Decca Stereo DECOLA に搭載されていたターンテーブルは 英国のCollaro製で(そのほかGarrard製品もあった)以前Decca Stereo DECOLA の修復記事の中で紹介した。Collaro Ltd は、Christopher Collaro (1895-1986) によって 1920 年に設立された蓄音機のゼンマイモーターを始祖とする企業で後に電気phono motorを製造していたがその後Magnavox、Philipsに吸収されました。今回の4T.200はDECOLAの補修用としてかなり以前に入手したものだが幸いにも本家が問題なく稼働しているので今のところ出番はない。そこで今回単体のターンテーブルとして仕立てることにした。随分前にCollaroのターンテーブルとDecca MKⅠ arm の組み合わせでプレーヤーシステムを作ったことがあるがその後知人宅に嫁いだ。今回はDecca professional arm が手元にあったので再び組み合わせてみます。今回の4T.200ターンテーブルはDECOLA搭載の正方形のとは少し形態は異なっているがフォノモーターなどメカニズムは同一と思われる。鉄板打ち抜きの軽量デッキだがプラッターは結構重い。軸の先端は平らで軸受には上下動する可変機能がついた大きなボールベアリングが入る。また最大の特徴はフローティングされたアームベースでデッキの裏にゴムブッシュで取り付けられてデッキやモーターと分離されていてモーターの振動が伝わりにくくなっている。ターンテーブルの軸とリジットな関係にしなかった理由はわからないが重いターンテーブルごとフローティング面に載せるのはサスペンションが大掛かりになるなどの困難さゆえ妥協もしくはS/Nを重要視したのかもしれない。このプレーヤーにはもともと格好の良い専用のトーンアームがあってアーム取り付けの穴もそれに合わせた小さなものになっている。それ以外のほとんどのアームのベースは大きいのでこの機能を活かすにはデッキに大きな穴を開けなくてはならずさてどうするか。。
先にプレーヤーケースを作ることにして構造は先日のThorens TD184と同じにします。ホームセンターで荒くカットされたガサガサの赤松材が目に留まり安かったこともあり購入して(後で後悔した)節を避けて切断。例によってなるべく小さくしたがデッキのサスペンションはアームベースと共にどうするか未定。未定が多いが考えても先に進まないのでとにかく始めよう。
相変わらずノコギリ1本で作業してとりあえず枠ができた。ギリの寸法なので回転切り替えのメカニズムが枠の内側の一部を削らないと干渉する。
今回は木目が美しくないのでガサガサの下地を整えて塗装することにします。
サスペンションをどうするかだが以前モノラルデコラのプレーヤーを分解したら卵ケースのような形をしたクッションが仕込まれていたのを思い出して今回は一番安易な方法でウレタンスポンジをデッキの下に敷くことにした。早速amazonやホームセンターで物色し数種類購入してきた。現在の穴の位置でDecca professional armのオーバーハングはちょうど良さそう。アームの本体部分の直径は実測25.5mmなのでデッキの穴を0.5mm程度拡大する必要がある。ネジ穴も開けて木製のフローティングは取り外してアームレストと共にとにかく仮固定してみる。
この写真は先日四国のマニアさん宅にStereo Decolaの調整で伺った時に撮影したターンテーブルボード裏の様子。初めて見たがやはりスポンジ状のクッションの上に乗っていた。水平の調整が難しいと思う。
入手してから通電したことがないしモーターは220V 50Hzで周波数変換器と昇圧トランスが必要。
ようやく塗装が済んだが荒れた材の表面を整えるのに随分手間取ってしまった。久しぶりに砥粉を使って目止めしてクリアラッカーを数回塗って下地を作ったのにも関わらずなかなか満足な仕上がりにならない。結局塗りが7回ほどになってしまったが素人にとって最初の材の選択は重要だ。英国製なので色はブリティッシュグリーンにした。(英国製品の緑色はなんでもかんでもこう呼ばれる。)表面はクリアラッカーで半艶消しで底にはゴム足。
これでDECOLAの220V 50Hzの給電部に接続してみると定速は確保されていて少しホッとした。しかしモーター、アイドラー音は大きくこのままでは良好な再生は難しそう。実はアイドラーにはモーター軸による凹みがあってドリルに咥えて回転させ修正していたのだがもうすこし手を入れる必要があるようだ。そこでボール盤でアイドラーを咥えてサンドペーパー板や鑢を使って側面を削って整えた。
DECCA professional armのmanualによると針圧が即時調節可能。メインウェイトはねじ止めされてさらにその後部にサブウェイトがある。アームにはスライドウェイトがあってこれを動かすことで針圧の変更が瞬時にできる。アームリフターが組み込まれている。時期によって複数のバージョンがあったようでこのイラストはコードが外部に露出していない。
スライドウェイトを一番軽い位置にあるメモリにセットしてメインとサブウェイトを調整して針圧を0gにする。そしてスライドウェイトを動かすと1メモリ目は1.0g、その後は0.5g毎の荷重がされる。これで針圧計を使わなくてもカートリッジ(同重量)の交換をしても即座に最適な針圧がかけられる。キッチン計りの台は鉄製らしくそのまま乗せるとカートリッジの磁石で吸い寄せられる引力は予想以上でこれではThorens TD124など鉄製ターンテーブルは不都合が出るのも頷ける。適当な台で離して測定してメモリと針圧の関係を確認した。
このキッチン計りはとても廉価なのだが1/100gまで表示され上限も十分なもので重宝しています。アームからの引き出し線のコネクターは英国製らしくTANNOY Monitoreと同製品。信号コードとアース線は劣化していたので交換した。
MK1 SPカートリッジのバッジと同色だったので(ほぼ偶然)気分が良い。MK1からMK3まで気軽に交換できるが正直言えば針圧は結構アバウトで使う事が多い(概して重めで)。早速試聴すると盛大なハムが乗ってDECCAアームはハム対策に結構苦労する事が多いのを思い出す。モーターが原因かと思ったがモーター止めてもハムが乗る?、、原因は電源の昇圧トランスの撒き散らす電磁波で離すと小さくなった。しかしカートリッジによってはアームとの接触不良もあってアームの接点を少し引きだした。DECCAカートリッジはその独特の構造から長いカンチレバーを持つ他と比べて明らかに異質な発声をする。これを気に入るか否かだが反応がビビットで繊細さが際立ちながらも艶と厚みがある再生をめざすのがこの道だと思っている。DECCA stereo DECOLA はこの矛盾する要素をよくコントロールしている電蓄だと思います。理想とする音をイメージしながらこのプレーヤーと組み合わせる機器を妄想するのも楽しい。
お読みいただきありがとうございました。
雑記1
今晩(2023/12/4)はよく釣れました。
波止からの延べ竿の探り釣りなのだがまだアコウが居てくれた。29cmの方は引き上げたが34cmは電話で助っ人を呼んで近くの釣り人からタモを借りてなんとか。タモの持ち主が様子を見にきてくれたのでシメて血抜きもしてもらった。普段は小物ばっかりなのでタモのお世話になることは滅多にない。こんな事もたま〜にあります。アコウ2匹 メバル4匹 ガシラ4匹 チヌ1匹