発売は1962年10月で当時世界最小で最軽量の白黒テレビ。輸出もされていて海外オークションでも目にする事がある。VHF専用だったが専用UHFチューナーを外付けしたもの(2段重ね)や同じデザインで素子を変更した「6P-126」という製品もあった。当初は資料が手に入らずwebで検索すると国立国会図書館(!)に論文があってコピーサービスがあるとのことで早速入手した。「三菱電気技報・Vol.37・No,6・1963」で「無線機製作所」の3名の方がレポートされている。本体は150(横)x110(高さ)x170(奥行)mm 重量はトランスを外した状態で2.6kgで(含めると3.4kg)同時期のSONY製品(5.5inch)より小型だった。真空管式のテレビが主流の時代だったがPhilco(米)の2inchポータブル受像機「Safari」やMotorola社の19inch「Astronaut」がすでにトランジスタ化されていた(論文より。冒頭の写真も)。6P-125はトランジスタの特徴を最大限生かした製品というコンセプトで開発されたとある。
論文にはブロックダイアグラムは記載されていたが残念ながら回路図は載っておらず落胆したがその後幸運にも回路図と部品配置図を見つける事ができた。
(引用:https://elektrotanya.com/content/mitsubishi-6p-125#)
その1
これはノブやエンブレム、アンテナ、ボリュームつまみの下の厚紙のタグ(日本語でつまみの説明が書いてある)も無事で塗装の剥がれはあるが比較的外観は良好。
RF信号を入れると一応画音は出る。もっとも画はボケているし不安定、音も最初は無音だったが数分後にいきなり出るようになった。この時代のテレビが最初から動作するのは非常に稀なのだが実は理由があって昔のテレビを整備して販売する業者さんから前オーナーが購入したらしい。縁あって我が家に来たわけだが前回整備してからかなり年数が経っているらしくもう少し状況を改善させたいところです。
取り外しできる電源部はトランスだけで整流回路は本体内にある。厚みを減らして平たくする目的でトランスが2分割されていてそれでもはみ出すところは本体に窪みを入れて結合させるという凝りよう。ここまでするか!という小型化への執念を感じる。
各々の面に基板などが取り付けられる。内部はブラウン管とFBTなど高圧部、スピーカーが占め、限界まで緻密に詰め込んだ構造。バックパネルは全体の構造上重要な部分なのだが航空機のような多くの穴が開けられていて軽量化と後方への放熱が図られている。装甲はジュラルミンらしい。
上面の電源部はコンデンサーはもともと100μFをパラにつないで高さを抑えていた構造だったが小型の200μFに置き換えられていた。灰色の470μFは交換した。車載を考慮したのかシャーシはプラスアースで(昔はプラスアースの車が多かった。)気をつけないといけない(「その3」でやらかしました)。
IF基板は同一のコネクターが3ヶ所で赤、黄、灰色で区別されていた。
交換されているコンデンサーもありそうで今回は明らかに未交換なものだけ交換した。プリント基板には多数の穴が空けられていた。放熱に考慮したと考えられるが安定動作への配慮が伺える。
初めて見た穴あき基板は部品交換には部品の位置が確認できてとても便利。通電すると少し画質に改善を認めるが動作は不安定で時々画面が乱れるし突然電源が落ちたような症状が出るという不具合が発生するようになってしまった。再度開けてあちこち叩いて原因を探すと
これは電源ボードにある超小型のヒューズだがこのヒューズホルダーの接触不良とわかり接点の清掃で回復した。
水平同期のボリュームの調整点の片寄も内部の半固定抵抗の調整範囲で解消し全体の安定度も上がり一応この状態でしばらく稼働させながら様子をみることにした。
その2
外観は良好だが残念ながらネジが揃っていない。違うサイズがむりやりねじ込まれていてすでにネジ穴が広がっている所もある。ネジは製品の顔の重要パーツなので見えるところはなんとか揃えたい。電源入れるが反応なし。
まったく通電されないので問題は電源だろうを見当つけて外付け部分を開けてみる。この個体は電源コード直出しなのだが改造ではなさそうで内部も「その1」とは若干異なる。トランスの断線がないことを確認し続いて電源ボードだがパラ接続の電解コンデンサーが結構変色している。整流ダイオードは大丈夫そうなのでその後の2SB83を用いたリップルフィルターが怪しい。このTrの位置は「その3」ではボード上に移動していて設計変更があった様子。調べてみるとTrは無事で結線が外れていただけでほっとした。
そのほかも断線があったので再接続して通電すると
幸いラスターは出て2chにRF入力すると受信している様子で反応がある。ただし映像と音声は出なかった。しかしよくみると小さい映像がうっすらと横にいくつも並んでいるしファインチューニングつまみをまわすと雑音混じりの小さい音が出る。試しに映像のドライブ段に信号を入れてみるがやはり正常動作しない。
やはりパターン図は必要で資料の配置図と撮影した写真をスーパーインポーズしてみたが
あまり参考にならずやっぱりモニターにトレーシングペーパーを貼り付けてトレースした。
しかし部品の位置を探索するのはかなり困難で早々に方針変更して必要な部分だけ行う事にした。回路図にボードの出力部にオシロ波形が記入されている所があるのでその部分3ヶ所だけ観察すると
偏向出力は問題なさそう。そこで同期入力波形を見ると
よくわからんがちゃんと入力されているようだ。ということは同期回路が働いていないのかな、、と思っているとボケボケではあるがいつのまにか映像が表示されるようになっていた。。まあこういう事もあるので主要のコンデンサーの交換にかかります。電源回路は高容量ケミコンを含めてすべて交換
その他信号の通路を中心に今回は控えめに交換しました。かなり混雑しているのでなかなか手間がかかるというのが本音です。
これで安定度が高まって画質がかなり向上しました。音声の入力場所を探していてちょっと驚いたのは入力VRの扱いでシールド線1本で処理して省スペースに貢献していること。
AV入力の方法も試行錯誤してDC電源入力部からシールド線を出して処理しいつものように改造前の状態に復帰できるようになっています。結構手こずって丸一日かけても終わらず。
音声入力の方法などもう少し手を入れたいところもありますがしばらくこれで稼働させてみます。ネジを探して加工したりと試行錯誤もあり「その2」は手をつけてからここまで来るのにかなり時間がかかってしまいました。
その3 ser.07837**
最初に入手した「MITSUBISI 6P-125」で以下は当時のブログから。
入手したのは当たり前の不動なのだが内部は今までほとんど手が入ってなさそう。
通電するとラッキーにも画面が光るしザー音は出ないかわりにガリは出るのだが内部は驚くほどの埃の量で部品が隠れるほど。この状態で通電したら発火も十分にありうるわけでやはりいきなりは危険。直方体のような構造は小型の人工衛星のようでよくつめこんだなぁ、、と感心する。後ろに取り付けるACトランスは写真のように2個に分けて厚くならないようにしている。
よっぽど運が良くなければ機能回復はむつかしいのでまず外装から。問題点はロッドアンテナの折れ、ツマミのキャップ、エンブレムの欠品、ブラウン管周囲の枠の塗装の剥がれ、メッキのくすみ、足の曲がり、ブラウン管の保護アクリルの傷 etc。ロッドアンテナの修理は今回数本行ったが思った以上に難しい。修理のためにジャンクを数本購入して折れている部分から先を交換したのだが切って長さを揃えてストッパーのために0.9mmのドリルで横穴を開けたりとやっと慣れてきた。メッキを磨いて中の掃除をしてアクリルをコンパウンドで磨いてとこれらは時期的に巣篭もりの楽しい作業だった。失われていたツマミのメッキのキャップはなかなか適当な代替がなくゴミ箱まで漁って、、
管ヒューズの金属部分を切って広げてはめ込んだ。
特筆すべきはシャーシが+(プラス)という事で車載用にDC12V入力があったが当時の日本車はプラスアースだったようです。赤やピンクのワイヤーがマイナスという逆転で最初は回路図もなく気付かずにDC12V入力端子に外部からワイヤーの色を信じて安定化電源で繋いだのだが交換したばかりの電解コンデンサーが音を立ててパンクした。幸いにもコンデンサーの他の被害はヒューズが切れただけで助かったのだが切れた2Aのヒューズは
左の超小型タイプで調べてもなかなか見つからない。ミゼットヒューズで代用したがこれはなんとかしたい。電源部の出力にあるヒューズで電圧を測定すると9V台と低く整流直後の写真の大きな電解コンデンサーは交換した(交換品は直後に破裂した)。15V 2000μFなのだが現在の部品を使うとかなりの省スペースになる。この状態で測定すると11V程度には回復してブラウン管の光るところも大きくなって輝度も上がった。
電源基板には100μFがパラに3組6個乗っていてこれもいずれ交換したい。その他周囲の目につく大きなコンデンサーも交換したがやはり画面には砂嵐は出ない。実は掃除した直後にちょっと反応があってやった!と思いながらRFから信号を入れたのだが一瞬で戻ってしまって以来無表情が続いていた。
この辺りはIF段と音声検波、AF増幅と思われるのだが低周波発信機で信号を適当に入れるとスピーカーから出力されるのでAF段だけは大丈夫そう。
できることから。せめて外観だけは整えておこう。
ブラウン管枠は塗装を剥がしてマスキングしてプライマー吹いて塗装した。欠品のMITSUBISHIエンブレムはレプリカを作成した。
以上が当時の記述でそれから数ヶ月経っています。あらためて様子を伺ってみる。
ラスターは出るが無表情は変わらず。映像信号のドライブ段からビデオ信号を入れてみるが反応なし。これは映像増幅回路に問題ありと踏んでVideo Circuit基板はトレースしていなかったのでトレースして信号の通路だけ部品図を記入した。
元のビデオ信号とドライブ段のエミッタ波形は
出力段からブラウン管への出力波形は
pk to pkは40Vあって問題はなさそうに見える(ホントか?)。。ところがまたまた画面の反応が出てきた。つまみを調整すると
おお!ボケボケだし安定しないが画が出た。いじっていると映り出す、、どうもこのパターンが多いなぁ。。同期が弱いのは信号が弱いせいかもしれないので先にこの付近のコンデンサーの交換を行う事にした。
ところが交換が済んで再度通電するとまた出画しなくなってしまった。波形を見ると出力段の2SA358が動いていない。やっぱり動作が不安定でこれは交換する事にして幸いに在庫ありで注文した。同期が取れない理由はわからんがとりあえず到着を待つ事にします。
2SA358を取り外してチェックするとやはり不良。届いた同品は同じようなシールド加工がされている。早速交換すると目出度く出画するようになったが交換前と同様に全く同期しない。この6P-125はやはり重症な様子で覚悟を決めて基板パターン図にチェックポイント(主にTr周辺)を記入して順に測定する事にした。部品の足が短く基板の透明度が低いので強いライトを当ててもパターンがなかなか透けて見えづらい。同期分離の2SA15でいきなり波形が途切れる。検索すると2SA354が上位互換らしいので早速注文した。
ところがAV入力にする事にして配線だけして信号を入れると
予想に反して結構安定して映っている。完全かといえば何となく画面が歪んでいるのだが一定同期しているようでこれはなぜだろう?また音声はVRを絞っても完全には消えずこれも??
見慣れないVR周りだったのでなにか間違っているのではといろいろ考えたが念のためにVRの抵抗値を測定すると
絞った状態で300Ω以上あって原因はVRの不良だった。分解すると
ブラシの位置を変えたりしたが改善は難しい。苦肉の策でとにかく回し切った時に0Ωになるように改造して入力に抵抗を入れてゲイン調整して一応解決した。このVRは2系統のSW付き5kΩなのだがDC電源は必要ないので大きさが合えば一般的なVRでも間に合うと思うので様子を見ながら必要に応じて交換することにします。VRにDCが流れる設計なので経年変化でガリオームになったものも多いのではないだろうか。できればコンデンサーで切った通常の回路の方が望ましいと思うのでVRを交換するときはそのようにしようと思います。次第に画面も安定して来たのでまだ届いていないTrの交換も先送りにしてしばらく使ってみることにします。
DC電源の部分からコードを引き出した。オーディオプラグに10kΩの抵抗を埋め込んでいる。画面は結構安定している。
その4 ser.0770**
困った事にツマミの欠品があった。また破損しているのもあってまずここを解決せねば。プラスチックとメッキ部品を組み合わせたものでメッキのキャップはヒューズの金具部分を加工するが袴の部分は難しい。結局レジンで複製して塗装する事にした。
水平同期のつまみは歪んでしまって作り直しになった。上段左2個が修理と複製の途中。作業中にスピーカーを傷めないように保護している。
本体は電源が入らない。
電源をチェックするとVRのSWが不良になっていた。2系統あるうちの1ヶ所で外部のDC電源に対応するための部分なのだがDC入力することはないのでここは直結にした。そのほか電源部はすべての電解コンデンサーを交換した。
爆発寸前のものもあって期待したのだが画面はほとんど変わらず半分しか出ないし水平同期つまみをいじると真っ暗になったりチカチカと発振する。電源電圧も無負荷では問題ないのだが負荷をかけると8V台に下がってしまう。
さらに信号の通路と偏向基板のほとんどの電解コンデンサーを交換した。
安全弁が開いているコンデンサーもありかなりくたびれているのも混じっている。特にこの1000μFは「その3」までは交換していなかったのだがすでに寿命が来ている。これで電源電圧は12Vとなり途中の短絡寸前は解消された様子。画像信号を入れてみると
いまいち不鮮明なようだが一応安定して出画するようになった。半固定VRの接触が悪く音量VRもガリオームで分解して整備した。入力は背面からコード出しとしてオーディオ入力には抵抗を入れてゲインの調節を行い入力のコンデンサーの容量を少し大きくした。
ところがしばらくすると映像が出なくなってしまうトラブルが起こる。その度に調べるが症状の出ている時はVideo outの波形が出ないので終段の2SA358のトラブルかと思われたがしばらくするとまた改善する事があって原因ははっきりしない。かなり詰め込んでネジで止めた印象なのでどこかに無理がかかっているのかもしれない。一番考えられるのは基板が変形して箔が切れていることだが力を加えてもトラブルの再現性がなくはっきりしない。今は復旧しているのでしばらくこのまま様子を見る事にします。
数時間視聴しているとトラブルが発生した。
垂直振幅が減って画面が狭くなってしまった。早速波形を見ると垂直出力が弱いようだが何が原因かはっきりしない。また振幅調整VRが不良でうまく調節ができず固定抵抗をパラにして繋いでいた。発振回路に60Hzの低周波をつなぐと幅が回復することからこの段のトラブルとわかったが判明するまで結構かかってしまった。コンデンサーの交換は手持ちの関係で全ては行わなかったのだがやっぱり手抜きはダメで残りを交換すると回復した。
接触不良の半固定VRは同型が入手できなかったので抵抗体の反対方向を使うようにパターンを変更して対応した。追加したシールド線などが基板を圧迫しないように配慮した。
毎度のことながら今回も安定するまでかなりの時間がかかってしまった。
その5 ser.07707**
線画
通電するとラスターは出るが縦に線が入って出画しない。チャンネルを回しても反応がうすい(少しノイズが入る程度)内部の埃は結構少ないので修理しようとして掃除だけ行ったのかもしれない。映像増幅段にビデオ信号を入れても反応はなくドライブ段の波形が検出されない事から少なくともTR205(2SA350)は故障している様子で早速手配した。次の出力段も不良だったこともあったが(「その3」)、Trは在庫があるので2SA350の到着を待って判断します。偏向回路の波形を見ると水平偏向は正常、垂直偏向は波形が出ておらず発振回路が故障しているらしい。Trの不良以外でも「その4」のようにコンデンサーに問題があった場合もあるのでもう少し詰めてみます。音量VRは激しいガリありで電源電圧は10.2Vしかない。多分コンデンサーのリークがあるらしいのでできるところから進めておきます。
電源の供給が滞ると何もできなくなるのでまずここから
いままでとちょっと配置や数値が異なっていてこちらの方が初期のものらしい。後期型のアースの取り方で??の所があったのだが納得した。後期型のいいとこ取りして完了、これで電源電圧が12V台に回復した。その後主だった所を交換した。
ところが画面の様子がおかしい。全面に現れず相変わらずに縦線が複数入る。部品交換をミスったかとチェックしていると時々回復する。波形を見ると水平偏向の出力波は画面が狭い時は乱れていて電源電圧も9V台に下がる。電流を測ってみると1.2Aも流れていて明らかにおかしい。画面が正常の時は波形、電圧共に正常値に戻る。あちこち叩いて様子を見るがなかなか再現できない。水平偏向の波形を遡って追ってみると発振段があやしい。この段には水平偏向VRともう一つ半固定VRがあるが半固定VRを回すと嬉しいことに状況が変化する。しかし抵抗体を清掃したり接点グリスを塗ったりして抵抗値を確認したら少し改善を認めるがやはりVRの位置によっては画面が狭くなる場合がある。これは異常発振しているのかもしれない。
原因がわからず右往左往していたら全く安定しないが少し出画するようになっていた。
同期信号は映像増幅のドライブ段から出ているのでやはりこの段のTrを交換してみます。2SA350が届くまで音量VRの分解清掃などできることをしておきます。
音量VRは分解整備したのだが小さくはなったがガリは残る。前回失敗したツマミのコピーのリベンジ
透明レジンが無いのが残念だが3個目でまあ及第となって装着した。
2SA350が届いたので早速取り外して導通をチェックするが
テスターでは正常だった。しかし増幅されていないのは確かなので交換すると映像は無事出力され映像波形も回復していた。同期信号も正常出力され画面も安定した。
video入力を新設して完了
振動を加えるとちょっと画面が乱れることがあるので半固定VRの状態が良く無いのかもしれない。しばらく動作させてみます。
その5の追記
全く同期しなくなった。波形も?でこれはTrが逝ったか、、と思ったがふと見るとワイヤーの切れ端が基板に引っかかっている!コンデンサーのリードを切った時に行方不明になったもので心当たりがあった。早速取り除くと幸いにも回復した。それ以上の被害はなさそう。
今回は5台のMITSUBISHI 6P-125の修理を行った。当初は回路図もなく手も足も出なかったが幸運にも入手できて作業が進んだ。といってもチューナーから映像IF増幅段は全くの手付かずなので通常の修理の手間の半分もかかっていない。アナログ放送が終了してvideo入力の無いテレビを動作させるには地デジチューナーからRF変換してアンテナから受信させるのが一般的だがやはり少しでも良い画質で見たいのは当然でなんとか映像と音声入力を新設して対応した。6P-125は三菱電機の技術力が発揮された傑作テレビで世界で勝負するという熱意が感じられる。小型化への拘りは修理やメンテナンスをかなり困難にしていると思うが素人でも熱意を持って接することでなんとか応えてくれた。工業製品としてもとても魅力的で現存している数は限られると思うがぜひ大切にしたい。
お読みいただきありがとうございました。
2020/11/8(sun)記
米国大統領選挙がようやく決したようだ。4年前に現職が当選した時は耳を疑ったし米国のみならず世界中に暗雲立ち込めた気分になった。彼を選択した国民の生活がいかに疲弊して目先のことしか考えていないことにショックを受けた。幼い頃から私にとって米国は民主主義と自由と理想の憧れの国で戦後の日本のお手本だった。悪夢のような期間は終わったが負った傷は浅くはない。時間はかかるだろうがぜひ分断を乗り越えて力を合わせて誇り高い国を取り戻していただきたいと思う。
追記その6 ser.
みすぼらしい6P-125をみるとつい拾ってしまう。この個体はダイヤル、ツマミが欠品。
まずダイヤルを複製した。型取りくんで型取ってレジン流し込んで
しかし金具のコピーは難しく結局完コピは諦めてオリジナルになった。通電するもガリ音声は出るが画面は無反応、電圧を測ると5V台しかなくまず電源回路などの大容量のコンデンサーを交換した。これで12V台に回復しラスターが出るようになった。
アンテナ入力では反応せず。映像ドライブ段にビデオ信号を入れると全く安定しないがわずかに出画する。この部分の波形を見ると増幅されていないようなのでまず2SA350を交換した。これで一応が画像が出た。
続いて他の電解コンデンサーを交換した。途中基板に印刷してある配置図と異なる穴に装着されているコンデンサーがあったが疑問を抱きつつもそのまま交換したのだが
これで通電すると垂直、水平同期が交互に激しく乱れる。時間とともに水平同期の乱れる時間が長くなり3分ほど経過すると安定動作する。スイッチを切った直後は正常だが1時間ほど経過してまたスイッチを入れると同じような症状が出る。これには原因がわからず困ってしまった。各部位の波形を見ると乱れているときはどこでもノイズが入りどこが原発かはっきりしない。前述の部品装着の位置が異なっている所はAFC段なのだが基板の指示通りに変更すると症状が収まった(ように見えた)。やれやれと思っていたがまた再発。回路図と比べて見るとやはり基板図がおかしいようで最初の位置が回路図通りだとわかった。同部位のコンデンサーの極性が反対だったので(!)修正したがやはり改善せず。しかし作業をする事で状況が変わることから原因はこの辺りだと踏んでさらにチェックすると先ほどの電解コンデンサーと直列の抵抗値が回路図と大きく異なり回路図の値に戻すと正常動作するようになった。この抵抗は製造時からのものらしく動作状況により増減されたのかもしれない。ノウハウが分からないのでとりあえず回路図通りに戻すことでピンチを逃れた。このトラブルの解決のために3日は費やしてしまったがほとんど闇雲的行動だったので今後の役には立たずで虚しさが残る。
欠品だったチャンネルダイヤルは塗装したが出来は今ひとつで作り直すつもり。
追記その7 ser.11605**
やって来たのはアンテナなしの寂しい雰囲気
すでに作業に入っていて全体の掃除しながら分解している。ボディはコンパウンドまで使って磨く。通電するとわずかに画面が光るし音は出るが受信はしていない。しばらくすると次第に画面の明るい部分が広がって来た。電源電圧を測ると8V台なのでまず電源関係の電解コンデンサーを交換した。これで電圧は上がったが水平偏向出力が弱まって画面が横棒状態になってしまって最初より悪化してしまった。
垂直偏向が出力されていない。基板に取り付けてあるHEIGHT半固定VRの足が浮いていたためで原因は自分にある。調整しやすいように位置を変えて取り付けた時にハンダが不十分だった。これでうまくいったかと思ったが
画面が安定しないし同期も弱く全くダメダメが続く。これは原因がわからず各所の波形を見てもそれなりで決定的な要素が見つからない。電解コンデンサーはほぼ全て交換したのでその他未交換のコンデンサーに問題があるのかTrが弱っているのか、、。ふと思い立って外部から定電圧電源で12Vを接続すると改善を認め、問題は電源にあるようだ。再度内蔵電源にすると不具合が再発する。スイッチを切ってもAC100Vが遮断されない事がわかった。画面は切れるが内蔵電源回路は通電されたままでこれは危険な状態。この機種は電源SW付きVRのトラブルが頻発していて弱点となっているようだ。とにかく原因がわかってホッとしたが他の6P-125も一度チェックしておくことにしよう。
ところがこれは間違いだと判明。スイッチは2系統あって1系統はAC100Vでもう1系統は平滑後にある。したがってスイッチを切っても平滑コンデンサーに溜まった電気はそのままで優秀なコンデンサーであれば電圧は維持されるのを勘違いした。コンデンサーを新品に交換したのでほとんど漏洩はなさそう。しかし解せないのはリップル分が混じるのと電圧変動が大きい事。ヒューズ部分で電流を測定すると1.0A前後で仕様の0.9Aと大差ない。また平滑後にコンデンサーを追加すると明らかに安定度が増す。電圧が少し下がっても画面が不安定になり回路のどこかで問題があるかもしれない。試しに整流ダイオードとパラにブリッジダイオードを接続してみたが変化なし。同期が弱いことから映像ドライブ段と出力段のTrを交換したが変化なし。その6と同様にAFCアンプは回路と抵抗値が基板と回路図とが異なる。回路図通りに変更してみたがやはり変化なく元々の状態に戻した。ブラウン管は十分に明るく発光する。電源回路を安定化電源に改造しようかと考えたがしばらくはコンデンサーの追加で様子を伺うこととした。これで一応の解決を見るが釈然としないしもう一息画面の安定が弱い気がする。また通電直後はやはり乱れて徐々に電圧が上がってくると安定する。安定するまで2分程度はかかる。
欠品のロッドアンテナは他のカラーTVから移植した。このカラーテレビは最後にドナーとなって役割を終えた。
アダプターを削り出して装着した。
その8 ser.11573**
その7が解決していないのに「その8」がやって来た。こちらもかなり荒れている外観で通電しても画面が光らないがボリュームツマミを回すとガリ音はする。さっそくあけて内外の掃除を始める。当たり前にホコリがぎっしり詰まっている。
電圧測定すると4V台で早速電源の電解コンデンサー交換した。リップルフィルターのTrの不具合も疑ったが全て交換すると回路図通りになって幸いにも明かりがついた。
アンテナから信号を入れると音声は出力されぼけぼけで安定しないがわずかに出画する。