Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Nakamichi 700 のメインテナンス(2)

2020-02-26 19:47:30 | カセットデッキ

 Nakamichi 700はその後オークションに出品してめでたくお嫁に行ったのだが出戻ってしまった。不具合の内容はゲイン不足と走行時の異音で早速確認すると確かにその傾向はある。しばらく放っておいたのだがまたメンテナンスのチャレンジをする事にした。「チャレンジ」というのは状況が改善できる確信がなくまた作業途中で部品の破損や紛失などで2度と復帰できなくなることが十分に考えられるため。前回のメンテナンス時にも危機に瀕したこと数回。。最後に通電してからすでに数ヶ月経過しているので改めてチェックすると再生、巻戻し、早送りともにロックせずボタンから指を離すとすぐに停止する。この症状は以前もあったが特に処置しなかったが自然治癒したような記憶がある。

 

 マニュアルを見ると巻き上げ軸からベルトでシマシマ円板が回ってLEDとフォトTrで信号を検出するらしい。テープを交換すると稼働することもあるのでこれは軸そのものの動きの不具合のよう。リッドを開けて観察すると確かに巻き上げが不十分なことがあってテープ巻き込みトラブル寸前になっている。この回路の検証は後回しにして異音のクレームがついたメカニズムから見ていく事にします。

 nakamichi 700にはモーターは2個搭載されていて一個はダブルキャプスタンと再生時の巻上げ軸、もう一個は巻戻しと早送り時の各々の軸を駆動します。軸への動力の伝達にはアイドラーが使われているのですが前回のメンテナンス時にはすでにアイドラーゴムが寿命で硬化していて交換となりました。純正パーツはもちろんないのでOリングを2個重ねて組んでいます。

 緑がその部分ですが2階建になっていてアイドラーが2個。今回外して見ると上のアイドラーゴム周囲の黒いよごれが均等に付着しておらずどうもOリング装着時にねじれた状態になっていたようです。またもともと硬いゴムなのとゴム部分の幅が狭くアイドラーの直径が足りないためにうまく動力の伝達ができない状態のよう。

 

 そこで内径20mm程度の他の製品に置き換えて組んでみると

 残念ながらゴムの幅が狭すぎて駆動先のプーリーまで届きません(同じことの繰り返し。何やってんだか、、)。再度ホームセンターでそれらしきパッキンを集めてみるが

 

 ゴムの幅を確保するためにできれば断面が丸いOリングではなく平らな方が良いように思う(もともとの形状は忘れた)。はまり込む溝幅の関係で厚さは2mmが限度で適当な既製品は見当たらず結局加工して取り付けた。最悪の場合はゴム板から切り出すことも考えてデザインナイフまで買って来たのだが出番はなかった。溝底に2本のパッキンを沈めることで内径を増やして大きめなパッキンを取り付けて外周は金工ヤスリで削ってサイズを合わせた。ところが再度組んでみると走行はスムースになったが異音にはあまり変化がなく他の原因がありそう。また下にある巻上げ、早送りのプーリーも結構異音がするためこちらも変更したくなりました。

 

 この状態で聴いてみるとメーターの振れは正常、ヘッドホン出力はもう少し欲しい感じですが音質は流石でしばらく昔の録音に聴き入りました。ところで今まで知らなかったのですがnakamichiのロゴと700のデザインはあのレイモンド・ローウィだと立ち読みしたnakamichi本に書いてありちょっと嬉しくなりました。(nakamichi 1000も彼のデザインなのか?  いやちがうだろう?!)

 ここまでで半日以上かかっていてその間に今回も部品のすっ飛ばしが3回ほどありその都度ピンチを招きましたが何とか発見、事なきを得ました。続いてアンプ部のメンテをしていきます。パーツリストから(アルミ)電解コンデンサとタンタルコンデンサをリストアップすると100個以上になります。全部交換すればいいのでしょうがぼちぼち進めていく事にします。

3 headなので入力信号と録音再生信号の比較ができる(当たり前だが録音再生信号の方が少し遅れる)ので聴感上の不具合を探ってみる。normal、CrO2各々のポジションのゲイン調整(裏面にある半固定VR)は最高にして比較すると、Line入力信号の聴感上のゲイン、メーターの振れは問題ないように見える。ダイナミックレンジもそこそことれているようだ。一方で録音再生信号はCrO2ポジションにするとRchのみメーターが跳ね上がり聴感上でも差が出る。2つのポジションの切り替え部にはタンタルコンデンサが使われているらしいのでまずこの辺りから手をつけようと思います。早速リストアップして秋月電子に注文しました。タンタルコンデンサの扱いはないようなので積層セラミックコンデンサと電解コンデンサ、ほとんど10円〜30円くらいで発送する人には同情する。。129個という大量注文にもかかわらず代引き送料の高さが目立つ。。タンタルコンデンサはこの当時の機器には多用されているがすでに過去の製品らしく発火などの危険も指摘されていて「ヒューズ内臓」などというのもある。知りませんでした。。

 積層セラミックコンデンサについては多くの意見があってオーディオ用には不向きというのが一般的なようです。タンタルコンデンサの扱いが少ないことからも今後は移行が進むものとは思いますがオーディオに不向きと言われるこのコンデンサが技術開発によって現在ではどうなっているのか?すこしお勉強しようと思います。古い真空管アンプばかりやってるとオイルコンとフィルムコン、電解コン以外はほとんど出番がない。

 大量の電解コンと積層セラコンが届いたが積層セラコン表示は老眼のジジイには小さすぎる。小袋ごとに中身を記入。

 

 裏から見えるこの大きな基板がメインボードで表から4枚の基板が基板コネクターで垂直に接続される。またこのボード上にもメーターamp、REC.amp 400Hz OSCが載るので基板ごとのモジュール化は十分ではなくとりあえずこの基板のみのコンデンサを交換した。表からの基板はかなりしっかりとフレームで保持されているがネジ止めなので着脱は容易であとから基板をはずしてゆっくり交換しようという魂胆。

 コンデンサ1個ずつ確認しながら交換したのだが残念ながら組み立て後にトラブル発生してしまった。強烈な発振、入力信号の左右レベルが異なる、ヘッドホンを差し込まないとメカが動かないなど不可解な現象多数。これには参ってしまったが原因は基板のシャーシへの取り付けの不具合だったらしく再度組み直したら解消した。

 nakamichi 1000ZXLはope ampを多用しているが700はメカの制御以外はディスクリートで構成されている。部品の入手の観点ではどちらが有利なのだろう?中古価格を見ると両者は10倍以上の開きがある。説明を読むと故障しているのが多いがはたして私のような素人が何とかできるものだろうか?webを見るとプロによる見事な修理事例が紹介されていていつも感心させられます。

 

 先日有名なWEフリークのI氏宅に遊びに行った。昔から愛用されているWE46のインターステージトランスの2次側が断線して交換したとの事、、やっぱり古いものと付き合うのは大変だ。手作りの昼食をご馳走になってお土産まで頂いた。

 これは中学校の技術家庭科の教材。製造元は山崎教育システムで学習(組立て)時間は8〜12h、一部ではあるが実際にプリント基板に部品をハンダ付けする。本体とは別にプリント基板と抵抗、コンデンサーが数個入っていて本番前のハンダ付けの練習までする。内容は手回し発電機、リチウムイオン電池(充電はUSBから)、乾電池、太陽電池をAM/FM(stereo)ラジオ、ライト、アラーム時計、USB電源(!)に供給で十分に実用品として使えそう。真ん中にあるチューニングダイヤルには遊星ギア(!)が組み込まれ(このあたりは結構組み立てが面倒だったりする)キューブスタイルとボンダイブルーみたいなサイドパネルの色彩が素敵で(カタログでは数色ある)チューニングダイヤル周囲の照明は受信すると輝度が変化する。手回し発電機は3相交流で整流、安定化される。同社のHPによれば価格は3800円程度で3.7V300mAhのリチウムイオン電池が含まれる。ほとんどの中学生には回路をすべて理解するのは難しいと思う。半世紀前の我々の時代と比べるのはナンセンスとは思うが当時は各班に別れて真空管ラジオだったか、、を作ったような気がする。当時既に真空管は過去のものだった。意外に当時の「裁縫セット」がまだ現在も生き残ってたりする。次の世代はbluethooth内臓になるのが間違いないところ。

 TVドラマ観ながら作りました。Iさんありがとうございました。