッシャー」、止め金具は「スナップリング E型止め輪」というらしくサイズも豊富です。PTFEワッシャーは1.7mmと2.1mm内径、厚みは0.3mmというのを購入したが数十個単位なのは致し方ない。スナップリングは1個単位で販売している。往々にして送料の方が高くつくのでつい当面いらない物まで買ってしまって合計3000円超にして送料を浮かせようとする悲しいサガであります。しばらく到着まで待つことにします。

 到着しました。

 PTFEワッシャーはちょっと時間がかかった。今回も分けて(揃ったものから順に)送られてきたのだが商品の注文時に一括で送るか揃ったものから順に送るか(いずれも送料は同じ。もっとも今回は無料。。)選択するスイッチはなかったように思うが。。数グラムのものを送るのにもダンボール梱包なのも引っかかる。宅配業界は人手不足で大変だと聞くがなんとかならんものかと思います。
 スナップリングは4種類、PTFEワッシャーは2種類。PTFEワッシャーは厚みが0.3mm(最も薄い)のものを選択したがオリジナルのものよりちょっと厚いと思う。
 まず巻き戻し、早送りのセクションのみを組んでみると

 ベルトを交換してもやはり不具合は解決しない。また再生時の巻き上げも十分に行われない事がわかった。巻き戻し、早送りモーターからはベルトでプーリー"I"を回転させる。この時の回転方向でプーリー"I"に接している首振りプーリー"m"が巻き戻し、早送り各々のプーリーに接して切り替わる。プーリー"m"は常時接している関係で周囲のゴムが劣化(硬化、変形)している。同様に再生時のプーリー"g"も巻き上げプーリーをドライブするがこちらも劣化が進んでいる。機構の中でゴムを用いたプーリーはこの2ヶ所だけなのは救いではあるがここを解決しないとまたまた製品寿命が終わってしまう危機。
 
 プーリー周囲のゴムは溝にはまり込むような構造なのでこの溝に適当な「Oリング」をはめ込んでみた。
 
 肉厚なものが必要だが実際には手持ちのものには適当なものがなくOリング2個はめ込んで調節した。接着する必要はない。

 これで組んでみると

 なんとかうまくいきました。2ヶ所のプーリーはテンションスプリングで常時ドライブプーリーの軸に押し付けられている。この軸にはスリップ防止のローレット加工がしてあることもあってゴム製品にはかなり過酷な環境で経年劣化は避けられないと思われる。もちろん同規格でゴム部を作成して貰えばいいのだがいくらかかるかはわからない。この製品の最大のネックかもしれない。


 上から入出力コードが出るので通常のピンコードではカッコ悪い。気になる方は「L字型ピンプラグ」がついたコードを使いましょう?

 プーリーの着脱は2ヶ所同時に行わないとできない関係で慣れが必要で十数回の失敗で最後の頃にようやくスムースにできるようになった。2個のプーリーは共通部品で一方にだけブレーキが組み込まれていて首振りをさせている。一時はスワップしようかとも考えたが両方とも同じ原因で使えなくなってしまっていた。Oリング作戦が上手くいってホッとしています。が早速録音再生してみると、、ワウが大きい、、。思い当たることはある。キャプスタン軸の設置は裏側の受けに向かってスプリングでテンションがかかるようになっているがスプリングを覆っている樹脂製のキャップ(ベアリングを兼ねている)の適合がよくなかったのを無理に調整していた。樹脂キャップを加工しなくちゃダメか、、と思ったが再度分解してなんとか無事に収めることができてワウは解決した。この辺りは水平設置を前提としている機構と思われ細かな配慮が伺える。

 自分への備忘録
 ・カセットとアジマス調整リットは簡単に外すことができる。
 ・カウンターへのベルトは2本だが交換はカセットリッドとフロントパネルの下のパネルを外して行う。後ろを分解する必要はない。
 ・巻き戻し、巻き上げ軸へのメカニズムの組み立ては2個のパーツを同時に装着しないと上手くいかない。これが2セットある。テンションスプリングはアームから外れないように端を加工しておく。
 ・伝達プーリーの周囲のゴムが劣化していたらテンションの調節だけでは解決しない。巻き戻し、早送りの不具合があるときはまずここを疑う。
 ・キャプスタンのテンションスプリングとキャップはハウジングから出ている軸受けのポールに対してスムースに上下動することを確認してフライホイールを収める。組んだ後はオイルが付着しているのでキャプスタンとアイドラーの清拭を忘れないこと。


 今回もカセットデッキのメカニズムだけの整備だったが楽しさを満喫した(ウソです)。細かなパーツをすっ飛ばすたびに自分の不甲斐さに腹が立つし、上手くいかずに悪戦苦闘していて部品の向きが違ってたのに気づいた時には我が身のアタマの悪さを呪う。幸いだったのは特殊と思われていた部品も根気よく探せばなんとか入手できたということ。これはマイナーな趣味を続けるためには必須で改めて(弊害も多いけど)ネット社会の恩恵を感じます。



 お読みいただきありがとうございました。


 


ZE1 インサイト IMAバッテリー交換(2)

2018-03-11 16:53:37 | ハイブリッド

 前回2014年に17万kmで寿命となったIMAバッテリーを交換した。調達したバッテリーはトヨタ NHW10プリウスのもので解体パーツだった。6セルのバッテリーが20モジュール必要で入手したのは初代プリウス1台分の40モジュールだったのでそのうちの半分だけ搭載し幸いにも上手く稼働した。残りの20モジュールは1年ほど様子を見て異常がなかったので売却した。
 現在の走行距離は22.5万kmだが残念ながら最近IMAアラートが点灯するようになってしまった。前回交換してから5.5万kmなので中古のバッテリーの寿命としては標準だったかと思う。廃車か継続か迷うところではあったが車検まであと1年程度あるのでもう一度IMAバッテリーを交換することにした。
 NHW10バッテリーはオークションで検索すると常に出品されている。ところが重量物のため個人宅への配送はできず営業所止めか事業所でしか受け取ることはできない。NHW10は2ピースに分かれるのでその形態で出品していた業者に2個口での配送をお願いしたが断られてしまった。そうしているうちに取り出したモジュールを出品している方がおられたので入札、運よく落札できた。

 
 保証なしのジャンクパーツなのは当然了解しています。晴天の日曜日の朝から交換開始した。

 結果は残念ながらIMAシステムの復活はならなかった。バッテリー残量表示が安定せずそのうちIMAアラートが点灯するという交換前と全く同じ症状です。所要時間は食事や休憩を入れて6時間程度、前回の作業はもう結構忘れていて戸惑ったが前回の反省から電動工具を活用したのでそれなりに楽ができた。(体力と集中力の低下も感じたが)

 作業中の写真は前回とダブらないところを載せてみる。前回は組み上がった後にコネクターの刺し忘れで結構焦ってしまったが見落としは日暮れた後の作業だったことが大きい。今回は朝から始めたので日没まで余裕があった。
  
 これら2ヶ所+6ヶ所+1ヶ所の合計9ヶ所のコネクターがある。また全てのコネクターはロックがありまた外すところをよく観察する必要がある。

 
 IMAシステムそのものは素手(もちろん絶縁手袋して!)で取り出すことは成人男性なら十分にできる重さ。ただ感電には十分注意して。

  
 サイドのパネルを取り外す時に4ヶ所はこのゴムの蓋を外してナットを緩める。この4ヶ所は写真のようにスペーサーを介して接続される。この端子は144V出ていると思われるので十分気をつける。やはり裏側のパネル(ワイヤーの出てない方)を先に外すべきかと思う。

 
 電動工具は10ミリボックスレンチとドライバーだったが締め付ける時はやはり手用で行った。組み付ける時が一番手間がかかった。配線側を全て接続してから反対側にかからないと電池のポジションが定まらず上手くいかない。

 コネクターを接続してイグニッションキーをひねるとIMA表示は空、その内アラート点灯。しばらくアイドリングで充電すると充電表示は上がるがリセットして一旦消えたアラート表示がまた点灯する。またリセットして少し走ると充電表示はどんどん上がって一杯になってまた点灯、、という具合。見慣れた(?)「IMAバッテリーがダメ」パターンで残念です。

 次の一手ですが手元に40本の不良ニッケル水素バッテリーがあるわけなので一度選別してみようかと思います。充電器に放電機能があるのだが多分時間がかかりすぎるので前回は断念した経過があります。データの取得はどういう方法が良いのかわからんが試行錯誤してみましょう。
 まず今日取り外した不良バッテリー群の両端の電圧を無負荷で測定すると
  7.6V台 12本
  7.5V台  1本
  7.4V台  3本
  7.2V台  4本
 続いて8Ωのダーロード繋いで約1Aの電流を流しての電圧を測定すると
  7.7V台  2本
  7.6V台  4本
  7.5V台  6本
 最低は7.2Vだった。実際の電流を測定するとほとんど0.9A〜1.0Aだったが1本だけ0.775Aまで落ちていくモジュールがありどうやら犯人はこれで決まり(!)の様相。
 今回搭載した20本から健全なものを確保できるかだが充電される状況かちょっとわからんがしばらく搭載してから取り出して測定してみることにします。

 翌月曜日の出勤時。相変わらずIMAアラートは出ているしバッテリー残量は上限に近い。しかし走り出すとこの状態でもチャージ、アシスト共に反応がある。
 

 バッテリー残量が0に近くなると強制充電となり、満タンに近くなると充電しなくなるが表示は満タンではないようでチャージ、アシスト共に行なっている。アイドリングストップはエアコンがついてる時は行われない。今日は暖かかったのでエアコンOFFにするとアイドリングストップする。ところがしばらくストップしているとエンスト表示になって慌てる。やっぱり全く改善したわけではなくバッテリーの弱点は変わりない。「寝て起きたら全て改善してた」という願いはやっぱり夢だったよう。しかしアシスト時のパワーは感じるし走行には(アイドリングストップを除いて)問題はない。もうしばらく乗りながら挙動を観察します。

 2度目の交換して2週間ほど乗ってみた。燃費は正常だった頃とほとんど変わらないがもともとちょっと低いのではないかと思っていた。生涯燃費も表示されるのだが入手した当時は27km/Lだったのが現在は24km/Lまで下がっている。走り方で全然違うが当時から本来の燃費ではない様な気がする。現在は加速感はあるが淡白で以前のような背中を押され続けられる感じは薄い。アイドリングストップはするがそのうちエンストモードになる(!)のは相変わらずでやっぱり好転している様子はない。IMAアラートは常に出ていて残量表示は満タン近い。つまりやっぱりダメ状態ということ。

 

 注意!バッテリー交換は作業中、作業後にもリスクがあり非常に危険です。安易な真似は事故につながりますので決して行わないようにしてください。