Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

JBL SE400Sのメンテナンス

2016-05-24 15:07:11 | JBL

 縁あって拙宅に再三話題のJBL SE400Sがやってきました。

 マルチシステムの高音用アンプだったみたいです。(裏にシールあり)チャンネルデバイダーを用いた大掛かりなシステムも最近では見なくなりました。
 いろいろと手が入っています。外観からの改造は入出力端子の交換。古いJBL製品全般に言えることですがスピーカー端子が小さく現在の標準コードでも入りづらい。ピンジャックともに高級品に換えられている。

 JBLロゴシールは痛んでいます。最も気になるのは喫煙環境で使用されていたというのが一目で分かる位のくすみ。
 開けてみると、、かなり改造あり。。

 電源のブロックコン、チューブラーコンともに全取り換え。
 基板の電解コンは取り替えられてさらにフィルムコンがパラに複数接続。
 半固定ボリュームは数十回転するbeckmanポテンショメータに。

 入力の電解コンはフィルムコンに。また基板裏はさらに凄まじく4ヶ所に3個ずつのパラのフィルムコンが。

 回路構成は多分変わっていないと思われます。
 いつの時代に改造されたかはわかりませんが、、こう言った改造が盛んだった、オーディオの熱気があった、良い音への欲求がまだまだあった、マルチシステムが設置できるくらいのスペースが家長の権限で確保できていた、社会全体に豊かで資金的に余裕があった、改造しない方が高く売れる、、などとは考えない潔い時代、と考えると80年代かもしれません。

 もし仮に80年代としても既に30年程度は経過しています。(改めて自分は年取ったと思う)
 早速音出しすると、、くっきりシャープな飛び出す音です。ちょっと冷たいような気がするが良い音だと思います。この音をリファレンスとすれば今までの機器は再々メンテが必要か。やっぱりコンデンサーを取り替えて。

 とにかくこびり付いたヤニを根気よく落としました。時間がかかります。

 そしてコスメ観点からの最大の課題。デカールの破損。

 薄い金属板に印刷してあるありふれたものですがアマチュアが自作するのは難しい、、、。インクジェットプリンター対応の銀色シールを探して


 ビックリマークの円は丸い穴が開いていて、パイロットランプで光ります。この穴もどうやって開けるか、、結局細いハンダ鏝で。

 このシール用紙は印刷した上に透明な保護シートを貼ります。耐久性はわからない。見た目はまあ及第か。

 改造した方の熱意に敬意を表して今回も掃除と補修だけで終わりました。
 お読みいただきありがとうございました。

 後日談1
 パイロットランプは切れてました。このランプはAC入力に直結してますがネオン球ではなく抵抗で降圧した電球です。こういった使い方は初めて見ました。回路図を見ると両端に抵抗器があります。

 適当に注文したのは24V1Wというもの。ちょっと明るすぎたかも。




 



JBL SA600の修理(3)

2016-05-24 10:43:11 | JBL
 知人からJBL SA600の修理を依頼されました。こういう状態です。

 なぜかダブっているパーツもあってどうもジャンクの寄せ集めらしい。裏パネルにメインアンプ部と電源がくっつくのでこのあたりから仮組みしてみます。
 
 電源トランスに通電すると、、出力されない端子がある。。もう一個あったので取り替えてみたらこちらは無事のようです。
 後でわかったのですが不良と思ったトランスは無実で中央の端子は中継用のものだった。sa600の整流ダイオードはこの端子を利用してトランス側で取り付けられている、筈だったがこの個体は電源ボードの裏にある。したがってカバーの付いているトランスとの組み合わせはこれで良かった(かもしれない)。

 電源は以前に手を入れていた形跡がありますがカサ上げ用電源のチューブラコンデンサーが1本少ない。。耐圧は低いが全部交換しましょう。
 
 電源部ができました。この基盤にはプリアンプへの電源も積んでるのですがここは後でチェックします。スライダックでAC入力を低くして恐る恐るメインアンプと繋いでみる。。
 
 うまくいきません。。正負の電圧が大きく異なる。。っと思い出しました。理由は不明ですがこの基盤の前段はアースが電源と接続されておらず唯一信号ラインのアースと繋がっています。改めて接続すると、、両CH出力されました。メインアンプ部は無事のようです。出力段のTrもバラバラだったので今は適当に装着しています。

 電源ボードをバックパネルに取り付けようと思うがスペーサーやネジが揃わない。。バックパネルにはインチネジ穴が切ってあるので取り付けにはインチネジが必要でスペーサーも。ストックしてるネジ達から使えるものを漁ったり、余分な買い物も多々してなんとかできました。これだけで2日費やしてしまいました。

 元の細かいパーツがあるかないかは全体の完成度に大きく影響を与えるのはバイク、車と同じでやはりネジは重要部品だと改めて感じる。

 週末は法事で外出していました。移動中はうつらうつらしながら「JBL SA600」の修理の作戦を立てる。帰って早速切断されている10数本のコードを接続して、またファンクションやヘッドホンジャック、スピーカー端子などを取り付けました。

 これで出力されることを確認してプリアンプ部にかかります。

 ミノムシで接続すると片chが出力されない。ボリューム以降は大丈夫なのでテープ入力からボリュームまでの増幅段を疑う。
 
 プリアンプ基板のコンデンサーは傷んでいるのが散見される。しかしコンデンサーの交換前に一応音が出る状態にしておきましょう。

 前回修理(JBL SA600の修理(2))ではバランスボリューム付近のプリント基板の断裂が不動の原因だったのでそのあたりをチェックするが正常。tape入力から追って行くとどうもQ4のTrが怪しい。ここで信号が途切れます。外してチェックすると

 やっぱりご臨終です。以前購入してた汎用Tr(足の配置が外したのと一緒)と入れ替えると、、動作します。とにかく良かった。ついでにコンデンサー類を取り替えて

 当たり前のようだが音質はかなりの変化あり。くすみが取れてスッキリしました。コンデンサー交換前からtrebleと音量ボリュームを上げると発振します。これも以前と同じ症状だが後回しにしてこれから外装にかかります。


 特徴的なトグルスイッチは華奢な作りで横軸となる突起部分が折れているのが多い。この個体は全滅、全て折れていた。どういう扱いを受けていたのか、、。

 その(2)と同様に1.0mmドリルで軸穴を開けて特殊ネジで横から固定する。これでしばらくは大丈夫でしょう。


 完了しました。変な挙動(発振など)もなくなかなかの安定感です。S/Nも良好。

 拙宅にはゴン3兄弟の内、ミニゴンが居ます。ずっとJBLのアンプで鳴らしてます。今回の「SA600」

 、、なかなかよいではないか?! 寄せ集めのデッチ上げ直後とは思えない安定感、躍動感、静寂感。わからないものです。


 お読みいただきありがとうございました。

 後日談
 修理品を含めて3台聴き比べて見ました。

 外観を比較するとパネルの色が少し異なる。シルバーとシャンパンゴールドは「JBL SG520」と同様。一番上がシリアルNo,5000番台で一番新しいが脚が長い。底から取り出す入出力コードに配慮したと思われるがデザイン的には短い方が格好が良いと思う。
 肝心の音ですが「大差無い」印象です。シリアルNo,1000番台、3000番台、5000番台ですが(修理品は3000番台)手が入っているのでもちろんちょっとづつ異なるがトーンコントロールを少し触ると分からなくなる程度。





 

JBL SA600の修理(2)

2016-05-23 10:34:19 | JBL
 大分前から拙宅に居る2台目JBL SA600です。シリアルNo,はかなり古く前回リペアしたのに比べてもいろいろと異なっている様子。一応音は出るのですが軽い感じの薄い音味でもう一台のJBL SA600ともかなり違っていたのでどちらか一方かもしくは両方が故障しているとは思ってました。


 後期の(多分)基板はガラスエポキシでしたがこの時期(シリアルNo1000番台)はフェノール樹脂基板です。とりあえずメインアンプ部分からチェックしてみると

 こちらはシリアルNo5000番台のものです。下部にある基板の初段のDCバランスの半固定抵抗がドライバーで回せるように上の基板には穴が開いている。

 2つを比べると部品の配置も異なっています。また謎のジャンパー線が抵抗器をショートしていたりで改造したのか初期製品の試行錯誤かはワカリマセン。
 その他にもコンデンサーのリード線が繋いだのがあり基板にさわらずにリード線をカットして新たな部品をそこにハンダ付ける(!)というプロの技も。。たしかに楽です。音が出りゃいい人はこれでもいいかも。。
 電圧測定するとマイナス側が異常に低い。電源基板を裏返すと

 電解コンデンサーは見た目でも全滅のようです。これでよく音がでるものだ。下側のアンプ基板もコンデンサーはアウト。

 こんな状態のアンプでも「両Ch音が出る」だけで高額で取引されている場合が多いと思います。。修理できればいいのですが代替えのきかないパーツ(JBL SG520のスライドボリュームなど)がアウトだとホントに深刻です。
 ところでこのアンプを分解するにはノブをはずす必要があります。ノブは6角のイモネジで固定されていますが2個がおバカになっていて取り外せない。多分レンチがないので適当なドライバーでこじった結果かと。
 小さなことのようですがアンプが分解できなければ修理できないわけで実は深刻な問題なのです。対策としてはドリルで揉んで新たなねじ穴を切るなど考えられますが、繊細なフロントパネルを傷つけずにできるかは自信なし。
 今回はなんとかパネルをずらすことで分解することができてほっとしています。この状況を見てもこの個体が冷遇されていたことがわかる。かわいそうな境遇に(自分のことは棚にあげて)悲しくなる。せめて工具はなんとかしたいところ。



 
 電源部にかかります。かなりごちゃごちゃですがJBL SA600は整流ダイオードは電源トランスにくっついているのでこれでもまだマシです。

 2階部分はメインアンプの初段とドライバー段の電圧カサ上げ部分です。めくってみると

 、、はっきりいってひどい半田付け。メンテの手がはいっている。ブロックコンデンサーは4500μF単品がプラス側、マイナス側でパラ接続されています。パラの一方が交換されている。
 4本とも一旦外してチェックしてみると、、使えそう、、。卑しい考えが巡る。。結局ブロックコンデンサー4本はそのまま継続使用。

 配線は整理してアース母線らしきものを張りました。それにしてもリード線の細いこと、、。極太スピーカーコードなんかバカバカしくなるほど。電圧を測定するとプラスマイナス上手く行ってる様子。ここからの電力は終段に送られます。またプラス側は再度平滑されプリアンプに送られる。JBL SE400Sの電源シャーシと共通と思われます。プリ用平滑ブロックコンデンサーはJBL SE400Sでは必要ないので穴が空いてました。
 電圧カサ上げ部のチューブラーコンデンサーは6V1000μFなのですが25V1000μFが入手できました。ほぼ直径は一緒。場所がないので大きなコンデンサーは無理です。今回100個(!)購入した。16台ほどメンテできる。。

 実は100個で1000円(!)です。世の中なにか間違ってるような気がする。。赤いの巻線抵抗ではなく合計9000μFの電解コンデンサーとパラのフィルムコン。

 1個10円の「世界のELNA」と交換しました。フィルムコンはちょっと位置を変えて電解コンとパラに繋いでいます。ついでに配置を整理してみた。ラグ板からプラスマイナス6系統の供給がされます。

 予定ではもっとスッキリさせるつもりでしたが力及ばず、、。でも6系統の電圧は正常に供給されるようになりました。これからアンプ部にかかります。

 県北への出張の帰り道は伯備線と同じルートのR180を南下します。夜道を走っていると左後ろから気配を感じ前方が明るく照らし出される。。キター!!「サンライズ出雲」がZE1インサイトに追いついてきました。寝台特急は山道を大蛇のようにゆっくりと走ります。しばらく併走。ラッキー!

 大雨でしたが幸せな時間を過ごすことができました。帰宅してからメインアンプ部のコンデンサーの交換

 実際は思いがけないトラブルがあったりで少し手間取りました。トラブルの内容は、、フロントパネルのスイッチの関係で一時音が出なくなってて焦りました。。またアンプの入力タンタルコンデンサーは要注意でここはぜひ交換。というかすべての電解コンデンサーを交換した。基板の脱着は楽で助かります。メインアンプ初段の接地は信号のアースと共通のようでこれも意外です。なんとかコンデンサーの交換終了。
  
 夜中(午前3時40分ころ)突然サイレンが鳴って緊急放送。。大雨で崖崩れの心配があるための避難指示。避難場所は車でしか行けないちょっと遠くの小学校。「ここは安全」と思ったので避難はせず。一緒に住んでる娘はびっくりしてスマホで市のホームページを見たが情報は見当たらず。窓からご近所の様子を伺っていたがだれも行動を起こさないのでまた寝た!と。翌朝ニュース映像を見たら避難場所の体育館が写っていたがだーれもいないという衝撃的な絵。。被害が出れば行政の対応が遅いと非難の嵐。早めの避難を呼びかけると(非難を避けるためもあるかも。いや失礼しました)だれも応ぜず。。いろいろと考えさせられます。

 メインアンプ部が完了したところで一度組み立ててみます。

 CDプレーヤーとスピーカーを接続してみると、、あれあれ片ch出力しない。。プリアンプ部が問題なようです。これで調子良ければプリ部はオミットかと思ってましたがそう甘くはないみたい。
 回路図とにらめっこしてみて音量調整ボリュームに信号を入れると両ch出力されます。しかし音質は異なる。やっぱり手抜きはできそうもない。。
 この場所に信号を入れた場合はそれより後段にあるトーンコントロールは効くはずですが不良chの方はノブを回しても反応がないしゲインも低い。(もう一方chは動作する)ということはこのあたりの能動素子が逝ったか。。

 全く出力されないことから原因はボリュームの前段のQ4というトランジスターと推察。早速マニュアルにあった電圧を測ってみる。上のパネルを開けた状態だとプリ基板はプリント面が見えますが(部品は裏側)基板面にトランジスターの記号は書いてあります(足名は無いけど)。
 テスターを当てると両chで少し異なる程度?ところでプリ基板を完全に露出するには裏の名板をはがさないとダメだと思ってましたが正解は基板上のネジをはずすと基板のみ外れます。(タップが切ってある)

 ということは中央の入出力板の固定ネジも外さなくていいということ。ACジャックまで分解して外したのは徒労。筐体の構造については暴言失礼しました。
 トランジスターは色分け塗装してあって銘柄はわからない。各段違った色なのですがなぜかイコライザーは同色(PNP,NPN混ざってるのですが、、)


 Q4からバランスボリュームに信号が入ります。ここは電解コンデンサーで区切られてるのでこの出力をメインアンプに放り込んでみます(ボリュームは効かないのでipodの出力に気をつけて)。

 なんと両ch正常のようです。なぜ音がでないのか??っと間違いです。Q4への入力に接続してしまった。音が出るのは当たり前。。改めて出力からバランスボリュームに繋がる電解コンデンサーから信号を取り出すと、、両ch出力される!よかった、、Q4は無事です。
 ところがボリューム端子から出力しないのです??やっと原因の一つがわかりました。

 プリント基板の箔とバランスボリュームの足が導通していない。箔に亀裂があったようです。目視ではなかなか分からない。プリント基板はやっぱり好きになれないなぁ。。これでめでたく両ch出力するようになりましたがここからが本題です。プリ部の後段の修理にかかります。

 トーンコントロール後のQ7に見当をつけて左右chの電圧を測ってみて表記と異なる側をはずしてみる。

 アナログテスターを当ててみると全く導通がない。ここはアウト。このTrは銘柄が「12592」と読めるが検索しても不明。。
 トランジスターの銘柄が分からないのはどうするか、、また交換するコンデンサーを手配しなくてはいけません。ざっとリストアップしただけでプリ部で32個必要です。1個10円なら320円で済むけど。
 、、適当に見繕って注文しました。しばらく待つことにします。

 JBL SA600のプリ部の回路図(別バージョン)

 部品表です。Q7トランジスターに書いてあった「12592」とはJBLパーツNo,とわかりました。

 この部品表ではNPNとPNP2種類しか使われていません。そして「12593」になっている。しかし回路図内の部品表ではQ3,4,7,8が「12909」でまた異なる。ということはJBL SA600は途中でトランジスターの変更があったようです。ローノイズを重視してたが途中で必要の薄いアタリは耐久性重視になったか?

 数日かかって注文品が届いた。トランジスタは「2N3904」

 汎用のトランジスター2SC1815とほぼ同規格。驚くのは価格。10個で120円、送料込み!、ホントです)来たのは11個で1個オマケだそう。コンデンサーもトランジスターも数円〜10円台。正直あまり嬉しく無いし少し不安になる。話題の中華アンプが3000円台というのも(ステレオで)。3000円で夢の世界につれていってくれるのだろうか?
 基板のパターンの関係で電極の位置は大切。とりあえず取り外していたQ7の穴に半田付けしてみる。。まさかの復帰せず。。電圧も交換前と変化なし。しょうがないのでQ8も交換したら。。うまくいきました。外したQ8も破損を確認。Q7,Q8両方とも昇天していたことになる。とにかくこれで左右の利得差は無くなり、トーンコントロールも効くようになって一安心。
 これから修理の最後で一番手間のかかる作業のプリ基板の電解コンデンサー交換にかかります。

 まとまった時間が取れないのでそして興味があるのでキーパーツと思われるところを少しずつ変えて聞いてみます。まずQ4とQ5の入力です。特にQ4の前にあるバランス、メインボリュームの入力には1μFのSPRAGUEのタンタルコンデンサが入ってますが

 向かって右側です。左はQ5の入力電解コンデンサ10μF。メインアンプの入力部にも使われてますが劣化が激しい。電圧はかからない部分ですがタンタルコンは電解コンデンサと比べても寿命は短いと思われます。可愛らしい赤い米粒みたいなのと交換。ちなみにメインアンプは2μFなのでパラにしてます。

 この2ヶ所の交換だけで大げさに言えば「激変」します。「激変」とは誰が聴いても違いがわかる時に使う表現。もうこれでいいのでは、、という誘惑に負けないようにもう少し進めよう。

 仕事が早く済んだので夕食後に電解コンデンサの交換をした。


 20個ほどだから部品代は300円はかからない。早速試聴すると、、予想通りのくっきりはっきり。ベールが数枚剥がれた音。
 これでまた組み立てるわけですが一つ気になることが、、JBL SA600,JBL SA660共にフロントパネルのトグルSWがぐらつく事が多いのです。この個体も2本が。分解すると

 レバーの下にスライドSWがある。レバーの軸がプラスチック製でここが摩滅もしくは破損してぐらぐらになる。このアンプのレバーも2ヶ所で一方と両方の軸部分が破折していた。(作業中、外した時に破損させたのかもしれない)
 軸部分に極細ドリルで穴開けて細いネジをねじ込んで

 両方軸折れは貫通させて取り付けて

 このスイッチのふらふらは気になるところだったので治って良かったです。
  
 かなり構造に慣れてきたと言ってもやはり組み立てるのは時間がかかります。これでしばらく聴いてみましょう。

 新鮮だけど硬い音。パリパリの生野菜のような。分解してる時はトーンコントロールの位置がはっきりしなかったので中央での試聴の印象。ほとんどのコンデンサーが新しいので当たり前か。イコライザーは手付かずなので今回も特性は測定せず。(正直次第に億劫になってきました。可聴域外で発振しているたらどうしましょう?)
 途中JBL LE8Tを破損させたりとトラブルも多発でしたが約2週間ほど楽しんで修復する事ができました。(このトラブルですがメインアンプ基板の初段の接地が浮いたのが原因です。メインアンプ単独で動作させる時は入力のアースに注意が必要です)
 細かいところまでよく聞こえる。タンバリンを振るジョージ・マーティンの手の動きが見えるよう。しばらく聴き込んでみることにします。

 JBL SA600の修理は終わりました。
 お読みいただきありがとうございました。


 後日談 1
 しばらく稼働させてましたが問題がでました。trebleを最大にしメインボリュームを上げると両ch発振するというもの。プリ部の電源コンデンサーを増設しても変化なし。オシロスコープにプリ段を接続しても著変は認めず。プリ部の出力をJBL SE400Sに入れてみると

 RCA変換コネクターが見当たらなかったのでミノ虫クリップ、、。この接続だと問題は出ない。てっきり交換したプリ部のトランジスターのhfeが高すぎるのかと思ってましたが原因はメインアンプ部?

 まず未交換だった電源部ブロックコンデンサを疑ってみる。+ー各々に8000μF、プリ部にも1000μF仮増設してみるが発振は相変わらず続く。(しかしやはり電源コンデンサの増設は音質的には変化あり(「当たり前だ!」の声が聞こえる、、)。
 
 両ch発振ということで電源だと確信してたので残念です。プリとメインを繋いでるRCAプラグを抜いて、左右入れ替えたりして確認するがRCAプラグを抜いたchも発振したりで何処に原因があるかわからない。原因を絞り込めない。
 やはり交換したトランジスターのhfeが高すぎるのが原因な気がするので改めて取り外して手持ちのものを含めて選別してみる。

 hfeの測定できる古いテスター。前回校正に出したら「古い機種なのでこれが最後です」というメモが入っていた。事実断られた事もあります。古いものばっかり弄っていると「何事にも寿命がある」ということを忘れてしまうことがある。
 11個でのばらつきは70から180。何回か測定して低い値の2個を再度搭載。しかし変化なし。
 続いてQ8のベースに発振止めの抵抗を入れてみる。数値を変えて2種類ほど行ったがやはり変わらず。
 エミッタフォロアーの発振対策の記事を参考にエミッタ、アース間にフィルムコンデンサを入れると一応発振は抑え込むことができました。しかし釈然としない思いは残ります。

 オシロスコープで異常発振がないか確認して蓋を閉めました。

 その後違う方法で発振対策してこのコンデンサーは取り除きました。しかしほとんどコンデンサーは替えたのですが、しばらく聴いているとチリチリ音がたまにする。交換をケチった電源の電解コンデンサーがチリチリの原因かもしれない。

 

 後日談 2
 発振は収まったが右chのガサガサ音続く。色々と操作してみて傾向を探ると
  ・Line入力で信号が入っているポジションで発生、入ってないとこは発生しない。
  ・テープモニタースイッチをONにすると消えるがその時に大きなノイズが入る。
  ・phonoとtapeにすると発生する。切り替える時に大きなノイズ。

 プリからメインへの接続コードを入れ替えるとch移動するので原因はプリの左chだということは確定。電源の電解コンデンサーではなさそうでホッとする。
 スイッチのON,OFF、切り替えでノイズが発生することからDC漏れが原因と目星をつける。前回交換していなかった電解コンデンサー、タンタルコンデンサーなどを交換するも症状は変わらず。スイッチでの電位は結構あるのでこのあたりから追っていくと、、前回交換したタンタルコンデンサーが怪しい。。

 この2本足のタコさんのようなタンタルコンデンサーは1μF15Vだが両chともDC漏れを起こしていた。タンタルコンデンサーは電解コンデンサーと比べても寿命が短く、耐圧にシビア、、などと聞いたことがあるがそれでもちょっと意外です。信号の通路の主だったところは使われているのでやはりこのコンデンサーは要チェックです(それにしても交換したのがアウトとは、、)
 早速交換して改善を確認しました。
 

 後日談 3
  ボリュームを回すとノイズが出る時に原因として考えられるのはボリュームそのものの劣化以外でも「後日談 2」のようなDC漏れや異常発振がある。それらを除外してもなおガリガリ、チリチリいう時は新品交換を覚悟するが分解できる構造ならまず(駄目元で)やってみる。。

 この個体ではないがバランスボリュームを分解したところ。とても丁寧に作られていて接点は片chで4ヶ所(通常は2ヶ所)、両chで8ヶ所もある高級品。また摺動子を抵抗体に安定して押し付けるために軸を利用してボリュームの外側にテンションスプリングまで入れている。これでなぜガリオームになるのか、、と思うくらいの厳重装備。抵抗体が摩滅していたら厄介だがそうでなければ接点の清掃で回復することが多い。しかしケースの爪を起こすのはせいぜい3回くらいが限度でそれを越すと折れてしまう。こんな修理はプロは絶対にやらないだろうなぁ。





 
 

JBL SA600の修理(1)

2016-05-22 22:00:02 | JBL
 最高級(死語)プリメインアンプです。発表は1965年というから1回目の東京オリンピックの翌年という半世紀以上前の骨董。デザイナーはもちろんアーノルド・ウォルフ。

 JBL SE400Sで発表されたTサーキットと呼ばれるDCアンプにプリミティブなプリアンプを接続したものという解説が一般的。
 あくまでもデザイン優先のアンプでフロントマスクの美しさはもとより、リアパネルはJBL SE401から受け継いだもの。というかフロントパネルにプリアンプがくっついて、リアパネルにメインアンプがくっついた構造。したがってプリメインアンプに必要な入出力端子はなんと下側から取り出すというもの。
 分解してのメインテナンスのやり辛いこと!
 ツマミも高級。パネルとの隙間は同心円である必要があるため加工精度が求められる。

 フロントパネルはこのアンプの命なので取り外して保管。このように3分割のグタグタになる。ここはコネクターだろう!!、、と愚痴が出る。

 プリアンプ部。コンデンサーが大量使用。以前一部が交換された既往あり。

 リアパネルはヒートシンクを兼ねていて重量のあるキャスト。部品の配置はほぼ単品のメインアンプと同じ。




 こちらはJBL SG520プリアンプの回路図です。JBL SA600のプリアンプ部は簡易的なものと言われていますが、比べてみるとEQ段、ボリュームコントロール段、トーンコントロール段とほとんど一緒です。


 JBL SA600のマニュアルでもトランジスターの品番は公表されていない。現物を見ると全てモールドタイプなのでシリコントランジスターと思われる。でもなぜか塗装されていて品番がよく見えないのは困ります。
 JBL SA600は回路的にはJBL SG520とJBL SE400Sを合体させたものと考えて良いようです。(しかし個人的には大きな違いを感じていますので後述させていただきます)

 さて現在の状態ですが音は出るのですが電源スイッチを入れた時のノイズが酷く、DC漏れの可能性もあるため大切なスピーカーは接続できない、、という惨状。とりあえずスピーカー出力の電位を測ってみましょう。
 、、確かにDCが出力されますが半固定抵抗で調節できます。マニュアルでは±0.1Vが正常とのことです。半固定抵抗は外観はやはり劣化(サビなど)ありますのでJBL SE460の時と同様に分解整備してみます。
 どうしてもプリとメインの接続部を外さないと作業ができない。メインアンプの入力はRCAジャックになっていて外部プリを接続できる構造にはなっています。しかしシールドコードを引き込むスペースはなく猛者はケースに穴を開けていた写真を見たことがあります!潔く切断して作業開始。


 これで組んでみるとDC漏れは十分に規定値以内に抑えることができます。またノイズなども感じられない、、ということでこの個体もここまでの修理にしました。(修理というより単に清掃か)
 リアパネルです。後ろの美しさにこだわるのはスティーブ・ジョブズと一緒。

 問題の端子類です。銘板は両面テープで固定されている。今回古いのを苦労して剥がしてやりかえました。メインアンプのみ引き出すにはリアパネルを止めているネジ4本を抜けば可能です。

 ピンコードはアンプを直置きするとかなり曲げられて無理がかかるのでいつもかさ上げが必要なのです。美しくないんですけど。。

 この状態でしばらく聴き込んでみました。

 やはりJBL SG520 + JBL SE460とはニュアンスが異なります。一言ではより今風、現代的。
 静寂の中に広がる音場。いわゆるソリッドステートの音。普通の音。一定の水準のステレオコンポーネントであれば再現するのでは。機能が限定されて構造がコンパクトである事から一般的な音質の評価はJBL SG520 + JBL SE400SよりもJBL SA600単体の方が高いのも頷けます。

 故瀬川冬樹氏が初めてJBL SA600を聴いた時の衝撃についての記述はオーディオ史の銘文として紙面に幾度となく登場します。氏はMarantz #7を聴いてプリアンプを自作することをやめ、JBL SA600を聴いて仕事を放り出して寝食忘れてレコードを聴いて、マークレビンソンに陶酔したのち人生の終焉を迎えました。まだCDが発売される以前の時代です。ご自身でオーディオの黄金期を体験され冴筆で多くの人々に夢を見せてくれました。今なお中古市場の相場を見るといかにその影響が大きかったかわかります。
 晩年、ご自身のオーディオ遍歴を振り返った文章で「時代の先端を行く技術は常に後発に追い抜かれる運命にある」「一方でその個性を追求したものはそうはならない」という観点でMarantzとMcintosh製品を比較しています。現代(当時80年代)のMarantz#7の価値は何かと考えるとそれは「デザイン」。なんとクールな視点か。。でもそっくりJBL SA600にも言えるように思います。インダストリアルデザインの名器としての価値は他のJBLのアンプと同様に衰えることはないと確信しています。オーディオ評論家だった氏の多くのオーディオ遍歴の中で一番驚嘆したのはJBL SA600を聴いた時との事。50年後に当時の情景を思い浮かべながら夢の機器に触れることができて感謝です。

 お読みいただきありがとうございました。

 後日談
 内蔵のプリ部をJBL SG520に置き換えて聴いてみました。

 気のせいかゲルマニウムとシリコンの差を感じます。phono入力ではもっと違いが出そう。それよりもJBL SG520のS/Nの悪さが気になる。。(蓋外してたからかもしれないが)この個体はノーメンテだったので新たな課題が。。


 

JBL SE460の修理

2016-05-14 22:45:00 | JBL

 JBL SE400Sは画期的なアンプとしてオーディオの歴史に残る製品、という意見に異論はないと思います。発表された1960年代はまだまだ真空管アンプが主流であって、次世代アンプと言われたソリッドステートアンプは真空管をトランジスターに置き換えたような構成が多かった。トランジスターの特性を十分に生かした初めてのアンプで基本的な構成は現在でも変わっていないと言われます(実は現代のD級アンプはよく知らない)。出力は40W+40Wで当時としてはかなりの大出力だったがより高出力が求められて60WバージョンのJBL SE460が発表された。
 当時の試聴記事を読むとこの2種類のアンプの音は微妙に異なっており、それはプリメインアンプのJBL SA600とJBL SA660の違いにも表れているとのこと。
 JBL SE400Sのマニュアルや回路図などの資料は入手できるのですが

 JBL SE460("S"は付かない)は見当たりません。しょうがないので入手できるJBL SA660のメインアンプ部の回路

 電源電圧以外はほとんど同じですが初段の差動増幅部、NFBなどが異なっています。これはメインアンプとプリメインアンプの違いかもしれない。素子は同一かは実機を開けてみないとわからない。
 現在の状況は一応両chとも音はでますがホワイトノイズのような雑音が混ざります。今までの修理状況は不明です。JBL SA600、JBL SA660は各々JBL SE400S、JBL SA460に簡易のプリアンプを搭載しフロントパネルをリアーに回して新たに魅力的なフロントパネルをくっつけたものでデザイナーは当然アーノルド・ウォルフ。
 プリメインアンプの修復も控えているのですが底部にある入出力端子とも相成って複雑極まりない構造です。JBL SE460を十分にメインテナンスしてお勉強してその日に備えようという目論見。
 下はJBL SE400でフロントパネルのデザインは一緒で(カバーの塗装色が異なる)ロゴ見ないと見分けがつかない。

 しかし奥行きが異なります。これはJBL 400Sも同様です(カタログの仕様で確認)

 奥行きが長いのは電源トランスが大きいため。




 基板は片ch1枚づつでシンプルです。しかし電源ボードの裏には電圧かさ上げ用の(?)チューブラー型のコンデンサーが6個並びます。ここはナントしてもチューブラー型を探さなくては、、。
 外装、内部ともとても綺麗で手が入った形跡はありません。一般の売買では新同、ニアミント、極上といったところ。このまま何もしない、、という選択枝もありです。いい加減な修復は許されない。

 電源ボードの裏ですがぐちゃぐちゃの配置。ラグ板2枚に部品を渡してますがこれではブロックコンデンサーやチューブラーコンデンサーの交換が容易でない。美しいのが好きなJBLらしからぬ。ブロックコンデンサー用の大きな穴が開いてますのでここに複合コンデンサーを収めようとしたのかもしれない。途中で設計変更があったのか。(後にこの穴はJBL SA600などのプリメインアンプの電源用と判明)

 メインの基板は2枚ですが中央に向かい合わせでリベット固定(!)されています。ブロックコンデンサーもリベットでカシめてある。修理、交換はするなという意思表示なのか絶対に壊れないと思ってたのか、、。このリベットを外すかこのままで部品交換するかは迷うところです。ガラスエポキシ基板なので裏から光をあてると透けて見えるのでなんとかこのままイケるかもしれない。


 ケースを外してしばらく稼働させてみるとやはり片chにホワイトノイズが入る。片chということは電源ではないということでせっかく用意した電源のコンデンサーの交換は見送ることにします。メイン基板のパーツを爪で弾くと雑音が入る。いろいろと叩いて行くと初段のDCバランスの半固定ボリュームが怪しい。

 両chともノイズが入ります。とりあえず取り外してみました。


 カシメを外して分解してみると

 かなりの部品数で高級品ということがわかります。抵抗体は巻線です。摺動子と端子は経年変化で黒変している。

 コンパウンドで研磨しアルコールで洗浄してまた組み立てて再使用しています。また50年使えるでしょうか?

 トリーマを回してスピーカー端子にDCが出ないように調整。
 雑音は消えて快調です。動作も安定している。
 JBL SE400と比べるとやはりかなり異なる。急に解像度が上がって現代風の音。音場が広がってステレオ感が増す。
 これ以上何も必要はないのでは、はちょっとオーバーか。
 オールシリコントランジスターのコンプリメンタリのアンプは今や標準仕様ですが、電源のノイズ対策や保護回路もないというプリミティブな構成が逆に良い結果をもたらしているような気がします。電源が不安ならクリーン電源につなげばいいし。(賛否いろいろですが、、)
 今回は全く修理費用をかけずに完了してしまいました。集めたコンデンサー類は次回の修理に廻すことにします。オリジナル度の高いアンプだったのでこの対処となりました。

 お読みいただきありがとうございました。