Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

ホンダ シャリイ が来た!

2017-06-26 19:04:19 | HONDA

 高校生の頃、白とピンクのツートン初期型が実家にあって毎日のように乗り回していた。当時はヘルメットなどという無粋な(石が飛んでくる、、)ものは法令上は必要なく好きなように乗ってた。とにかく鈍足で走らないというイメージとプラグホールのネジ山を潰してしまってヘッドを交換するハメになってオヤに怒られたなど思い出はいっぱいだ。
 最近はほとんど見かけないと思っていたがDax HONDA同様に改造原チャリのベース車としての地位を確立して(?)いるらしい。
 近くの古いバイクショップの店頭で見かけて以来気になって仕方がない。最近ではオークション以外で4輪、2輪を購入していない。思い切って店主に声をかけてみたら思ってたよりリーズナブルだったので1日迷ってから購入した。エンジン不動だが送料がかからないのがありがたいし軽トラで即日の配達。登録もやってくれる!(当たり前かもしれないがちょっと新鮮)

 ホンダ シャリイは1972年に発表されたファミリーバイクで特に女性をターゲットにしていた。女性用といえば1976年にはCMに天下の大女優ソフィア・ローレンを起用した「HONDA ロードパル」通称「ラッタッタ」が59800円で発表されている。1972年当時の価格は50ccで72000円〜73000円。数度のモデルチェンジを経て1997年までの4半世紀に渡って発売されてて十分すぎるロングセラー。



 

 

 

 



 程度は悪くない。お店で買ったがエンジン不動の蔵出し荒売り状態。。もちろん承知だが珍しいとは思います。。塗装の劣化した部分は涙ぐましいタッチアップ。走行距離は7000余km。ホントに倉庫で眠ってたらしく腐ったガソリンが一杯入ったまま。(これが夜中にオーバーフローしてちょっと慌てた。家の中の家族が「ちょっとシンナー臭い!」バイクは小屋の中なのに家の中まで臭ってきた!慌てて燃料コックを閉めた)
 
 いつ頃の車両だろう?

 調べてみるとシャリイは長く製造されたので数々のバージョンがある。名前も最初の「シャリイ」から「シャリィ」、「シャリー」と3種類もあるらしい。
 1972年の初代の「シャリイ」

 (出典 HONDA HP https://www.honda.co.jp/news/1972/2720718.html)
 ヘッドライトがDaxみたいに上部にある。全体のバランスが美しくこの形には魅かれるものがあるがカゴを取り付けるには不便。

 1979年には樹脂フェンダーに3本スポークとなってライトの位置も下がりカゴがつくようになる。


 この写真は同時代の70ccのものらしいがどういう事情か拙宅のとほぼ一緒の格好で鉄フェンダー、4本スポークで初期型と同じ、ライトの位置だけ違う。
 
 個人的には歴代シャリイの中で一番好みのフォルム。シャリイとカゴはやっぱり切り離せないしライトは丸に限る(!)と堅く信じてるので(ジジイの思い込み)。

 1985年の最終型。ライトが四角になって全体の雰囲気も随分と異なっている。

 このころは名前も「シャリー」(カタログより)

 エンジンも初期の3.2psから4.0ps(50cc)になりトルクも向上したが価格も最終型は179.000円と2倍半のアップ。70ccは途中から廃止になったのかもしれない。
 
 実家では「ホンダ スーパーカブ」が昔からあった。現在では大人気のカブだが子供の目から見ても若い女性には似合わないカッコ悪いバイクだと思った。足を閉じて乗る国産スクーターはまだ出てなかったがラビットはあって内科の往診のイメージは映画「三丁目の夕日」のアクマ先生そのものだった。近所にこの強制空冷エンジンを使ってゴーカートを作ったお兄さんたちがいて乗せてもらったことがある。みんな誇らしげだったし輝いて見えた。
 その影響からか中学時代に部活(なんと工芸部!)で数人の仲間とゴーカートを作った。ネタは「模型とラジオ」誌でフレームは木製、ステアリングは1点支持の足で押してカーブするというもの。ハンドルは自転車で(固定してある)アクセルはハンドルについてたブレーキレバー、肝心のエンジンはカブ。。というなんとも中坊らしい内容。貰って来たカブから(当時はあちこちに残骸が捨ててあった)エンジンを取り出して近くのスタンドからガソリンを1升瓶で買って来て、、しかしいくらキックしてもかからない。「エンジンの発電から高圧コイルを経てプラグに行く」位は知ってのだが高圧コイルをアースしなくてはダメだとわかるまでしばらくかかった。クズ屋さん(こう呼んでた)でタダでもらった一輪車のホイールにギアを固定するのに街の鉄工所に持ち込んで溶接をやってもらったり(これもタダだったかもしれない)。文化祭に校庭で走行を披露することにしたのだが当時の部活の担任には呆れた。そもそもゴーカート製作の案を持って行ったら「そんなことはできるわけがない!」いざ完成して校庭で乗りたいと言ったら「免許がないのに乗っていいわけがない!」結局警察まで尋ねに行って「校庭なら問題ないよぉ」などと言われて実行した。(ブレーキは一応ついてはいたのだが)サッカーゴールに突っ込んだりした(!)けど、、とにかく楽しかった。学校嫌いだったので中学の時の思い出として真っ先に浮かぶ。

 いつか自作のスクーターに乗りたいと授業中も隠れて設計図(落書き)を描いていた。Vespaなどは見たことも聞いたこともないころ。
 ところがある日学校から帰ったらシャリイがあった。多分母親用に買ったのだろうがイメージとはちょっと違ってたが友達にも自慢したくなるようなカッコ良さ。ノーヘルで遠乗りして途中でガス欠も経験した。プラグを無理にねじ込んでしまってプラグホールを傷めてヘッドを交換したのは前述の通りだがそれ以降は工具の使い方に注意を払うことになる。やはり失敗した経験は身についた。
 実家にあったのはヘッドライトが上にある初期型。カブに比べても鈍足で走らなかった。やはり女性がターゲットなオシャレなバイクにパワーは要らないということか。女性がターゲットといえば「ラッタッタ(ロードパル)」だがあれはカッコ悪いと家族の意見も一致してた(オーナーの方すみません)。

 
 今日は朝から猛烈な豪雨です。午後からはちょっと晴れ間があったのでエンジン以外の分解して掃除と注油、メッキ磨きした。ネジを緩めて磨いてまた締め直す。問題点を抽出しながら策を練る。キックは降りるしプラグに火花も飛ぶ。パークリで初爆した。まあ一安心。

 欠品
  ・HiLow切り替えレバー(お店ではあったような気がするが、、)
  ・「Chaly」のエンブレム左右(入手可)
  ・リアブレーキのジョイントパーツ(後で一部発見した)

 エンジン関係
  ・キャブレターの分解掃除(オーバーフロー対策含む)
  ・マフラーの防錆処理と塗装(リプロ品も入手可だがなんとか再使用したい)
  
 ボディ関係
  ・ポツポツサビの補修多数(全塗装はしないで補修する)
  ・前後フェンダーの歪みとサビ
  ・ヘッドライトボックスのサビ
  
 その他 
  ・フロントのカゴは荒く塗装してある。(補修、再々塗装して使おう)

 
 九州北部で豪雨災害の報道が続いています。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 蒸し暑い午後ですができることを進めておきます。ガソリンタンクとキャブレターを外して掃除。
 



 キャブはDaxのとは異なって形式は調べてみるとバタフライ式。構造はシンプル極まりなく「こんなんでいいのか?」と思う。よくキャブレターは「霧吹き」に例えられるがホントに霧吹き状態。横向きのエンジンの上にあるためハッチを開けてのメインテナンスはとても容易。数分で取り外せます。分解、掃除しながら観察してもほとんど問題は無い様子。ガソリン漏れはどこからだったかわからないがフロートバルブの段付きもない。念のためにフロート室のパッキンに液体ガスケットを塗って組み立てた。Daxの時は筐体そのものの劣化でガソリンがフロート室内部に滲み出ていたというトラブルでオーバーフローの原因が判らず一夏費やしてしまった。キャブレターの材質も良好で巣が入るような気配は微塵もない。思い出したのはHONDAスポーツのエンジンの記事で材質の悪さは「鍋釜並み」だったというもの。ホントかどうかはわかりません。
 組み立ててオイル変えて(そんなに劣化してないが量は減っていた)バッテリー無しで始動。、、といきなり全開!チョークとスロットルの取り違えていたというオソマツ。(チョークいっぱいに引いてた)
 
 エンジンは軽快、静か、快調。パワーは出てない(出切ってない)ようだがカゴのついたバイクはこれでいいのではないか、、と思う。多分キャブ変えただけで高出力化できるのだろうがフレームからキャブが飛び出すだろうし(あれは苦手です)。もしフレームに収まってくれるのであれば考えたいと思う。

 ポツポツサビを落としてタッチアップしながら自賠責かけてしばらく乗ってみました。次第に調子良くなって60km/hくらいは出るようです(微妙な言い回し)。とても乗りやすく取り回しも楽でやはりミニバイクはいいですね。原付はいずれEVになってしまうと思うけど電動アシスト付き自転車とうまく棲み分けて生き残って欲しいと思います。
 
 エンブレムは未だ来てません。

 お読みいただきありがとうございました。


Technics SL-1200 について

2017-06-25 21:46:00 | レコードプレーヤー

 Technics SL-1200は1972年に発売されたアナログプレーヤーで現在まで世界中で300万台以上売れた記念碑的な製品。1970年に世界初のDD(ダイレクトドライブ)ターンテーブルのSP-10が登場し新たな時代の幕開けとなった。SL-1200はコンパクトなプレーヤーシステムとしてその2年後に発表され改良を重ねながら一時は絶版になったりを乗り越えて近年また復活した。初号機(初代SL-1200)はその完成度の高さで45年経過した現在でも注目される。「SL-1200」は初号機の名称だが以降12種の改良バージョン全般を指し示す場合が多い(Wikipedia)。

 出典 Technics HP   http://jp.technics.com/products/


 初号機のカタログスペック
    型式 ダイレクトドライブプレイヤーシステム
    ターンテーブル 33cmアルミダイカスト製、1.75kg
    慣性質量 310kg・cm2
    モーター 超低速電子整流子モーター
    回転数 33 1/3、45rpm
    回転数切換方式 電子コントロール方式
    回転数調整範囲 ±5%、各回転数単独調整可能
    ワウフラッター 0.03%(W.R.M.S.)
    SN比 60dB(IEC-B)
    70dB(DIN45539B)
    起動 1/2回転で正常動作(33 1/3rpm)
  
    形式 ユニバーサルS字型パイプアーム
    針圧直読式、スタティックバランス型
    アンチスケーティングフォースコントロール付
    オイルダンプ式キューイング付
    針圧調整範囲 0〜4g
    適用カートリッジ重量 4.5g〜11.5g
  
    ケース ダイカスト製オーディオインシュレータ内蔵
    電源 AC100V、50Hz/60Hz
    消費電力 4.0W
    外形寸法 幅453×高さ180×奥行366mm
    重量 10kg
     *1973年にはSL-120(アームレス)、SP-12(ターンテーブルのみ)も発売された。


 私にとって当時Technics SL1200は憧れの製品でした。目新しいDDだったという事に加えてナントいってもカッコ良かった。しかし中学生の身としては全く(お話にならないほど)高価でお店の奥にあったのを眺めるだけだった。レコードプレーヤーは木の枠のケースに収まっていたのが多かった時代だがソリッドな佇まいと余計な飾り気のないコンパクトさにヤラレタ。相当悔しかったみたいで近年オーディオショップで再会した時は思わず目を剥いた(!) そして「欲しかったらあげるよ」(!!)多分よだれでも出てたのだろうと思う。。有難いお言葉に涙した(ウソ)
 SL1200でもMKⅡ以降の製品には全く興味を抱かなかった。DJは何の事か分からんかったし、第一格好が嫌いだった。スライドボリュームでのピッチコントロールも必要ないし。。



 

 

 外観の程度は極上、カートリッジはシェル共audio technicaが付いてた。回転は速度切り替えレバーを33か45回転に倒すとスタートする。。しかし33が回転せず。あれこれいじっていると回りはするが安定しない。やはり数十年経過したキカイはすんなりとは動かない。なんとか騙して聴いてみる。

 はらゆうこが語るひととき(1981)

 JBL SA660とJBL L75 メヌエットで。 明るい音色。正直感心した。これでいいんでない?タダだし。。

 運搬時にはこの樹脂パーツ2枚によってプラッターが軸ごと持ち上げられて固定、保護される。


 

 

 なんで回転が安定しないかは分からないのでとりあえず(闇雲に)基板のコンデンサーは交換してみましょう。
 その前に前回整備したDENON RP52と聴き比べ(!)してみる。。

 JBL SA660はphono入力が2系統で瞬時の切り替えができる。結果は、、、瞬時切り替えが全く不必要なほどの差があって惨敗。家族にも聴いてもらったが「音楽が始まる前のカウントからして違う!」だと。
 これには困った。長い間の憧れが簡単に崩れてはマズイ。憧れのアイドルはすでにオバさんになってしまっていた、、のか。(逆に言えばRP52が優秀だということかもしれない)

 インシュレーターと裏のボード(お皿状)を外す。


 
 とても簡素な内部



 一応の掃除とメンテナンスで安定して回転するようになってしまった。コネクターやVRなどの接触の問題だったのかもしれない。そんなわけで電子部品の交換は今回は見送ることにします。

 、、やっぱりスイッチを入れても動かないことがある。速度切り替えスイッチは電源のON,OFFと速度切り替えの2つの接点がある。電源は入るので速度切り替え部分の不具合かと思い、また分解、掃除してみた。これでおかしな挙動は消失しました。

 内部の構造を見るとなぜベルトドライブやアイドラードライブが廃れてDDに移行したかが理解できる気がする。技術力さえあればコストを抑えてカタログスペックの優秀なターンテーブルを作れる。Technicsは慣性モーメントの大きいプラッターを用いた。一方の雄のEMTはDD時代になって「EMT950」では軽いプラッターを電子制御で完璧にコントロールしようとして2社の設計の思想は全く異なる。しかしカタログ値は優秀でも出てくる音はやはり別物でS/Nやワウフラッターだけでは推し量れないということが常識になっていく。その後の「EMT938」「EMT948」では重いプラッターとなる。この辺りの変遷は興味のあるところです。
 
 アナログ再生はとても奥が深いと言われる。ギアドライブ、アイドラードライブ、ベルト(糸)ドライブ、ダイレクトドライブ、いろいろなドライブ方法があるが各方式ごとに共通の音味があるのも事実。アナログの世界はいろいろな選択肢があってその分趣味性も高いと感じる。
 何を変えても発せられる音が変化するのだったら何を基準にしたらいいのだろう? かつて「原音再生」が目標と言われた時代があった。コンサートで耳を鍛えてリスニングルームでその通りに再生する!追い求めた先人の涙ぐましい努力は今となっては尊敬に価するがいつの間にか自分が気に入った音であればいいのではないかに変わったような気が。アナログとデジタルとどちらが上等か?などという論議もされた。デジタルは手軽で良い音の再生には貢献したしレコード再生はCD再生を上回る魅力(ハッとするような一瞬)もあるかと思うがまずCDレベルまで達するにはそれなりの手間と費用がかかる。そこから先は一部のマニアの領域で一般の人々は敬遠するに違いない。便利なデジタル写真に敢えて銀塩カメラで挑むような世界。
 DDプレーヤーの弱点についても色々と言われてハイエンドではちょっと分が悪いように思う。今回の聴き比べで改めて感じてしまった。現代のDDプレーヤーは驚くような価格のトーンアームやカートリッジと同様に聴く機会がないが45年前のそれと同じわけがないと思う。そんなことよりも絶滅危惧種だったアナログレコードが生きながらえていて今でも再生機器の新製品が発表されていることの方が意味がある。

 お読みいただきありがとうございました。





 後日談
  新たな嫁ぎ先が見つかって先日お嫁に行きました。お幸せに。







 


DENON RP52,RP53 について

2017-06-17 10:55:32 | レコードプレーヤー

 DENONブランドについては詳しい解説がDENON MuseumのHPで掲載されています。

 ターンテーブル関係では円盤録音機と当時の再生機、ダイレクトドライブ以降の製品についての記述はあるのですがその中間に位置していると思われる業務用の再生機器についてはカートリッジの真似チャイルドと呼ばれた「PUC-3」と業務機から市販された「DL-103」など以外は見当たらない。
 1950年〜60年代はSPからLPレコードに、モノラルからステレオになっていく黄金時代なのだがその間の国産業務用再生機は資料が少ない。実際に放送局ではどんなターンテーブルが使用されていたか興味深い。
 ダイレクトドライブ以前の国産レコードプレーヤーはあらゆる面で外国産に大きく水を開けられていた、もしくは画期的な技術開発が進まなかった(枯れた技術)なのかもしれない。世界を席巻していたEMTは超高価だったと思うし、50Hzと60Hzの混じった日本での対応、消耗品の調達やメインテナンスの依頼などやはりヨーロッパは遠かったのか。当時の米国の業務用ターンテーブルはなんだったのだろうか?思いつくのはRek-O-Kut、GRAY、Fairchild,など。しかしそれらはThorens124の出現で駆逐されていく。だかThorensが業務機として放送局で使われていたかはよくわからない。(DJの時代やヒップホップのターンテーブルはSL1200か)
 EMTの名機と言われるEMT930,EMT927はすでに1950年代にドイツで開発されている。同じ敗戦国のはずだがこの差は元々の国力の差か?
  
  DENONとNHKは戦前から関係が深く昭和10年代まではテレフンケン製の円盤録音機を使っていたが戦争で輸入が途切れ国産の開発が急がれた。DENONはその中でも優秀なプレゼンで納入業者として定着した。円盤録音機は昭和20年代末にはテープ録音に置き換わりターンテーブルは主にレコード音楽の再生用に限定された。NHKを始め日本の放送局では多分外国産のターンテーブルは使われなかったしまた海外に輸出はされなかったのではないか。業務機使用は放送局に限られお役御免で放出されたのが現在目にするものかと思います。一般家庭では(絶対に)使われなかったであろうから数も限られる。表題のDENON RP52、 RP53はその中でも比較的よく目にする業務機でサフィックスの違いでバリエーションがあります。

 webで見つけた記述を要約すると
 「昭和30年(1955年) NHKと日本電気音響の共同開発でAM放送局用に 作られたのがRP52でシングルアーム用、RP53は放送局用の2連コンソールのプレーヤー部。 標準はDA-302アームとA-160アーム付きで 103と102の専用機」(ここでのA-160アームはTokyo sound社製)


 拙宅のDENONのプレーヤー


 

 銘板が無いのではっきりとは言えないが、サイズからRP52では無いかと思われます。
 外観はハンマートーンに再塗装されアームは東京サウンドのオイルダンプA-160、カートリッジはシュアーのM3D(ステレオ)が付いている。キャビネットやアクリルのダストカバーも立派で随分と物量が投入されている。いつごろ仕立てたかは不明だがさぞ高かっただろう、、と思わせます。

 ターンテーブルシートをはぐると
 
 現れるのは薄いサブテーブル。周辺にあるパットで押さえたり離したりでクイックスタート用。ここはEMT流。

 パットを動かすソレノイドはとても大きい。サブテーブルを外すとプラッターが現れる。
 




 50Hzと60Hzの切り替えスイッチがあるがこのスイッチは進相コンデンサーの切り替えスイッチで回転数が替わるわけでは無い。両周波数への対応はモーターに直接接続されている3段の軸を交換する必要がある。現在は60Hz用となってます。

 

 

 速度調整用ネジの部屋の蓋
 
 感心したのはネジを回すのに必要なレンチ(タダの針金)が仕込まれていること(!)左下の穴に差し込まれている。
 
 こういう小技は大好きです。キャビネットもしっかり作り込んでいて内側には鉛シートがびっしりと貼ってある。
 
 モーターには1964年と。
 


 半世紀以上前のものとわかる。ほとんどオリジナル部品だがブロックコンデンサーは交換されている。原理は未確認だがクイックスタート時の信号導通遅延回路用か(これについては指摘があり違うらしい)。


 クイックスタートのできる二重のターンテーブルやプラッターの形状などはEMT927を意識したな!と思わせる意匠。

 EMTと決定的に異なるのはプラッターの加工精度。EMTばりの穴が開けてあるがいかにも雑い。穴の真円度、面取りいずれも荒っぽい。業務用はこれ位ワイルドでも良いのか?ちょっと残念。

 この加工精度の納品でDENONはよくOKしたものだ。これは、、なんとかしたいところ。

 外注してプロにお願いすることも考えたが結局自前で行います。まず切削器具でバリ取り、真円に近づける。この辺が設備の無い者にとってはハードルが高い。

 後は気のすむまでコンパウンドで磨く。

 パークリで洗って(フェルトが付いたままなのでほどほどに)オシマイ。

 偉そうに吠えた割にはこんなモンでした。ヤリ過ぎるとギラギラ、テカテカになるのでこれくらいで止めた(ウソ)。ブラストショットで梨地にすればソフトな感じになると思う。回転バランスが狂うほどは削っていない。もともとガラードのような穴を開けてバランスを調整したような跡も無い。

 モーター周辺のゴムサスペンションはまだ生きている。
 


 回転数の切り替えは業務機の面目躍如のメカメカしさ。
 
 ラック&ピニオン。本来はダイヤルをスライドさせて小さいレバーを回転させると固定される。

 この銀色の板はレバーを回転させてネジを突出させ板に当たって固定するためのものだが固定ボルトが緩めたままになっている。試しにしっかり固定するとダイヤルが動かなくなってしまう。早速ワッシャーを入れて微調整した。

 

 プラッターや外観、アクリルカバーの受け、軸への注油(グリス)、駆動系の調整などを行なってターンテーブル周りは終了した。回転させてみるととても静寂でリムドライブプレーヤーとしても優秀だしアイドラーはまだ使える状態のよう。クイックスタートも機敏に反応する。この機能については家庭用音楽再生には不必要なのでサブテーブルを含めて撤去されている事も多いらしい。しかしEMTでもそうだが使ってみるととても有効で楽しい機能だと思う。EMT927Dstではこの機能は省かれてガラス製ターンテーブルが載っている。重量もあっていい事づくめのような気がするが実際にプレクシグラスと比べてみても良し悪しでやはり理屈一辺倒ではなくシステムとしての音創り(RP52はその意図は無いと思うけど!)が大切かと思う。極力オリジナルに戻した上で必要に応じてアレンジを加えることにします。

 トーンアーム周りにかかります。
 多分オリジナルと思われるTokyo sound社製 A-160アーム。
 

 オイルダンプのアームはGRAYが有名だがこのアームの構造は水平軸と垂直軸が各々独立している。

 オイルの量や粘度、調整でかなり再生音に影響します。オイルは適当な量と価格でラジコンで有名な「京商」で入手できます。

 カートリッジはShure M3Dが付いてます。針は手持ちのものがあったので取り付けたのだが何故かカンチレバーがひしゃげて(?)ます。。新品のパッケージから取り出したのだが??


 もともとモノ用アームですがステレオに改造されています。とても繊細な加工でしたがリッツ線の出口で1本切断していたので後加工して4本とも付け替えました。(この結線はまちがっているようです)


 針圧の調整は難しい。適当なオモリをどこかに固定して調整するがアームの反対側のオモリを外すと
 
 オモリを前後に移動して針圧調整するアームもありますがこれは移動はできない。でもオモリの部分に添加オモリができそう。しかし今回は針側に加圧しなくてはならないので(削るのも面倒なので)適当なオモリを付け加えます。
 カートリッジの交換はしない設定だろうしこれでいいのでしょう。カートリッジは「カーソル」というアダプターでアームに固定されるがこのカーソルも欠品していることが多く悩まされます。出物のアームがあってもカーソルが付いてないととても迷います。

 信号は直接ピンコードで出力されています。通常クイックスタートの場合は定速になるまでの時間稼ぎでリレーによる信号の遅延回路が入っている。また停止する時も信号が先に遮断される。信号回路に接点を入れるのはやはり抵抗があったらしいしステレオ対応にしないといけないのでこのままとします。(実は回路の仕組みがよく分かっていない)
 サスペンションは底のゴム足のみでモーターの振動はモーター本体とマウント金具のゴムのみで遮断されている。デッキとケースをリジットに固定してケースに防振材の鉛を貼り着けるのも理解できる。しかし今はデッキ下にウレタンによる緩衝材を入れています。モーターの振動は少ないがやはりケースと共振するのではという先入観から。この辺りは置かれている環境などが影響するので設置してからの調整とします。

 

 


 お読みいただきありがとうございました。

 

 

 後日談

  先日縁あってお嫁に行きました。私の不注意でシェル内の結線が間違っていたようで先方様にはご迷惑をかけてしまいました。幸せに働くことを祈っています。


BMW R26の前輪のガタ

2017-06-05 11:35:28 | BMW R26

 以前から気になっていてワッシャー削ってシムがわりにしたりしてごまかして乗ってましたが、やっぱりきちんと直したい。カーブで車体を傾けるとガタピシ云うし。。
  R26のパーツカタログから



 ホイルを外してみる。ブレーキドラム側。フェルトリングとリングキャップ、図ではベアリングの外側に描かれているラジアルスリーブが取れます。

 反対側はラジアルスリーブを外すといきなりプラグカバー。フェルトリングとリングキャップは見当たらない。
 (後から書き足し)っと思ったら中央のリングがそうだった。

 この「プラグカバー」ですが中野モータースさんの構造図では「リングナット」になってる。ということは回転して外さなくてはならない。「VelocePressのワークショップマニュアル」では「Fix pinspanner Matra 518」を使ってこうしなさい!

 とある。。「Fix pinspanner Matra 518」などは持ってないがピンスパナーは一応流通はあるようで入手可能。でもなんとかならんか?と考えて

 4ヶ所ある穴にドライバーを引っ掛けて叩いてみたらすんなり緩んだ。

 よかったです。中から取り出したのはベアリングとスペーサーチューブといろんな厚さが揃っているシム。

 しかしよくみるとテーパーベアリングのアウターが無い。中に残っている。これを取らないと残りのパーツが取り出せない。色々と考えたが反対側からベアリングを叩いてスペーサースリーブごと叩き出すことにした。バーナーで炙って叩くと

 なんと!ホイールの構造体が抜けてきて焦ったがとにかく取り出すことに成功した。抜け出たのは4本のボルトで慎重に戻した。

 向かって左がドラムブレーキ側。なぜベアリングのアウターが抜けなかったかはこの写真の一番右の切れ子みたいな金属片が絡まっていたため。これはフェルトのリングキャップ。原型を留めていない。柔らかい金属だが叩いた時のダメージかは分からないがプラグカバーが収まるネジ溝が少し傷んでしまった。
 (後から書き足し)リングキャップの残骸ではなかった。なんだか不明。。

 慎重に修復することにします。やっぱりピンスパナーが欲しいですね。ホームセンターに売ってるのだろうか?後で見てこよう。

 外したテーパーベアリングはNSK日本製。

 品番は NSK HR 30203J でモノ◯ロウで入手可で479円/個。早速2個注文した。またフェルトリングとフェルトも専門店に。こちらは純正部品です。価格をモノ◯ロウと比べるのは野暮というもの。
 ところでこのタイプのBMWは前後とサイドカーの3個のタイヤは共通で、スペアタイヤはどの部位のパンクにも対応したという合理的な設計。テーパーベアリングなのもサイドカー装着への配慮。未確認だが各部で使われている様子。

 翌日には部品は揃う。凄すぎる日本の流通。ここまでは望みません。2日後くらいで十分ですよ。

 2個のベアリングとオイルシール替わりと思われるフェルトとフェルトおさえ。

 まずホームセンターに行って「Fix pinspanner Matra 518」らしきものを探すが発見できず。仕方ないので金具買って

 自作してみる。恥ずかしくてとてもSSTとは呼べない。でも溝の修復には脱着を繰り返さなくてはならないのでこれは必需品。
 これで組んでみるがアクセル(軸)を入れてみるまでもなくベアリングの位置が定まらないほど横方向の隙間がある。中央のシムはいろんなサイズが用意されているので一応調べてみると5.8〜6.2の5段階。多分厚さの表示だと思うが遊びの量は0.4mmの範囲ではとても収まらない。何か間違っているのか??

 アクセル軸の締め付けで横方向の固定がなされるかもしれないと思い、組み上げてみる。

 以前より改善はしているがやはり根本解決には至らない。横方向の遊びが大きい。


 左右のベアリングの固定ですが現物を観察するとアウターのリングは「スペーサースリーブ」を挟んでプラグカバー(リングナット)で固定されている(ように見える)。現状ではリングナットが入りきっていないように思える。そしてテーパーベアリング内部は「スペーサーチューブとシム」によってアウターとの関係を調整して最適な位置に収めるのではないか?

 プラグカバーの位置を参考にするために後輪を外すことにします。段差のある所が外しやすい。

 カバーを外して見ると

 プラグカバーは辺縁と面一くらいに収まっている。肝心のベアリングは少し遊びがあってシムを入れたい所。ところでプラグカバーのピンスパナの穴は3穴!新規に注文したのが4穴、3穴どっちが来るか、、。

 4穴でした。。

 でもピンレンチの入る穴の小さいこと!新品はこうなのですね。今までのはかなり広がっていたので私のように専用工具なしに脱着をくり返していたという証拠。以前からベアリングの不具合があったのでしょう。
 リプロ(と思われる)の材質はあまり良くないのでネジ山の修正には使えそうもない。なんとかせねば。。

 朝出勤途中に「今夜は大潮なので釣りに行きませんか?」と電話あり。久しぶり。。

 2人で30匹は釣れたと思いますが、私の釣ったのは一番上のカサゴと一番下のキスだけ。探り釣りの名手がほとんど釣り上げた。でも楽しかったです。夜釣りにもいい季節。

 残念ながら溝の傷み具合で新しいプラグカバーのフィッティングは断念して古い方を加工して使うことに。ネジ溝の修正をこのプラグカバーで行ったので。自作の工具が大活躍、力技でなんとかする。



 組み上げてガタはなくなって良かったです。。

 簡単そうに書きましたが実は大変でした。まず溝の修正に時間がかかった。試行錯誤の連続でピッチ1.25のタップまで買ってきて溝に押し当てて修正したり、プラグ側を修正したり。。
 またドラム側のベアリングですがアウターリングとインナーとの空間がどうしても空くのですよ。これは何度も確認しましたが不思議。アウターは定位置に収まっているのでベアリングの品番が違っているのでは、、と思ったくらい。左右のアウターリングは中央のスペーサースリーブを挟んでプラグカバーで固定されてこれは問題ない。悩んだのはインナーベアリングが外側に収まるが大きな隙間がある。反対側にはその傾向は見られずフィットする。
 この構造だとドラムブレーキ側のインナーベアリングは「ラジアルスリーブR」を介してブレーキカバーによってアクスル軸のナットによって固定されるようです。

 しかし中央にあるシムはどのように調整するのか考えてしまう。左右のインナーベアリングをつないでいる「スペーサーチューブ」が働いていない状況ではアクスル軸のナットの締め付けの度合いでインナーとアウターの関係が変化してしまう。どうやって調整するのだろうか?いちいち分解するか?不本意ながらナットのトルクも今はテキトーにしています。

 しかしこれで乗ってみるとすこぶる良好。ガタつき、異音が消えて走行の安定感が増したのが実感できる。結果オーライ。
 シムも既製品がモノ◯タロウから入手できることがわかって良かった。いずれ再チャレンジすることにします。

 お読みいただきありがとうございました。

 


始動しないVESPA

2017-06-01 19:27:42 | Vespa
 久しぶりに「ローマの休日号」のエンジンをかけようとしたが全く反応しない。

 おきまりのプラグの火花を見ると、、飛んでない。。これは大変だ。怪しい、、と思い当たるとこは数ヶ所ある。

 まず考えたのはイグニッションコイル。2次側がちぎれたのを無理やり繋いでコードの長さもギリ。1次側に12VバッテリーをON,OFFしてもプラグに火花が飛ばない。これはコイルが逝ったな!と考えて新規購入した激安コイルと交換。
 ところが12VをON,OFFしてもやはり火花は飛ばず。ここでこの場合のイグニッションコイルの1次入力は6〜12Vではない!と初めて気付く。自己誘導で推測100Vくらいにはなっているはず、、とテスターで測定したがACレンジでも数Vしか現れない。
  (後から書き足し)これは間違いみたいです。フライホイールマグネットでどの程度発電するかは分からないが自己誘導ではないし、100Vでもないと思う。電磁誘導で同じようなコイルから発電して整流してバッテリー充電するわけだから。後にプラグ変えてから再度12V加えて切ってみると弱々しくではあるが火花が飛ぶ。
  (後から書き足し その2)やはり腑に落ちない。回路はこうなっている(まさかの走り書き)。

 電磁誘導で発電されるがポイントはいつもは閉じているため電位は0V。イグニッションコイルとはパラ接続。ポイントがOFFになると発電コイルには自己誘導によってある程度の高圧になる。その高圧がイグニッションコイルの1次側に加わる時に、第2の自己誘導を起こしてますます高電圧になる。その時に2次側には火花が飛ぶ。ポイントが閉じるとコイルがショートするわけなので電圧は0Vに戻る。。これでいいのだろうか??

 これは発電が逝ったかと考えてファン、2爪でフライホイール、コイルまで外して配線の確認。コンデンサーのチェックもアナログテスターでやったが問題なさそう。
 ジャンクションボックスからキルスイッチまでの間でショートしているかもしれないと配線も外す。エンジン単独にしても火花は飛ばず。だがそのうちBP6HSプラグに弱々しくだが(たまに)火花が見える。
 プラグキャップはイグニッションコイルに付属してなかったので古いのをねじ込んでいた。改めて外して抵抗を測ると抵抗器入りとわかった。バイク専門店まで走って抵抗器なしのキャップを買ってきて取り付けるも変化なし。調べたら両者には差はなく単にノイズ避けらしい。
 夕方になって諦めて一旦終ったのだが気になって仕方ないので薄暗い中で再度フライホイール組んでプラグコードを直接エンジンに近づけると、、なんと何事もなかったように火花が飛ぶ飛ぶ。。

 結局原因はBP6HSプラグの不良だったというお粗末。
 火花が飛ばない時には真っ先に疑わなくてはならないところ。
 でも暗闇でエンジンかかって嬉しかったな。

 おかげさまでまた一つ貴重な勉強をさせてもらいました。


 おまけ
 高校生だった頃からの愛聴盤

 みんなが大好きな「エリック・クラプトン」が居たバンド「デレク アンド ドミノス」のライブ盤。
 1970年10月というから今から半世紀近く前のもの。発売当時はもちろんLPで2枚組。CD化されその後2日間の別テイクが収められたCDも発売された。

 とにかくそのテクニックに圧倒される。時計のような正確さ、打ち寄せる波のような音数、グルーブ感。当時25歳にしてすでに伝説のグループを梯子してきたクラプトンもそうだがバンドとしての完成度、当時の低水準であろう録音技術にしてこの音質、と賛辞が続く。
 バンドの他のメンバー、ドラムスのジムゴードンはその後精神の破綻をきたして母親を殺めてしまい今は塀の中、ベースのカールレイドルは37歳で逝去、キーボードのボビーウィットロックとクラプトンのみが健在。ミュージシャンとして最高に光り輝く一瞬。

 何回聴いたか分からないほど愛聴した。クラプトンの長いギター人生(演歌みたい)の間違いなく頂点だと思う。
 言い古されたフレーズだが「本物は時の流れにも色あせない」なぁ。ビートルズみたいに。


 メデタく始動したので一回りしてみる。。久しぶりのインプレッションは「乗りにくいぃ〜!」前輪ホイル交換してブレがなくなったのでかなり改善はしているが着座位置が高すぎて腕が伸びる。もう少しシートが低くなって欲しいぜい。





 それにしてもこの巨大なオシリは「オードリー・ヘップバーン」では決してないなぁ。イタリアの逞しいご婦人といったところ。

 シートはこんな金具で取り付けられています。

 後ろ側はごついスプリング2本。高さを下げられないか?

 溶接してあるのをなんとか切断して新たな溝(穴)開けて低くしてみた。

 シートを被せて完了。

 確かに低くはなったが後方は元のままなので着座すると前にずり落ちそうになる。まあそのうち慣れるでしょう。

 それよりエンジンのかかりはいいのだが時々異音がする。メタルを打つ音かもしれない。やはりエンジン、ミッションのご開帳は避けられない。とても楽しみだ(ウソ)。