Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Western Electric WE597A の不調

2021-05-30 20:31:49 | Western Electric

 WE 1936 Series No,6の試聴をしているが日によって印象が変わる。今日は調子が良い〜全然ダメと様々で聴くジャンルによっても得手と不得手がはっきりする日がある。特にここ直近は絶不調で暗い心境だった。ユニット各々を別々に鳴らしてみてもはっきりしない。低周波発信機でスイープしても特に問題ないように思える。ところがWE597Aのみ音楽信号を入れて徐々に音量を大きくすると早くから明らかに歪む。

 これはやっぱりおかしい。トラブル発生だ。

 この個体は今まで2回トラブルを経験している、1回目は入手直後にやはりひずみが出て調べるとボイスコイルと振動板が剥がれていた。売主に相談すると有料で修理するとのこと。かなり高額の料金だったがおねがいして復帰した。ところが程なくして同じ部分が再発した。前回のことがあるので今度は自分で対処することにした。ボイスコイルと振動板が完全に離れていなければそのまま隙間に瞬間接着剤を流して固定できる。無事復帰しそれから10年以上経過している。ただその間稼働した時間は短かったのでうまくいったのかは微妙。今回のトラブルもまた同じ部分と思われた。

 

 振動板ユニットをフェイズプラグごとヨークから外すのはネジ5本。

 

 チェックすると半周以上にわたってボイスコイルが外れている。今ならまだ位置はずれていない。ホームセンターで瞬間接着剤を選んできた。

 アロンアルファにもいろいろあってこれは「耐衝撃 Extra」で名前からしたら最適と思える選択、なんたってギネス世界記録。ノズルは必要で別購入しボイスコイルの内側から極少量を流し込んで固定した。外側からは気をつけないと厚みになってギャップにあたりやすい。また硬化時間は十分にとったほうが良い。

 ヨークに戻す時に失敗するとボイスコイルを傷めてしまってスピーカーそのものがオシャカになる。今回は爪楊枝5本を立ててガイドにした。

 

 こんなに先が尖っている必要はなく振動板を突く恐れがあるので危険だったかもしれないと反省。。長さを順番に短くしておくと作業しやすい。慎重に順番に1本づつネジ穴に誘導しながらゆっくりと沈めると中心に誘導される。WE555も同様の方法で組み立てた事がある。

 これで音出しすると特に問題なく復帰した。ちょっと気になるのはボイスコイルのボビンに残っている古い接着剤をそのままに接着している事で、本来綺麗に除去してから再固定すべきなのだろうがデザインナイフで少し行ってみたがダメージを与える恐れを感じて中止した。古い接着剤のヒダが糊代になってくれていることにしよう。

 これはWE597Aの純正ボイスコイル付き振動板で10年ほど前に雑誌の売買欄に出ていたものを購入した。まだ出番はないが入手できたのは奇跡に近いと思っている。

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 注意!これらの作業は機器を破損させる危険が伴いますので専門家に依頼してください。実行される方は自己責任でお願いします。

 

 

 


Toshiba Family Vision(東芝ファミリービジョン) について

2021-05-30 10:41:47 | テレビ

 昨年の春からの10ヶ月間stayhomeに乗じて昔の白黒テレビを弄って遊んでいた。入手したテレビはほぼ100%どこかしら故障していたが古書を参考にしながらなんとか稼働するように1台ずつ仕上げていって気づいたら50台近くになっていた。今年の初めには一応区切りをつけたのだがその後も気になる製品が現れると無意識に(嘘です)ポチってしまうことがありじわじわと増殖、生活空間を圧迫している。

 Toshiba Family Visionについての資料はほとんど入手できていない。上面に取っ手の付いた真空管式の10inchポータブルTVでSONYのマイクロテレビより前の昭和30年代の製品と思われる。真空管式のポータブルTVは米国では数種類発売されていてマイクロテレビとはまたちがった大らかさとカラフルな色彩が目を引いていた。スペースエイジデザインとは異なるレトロモダンな佇まいで大きな車や冷蔵庫と小さくて洒落たテレビは豊かなアメリカを象徴していたと感じる。

 Toshiba Family Visionは国内ではあまり見かけないが100Vと110Vの電源電圧の切り替えがあり輸出が主だったのかもしれない。前面は樹脂製で他は金属製、金属部は黄緑色のパステルカラーだが藤色も見ることがある。ほぼ一緒のデザインの「Toshiba 10PL」とともに当時の国産TVとしては突出して優雅な形態と色彩でデザイナーは日本人ではないのかもしれないとさえ思う。

 今回縁があってやってきた。例によってまず掃除から。

      

 トランジスタテレビとは埃のたまり方が異なる。外装部は分解して洗剤で洗ったがマジックリン原液は古い塗装を痛めるので要注意。幸い欠品や破損はなさそうで通電すると一応ラスターとザー音は出る。テストパターンを2chから入れると

 安定しないが一応出画した。回路図は手に入ってないのでこれはありがたい。ただ初めての真空管テレビの修理としてはポータブルTVは中の配置がキツキツでハードルが高い。背面パネルに貼り付けてあった配置図と基板図

 

 現在資料はこれだけ。でもこれは非常にありがたい。

 

 


Herman Miller Eames Aluminum Group Management Chair について

2021-05-27 11:40:05 | ガジェット

 チャールズ&レイ・イームズにより1958年に発表され60年以上経過した現在でもそのままの形で生産されているオフィスチェアーの原点。本家のHerman Miller社以外でもリプロとして他メーカーからも発売されているが本家の製品には12年(!)の保証がついている。発表年の1958年は私の誕生年ということも相まって簡素で堅牢、無駄のないシンプルな形に惹かれる。現在の価格は1脚324,500円(税込)というものだが長い間生産されていたこともあり中古市場も活発で以前から物色していた。一生ものと考えると思い切って新品購入もありかな、、と思っていたら手頃な出物があり早速購入、開封したら現物は期待以上のコンデション! でこれには喜んだ。

        

 座面の革の色はほとんど黒なのだが他に白、ベージュ、赤などのバリエーションがあったらしい(現在はフレーム塗装のバリエーションもある)。また革以外でもファブリックや合皮などのオーダーもできる。できれば黒白以外と思っていたのでこれも良かった。

 実は到着時に開封すると状態の良さに喜んだのも束の間、掲載されていた写真と異なる個体だったので慌てて売主に連絡した。Herman Miller社製かリプロかでは大違いなので出来る限りwebで画像を探して確認すると本家Herman Miller社製品と思われ売主の方からも間違いないとの連絡があり、写真の個体よりも状態は良好そうなのでこのまま受け取ることにした。

 将来寝たきり生活になるまでこの椅子に座る時間が一番長くなる予感がする。(お亡くなりになる方の10%はPPKとのこと。その中に入る事を期待している)

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 


WE 1936 Series No,6 について (8)WE597Aについて

2021-05-08 00:22:08 | Western Electric

 WE 1936 Series No,6は2way構成、22Aホーンの帯域は300Hz〜3kHzとなっていて実測すると6022A(555+22A+A12)の高域は4kHzあたりから下降していてやはりツイーターは避けることができない。後期のミラフォニックサウンドシステムで採用されたWE594Aはストレートホーンとの組み合わせで高域を十分カバーしていた関係で2way構成だった。WE597Aをはじめとするツイーターはそれ以前のワイドレンジサウンドシステムにおいて555+22A,16Aなどの高域の不足しているカールホーンと組み合わされていた。ところが実際はヒスが目立ってしまい不評で取り外されてしまったものが多いとされる。

 評価も色々でかなり低い周波数帯域から使える良質な音といったものからエネルギー感が乏しく最高域でしか使えないという意見まで様々みられる。生産数が少なく個体差があって評価がバラついたのかもしれない。TA4151の高域特性が良いことを利用してTA4151+WE597Aという組み合わせで使われることがありこれはフルレンジ+(スーパー)ツイーターという懐かしい構成でほとんど失敗はなさそう。ただWE555+カールホーンはウェスタンフリークにとっては象徴的な存在なのでやはりなんとかまとめたいと思います。

 先日2way状態の「WE 1936 Series No,6」を知人に聴いてもらったのだがやはりホーンの癖が強い(どこかで聞いたフレーズ)とのこと。毎日聴いてると慣れてしまって最初は感じた違和感が少なくなってしまう事を痛感した。マニア宅で聞かせてもらう音にも癖を感じる事があるが同じ状況なのだろう。たまにはフルレンジなどで聴感のリセットが必要か。

 

 (8)WE597Aについて

 ボストウィック氏が1929年に開発した励磁型ホーンツィーターで僅かに構造が違う初期型や名称や励磁電圧が異なるものもあるがほぼ同一と考えられている。日本では前述の理由で取り外されて本国に返されたので幻のツイーターと言われた。こう呼ばれたのは日本だけだったらしい。

 

ボイスコイルDCR   20Ω

最大入力   6W

fieldコイル  7V 1.06A (7.5W)

 励磁電圧は555と一緒だが(規格の異なるユニットもある)電流が異なるのでフィールド回路をシリーズに接続することはできない。クロスオーバー周波数は3kHzとされる。

     

 597Aを入手した時に接続コードも付属していた。短いコードの先のプラグには信号と励磁電力の4端子があるがモノラルのヘッドホンジャックに適合していたのでコネクターの受けを自作し電圧調整用のレオスタットと電圧計を収めたコントロールボックスに接続できるようにした。コントロールボックスへの給電はRCAのタンガーバルブ電源から行った。

   

このタンガーバルブはWestern Electricのケースに移植したものと規模、回路は同じ。1つの電源でも事は足りるが接続プラグの関係で2つ並べて点灯。

597Aは555とパラに繋いで7μFのオイルコンで低域を切っている。7Vになるようにダイヤルを調節するとタンガーバルブの電流計は1Aになる。597Aはとりあえずくずかごに引っ掛けて試聴。これではバチが当たりそう。

 

 アッテネーターが無いので全開状態だが597A単体だと僅かにしか鳴っていないように聞こえる。これで特性を測ってみると

 (あたりまえだが)597Aはスーパーツィーターではなかった。いろいろと問題ありそうでしばらく聴きながら様子を伺うことにします。

 

 ささやくような聞こえ方のツィーターだがやはり全体の印象はかなり変わる。それまでは555のアッテネーターを触るたびに大きく変化していた全体像が安定してスコーカーとしてのレベル調整だけされるような感覚。非常に調整がしやすくなった(気がする)。

 ツィーターを逆相接続したりローカットのコンデンサーの容量も変えてみた。現在の7μFはかなり低い周波数までパスする。しばらく聴きながら調整してまとまったかなと思ったところで測定

 ちょっと改善傾向。130Hzあたりの盛り上がりは定在波と思われウーハーのセッティングを変えないとコントロールは難しい。変異株が猛威を振るう当地なのでその後も外出せずに1日聴き漁った。

  

 WE597Aのマウントを作ってコンデンサー、アッテネータを載せてコードを延長した。マウントの裏にも滑り落ちないようにフェルトを貼った。タンガーバルブ電源は1台にしてスピーカー周りも整理した。1.5A+1Aの出力が取り出せたが後述のチョークコイルを挿入すると電圧降下して使用できない。20X672タンガーバルブの規格をみると取り出せる電流は5Aで全波整流だから十分な規模と思っていたが実際はそうではなかった。トランスの規格が小さいためと思うがタンガーバルブの能力低下もあるのかもしれない。

 555のアッテネーターは8Ωのものしか入手できなかった。本来もう少し高いインピーダンスのものがいいのだろうが8Ωだったらどうなるのかよく分からない。ユニットとパラ接続になるのだからアッテネーターを全開にしてもかなり音量が絞られると思うが。折角なのでケースと端子を買ってきて組み込んだ。

 

こんな大型アッテネーターは必要ないと思う。カッコよく板抵抗で組みたかったが無段階の調節はやはりとても便利でようやくミノムシクリップから解放された。

 大電流が流せる大型のチョークコイルを入手したが重量が12kgある。

これも折角なので台と端子を取り付けて使いやすくした。2.7A 1H DCRは7Ωでこのチョークを入れると電圧降下が大きくて555に供給できず残念。

 

 数日間調整を繰り返しながら手当たり次第にCDやサブスク音源を聴き漁った。

 

 


SONY ZS-SN10 BOOMBOX について

2021-05-02 11:02:18 | ガジェット

 今年のGWも緊急事態宣言が出ている地域がある。当地はまだ該当ではないが隣県の感染者数が連日過去最高を記録していて全く安心できない。ワクチンの接種が諸外国と比べて遅れている事もあり不満の矛先は日本国政府に向けられている。対策は個人任せという無策の状況下にもかかわらずオリンピックだけは強行するらしく首相は「開催するかどうかはIOCが決めるのだから、、」という始末。国民を守るという姿勢は感じられずちょっと恥ずかしい状況だと思う。N501Yウィルスの感染状況を見ても1週間ごとでも状況は劇的に変化している。二重変異ウィルスも気になる。

 

 SONY ZS-SN10 BOOMBOX はかつて(マニュアルの日付は2005年)北米、ヨーロッパ、オーストラリア、シンガポール、韓国、タイなどで販売されていたSONY社製CDラジオで日本国内では未発売。スペースエイジの末裔のようなユニークな形態の製品だった。

 

機能:プログラムリピート、ランダムプレイ、シャッフル、レピートシャッフル、MEGA BASS
入出力端子:オーディオLINE IN、ヘッドフォン
対応規格:ATRAC3plus、MP3
ラジオプリセット数:AM10局、FM20局、バックライト付きLCDディスプレイ
出力:2.3W+2.3W(RMS)
寸法:幅19.7in(500mm) 奥行9.1in(230mm) 高さ5.7in(145mm) 重さ(乾電池含む)8.38lbs(3.8kg)

 海外仕様なのでFMラジオの受診周波数帯は87.5〜108MHzで当地ではかろうじて地元の88.7MHzのNHK FMが受信できるだけ。AMは問題ないように思えたが選局は10KHz単位となっている。マニュアルによれば地域ごとで帯域最低(開始)周波数とチューニングのスキップが10KHzと9KHzとに分かれていて現在は10kHz毎になっているためこのままでは国内のチューニングはジャストの周波数にならずこれもちょっと具合が悪い。多局のプリセットや文字入力もできるしCDの曲名表示もある。入手したmanualの日付は15年前の2006年となっていた。ほとんどが集積回路化されて外部の部品は少ない。技術力があればFMの受信周波数帯を変更できるかもしれないが手も足も出ない。

 入手した個体の表面の傷は少なく機能にも問題ないが一部に黄ばみがあり美しい外観を損ねていた。昨年Videoshereで酸素系の漂白剤を用いて樹脂の漂白を行なってうまくいったのに味をしめてもう一度行ってみることにした。

  

 酸素系の漂白剤を買ってきてペーパータオルを被せたボディに振りかけて屋外に放置すること1日。

 

肝心の漂白剤は強風に煽られてほとんど溢れてしまったが24時間は放っておいた。効果は絶大で真っ白になった。スポンジたわしだけに留めていた取手とバランスが取れなくなってその後取手も漂白した。これで仮組みしてみると

上半分が今回の漂白だったのだがこんなに差が出てしまって結局全ての外装を行う羽目になって追加の漂白剤を買って来た。装着部品の多い下半分はそんなに目立たないだろうと行わなかったのだがやっぱり手抜きはだめだということで漂白だけで3日もかかってしまった。

   

 写真ではあまり変わり映えしないがかなり改善して漂白は完了した。やはり造形は美しく何か特別なギミックが隠されているような期待を抱かせる。次にRadioをどうするか。

 こういうアダプターを購入した。FM周波を14MHz低く変換して出力するというもので入出力のアンテナ線と車載用の12V電源線があるだけだが海外FM周波数帯が日本の周波数帯に変換される。さっそく接続すると一応稼働する。内部は見ていないが電圧は12Vが必要なようで最初は内部に組み込むつもりで購入したのだがちょっと様子見になった。AMの10kHzステップと開始周波数の変更は達成されていない。。

 ということでちょっと寂しい結末となってしまいました。次の一手はあるのだろうか・・。

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。