アンプ前面下部のターミナルボードは2本のネジで留まっている。はずすとソケットが見えます。オリジナルのレーシングが残っていて嬉しくなる。
WE91と違ってシャーシの隅を交流点火の捻ったヒーター配線が走っている。いたって常識的。後発のWE91の配線の評価はちょっと神格化されているのかもしれない。平滑回路に大量の電解コンデンサーを入れた事ですべてのノイズを軽減できると思っていたのかも?(「お前は解ってない!」という声が聞こえる)
抵抗が並ぶ基板もネジ2本はずすと
かなり(全て?)交換されている様子。なぜ交換したのだろうか?古い抵抗器が発するノイズはWE140Aのメンテナンス時に悩まされました。そういう状況だったか?
ネットからオリジナルと思われる抵抗ボードの写真を借用すると
このカラフルな抵抗器は古い業務機で見る事があります。
この両端が金属の抵抗器もメーカーは判らないが「WE100D」にも使われていました。
抵抗ボードの接続図と並べて見ると
抵抗ボードの裏はこのようになっている。
抵抗器の足が斜めに走っている。ボードの端子には番号が振ってあってパーツの入れ替えはマニュアル通り行えば職人技はいらない。。と思う。マニュアルも見た事ないが。。とりあえず全ての抵抗器は注文しておくことにします。
回路図の前段部分に振ってある番号は抵抗ボードの番号のようです。
回路図からWE262Aのトップグリッドは①が2段階、⑨が4段階、そして17が2段階の固定アッテネート回路となっている。そうすると抵抗ボードは固定アッテネートの設定ボードで構造も抵抗器や配線の接続が裏方にあり、表面にはジャンパーコードによる設定がなされる。減衰率は1段目 1:280/500 2段目 1:161/501 : 51/501 : 16/501 3段目 1:160/500 で16段階。 すべて最減衰した場合は-45dB程度になる。
抵抗器がまだ届いていないが(順番が逆だと思いつつ)すごい汚れの抵抗ボードを掃除して最減衰パターンのジャンパー線を取り付けた。また入出力のコード類の養生を行なった。ハーネスから伸びるコードはもちろん真空管ソケット、コンデンサーからの配線材もなるべく保存したい。よれてくる端を透明なヒシチューブでカバーしています。
抵抗器が来るまでできることをしておきます。
入力線がボードに接続される。ボード裏から3本のビニール被覆線で入力トランスに
周囲のシールド筒はパーマロイ製。すごい汚れなので接続線をはずして取り出して掃除
パーマロイシールド筒は薄板を丸めて幾層かになっている。なんとなく手作り感が漂います。なぜ蓋をしなかったのかと思うが単に面倒だったからかもしれない。ちなみに拙宅のMCカートリッジの昇圧トランスはステレオ、モノーラル合成も兼ねていますが、取っ手のとれた「片手鍋」に入っています。もちろん鍋にはアース線を接続しています。
コードを養生して再配線して取り付ける。WE261Bは200Ω:110KΩ 入力コードがヒーターコードを横切るがシールド線は必要なかった。
各部の電流を計測する1086AのKS7535メーター、残念ながら稼働しない。DCRは25Ω。
測定回路を切り替えるKS7493ロータリースイッチ、ダイヤルに長い軸で繋がる。回路は単純ですが測定するための抵抗器をロータリースイッチの左右に配していてこのアンプの一番混雑する場所になっています。このボビンに巻いたコイル状の抵抗器(まさに巻線抵抗)はWE91のメーター回路でも使われています。1個ずつ微調整しながら精密な抵抗器に仕上げるのでしょう。(WE91レプリカ製作時も入手できないか探しました)
厚いベークライト製バックプレートをはずすと接点が現れる。この接点板を外してお掃除しようとしたら、、あっちゃー!
なんと簡単に割れてしまいました。薄いベーク板ですがかなり脆くなっている。このベーク板を修復することは断念しました。端子でリード線を切除して取り外すと
摺動子が現れます。これも引き抜いて外す。
破折した部分を仮に組み立てて穴と溝の配置をコピー(手書き)する。端子を外す時にほとんど割れるのでそのままでなんとか行う。
もう一方の接点板を外すと多分割れるのでこちらはこのままで接点の掃除のみにしました。2枚は同じ板で向かい合っています。同じ位置の端子には抵抗器からの同色のリード線が接続されるので切断したところも間違えなくて済みます。
おっと!一番下の端子が抜け落ちている。配線は無いがこれでは摺動子が通過できずにロックされてしまう。適当なアルミ板を曲げて弾性エポキシで接着した。
そのうちこちらの接点板も再製しなくてはいけない予感がする。
近所のアマチュア無線のお店からベーク板買ってきた。ご主人は「珍しいのが売れた!」と。サンハヤト製300円。
コピーしたパターンを貼り付けて
レーザーカッターで(ウソ)切り出して磨いた端子を取り付ける。端子の足が折れないように注意しながら。
無事できました。と喜んでたら注文してた抵抗器が到着。
相変わらずキレイで正確な仕事です。バンテックさんありがとうございます。小口注文ばっかりですみません。
清掃、グリスアップ、取り付けて完了。上部の青赤のコードがアンプのターミナルボード⑤と⑥からメーターまでつながります。メーターの接続を外してテスターあててスイッチを切り替えて抵抗値を確認しました。ごちゃごちゃしているイメージですが実際はかなり整理されていてわかりやすい。このKSの巻線抵抗には信号が通ります。さぞ良質なものかと思う。
晩御飯作りながら抵抗ボードにA&Bを並べる。
ロータリースイッチを固定してないが通電してみる。KS7535メーターはめでたく復活しました。
この状態で試聴してみますと
一聴、うまく動作してくれている様子。。なるほど。。正直感心した。。音が太い。一般に言われている直熱三極管のイメージとえらく違います。なおかつ細かいところまで聞こえる。
WE86Aの修復もあと一息、まだすることがあります。実はメインイベントなのです。