Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Western Electric 86 について(4)

2016-10-30 23:46:58 | Western Electric

 アンプ前面下部のターミナルボードは2本のネジで留まっている。はずすとソケットが見えます。オリジナルのレーシングが残っていて嬉しくなる。


 
 WE91と違ってシャーシの隅を交流点火の捻ったヒーター配線が走っている。いたって常識的。後発のWE91の配線の評価はちょっと神格化されているのかもしれない。平滑回路に大量の電解コンデンサーを入れた事ですべてのノイズを軽減できると思っていたのかも?(「お前は解ってない!」という声が聞こえる)
 抵抗が並ぶ基板もネジ2本はずすと

 かなり(全て?)交換されている様子。なぜ交換したのだろうか?古い抵抗器が発するノイズはWE140Aのメンテナンス時に悩まされました。そういう状況だったか?
 ネットからオリジナルと思われる抵抗ボードの写真を借用すると

 このカラフルな抵抗器は古い業務機で見る事があります。

 この両端が金属の抵抗器もメーカーは判らないが「WE100D」にも使われていました。
 抵抗ボードの接続図と並べて見ると
 
 抵抗ボードの裏はこのようになっている。

 抵抗器の足が斜めに走っている。ボードの端子には番号が振ってあってパーツの入れ替えはマニュアル通り行えば職人技はいらない。。と思う。マニュアルも見た事ないが。。とりあえず全ての抵抗器は注文しておくことにします。
 回路図の前段部分に振ってある番号は抵抗ボードの番号のようです。

 回路図からWE262Aのトップグリッドは①が2段階、⑨が4段階、そして17が2段階の固定アッテネート回路となっている。そうすると抵抗ボードは固定アッテネートの設定ボードで構造も抵抗器や配線の接続が裏方にあり、表面にはジャンパーコードによる設定がなされる。減衰率は1段目 1:280/500   2段目 1:161/501 : 51/501 : 16/501   3段目 1:160/500 で16段階。 すべて最減衰した場合は-45dB程度になる。
 抵抗器がまだ届いていないが(順番が逆だと思いつつ)すごい汚れの抵抗ボードを掃除して最減衰パターンのジャンパー線を取り付けた。また入出力のコード類の養生を行なった。ハーネスから伸びるコードはもちろん真空管ソケット、コンデンサーからの配線材もなるべく保存したい。よれてくる端を透明なヒシチューブでカバーしています。



 抵抗器が来るまでできることをしておきます。
 入力線がボードに接続される。ボード裏から3本のビニール被覆線で入力トランスに



 周囲のシールド筒はパーマロイ製。すごい汚れなので接続線をはずして取り出して掃除
 
 パーマロイシールド筒は薄板を丸めて幾層かになっている。なんとなく手作り感が漂います。なぜ蓋をしなかったのかと思うが単に面倒だったからかもしれない。ちなみに拙宅のMCカートリッジの昇圧トランスはステレオ、モノーラル合成も兼ねていますが、取っ手のとれた「片手鍋」に入っています。もちろん鍋にはアース線を接続しています。

 コードを養生して再配線して取り付ける。WE261Bは200Ω:110KΩ 入力コードがヒーターコードを横切るがシールド線は必要なかった。

 各部の電流を計測する1086AのKS7535メーター、残念ながら稼働しない。DCRは25Ω。

 測定回路を切り替えるKS7493ロータリースイッチ、ダイヤルに長い軸で繋がる。回路は単純ですが測定するための抵抗器をロータリースイッチの左右に配していてこのアンプの一番混雑する場所になっています。このボビンに巻いたコイル状の抵抗器(まさに巻線抵抗)はWE91のメーター回路でも使われています。1個ずつ微調整しながら精密な抵抗器に仕上げるのでしょう。(WE91レプリカ製作時も入手できないか探しました)



 厚いベークライト製バックプレートをはずすと接点が現れる。この接点板を外してお掃除しようとしたら、、あっちゃー!



 なんと簡単に割れてしまいました。薄いベーク板ですがかなり脆くなっている。このベーク板を修復することは断念しました。端子でリード線を切除して取り外すと
 
 摺動子が現れます。これも引き抜いて外す。

 破折した部分を仮に組み立てて穴と溝の配置をコピー(手書き)する。端子を外す時にほとんど割れるのでそのままでなんとか行う。

 もう一方の接点板を外すと多分割れるのでこちらはこのままで接点の掃除のみにしました。2枚は同じ板で向かい合っています。同じ位置の端子には抵抗器からの同色のリード線が接続されるので切断したところも間違えなくて済みます。

 おっと!一番下の端子が抜け落ちている。配線は無いがこれでは摺動子が通過できずにロックされてしまう。適当なアルミ板を曲げて弾性エポキシで接着した。

 そのうちこちらの接点板も再製しなくてはいけない予感がする。
 近所のアマチュア無線のお店からベーク板買ってきた。ご主人は「珍しいのが売れた!」と。サンハヤト製300円。

 コピーしたパターンを貼り付けて

 レーザーカッターで(ウソ)切り出して磨いた端子を取り付ける。端子の足が折れないように注意しながら。
 
 無事できました。と喜んでたら注文してた抵抗器が到着。

 相変わらずキレイで正確な仕事です。バンテックさんありがとうございます。小口注文ばっかりですみません。

 清掃、グリスアップ、取り付けて完了。上部の青赤のコードがアンプのターミナルボード⑤と⑥からメーターまでつながります。メーターの接続を外してテスターあててスイッチを切り替えて抵抗値を確認しました。ごちゃごちゃしているイメージですが実際はかなり整理されていてわかりやすい。このKSの巻線抵抗には信号が通ります。さぞ良質なものかと思う。
 晩御飯作りながら抵抗ボードにA&Bを並べる。



 ロータリースイッチを固定してないが通電してみる。KS7535メーターはめでたく復活しました。

 この状態で試聴してみますと

 一聴、うまく動作してくれている様子。。なるほど。。正直感心した。。音が太い。一般に言われている直熱三極管のイメージとえらく違います。なおかつ細かいところまで聞こえる。
 WE86Aの修復もあと一息、まだすることがあります。実はメインイベントなのです。






 

Western Electric 86 について(3)

2016-10-23 14:48:15 | Western Electric

 86で初めて使われた電解コンデンサーはエアロボックス製が8本。7本が8μF 耐圧は不明だが500V以上は必要。もう1本は8μFx3でこちらも耐圧は不明。7本中4本はパラ接続で16μFとして、3本は単独で使われた。搭載されていたエアロボックスではない8μFの電解コンデンサーには1951年8月の記載があるのでオリジナルが1935年とすれは16年経過して交換されたことになる。当時の電解コンデンサーの寿命はこんなもんだった(と思います)。明らかに変形したコンデンサーを外して測定してみる。

 すると500Vの漏洩は少ないものの、容量が激減しているものが多いことがわかりました。意を決してすべて外して測定することにします。コンデンサー除去する前に何枚も写真をとっておいて



 これだけアウト。使えそうなのは2本のみ(65年前のものだからこれでもすごい)。もともとオリジナルではないのですべて交換することにします。
 
 改造されたシャーシの穴は大きくて手持ちのロックナットのコンデンサーはそのままでは装着できないのでアダプターを作ることにします。とにかくきちゃないので掃除に追われる。マスクは必須でアルミ粉を吸い込まないように。そういえば今は当たり前のアルミシャーシもはじめての試みだった。
 適当なアルミ板切って採寸して穴を開けます。あんまり厚いと大変なので1mm。
 


 この大きな電解コンデンサーは16μF。新品ですが結構古い。1本ずつ100Vから徐々に電圧を上げて絶縁抵抗を確認しています。なんとかいけそう。もう1本は3つの端子がある複合コンデンサー。さてどうするか。。
 元々装着されていたコンデンサーを切断、分解して、中身を取り出して

 本体アースを含めて4端子が必要。適当な電解コンデンサーを接続してまた組み立てます。

 前段3本のパスコンでオリジナルはいずれも8μFですが適当な値のコンデンサーを入れてます。実はしょぼい舞台裏。





 県北の出張でいつも散歩する山の上の公園から、あさのあつこ氏原作の映画「バッテリー」のシーンでも使われた景色です。

 、、と思っていたのですがどうも私の勘違いのようです。すみません。もうすっかり秋深し、冬近しの趣き。このあと急な土砂降り。。

 コンデンサーの取り付けが済みました。

 リード引き出しなので端子を設けないと配線できない。中央にラグ板を立てました。一応接続を考えてみます。


 帰省ついでに「ブラタモリ」でも紹介された「高尾山」に登ってきました。途中にあった見事な彫刻。


 帰路で東京駅の東海道新幹線ホームに行くと、、もしや、、、

 思わず小走りになる。。

 おー!初めて見た。「ドクターイエロー」だ。 ラッキー! 黒山の人だかり。。

 帰宅して配線を点検して

 電源を恐るおそる入れてみる。。ちゃんと鳴ります。とにかくよかった。B電源電圧は404V カソード電圧は68.5V、前段の電圧もそれなり。どうやら正常に働いているようです。聴感の違いとしてはまずハムが気にならなくなりました。これならなんとかなりそうなレベル。思い切ってすべての電解コンデンサーを取り替えてよかったです。使用したコンデンサーは新品ですが製造して半世紀経っているもの。慎重にランニングインしないと虎の子のWE274Aがダメージを受ける。時間がかかったが良かったです。

 コンデンサー周辺の結線図

 チョーク後のコンデンサー容量を32μFに変更しています。この部分の振り分けが異なっている。オリジナルのコンデンサーの配置、結線はとても整理されていてわかりやすい。同型のコンデンサーが入手できればメンテナンスもしやすかったと思われます。しかしこの個体は異なる形状のコンデンサーを採用したためシャーシ加工が必要だったわけで。

 ようやく電源回路が済んだのでこれから前段部分にかかります。


Western Electric 86 について(2)

2016-10-22 00:06:41 | Western Electric


 ありがたいことに「86」の部品配置図を入手できたので、現物と照らし合わせができる。
 まず整流管からチョーク、コンデンサー、チョーク、デカップリングコンデンサーをチェックしてみる。ほとんどの電解コンデンサーが該当します。

 1本あたり8μFの電解コンデンサー。回路図ではパラ接続されて16μFになっているところもなぜかコンデンサーは一つ。WE91のようなシリーズ接続は無い模様。現物は元の回路に外付けコンデンサーを設置しているのでまずこのコンデンサーは除去しましょう。視界も良くなるし。
 
 ワイヤーハーネスが乱れていないのが嬉しいです。

 やはりフィルムコンデンサーのよう。接着剤で貼り付けてあったのをカッターで剥がして取り外した。チョークコイルと電源トランス周辺のワイヤーを整理してみた。

 インプットトランスはシャーシ角を除くネジ3本で固定されています。トランスの下は前段用のチョークがある。はずして一応チェック


 チョークインプット後のコンデンサーC8は8μF、陽極にパラにC10とC13が接続されている。300Aのヒーター中点から抵抗器60Ω+510Ωがアースに落ちていて(自己バイアス)抵抗間にコンデンサーは接続されている。この意味は何だろうか??
 手持ちの資料では「AC分(B電源のリップル、出力管のアンバランスから生じる歪み)をキャンセルする手法。また300Aの高域の電源インピーダンスを下げる効果、16μFでパスコンも兼ねている」とのこと。
 117V入力でB電圧を測定すると447V、前述の16μF両端では371V。追加されていたコンデンサーを取り払って信号を入れてみると思った通り「ブー」という通奏低音が流れる。オリジナルに戻すことの難しさかと思うが戻した状態が健全な状態で判断せねば。

 一番手前のコンデンサーはC10で頭は膨らんでいて爆発寸前。
 この複合ホーロー抵抗は多分300Aのヒーター巻線のセンターからアースに落ちるまでの60Ω+510Ωの代用品かと思われます。

 接着剤と接続をはずしてみると

 中央のメーター切り替えロータリースイッチと周辺の抵抗器はシャーシに2本のネジで留められています。はずしてみると、、

 ワイヤーハーネスは余裕ある長さでこの状態だとメンテナンスし易い。それにしても80年溜まったすごいホコリです。ロータリースイッチの下部が特に。
 ロータリースイッチの下には2本の複合ホーロー抵抗がメッシュのカバーに収まる。

 手前の太い方はR6で外部電源用、奥はR5でカソード(無いけど)抵抗の60Ω+510Ωで当たり前に断線している。
 外した代用抵抗を見ると

 100Ω+1000Ωだったみたいで深いバイアスとなっている。なぜこうしたかは不明ですがやはりオリジナルの値に戻そうと思います。抵抗の両端には86Vかかっていた(実測)ので86/1100 X 86 =6.72Wの発熱があった。電流は300A2本で78.2mA。300Aの電流が少なすぎる。
 しかし結構太いホーロー抵抗が2本とも焼き切れている。1本の300Aの電流を70mAとして、70mAx2 X 570Ω X 70mAx2=11.172W) この数倍が必要か。。
 隣りの極太ホーロー抵抗は外部電源用でB電源とアースを結んでいる。配線はしてある様子だが導通は無くこれも切れている。いったいどういう状態だったのだろう。複合抵抗値は19KΩ+7KΩ+14KΩで合計40KΩ。B電圧は実測447Vだがこれは高すぎでしょう。チョークインプットからコンデンサーインプットへと改造した関係で上昇したと思われます。バイアスを深くせざるを得なかったのか。しかし447V/40KΩ=11.18mA。消費電力は447V X 0.011A=5.37W。。ブリーダーの役割も果たしていると思われるのでここも修復することにします。
 2本のホーロー抵抗を外すのは結構ホネが折れます。そのままではボルトが横方向へ抜けないのでコンデンサーをずらさないといけない。
 
 なんとか外しました。この空間に新たな抵抗器を組み込むことになります。部品注文した。

 ジャンク箱にあった2mm厚のアルミ板を曲げて(これが一番時間がかかる)、Daleのメタルクラッド抵抗を配置して、ラグ板を端子代わりに。放熱のメッシュカバー内部にレイアウトしてみる。
 


 この配置で配線してみます。

 たかが2本の複合抵抗の代用品なのにこの物々しさ。。1930年代の製品には似合わないなあ。。メタルクラッドがなるべく見えないようにラグ板立てたつもりだったのだが。。

 装着してできました。これからコンデンサーにかかります。


Western Electric 86 について(1)

2016-10-16 14:40:05 | Western Electric

 Western Electric社のシアターアンプとして1934年に発表されたWEでは最も著名なアンプ。出力は15Wでそれ以前のアンプと比較して集積化、小型高性能化が飛躍的に進んだ。1937年までの間に大量に生産された。
 

 
 『86』は「86A」「86B」「86C」「86E」の4種類だがバリエーション(主に部品の変更)が数種類あり各々に名前が付いている。また「86C」は後発で「86A」と代わって製造された。「86A」を「KS7488」キャビネットに組み込んだのがシアター用「1086A」でトータルゲインは99dB、キャビネット下部には前置アンプのフィルターが内蔵される。「86B」を「KS7520」に収めたのが「1086B」でレコーディング、PA、テレフォンラインのリピーター用。「86E」は大幅に構造が異なる異形らしい(一度オークションで見た事があります)。「86A」のアウトプットトランスは166A、「86B」は166B、「86C」は159B。166Bはリピーター用途ということもあり500Ω出力もある。インターステージトランスはパーマロイコアの264Cをクラーフ接続。電源トランスは容量と周波数対応の向上のため途中変更されている。インプットトランス261Bはパーマロイ製シールドが覆っている。





 1086A
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いろいろと手が入っています。まずアウトプットトランスがピアレスに変更されていてトランスの交換のためシャーシの穴は拡大されている。また電解コンデンサーがシャーシ内に増設され電源トランスは最終型のD96970が搭載されている。
 CDプレーヤー出力(600Ω)をアッテネータ介して入力してJBL L75 メヌエット(改)を繋いで聴いてみますと、、
 

 
 ちょっとハム音がありますが特に大きな問題なく出力されます。音は「小さなメヌエットがフロアスピーカーになったみたい」とはオーバーだがこういった表現が使われそうな物量を投入したと思わせるいい音だと思います。所謂「トーキーサウンド」とは異なる標準的な感じの音味。
 懐かしい「高中正義 SUPER LIVE!」、「越路吹雪」姉さんを片ch鳴らすと普段は興味を示さない奥さんも聴き入っている様子。一言「ラッパがいいわね」ですと。たしかに!

 部品交換の影響で内部配線が変更されているがどこがどう変更になったかを探るためにwebで集めておいた画像と比較検討した。
 

 

 
 写真で比較すると色々と気になる違いがあります。アウトプットトランスの変更、コンデンサーの追加以外でも
 ・内蔵電解コンデンサー(8μF)はもともとWE91などと同じロックナットタイプだがバンド固定に変更されている。これに伴ってシャーシ加工がなされている。容量は8μFで変わらない。この変更は随分古いもの。
 ・謎の大きなホーロー複合抵抗がある。取り付け金具はエポキシ接着されている。
 ・基板の古い抵抗器はほとんどA&Bに交換されている。
 ・増設されたコンデンサー(フィルム?)は10μFx3本だが1本をチョーク前に、2本パラを後に接続している。(チョークインプットからコンデンサーインプットになっている)
 ・シャーシ上に立てられたコンデンサーも変更、シャーシ加工されている。
 
 などアンプの長い歴史で幾度かのメインテナンスが入っていると思われます。大胆なシャーシ加工もされていますのでプロの手で行われた気がする。できるだけ本来の姿に戻したいとは思いますがどこから手をつけましょうか??

 


 初段のシールドケースはスペシャルなシールド処理がされているらしい。

 141Aコンデンサ(1μF)X3  0.4μFX1

 
 ロックナットの電解コンデンサーには減圧弁が付いていて噴き出していたWE100Dと同じ構造。紙筒を被っているのはシリーズ接続でボディに電位を持っていて感電防止か。

 





 







 
 


Western Electric 10-A Radio Receiverについて

2016-10-09 22:23:00 | Western Electric
 WE59Bアンプと組み合わせたラジオ。電源はフィラメントだけ自前で賄うがDC200V,DC250Vは外部から供給する。また200Ωのライン出力。使用真空管はWE259A x 3本、WE247A x 2本。重量は34kgという世界一豪華なAMラジオ。重たいのでラックに取り付けました。WE143Aなどもそうだが80年も前の規格のラックが現在でも国内で入手できます。ただし取り付けネジはISOネジに変わっている。これはいたしかたない。



 

 

 

 

 

 

 

 




 

 

 





 
 回路図には1932年10月25日とあるので今年84歳。高周波同調受信機(英: tuned radio frequency receiver、TRF受信機)というのだそうで1918年に開発されたスーパーヘテロダイン方式へと1930年台に代わるまで使われた回路。高周波3段増幅(VT1〜VT3)後に検波(VT4)を行う。(VT5)はAGC(オートマティック・ゲイン・コントロール)。6連バリコンとコイルを搭載し(すごい迫力だ、、)チューニングメータ、感度切り替え付き。
 入手した当時一応メンテナンスした。ダイヤル糸が切れていたのでラジオのスケール用糸を入手して張り替えた。電源スイッチは3系統のON,OFFだが残念ながら破損しているので現在は回路を直結しています。これで一応音が出たと記憶する。(なにせ10年以上前なので)
 稼働するには250Vと200Vの外部電源を用意しなくては。ジャンクの部品を漁っていてふと回路図をみると35mA以上必要なことが判明した。回路に流れる数倍です。

 ホームセンターに買い出しに行って思わず買ってしまった!

 アヒルだ。。米の計量カップで米袋のクリップ付き。これは、、、センスいいです。

 破損している電源スイッチ。当時何度か再生を試みましたが断念した。

 アクションは生きているで残念です。別のスイッチを移植しようと手配したが適当なのが見当たらず。再度探してみます。
 117Vを本体に接続するとヒーターが点灯。250Vと200Vを適当な電源から供給しアンテナ線とアンプ、スピーカーを繋ぐと

 603kHzの地方のNHKは受信できました。1494kHzは発振して受信できない。やはり調整が必要。でも何処をどうやったら良いのか、、。
 まず電源と電源スイッチをなんとかしましょう。

 というわけで電源作りました。相変わらず手持ちのジャンクから、新たに買ったものはありません(ウソです。ゴム足買いました)。
 
 ちょっと忙しいのと体調がイマイチなので一気にできない。これから配線です。無料配信されてる「Perfumeのドームライブ」見ながらがんばろう。。それにしても「perfume」すごいアーティストです。初めて見たときの衝撃は「ピンクレディー」以来だったですよ。でもおじさんは「キャンディーズ」のファンでした。

 電源トランスが160V x 2なので整流管整流では250Vは無理なのでダイオード整流です。オマケでもらったファーストリカバリーダイオードがあったので使用、100V入力に117Vを放り込むという暴挙で達成。検波へは別供給の200V。1mAしか流れないので50kΩの抵抗とデカップリングコンデンサー入れてとりあえず完成。聴いてみる。。アンプはラック下段のWE143A、スピーカーはJBL L75 メヌエット(改)
 やはり高い周波数は発振して受信できない。地元の民放は1494KHzなのですが。一方低い方はとても良好で603kHzの地元NHKは適当なアンテナ繋いだだけで強力に受信できます。感度、安定度ともに問題なし。ストレート受信機(こういう呼名でいいのだろうか?)の利点である忠実度ですがさすがに優れていて周波数帯域は狭い感じですが僅かなホワイトノイズをバックにアナウンスが浮かび上がる感じです。

 USソケットに電源スイッチ、ヒーター、B電源2種をすべて接続しています。
 
 ようやく完成して接続。ただし電源スイッチは破損してるので臨時に適当なのを繋いでます。
 回路図と照らし合わせていくとやはり改造してあるのが目につく。この時代は電解コンデンサーは使われていないようだが古いコンデンサーが接続されていたりでほかにもありそう。スイッチが来る間に学習がてらもう少し追ってみます。

 このスイッチは左端のFMチューナーのフロントエンドのシールドカバーのようなカバーを外して現れるアンテナ感度の切り替えスイッチ。配線はされていない。スイッチ機能は不具合があり分解したところ接点に問題ありでしたが、やはり電源スイッチと同じく修復は難しく断念、アンテナは高感度固定となりました。右端のオーディオ出力のフィルター切り替え機能は生きている様子。またふと思い立って裏側のカバーを取り付けると高周波数帯域の発振はおさまって1494kHzも受信できるようになりました。ダイヤルスケールの幅がかなり狭く、また感度も低い方に合わせているのかかなり落ちます。ただし1m程度のビニールコードアンテナなのでこのあたりを工夫すれば十分実用になるかと思います。
 数日間NHKを聴いていましたが夜間は強い海外からの電波の混信があってちょっと聞き辛い事がありましたが昼間は全く快適に受信できます。注目していた音質も噂に違わず抜群によろしい(と思う)。聞き疲れせずにいつまでも聴いていたいと思わせるような、、です。時報の440Hzを聞くとそんなに純粋な正弦波を感じるわけではないのですがアナウンス、音楽再生を聴いていてもとても心地よい。


 TVはデジタルになりネットラジオが普及してきているが、ラジオ放送の番組内容は昔と大きくは変わっていない(インターネットと連動してたりするが)。老境に足を踏み入れつつある自分ですが体力の衰えとともに一番痛感するのは視力が悪くなっていること。聴力は上の方から聞こえなくなっているとは思うけど今の所音楽を聴くには支障は出ていない。自分にとって耳からの情報が大切になって来ていることを考えるとラジオは貴重な情報源となりそう。実はTVの前に座ってじっと見ているのはとても苦手であります。スポーツ中継もほとんど見ない。ラジオはながら作業ができるので自分に合っている気がするし。あれだけ聴いた「オールナイトニッポン」はいつのまにか「ラジオ深夜便」になっています。ラジオ番組の充実に期待したい。



 お読みいただきありがとうございました。

 っと書いていたら「ラジオ深夜便」の「加藤和彦」特集で「サディスティックミカバンド」の「タイムマシ-ンにお願い」やってる。上手いギターは高中正義。リン・ミンメイも久しぶりに聴きました。
1 アンテナ
2 アンテナ(アース)
3 出力(アース)
4 出力(200Ω)
5 黒 −
6 白 200V
7 紫 250V
8 白 117V(ヒーター)
9 白 117V(ヒーター、グラウンドサイド)

 後日談
 スイッチが来たので加工して取り付けました。このスイッチですべてのON,OFFを賄います。

 
 これで完了しました。