Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

アジアンベスパがやってきた!(1)

2015-05-28 11:27:06 | Vespa
 Vespaは映画「ローマの休日」でオードリーと(おっとヘップバーン)グレゴリーペックがノーヘル、二人乗りしてローマの街を駆け回る名シーンで有名。
日本でもTVドラマで松田優作が乗っていたりで(そういえば水谷豊のスバル360やバンプラ、ルパンⅢ世のフィアット500やクラリスの乗っていた2CVなどやはり乗り物人気は映像に影響を受けている)。
製造元のPiagioは軍需産業として以前より存在していたのですが第2次世界大戦直後の1946年にスクーターが発表され1951年のこの映画の人気で瞬く間に普及した。
 Vespaはイタリア本国以外でも特にアジアでの生産、改造が盛んで中でもベトナム、インドでは大量に扱われている(らしい)。「ローマの休日」で使われたVespa V30はいわゆるフェンダーライトで文字通りフロントフェンダーにライトが乗っているタイプ。
人気のこのスタイルにむりやり改造されたものが多く、日本にも輸入されてオークションではよく見かけます。
 ベトナムベスパの評判は決して芳しくなく(というか最悪。。酷評オンパレード)以前より興味がありました(Mか?)
 Vespaは台湾製125ccを先月まで所有していました。12V、CDI、人気のオールドボディで実用車としては最適か?と思わせる出来でした。タンクの整備やストレーナー付きコックの交換などしましたがほとんど軽整備で済みました。


 アジアンベスパは日曜日のお昼にやってきた。



とにかくデカイオシリ。













 アジアの風に吹き飛ばされそうです。日本は同じ「アジア」なのになぜここまでモノに対する感覚が違うのだろうか?興味深いです。
このアジアンテイストいっぱいのベスパを少しでも本国仕様に戻せるのだろうか?楽しみましょう。
今日はまだ6月1日なのに暑かった。。
部分的に分解、清掃をしつつ全体像をもう少し把握します。

バーハンドルの左側が特に錆びています。ここを持つ手の汗が染み付いている。エンジンかけたり押したりとシフトハンドルをさけてここを持ったのでしょう。前のオーナーもかなり苦労したか?

フェンダーライトですが鋳造品。リムも錆びてますがこのあたりは再メッキよりも一式交換したほうがよさそう。

白いサドル。支えるスプリングは結構錆びてます。またリアシートは小さな架台に載っている。架台は新規に購入しもう少し大きなシートと交換しましょう。色は黒で。
前部のサドルは外皮だけ変えるか?迷います。スプリングは交換。ボルトの距離は235mmのタイプ。確認してまた組み立てる。

エンジンカバーをはずすとリアライトの配線がなぜかむき出し。エンジンは始動するのですが回転が続かない。

このエンジンはキャブレター直結なので整備が楽。早速燃料ラインのチェックとキャブ整備を行った。エア吸入路に燃料パイプが、、?長いネジはアイドリング回転調整。その後ろにメインジェットとスロージェット。

エアフィルターはすでに寿命を過ぎてます。

キャブレターに入るワイヤー。上がチョーク、下がスロットル。ところでチョークはどうやって固定するかな、、。

シュラルドをはずすとエンジンヘッドのお目見え。

プラグは結構濡れています。シフトケーブルを少し調整しましたがまだダメです。どこに入っているかわからないような状態。でもエンジンは調子よく回り出しました。

夢中で触って日が暮れました。幸せな日曜日でした。
かなり過酷で複雑な環境で暮らしていたのでしょう。他人に言えない秘密をいっぱい抱えているか。











JBL SG520の整備

2015-05-03 12:38:05 | JBL

 有名なJBLのプリアンプSG520です。デザイナーはJBLパラゴンやSA600のアーノルド・ウォルフ。
 縁あって拙宅に来ました。実は同じ個体で2度目、いわば出戻りです。
 出ている間にプロの手によるメンテナンスを受けています。内容はアンプ基板の電解コンデンサーの取り替えでとても良好な結果だったとのことです。
久々の我が家での音出しでしたが残念ながら(一度は手放したのを恨んでいるのか)不具合発生。片CHに結構激しいノイズが混じる。
Trアンプに関しては全くメンテナンスしたことはありません。貴重なビンテージアンプを壊さないようにしなくては、、。
 一番気を使うのは絶版Trで、特にこのアンプはゲルマニウムTrを多用している関係で壊すと厄介です。またプリント基板の箔の剥がれにも気を使います。
 アンプ基板は中央のシールドを兼ねた筐体を挟んで2階建てです。プッシュSWにはランプが組み込まれこのランプ点灯のために別の整流回路があります。
 このアンプの意匠を決定づけるスライドボリュームは不良が多く発生しこのアンプも一度1ヶ所を交換しています。カップリングの電解コンデンサー不良によるDCのもれが原因と思われます。
カップリングコンデンサーは電解コンデンサーでフラットアンプだけで片CHで7個使われています。電解コンデンサーの音を聴いているようなものか??

 さてトラブルですが全く原因がわからない。ラインアンプからだというのははっきりしています。しょうがないので動作させながらパーツを爪で弾いてみると、ラインアウト真近の2N508からノイズが出ます。どうもこの付近が怪しい。
テスターで電圧を測定してみると定電圧回路の電圧が3V高い。あれこれテスターを当てているとバリっと音と共に静かになりました。。やってしまいました。貴重なTrを破壊してしまったみたい。
恐れていたことが起きてしまいました。ゲルマニウムTrの2N508のご臨終を確認。。
 あわててネットオークションで探すと数社出品しています。確か入手困難だったはずと思いながらも落札して待つ事2週間(UKはとにかく時間がかかる)。やっと届いた2N508は説明の写真とは似ても似つかぬ形状、やっぱりか~。

おまけに2N508ではなく2N5087です。とほほ、。
交換すると幸いにも音は出ました(とにかく良かった)。左右の音が違ってしまうことを考えて複数注文しています。でもこれは使いたくないので辛抱強く探すことにします。
 ところが再度問題発生。無事だったはずのもう片CHが低周波発振、まるでモーターボーティングです(最近多いなぁ)
これには困りました。トーンコントロールを動かすと周期が変わるのでこの部分をパスすると発振は治まります。しかし怪しいと睨んだコンデンサなどを交換しても一向に改善しない。
ほとほと困って以前この個体を整備された方に教えを請うと、、「他のSG520でも発振に悩まされた事がある」「基板から出ているワイヤーをシールドするなどして対応した」とのこと。
早速ワイヤーを振ったりつかんだりするもびくとも(?)せずに発振し続ける。やがてTr交換した方も発振するようになってしまいました。
そのうちに回路図と現物のトーンコントロールの接続が微妙に異なることに気づきました。メンテされた方はこの部分は触っていないとのこと。また片CHのBASSのスライドボリュームにはRが外付けされています。これはどういうことか??
トーンコントロール回路の入り口と出口には電解コンデンサーでしっかりと区切られているのでとにかく闇雲に触っているとBASSのボリュームの中点からアースするとおさまります。(理由はワカラナイ)
外付け抵抗を外し回路図通りに接続を変更しても安定しています。トーンコントロールもすべて機能する。対症療法でとにかく発振は抑え込む事ができました。
最初のノイズは不定期に発生することがありまた爪ではじくと治るパーツがあります。スチロールコンデンサーあたりが怪しい。これはもう少し様子を見ていずれ交換しようと思います。
2N508はデッドストックらしいのがebayで出品がありましたので懲りずにまた落札して到着を待っています。

 整備をしているといつもの事ですが次第に愛着が湧いてきます。SA600,SA660用はレプリカをよく目にしますがSG520サイドの木製ボードはなかなか見当たりません。
見た目が命(!)のアンプですので自作してみます。採寸してホームセンターで合板を切ってもらって突き板を貼って塗装しました。


ちょっとピカピカすぎます。やっぱり塗装は難しい。

 試聴中にノイズが混じるとフタ開けて基板上のパーツを爪で弾いてみる。と大抵はどのパーツでも基板でもバリバリ言います。そのうちEQ回路の初段の2N508がぐらぐらしているのを発見!点検すると基板からハンダが浮いていました。足を磨いて再ハンダ付け、、。っと治ったようです!
ライン入力のノイズなのになぜEQのトラブルが原因なのかは不思議ですが電源へ接触不良のノイズの混入によるものと解釈。
 phonoにしてみると左右chのホワイトノイズの出方がかなり異なっています。基板を見比べるとノイズの多いAchのTrが違うものに交換されています。。やっぱり半世紀以上経過したものですので色々な手が入っている。
絶版Trの入手は絶対不可能、、ではないようです。EQアンプは2N508 x2 2N2614x1の3石。がんばって探してみます。

 オークションに出品し一度は落札されたアンプが返されてきました。

UESUGI U-BROS1 プリアンプです。
実家に戻されたのは「バランスボリュームを右に回し切ると音が途切れる」というものでした。
音出しすると確かにそのような症状が出ることがありました。Youtubeに動画をアップした時には確認できませんでした。
説明が無かったとの指摘でしたので商品代金、送料、振込手数料を返却し送り返して(当然着払い)もらいました。
 毎度のことながらオークションでは出品する方がずっと気を使います。このアンプは1975年発売ですのですでに製造して40年経過しています(多分初期型と思われる)
UESUGI社のアンプとしては1800台売れたヒット作で先日ご逝去された上杉佳郎氏の初期の代表作。2階建基板にCRを配置し、真空管は筐体に固定し配線している。ちょっとJBL SG520と似ています。
外国製品のような妖艶さ(?)は感じませんが、高価なそして日本製品特有の堅実さがあります。RCAにプラグを差した時やロータリースイッチ、ボリュームを回した時などに。
ガリオームのクレームで戻ってきたのは全く残念な事です。40年も経過すればやはり部品の劣化は避けられない。私たちは価値あるオーディオ製品をメインテナンスし、稼働させることでビンテージオーディオを楽しんでいます。
一方で不特定の方にそのような(古い電気製品)を売却することは大きなリスクを伴います。音が出ないなどはまだいい方で出火、漏電、爆発(!)と悪く考えればキリがありません。
入手された方がそのような状況を認識されて私達と同じように製品に接していただければいいのですが。。やっぱり都合の良い幻想でしょう。
ノークレーム、ノーリターン、ジャンク扱い、などはなるべく書きたくなかったのですが自分の身を守るためには必要なのかもしれません。

 この個体は正面から見たときにウッドケースの縁が薄いのが特徴です。(他では見たことがない)BRAUNのスピーカーもそうですが額縁が薄いのは個人的にはとても気に入ってます。JBL SG520も正面からは見えません。オートグラフも見えるところはほとんどサランネット。

 しばらくUESUGIプリアンプを楽しんでまたJBL SG520に戻すと、、Bchから音が出ません!
また何処かの接触が不良になったか、などとのんびり構えて(オークションでは許されないなぁ)いじってみましたが一向に回復しない、、。入力を変えても同じ。嫌な予感がします。
基板を外すのにも慣れてきました。

素人の悲しさでどうやってチェックしたらいいか分からない。とりあえずパーツと基板を触ってみる。(プロはどうするのだろう?)
人体によるシグナルトレースを行うと3段増幅のラインアウトの2N508をさわると大きなノイズが出るのでこの段は正常動作している様子。ライン入力なのにEQを触ってもノイズが出るのは不思議。。
そのうちトーンコントロール直前の2N3215がえらく熱くなっているのに気づく。(写真の左側の大きなTr)ところでこのTrはラインアウトの終段(写真の右端のTr)と一緒のはずです。
あーやっぱり交換されて違うのがついている。2N3215もゲルマニウムTrです。電源落として冷えると暫くは回復するがそれも一瞬でまたダウンする。低周波発振もここが問題かもしれない。
ebay見たら出品されています。当時物が来ることを祈りつつ落札しました。
2N3215 VCE=-30V,PC=14W,IC=5A,fT=300kHz




英国から届いた2N508 モトローラ製です。JBL SG520の古いモデルには黒色のGE製が使われています。

まともなのが来たようでほっとする。
早速入れ替えました。かわいそうな(?)2N5087となぜかEQに入っていたTrと。

2個交換してAchはすべて回路図通りのTrとなりました。phonoポジションのホワイトノイズもかなり軽減しました。増幅率がかなり異なるTrだったようです。
ところで今はBchも正常稼動している、、、。でもパーツが届いたら当然交換します。その他気になる抵抗もあります。

モトローラの2N508が到着した翌日に本命が来ました。。

GE製2N508ブラックヘッド(勝手に命名)です。運良く5個入手できました。JBL SG520には8個使われています。これで暫くは大丈夫でしょう。
2N508はEQの初段と次段、ラインアンプの初段とトーンコントロールを受けるアンプの初段に使われていてこのアンプのマサにキーパーツ。
「電解コンデンサーの音を聞いているみたい」などと悪口を叩きましたがゲルマニウムTrでDCアンプを構成するのはなかなか大変(安定度などで)みたいです。にもかかわらずこのアンプが愛されるのは意匠以外でも魅力があるからと。
ゲルマニウムTrで必要以上に大きなTrを使ったのは耳で聞きながら素子を選んだのでしょう。翌年の1965年にはシリコンTrのTサーキットのSE400Sが登場します。その後もJBL SG520は結構長い間作り続けられたわけで回路変更は無かったし改良バージョンも出されなかった。
残念ながらJBLはアンプ部門を止めてしまうわけですがもし作り続けていたら、、興味は尽きません。(ホントは作ってました)

1980年に発表されたJBL SG620です。今となってはSG520よりもレアです。でも人気は今ひとつでいかにオーディオ機器はデザインが大切かを証明した(?)アンプ。


こちらはJBL SG520です。



整備途中ですがJBL L75 MINUETを繋いで聴いています。メインアンプは同じくJBL SE460。
かなり硬化したランサロイゴムエッジのLE8Tです。新旧LE8Tは様々なエンクロージャーで聴いてきましたが、、これは!!よく鳴ってます。
JBLだし同世代(MINUETは1966年発表)だから当たり前?LE8T独特の高域の癖がほとんど感じられません。これならランサー101なども相性良さそう。

USAから届いた2N3215(semiconductors)です。箱入り!

箱の中にはさらに3つのパッケージが入っています。

本体、ネジ類、マイカ

貴重品ということがこれでもか!と伝わる。いつ頃の製品かわからないが2015年まで保存されて激安で販売されるとは、、。

 Bchの異種Trを2N3215に交換しました。対症療法の発振対策配線も外しました。問題なく稼働します。よかった。

日常的に使用して様子を見ることにします。

、、やっぱりBchが不調です。正常動作していて時間が経つと(どれ位かは未だ不明)音が出なくなる。根本原因は交換したTrではなかったようです。
ラウドネスSWを入れたら出なくなることもありました。フラットアンプ前段がやはり怪しい。
交換していなかったライン出力調整VRの電解コンデンサーを置き換えます。大きなフィリップス製と思われるもの。

激安コンデンサーはちょっと容量がオーバー、形も大きくなってぎりぎりで収まります。この美しいコンデンサーを見ると欧米を感じる。
現在は両ch正常に鳴っている。いつも音が出ないわけではないので困ります。

 午前中から10時間以上経過しましたが不具合は発生していません。何か進展があったらまた報告させていただきます。
お読みいただきありがとうございました。


後日談
テープモニターSWが不調だった可能性があります。下段の扉を閉めると自動的にOFFになりますがこの部分の不具合だったか?