拙宅のUHER CR240とCR240AVは両方ともに難があって稼働できていないのは前に書いた通りですがいつまでもこのままではやっぱりマズいのでとりあえずしっかり動く1台を組んでみることにします。無印とAVと何が違うのかよくわからないがまあ共通部品が多いだろうから適当にいいとこ取りしてまとめようと始めた。
外観は無印の方がよろしいが最大の問題として再録ヘッドが片ch断線している。AVは入力ボリュームが1本折れているし録音ボタンが無い。パイロットLEDも1ヶ所光らず。
どちらをベースにしようか迷ったがAVをメインに部品を移植しようと開始した。
まずつまずいたのは操作ボタン。5個のボタンの4個は同じ構造。録音ボタン1個がロックの関係で形状が異なる。
録音ボタンは長いスライドスイッチを操作していて動作も重いためスプリングも他に比べて強力。操作レバーの位置によって動きが制限される。その他のボタンはスティックに組み込まれたワイヤーと内部の小型スライドスイッチの横にセットされている樹脂パーツで動きがコントロールされる。ボタンを外すにはこのロックを外す必要があり内部の基板を外してアクセスする。無理すると受けの部分の樹脂パーツが破損する。
とても繊細で巧みな構造でボタンの動きが理解できるまでかなり時間を費やしてしまった。ロックしなくなってしまった原因は写真の2個並んでいる白い樹脂パーツの片方の内部が破損していた。
4個のボタンはスライドスイッチに直に接続するものと接続スティックを介しているものがある。厄介なのはスライドスイッチと接続スティックの接続部で、はめ込みだけの接続のようでロック機能はなさそう。この部分が緩んでしまうとボタンとスライドスイッチが離れてしまって機能不全となる。どうもAVはそうだったようで録音ボタンがなかったのもそのせいだったのかもしれない。解決するには新たなジョイントを設定しなくてはならずなかなかハードルが高そう。。
機構を理解せずに作業すると試行錯誤の無駄な繰り返しが生じて結果的にパーツを傷めてしまう事があり、とても繊細な機構に加えて経年変化による脆弱化も進んでいていじり壊してしまう可能性が高い気がする。分解マニュアルがあるわけではないので慎重に作業するかドナーで練習してからにします。
というわけであっさりベースを変更した。無印へパーツを移植することにします。
移植する前はカウンターのライトは点灯していたのに消えてしまった。麦球外して確認するも切れていない、、。回路図をみると
100基板と800基盤のランプは直列だった。800基板のランプはスペースの関係で外してある。それ以来消えていたことに気がつかなかった。どうするか後で考えましょう。
ヘッドブロックの交換がメインイベントだが
初めて気づいたのだがヘッドの形状が異なる。無印は普通の2chステレオだがAVは4トラックヘッドとなっていている。ブロックの形状などは同一なので移植して動作確認するとやはりうまくいかず動作が継続せず止まってしまう。
無印とAVはリールについているセンサーが異なっていてAVにはついていない。機構は不明だがヘッドの残りのトラックで情報を拾っている可能性が高い。
なぜシマシマセンサーが付いてないのに動きがコントロールされるのか不思議だった。ヘッドブロックのアッセンブリーの交換はできないことがわかった。
こうなったら再録ヘッドのみの移植しかない。
無印のヘッドとCR210のヘッド
リードの直出しなので使いづらそうなので他から調達してみる。
このヘッドはゴミになっていたカーステレオから取り出したリバース用でサイズは一緒。これで組んで音出ししてみると
ちょっと問題があったが正常動作した。しかし特性が違うのかとてもダルで全くさえない音になってしまった。カセットデッキのヘッドは同規格で造られているらしいのがわかったのはよかったがこれでは全く使えない。
仕方ないので(往生際が悪い)AVから
向かって右の「UHER」と書いてあるのがそうだがやはりオートリバース用の4トラックヘッドに見える。大きさは無印と比べて一回り大きくUHER CR210のヘッドとも異なっていて(多分)Bogen製。早速交換して聴いてみるとアジマス調整もしていないがとても良好。走行系も安定していて正直感心した。これならば不満は感じない。ヘッドに付属しているテープガイドは通常ヘッドは入り口のみ、オートリバース用は入り口と出口の2ヶ所に付いている。ということはオートリバースはもともとアジマス調整という作業が省略されているのかもしれない。ではなぜ一方通行ヘッドは片方なのか?(お詳しい方、よろしければご教授ください)
ところが録音されない。入力のDINコネクターの配線が間違っているのかなどしばらく原因を探し回ったが判ったのは鬼門の録音ボタンのS1スイッチ。録音ボタンは操作レバーがストップの時に押し込む事ができ、押し込んだままレバーを下に下げるとそのままの状態でpauseとなる。録音スタートする時は右方向に倒すと開始する。録音ボタンを途中まで押し込むと入力を感知する事がある。しっかりと押し込むと切れる。ということはスライドスイッチの位置とボタンのロック位置がずれているという事。
ロック金具を加工しなくてはいけないかと考えたが原因はボタンに固定されているスティックとS1スイッチのジョイント部分のずれだった。ボタンとスイッチの位置関係は基板を外して確認した方がよく(写真)、この部分は非常にデリケートで破損させると修復は非常に難しい。無理は禁物だし構造がわかると録音ボタンの扱いも慎重になる。。
これでようやく録音再生ができるようになった。しばらく聴いてみます。
チョン・キョンファのバイオリンリサイタルに行ってきました。2018 6/5(火)東京オペラシティコンサートホール
曲目はブラームス3番、フォーレ、シャコンヌ、フランク、アンコールでボカリースともう1曲 (写真はパンフレットから)
Deccaのブルッフを聴いて以来のファンだったが永く活動を休止していた時期があったりで偶然に見つけたコンサートだった。新宿からほど近い東京オペラシティというきらびやかな(自分には眩しすぎる)場所で1階の一番後ろから2番目の席。1500人以上のホールだと思うが一杯に広がる音色に聴き入った。フルコンのピアノに全く負けない音量は急遽変更とアナウンスされたグァルネリ・デル・ジェスで当初はストラドの予定だったらしい。また曲目や演奏順序も変更があってブラームスは1番から3番になっていた。
天才少女も御年70歳になっていたわけだが思い切って聴きにいってよかったと思う。故郷で行われた同窓会(遠方だったので今までほとんど参加したことがなかった)に出席した帰路でのコンサートです。解体直前の国立競技場にポール・マッカートニーを聴きにいった(ゲートで並んでいたら中止のアナウンス、翌年京セラドームでリベンジ)時も思ったが自分の人生に関わってきた人やモノたちにケジメをつけるというか一方的にお別れを告げるというか。東京で一泊した関係で代々木のウェスタンサウンドインクと銀座のシェルマン本店にも数十年ぶりに訪れることができて親切にしていただいてこちらもとても有意義だった。
もちろん人生はまだまだ続くわけだが(そうあってほしいが)自分の終わりを意識するようになったり悔いが残らぬように日々過ごすということも大病を経験したおかげかと。時間は有限だ。子供の頃はそんなことは考えない。
田舎にいる間に子供の頃に遊んだあたりをできるだけ歩き回った。
裏山の諏訪神社と途中摘み取って拾ったコンビニのレジ袋に入れた「木の芽」。一般に「木の芽」は山椒の芽だが、このあたりは「アケビの新芽」で非常に美味。山菜は苦手なものが多い自分だが「こごめ」と「木の芽」は大好物。早速ゆでて卵と醤油でいただきました。
帰省途中の新幹線にかかってきた奥様からの電話で「Hさん」が亡くなったことを知った。長くパーキンソン病を患いながらもオーディオや投釣り、バイクなど好きな事には体調を顧みずに貪欲に取り組む姿勢にとても感銘を受けた人だった。現在の自分は「Hさん」存在がなかったら全く違うものになっていただろうとと確信するほど影響を受けた。心よりご冥福をお祈り致します。
帰宅して途中だったUHER CR240を組み立てる。
まだ仮組です。国産のカセットデッキと比べてもミニチュアか(!)と思うくらい小型で美しい製品。
カウンターの照明が点灯しないのはカセットテープを照らすムギ球とシリーズで繋がっていて今はスペースの関係で撤去しているから、と書いたが何とかしたい。シマシマテーブルのセンサーである800基板のLEDとフォトトランジスターを小さいものと交換したい。小型のはCR210で使った余りがあるが高さは結構ある。そこで各々を削って高さを低くしてみた。
サンドペーパーで整形してコンパウンドで磨いて高径は半分くらいになった。これでちゃんと発光するか確認 大丈夫そうなので今までのと交換する。
LEDにヒシチューブを被せてるのは横への赤外線漏れを防ぐ目的。ところが残念ながらフォトトランジスターの方の感度が足りない。やっぱり削るのは良くない(当たり前だ!の声が、、)
そこで基板に穴を開けて削ってないフォトトランジスターを裏側から落とし込んで先端の位置を合わせて何とか動くようになった。 ムギ球も取り付けて
これでようやくフル稼働となった。ちょこっと移植すればいいだろうと軽く考えて始めた合体作戦だったが思いの外時間がかかってしまった。最後のLEDとフォトトランジスターの交換も以前は横方向からの光は入らない構造だったのが透明樹脂で覆われた形態に変わって漏れが生じるのになかなか気づかずに(CR210で経験しているのにもかかわらず)ウマくいかなくて悩んだ。
UHER CR210との比較だがCR240の方がやはり走行は安定しているように思うが決定的な差は感じない。CR210はオートリバースだが録音は一方向のみとなっている。これはやはり逆方向の走行は構造上の弱点があることの対策と思うしその方が事故が起こりにくいと思われる。ヘッドの違いからCR240とCR240AVの音の差もあるかと思うが残念ながら比較はできなかった。
日本で認知されているUHERのCRシリーズはCR210とCR240だけかと思うが試聴記事はCR210以外は見たことがない。両者とも究極のコンパクトさゆえの高い集積度で整備を困難にする。特に整備できないスペシャルなスイッチが破損するとかなり苦しい状況となる。後発の機器はこの点が改善されているのかはわからないがそうであれば入手するのも面白いと思います。何と言っても精密模型のようなデザインのボディは思わず撫でてしまいたくなるほどキュートですから。
お読みいただきありがとうございました。
追記 1
Youtubeに手持ち動画をアップしました。内臓スピーカーです。
https://youtu.be/E99TcV8MgWs
追記 2
やはり劣化するのはおもにLEDのよう。オートリバースがうまく機能しない、レバーを離すと再生が止まる、などの症状の場合にはまずここを疑ってかかる。赤外線LEDがスイッチONで光っているか(肉眼では見えないので)自作のテスターで調べて
これは異なる個体だがこれでLEDがダメだとはっきりしたら要交換だが適当なものが入手できない時は同規格の製品を改造してみる。頭を削って耐水ペーパーで磨いて短くしてヒシチューブを被せて赤外線の横漏れを防ぐ。
取り付けて改めて発光を確認する。実際には組み立てて走行実験しないと確認できないが幸いにウマくいった。部品の交換だけなので基板へのダメージも少ない。多分このあたりがCR210,CR240の最大のウィークポイントかと思うのでこんな方法で対処できるかと思います。