1981年はマイクロカセットにとって特別な年だったらしく各社から多くの新製品が発表された。その一台SONY M-400はオートリバースなし、カウンター付き、マイク内蔵、キュー機能あり、単3乾電池2本使用、2スピードというありふれた仕様で超小型でもないのだが36,800円と同時期のSONY M-9の3倍の価格。ボディは精密な金属製で非常に薄い形状には「ウスロク」という名称がついていた。SONYは「カッパブックスサイズ」や「パスポートサイズ」「カセットケースサイズ」など外径に拘った製品が多くそれらは特徴的なネイミングだったが「薄い」というのも大きな売りにしていた。(でも「ウスロク」という呼び名は「ウスのろでロクでなし!」みたいでイマイチのような気がする。)携帯製品は実際に持ち運びするとその厚さが気になることが多い。スマホもそうだが画面の関係で外径が大きいのは許せるが厚いのはいただけない。薄さを追求するためにSONYは専用の小型2次電池まで開発していたがこのころはまだ単3電池を使っていた。(少し調べてみると通称名「ガム電池」はニッケル水素電池で1985年にWALKMAN用に開発されたがその後同形状のものが各社で発売された。すでに生産は終わっているが(互換品は続いているらしい)現在でも流通していて驚く事に1個の価格がSONY 純正品は10,000円を超えている。)
SONY M-400 その1
入手したのは外観は良好で傷も全くないもの。しかし再生ボタンでモーター音はするがキャプスタン軸は回らないがこれもこの時代のテープレコーダーのほぼ全てに当てはまる症状。
幸いwebでservice manualが閲覧できる。
内部へのアクセスはマニュアルのようにネジを外して表裏パネルを横にスライドさせる。無理をするとケースが歪みます。
大きなフラットケーブルが走っている。フライホイール周りは時計のような形状でモーターからの駆動ベルトは緩んでいる。ベルト交換するときに軸受金具を外すがこのフラットケーブルの下にネジがあって避けて取り外したが少々気を使う。
ベルトサイズを測って少し小さめの0.7mmx46mm(折り返しての寸法)を注文した。到着を待つ事にします。
アジア大陸から届きました。
お盆の帰省先から帰って早速取り付けてみると、再生、巻き戻しは問題ないが早送りは弱々しくて途中で止まってしまう。それと「pre end alarm」の点灯が早い。これはテープの残量が少なくなると点灯するのだがテープをひっくり返しても消えない。。よくみるとカウンターが動いてないのでカウンターベルトが切れたらしい。こちらも交換が必要だった。
カセット下のパネルを外す。フライホイールからの太いベルトは緩んでいて交換した。ところがカウンターベルトは切れていない。これはいったい、、?
カウンターには磁石リングがありこの回転を検知して状態が把握される。磁石を軸に固定する樹脂パーツが割れて外れていた。戻すと一応固定されるのでこのまま(!)にする。たびたび脱落するようなら接着も検討する。ベルトはそのままで。
これで完了した。
SONY M-400 その2
その1が治ってない時にまた入手しました。元箱、付属品付きに引き寄せられてしまった。
このあたりは昭和のブリキのおもちゃと一緒で元箱の有無が価値を左右する大切な要素になる(その割に他には誰も入札はない、、)。届いたのを一眼見て程度良好かと喜んだのも束の間電池ボックスにサビ発見、嫌な予感がする。電池入れても通電しない。
早速開けてみるとやはりこの状態。特に樹脂コーンのスピーカーグリルあたりが酷い。通電しない原因を探ると
電池の端子のリード線が腐食して離れていたのが原因だった。裏返して保管している間に電解液が漏れたらしく範囲が表パネルに集中していたのは不幸中の幸い。
グリルだけ分解、洗浄、お化粧直しして再度組み立てた。電気的な動作もするようになったのでこちらも各部の清掃をしてゴムベルトの到着を待つ事にします。
ゴムベルトが届いて交換するが残念ながら稼働しない(以前は動いていた気がするのだが)。まずモーターが少し動いてすぐに停止する。これはpauseをONした時のような動き。モーター周りの回路図と基板図をみると
相変わらずモーター基板はブラックボックスになっている。モーターの回転を止める信号は⑦に入っているようだが(基板図では4(BLU))回路図では普段は0.1Vでpause時は1.3Vになっている。電圧を測ると常に中途半端な値なのでとりあえず基板からワイヤーを外してpause機能をカットしてモーターの回転を止めないようにした(pauseの不具合は後回しに)。次にドライブゴムベルト以外のベルトが緩くてREW/FFができない。このベルトを交換するには表のリットをどかしてからテープの底板をはずす。
比較的簡単にアクセスできるのは非常に助かる。結構ゴツいベルトで多分1mm程度の太さがあるが手持ちがないので少し細いベルトで代用。(作業している間に「その1」のカウンターが動かなくなりベルトを交換したが改善しない。原因はパーツの破損(ひび割れ)だった。)カウンターベルトもこの状態から交換できるが隙間を通す工夫(省略)が必要。これでRW/FF機能するようになったが再生時の巻き上げ軸の動きが悪い。これは「その1」でも発生している現象。機構を確認するとREW/FFはフライホイールから太いベルトで駆動されているギアが
レバー操作で左右に首振りする事でリール軸のギアを駆動するのでギア、ベルトに問題なければトラブルは発生は少ない。一方再生時は巻き上げ軸とこのギアの根本にメカニズム唯一のアイドアーが押し当てられて伝達される。
その時のトルクはマニュアルによればREW/FFの1/3〜2/3でまた巻き上げ軸の樹脂と金属のパーツ間のフリクションで調整されテープにムリな力がかからないようになっている。そしてこの伝達部分がメカニズム上の弱点のようだ。スプリングでアイドラーが両軸に押し当てられるのだがスリップして回転がうまく伝わらない。清掃、注油、アルコール清拭やスプリングの調節を行なってみたがやはりアイドラーのゴムの劣化が一番の原因ではないかと思う。サンドペーパーを当てたりしたが芳しくない。
また分解して不動の原因を検討してみる。
スリップは2つのプーリーを繋ぐアイドラー(写真はゴムを外した状態)が滑るため。主にギアの根元の細い部分とアイドラーとの間で起こっている。抵抗を減らすため巻き取り軸を再度清掃した。アイドラーゴムはOリングで代用することがあるが根気よく探さなくてはならないし加工も必要かもしれない。断面が長方形のパッキンはトイレの水回りのパーツを流用することがある。今回は摩擦を回復させる目的でギアの根元とアイドラーゴムを紙やすりで一層切削した。
これで回転するようになったが動きがスムーズではなく巻き上げ軸のトルクは足りていない。残念ながら今のままでは稼働は難しそうだ。また「その1」のようにカウンターの磁石を固定している樹脂のリングが割れていた。
さてどうしましょうか?
雑記1
ケガの2次オペで入退院して1ヶ月経過した。この間ほとんど家から出ていないので記録的な猛暑も苦にならない(?)毎日。でも昨日誘われて久しぶりに夕方から釣りに出かけた。砂浜からの投げ釣りで狙いはキス。
静かな海と夕焼け空を眺めながら竿先につけたケミホタルが震えるのを待つ。この竿をひっぱり出したのは多分10年ぶり。最近は延べ竿の探り釣りが多く手に伝わる小魚のダイレクトな反応が楽しい。太い竿で重い仕掛けを遠くに飛ばすような投げ釣りは豪快で大物狙い。両者は全く異なり釣りは奥が深いと思う。でもキス釣りはもっと細い竿と軽い仕掛けでちょい投げ引き釣りが定番らしい。残念ながら同行の方も含めて本命は釣れなかったが最後の一投で上がったのが
、、糸切って逃しました。その後場所を変えて探り釣りでガシラ、海タナゴなどが数匹。太陽が出ている時は暑くてたまらないが夜中になるとさすがに風が気持ちいい。