Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

SONY 4-203 について

2021-09-29 01:35:40 | テレビ

 SONYのマイクロテレビはほとんどが5.5inch白黒ブラウン管で国内外で多くの製品が発売されたが5.5inch以外でもわずかだが7inchと4inchの製品にマイクロテレビの名称が与えられていた。SONY 4-203は高さは4inchブラウン管に合わせて低いのだがブラウン管左右に張り出した独特の形状で内蔵電池駆動もしくはAC電源アダプターで外部から電源供給される。フロントパネル下部にツマミが並び上面にはロッドアンテナと外部アンテナ端子(アダプターを挿してアンテナ線に接続する)横には外部電源端子と足を兼ねた大きなハンドルがある。生産量が少なかったのかあまり見る機会がなく情報も少ない。

 

SONY 4-203 その1

    

アンテナは折れているし全体に荒れている。

 電源を接続するとラッキーにも起動するが不安定で振動などで突然切れてしまうことがある。叩いたり揺すったりして原因を探ると電源部があやしい。トランジスター2個が放熱板に付いていて定電圧回路らしいがよく分からず。そのかわりシリーズ定番のチョークコイルがない。コネクターの接触不良を疑ったがトラブル時の再現ができない。そのうち大型の電解コンデンサーを叩くと電源出力が途絶える事がわかって目立つ大きな数本を交換した。

 

 電源部はシャーシから浮かせている(ちょっと心もとない設置なのだが)関係で固定はプラスチックネジが使われる。放熱板とシャーシは絶縁しなくてはならない。ショートに気をつけて通電して幸いに正常動作を確認した。特殊ネジは手元になかったので初めて注文した。

 

これを切って使おうかと思っていたが残念ながら本体のネジは旧JISネジで合わない。JISのポリカネジの入手は困難そうなので(仕方ないので)ナットをダイスがわりにしてネジをむりやり切って何とかごまかした。

 外部からのDC入力は内部の電池ボックスからの端子もしくは側面の専用コード端子があるが専用コードの入手は困難で内部の端子に接続する事にした。電池のスペースにアダプターを組み込む予定で12V 1.5Aの小型スイッチング電源を手配したのだが結局外部に置く事にした。

 専用のACアダプターはwebから借用した画像ではこんなものだった。

 ロッドアンテナは途中で折れていたので以前の記事に書いたように適当な単品を入手してカットして長さを調節して取り付けた。

 

 ビデオ出力をアンテナから2chに入力して動作を確認した。スイッチONすると約1秒ほどで画面が出る。ブラウン管の予熱はなさそうでこれはどういう技術なのだろう?

 

SONY 4-203 その2

 こちらも幸運にも動作しているが内部は電池からの液漏れでひどい事になっている。

 

電池ボックスを兼ねた底板も欠損していて頭の痛いところ。アンテナも折れているしハンドルのパーツも一部欠損している。普通なら解体して部品どりになる所だが希少なTVなので何とか再生を試みる。

シャーシのみならずアルミ製のボディも一部腐食していてまずこの辺りから。錆びたシャーシはこれ以上進行しないように浮サビを落としながら表面を清拭掃除して染めQの錆止め塗料を塗った。ケースの腐食している部分は樹脂で再生した。

 欠品している底板を兼ねる電池ボックスは3mm厚のアルミ板を芯にしてジボ模様の樹脂板を接着して固定金具を取り付けた。幸いにケース本体に3ヶ所の意味不明な取り付け穴(スリット)がありこれは計画変更で使われなかった穴のようでこれを利用して底板を着脱するようにして足を貼り付けた。

  

 画面は出ているがしばらくするとボケボケになる。電解コンデンサーを交換したその1の電源基板と入れ替えると正常になるのでやはりコンデンサーの交換が必要なようで適当な手持ちと交換した。

 ハンダのトラブルがあって少しアタフタしたがこれで安定動作するようになった。こちらのアンテナも折れていたので取り替えた。ハンドルの固定部分の修復は代替えパーツを物色中。

   

 テストパターンを写してもまあまあだったので電源部以外は手を入れていない。今までの修理はほぼすべての電解コンデンサーを交換していたのだが自己満足の域を出ていなかったと思う。回路図などは入手できなかったので詳細は不明だが基本的な回路は一連のマイクロテレビと変わらないかもしれない。電源が内蔵されていない事、電池駆動できる事、ハンドルが大きく持ち運びやすい事に加えてチョークコイルを廃して安定化電源にして軽量化を図った事などからより可搬性に振った製品と思われる。一方で4inchの画面は他の5.5inchと比べてもやはり小さく固定での常用は厳しかった気がする。それよりも先進のガジェットとして友人に見せびらかすにはぴったりのアイテムだったのだろうな、、と思わせる。この後SONYは個を対象とした小型軽量の精緻で美しい製品を多数生み出すわけだがその胎動を感じるような製品でした。

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 


緑内障と白内障手術について

2021-09-10 02:56:43 | 日記

 数年前から緑内障の治療を受けている。もともと重度の近視で強度の眼鏡をしていたがやがて老眼が加わり矯正視力も落ちてきて眼科受診したところ主治医の診断は「緑内障の疑い」で当面は治療なしの定期的な視野検査を行うという方針だった。しばらくして職場の異動の関係で受診した2件目の眼科の診断は「緑内障」で眼圧は正常範囲だがさらに低下させた方が良く主に右目だが左目もその傾向があり両眼の点眼薬治療を勧められて開始した。定期的な視野検査も引き続き行なっているが幸いに視野の狭窄の進行はみられず推移している。

 緑内障は中途失明の原因の第一位で視神経が損傷する疾患。損傷した視神経は再生しないため完治はできず病状の進行を遅らせる事が現在の医学のできうること。眼圧の高まりで視神経を圧迫して損傷に至るという事が言われるが決定的な原因は不明。今後IPS細胞などによる視神経の再生医療が期待されるが現在では一部対象の手術療法の他は点眼薬による眼圧の上昇を抑える事が主な治療。

 点眼を続けていたが次第に矯正視力が下がって夜間の運転がしづらくなってきてこのままでは次回の運転免許証更新時の視力検査に合格するか自信がなくなってきた。なにより日常生活も不便なことが多い。主治医に相談すると「白内障もある」『!』これは寝耳に水だった。また視力を回復するために白内障の手術という選択もあると言われた時は大げさではなく未来に希望の光が灯ったような気がした。進行を遅らせるだけで改善することはない緑内障の治療は惰性で続けていたが視力低下は白内障の手術を受けることで改善する可能性があることになる。緑内障、白内障共に自覚症状はないが夕方や夜間は暗く感じて余計に見えにくい事が多かった。白内障の手術後の感想で「視野が明るくなって驚いた」という事を聞いてそういった不便も解消できるかもしれない。周囲のご老人は両親も含めて白内障の手術を受けた経験のある人が多く聞くと手術時間は15分程度で術後の経過も良いという。これは受けてみようと思い立った。幸い新型コロナ第4波も沈静化していた時期だった。

 白内障の手術をどこで行うかだが主治医の病院でも行なっている。しかし口コミで症例数が圧倒的に多いという市内のS病院に決めてその旨主治医に伝えると紹介状を書いてくれた。初診のアポイントは自分でとって出かけるとかなり徹底した臨床検査、担当医による診察、今後の説明とスケジュールの決定を行なった。建物1棟がすべて、6診まである巨大眼科で検査や説明もしっかり時間をかけて丁寧に行なっていた。次回は付き添い同伴で検査と再度説明が予定されていた。またオペ前後2週間は新型コロナワクチンの接種ができないと言われていたが幸運にも説明前に2回の接種が完了した。(患者数が多くそれだけスケジュールが先になっていた)来院時同伴が必要な理由については散瞳で帰りの運転ができないこととお年寄りが多いため理解が不十分な場合に備えて、、と理解した。そのうち新型コロナ第5波がピークとなり当地も緊急事態宣言が出された最中の手術、入院となった。手術は右目からで1週間後に左目を行う。

 白内障手術は角膜を数ミリ切開して濁った水晶体を超音波で砕いて吸引した後に眼内レンズをはめ込むというもので点眼による局所麻酔で顕微鏡下で行う。左右両眼の場合は2週に分けて行い手術後は1泊入院し翌日の午前中の診察後に帰宅する。術前3日前から抗生剤の点眼が1日4回、術後は3種類の点眼が1日3回または4回と内服薬3回。手術後は翌日の受診までハードカバーによる眼帯を貼り付けて洗顔、洗髪は2日間禁止。

 術中は緊張感と違和感はあったが痛みを感じることはなかった。強い光が照射されてひたすら眩しかった。3個の光源を感じただけだったが母親は水晶体を除去したときに見えた風景は万華鏡のようだったとのこと。ちなみに私の祖母も手術を受けているが当時は砂袋の枕に1週間寝ていたらしく時代を感じる。手術直後の透明な眼帯を通して見る景色は霧の中でこれでいいのだろうか?と思っていたが次第に靄が晴れてきて眩しさを感じるようになり翌日の眼帯を外した時は安定はしないが遠方が見えるように感じた。強度のメガネをかけたような感じなのだが左右の視力が異なるので眼鏡、裸眼でも見にくくバランスが取れないため左の手術が終わるまでは運転はできない。そして左右を比べると輝度の感じ方が大きく異なり施術した右は景色が白っぽく見える。これだけでも夕暮れの運転がし易くなる期待をもたせた。また今まで使用していた眼鏡はすべて使えなくなるが視力が安定するまで暫くかかるとのことなので新たな眼鏡作製はもう少し先になる。裸眼で何とか過ごして経過を見るか(近くが見えにくくなるはずなのでハズキルーペがいいかもしれない)何回でも作り直しができるような商品を選ぶかになる。

 手術で装着される眼内レンズの度数は話し合いで決められる。多くは単焦点レンズだが多焦点レンズもあってこの場合は保険外(説明では保険適応外部分のみ負担する「選定療養」という制度が2020年4月から開始された)になる。単焦点レンズの場合はどの距離の位置にピントを合わせるかになるが日常生活、眼鏡の必要性などで決められる。多焦点レンズはなるべく眼鏡をしたくない人には便利だがコントラストの低下、ハロー、グレア、Waxyvision(モワッとした見えづらさ)、スターバースト、夜間視力低下などのデメリットが報告されている。2020/11/1時点の厚生局報告済国内承認多焦点レンズは日本アルコン社とジョンソン・エンド・ジョンソン社の計7製品で長い間2焦点タイプだったが日本アルコン社の2製品は3焦点で中間視力の落ち込みを防いでいる。(みやた眼科様HP(https://www.miyata-ganka.com/select-medical-treatment) から引用)私の場合は運転に支障が出ない(免許更新ができる)ことが最優先だったので遠方にピントを合わせて近場は眼鏡で対応という選択になった。小学3年までは両眼視力1.5だったのだが4年ころから1.0を切るようになって懐かしい「大学ミオピン」目薬など点眼したり「星空を見れば良い」などという助言に従っていたが中学3年から眼鏡のお世話になって以来半世紀近い。一度眼鏡なしに遠くを見てみたいという期待もあった。

 今回術前検査で眼軸長の測定があり検査データを教えていただいた。眼軸長とは眼球の奥行きの長さで身長と同様に発育期に大きくなり一旦伸びると短くなることはない。眼軸が長くなると焦点が網膜の前方のいわゆる近視となって眼鏡のお世話になる。現在世界的に近視の人口が増えて日本では高校生の2/3だという。私の眼軸長は正常値と比べて3mm程度長く強度近視だった。強度近視は失明にも繋がる恐ろしい状態でぜひ避けたい(私は手遅れだが)ところ。眼軸の異常成長を抑えるには成長期に太陽光に含まれる「バイオレットライト」を浴びれば良くこのバイオレットライトが目に入ると近視の進行を抑えると考えられている遺伝子「EGR1」が活性化されることがわかっている。台湾は10年程前から子供達に週150分以上の屋外活動が義務化されて顕著な効果がでているらしくさすがに科学立国だと感じる。余談だが今回の政府の新型コロナ対応の不甲斐なさには政治がいかに科学をないがしろにしてきたかが感じられてほとほと呆れてしまった。

 

 右目の手術の1週間後に左目の手術を受けた。処置の流れは前回と全く変わらず心理的にも安心して受診できた。術前検査で1週間前に行なった右目の視力、眼圧も測定した。視力は「ギリギリ1.0」との事だったが今まで矯正視力が出なかったので上出来と思う。眼圧は両眼ともに低いためしばらくの間緑内障の点眼は休薬となった。前回は午前の1番の手術で今回は最後の5番目だった。今回は手術後の30分間の点滴までは一緒だったが車椅子で病室に行ってからもさらに100分間の安静が指示されていたのが前回と異なる点だった。回診に来られた主治医に尋ねると今回(左目)は乱視対応の眼内レンズだったので安定するまでの安静とのこと。保険適応のレンズだがメーカーと製品名を説明していただいた。

 参天製薬の「レンティス コンフォート トーリック」でwebで調べてみるとプレスリリースは2020年11月で2019年に認可された「レンティス コンフォート」という製品に乱視矯正の機能を付与したものとある。

     

 保険適応でも多焦点、乱視矯正レンズが入ったことになる。ただ中間用ゾーンの矯正度は+1.5Dに抑えられているためあまり近くまではピントが合わない。

 (写真と図いずれも参天製薬HPから引用)

 メーカーの説明図でも50cm位までになっていて実際そうかな、、と感じる。日常生活にはやはり老眼鏡が必要になりそうだ(今日退院だったので安定するまでまだしばらくかかります)。そして乱視の矯正だが正乱視であれば円柱レンズを使って対応するらしく「レンティス コンフォート トーリック」はそのような形状のレンズなのだろうと思う。手術時にレンズを固定する際に手間がかかるわけでまだ保険導入されて日も浅いと思うが積極的に先進医療に取り組まれる姿勢に感謝申し上げたい。

 

 両眼の手術が済んで大げさでなく普段見慣れた景色が違って見えた。ガスレンジの炎の色が紫一色に見える。雨天の空はこんなに明るかったのか、、そして雨が見える!意外なのはテレビ画面でなぜかとても新鮮に感じるのはなぜだろう。スイッチを切った液晶画面は埃だらけではないか!また床の埃がよく見えて掃除したくなる。

 予定通り近くは見えずスマホ画面の表示を最拡大に設定したが新聞や本も読めない。カミさんの使ってない老眼鏡を借りていたがとりあえず老眼鏡を入手することにした。全く知識がなかったのだが近視眼鏡と比べて随分アバウトな世界のようだ。度の強さは「ジオプター」で表され(これは近視レンズも一緒でマイナス表示になる)+1.0から0.5刻みになっているらしい。ジオプターは100cm/ピントの合う距離 で求められ例えば50cmに合わせると+2.0ジオプターになる。私の場合は参天製薬のレンティス コンフォート トーリックの図とほぼ一緒の50cm程度まで近づくとピントが合わないようなので+2.0ジオプターの眼鏡を注文した。瞳孔間距離などの選択はなくジオプターのみ指定だった。

 退院した日の夕方に注文したら約20時間で届きました。価格は税、送料込みで2,100円でこれではメガネ屋さんは老眼鏡では商売にならない。口コミ情報では「100均メガネに劣る」みたいな書き込みもあってちょっと心配したが安いしまあいいか、、だったが掛けてみるとすこぶる快調。ピントの合う距離を測ると20cm〜50cm位で予定通りだった。こんなに手軽に購入できるのであれば知人の奥さんのように「何個買ったかわからない」(知人談)人がいても不思議ではない。。

 

 左目の手術から4日後(退院して3日後)が受診日だった。術後の服薬と点眼は右目と一緒だが点眼薬の種類は同じにもかかわらず新しく処方されていたのは1週間前の薬が万が一すでに汚染されている場合に手術直後の左目に悪影響を与えないためと思われる。最初の1週間でリンデロンは休薬となって右目の点眼薬は3種類から2種類になっていた。診察前の検査で測定した視力は左が1.2だった。一応矯正視力なのだがレンズを入れてもあまり状況は変わらないように思えた。乱視レンズもうまく機能しているとのことで診察も問題なく終わった。右目の眼内レンズは同じ参天製薬の「レンティス コンフォート」(トーリックではない)と教えていただいた。視界が青白く見えるようになったので網膜を保護するためにブルーライトをカットする眼鏡を常用すべきかと質問したが特に意識して使わなくても良いとの事。次回の予約は11日後だがいつまでフォローが必要かはその時に告げられると思う。順調そうで安心した。

 

 今回の医療費は事前の説明で健康保険協会に健康保険適用限度額認定証を請求するように言われていて取得し会計時に提示していた。1ヶ月に2回の入院を含む3割負担と食費などの保険外負担の合計は約14万円程度になる。健康保険適用限度額認定証で一定以上は負担を免除されその金額は収入などの区分によって異なる。私の自己負担は約9万円程度で価値ある出費だった。私が就職した当時、白内障手術は自費診療だけだったがやがて保険適用された。眼内レンズも保険適用の範囲が拡大されつつあるし保険外の多焦点レンズも選定療養制度によって負担が抑えられている。

 白内障治療は白く濁って見える世界から脱出するために行われるが副次的な効果で焦点距離を変更できる。眼鏡が必要なくなったわけではないがクリアな視界が裸眼で得られる喜びはQOLの向上や今後の人生にも影響を与えると感じる。思い切って治療を受けて良かったと心から思っている。

 

 

 

 

 お読みいただきありがとうございました。

 

 追記1

 9/21は中秋の名月で当地でも雲間から見る事ができました。

 思った通り明るくて直視ができないくらい。乱視か近視の補正が不足かは不明だが中心の月の周りに90%位重なって数個の月が見える。左右ともほぼ同じ見え方。今までは眼鏡をかけていてもぼやっとした大きな円にしか見えなかったわけでウサギの餅つきに見える月の表面の明暗に感動した。星も良く見えるが面白いのは星の中心から発せられる光の筋がマンガみたいに120°で3本見える事。空を見上げる楽しさが戻ってきた。

 

 追記2

 今日は2回目の手術から半月後の受診日だったが特に問題はないとのこと。もとの眼科への紹介状の返事を渡されここでのフォローは終了となった。今後もしばらくは白内障手術後の点眼は続けるが受診後は緑内障の点眼も再開する事になりそう。案ずることはないと言われていた一連の加療だが何事もなくスムーズに経過したことに改めて感謝とともに安堵した。目から入る情報が少なくなると生活に支障だけでなく認知症の進行にも影響が出るという。いままで酷使し続けた目への気遣いも忘れずにあらたなステップに踏み出したい。