Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Thorens TD224 について(2)

2019-09-20 19:28:17 | Thorens

 新たに入手したThorens TD224はターンテーブルの下にあるはずのメカニズムが欠損していておまけにカム軸が破折していた。

 この軸には大ギアが取り付けられていてチェンジ動作に関わる全ての力の源になっている。力が集中する場所でもありカム軸の形状もあって破損しやすいと思われた。破折部分を修理できないかと業者さんに相談したがやはりむつかしく一から製作する方がまだ見込みがあるとのこと。オークションで探索していたが2年くらいの間に内外で2本入手する事ができた。

 向かって右の軸が折れている。左の軸は反対側の形態がちょっと異なっていて後加工されている様子。中央は新品でキーが圧入されてなかったので移植が必要。今回は左のを使うことにした。現物があれば図面が描けなくても発注できるかと思うし苦労して探すより特注すればもっと安価に入手できるかもしれない。

 もう一品、大ギアが欠品していてこちらも数年間探しているが未だに発見できず。そこで国内の専門業者に現物を添付してコピーの可否を問い合わせてみたのだが幸いにも大丈夫とのこと。先日送られてきた。

 

 向かって右が送られてきたギア。軸に固定するネジを探さなくてはならないがとても良い出来で高品質、価格も思ったより安価で助かった。ところで分解してから数ヶ月経過しているので構造はほとんど忘れている。写真と他のを参考に組み立ててみる。

    

 このカムで全ての動きをコントロールする。カムが回りだすきっかけはまずレバースイッチを操作するとターンテーブルが回転を始めて、ターンテーブル裏のピアノ線が操作によって近づいていたノブを引っ掛けてスタートする。

 結構なパーツ数だしヒンジ部分がありとても複雑な動きをする。アームがセンサーとなりレコードの有無、レコード終端を検知しレコードの搬入を停止し演奏か、レコードが無くなった時の終了への動作をする。貼り着いていたりすると誤動作するのでしっかり掃除しておいた。

 早速組み立てて動作させてみるが予想通り(?)スムーズには動かない。

 途中で止まってしまう。考えられるのはモーターの劣化とメカニズムの不備。特にモーターはTD124などと同じE50でこのモーター1個ですべてを賄う。TD124でさえしっかりメンテナンスしないと定速回転させることすらむつかしいくらいで余裕が少ない。いままでの経験からTD224を動作させるには200〜250Vレンジでしっかり250Vかけないとなかなか実用にはならないと感じている。今回も昇圧トランスで200V台としたがそれでもうまくいかない。まずモーターのメンテナンスからやり直す事にした。

 

 モーターのメンテナンスは別項に譲るとしてその後また組み立てたがやはり途中で止まる。特にレコードを釣り上げる動作(まだ空動作だが)事が多い。大きな力がかかる所なので内部には長いアームがありカムで押されて動作するのだが1軸のカムは多段になっていてどれか1ヶ所に無理な力がかかっても軸の回転は止まってしまう。全体の清掃と給油を繰り返しながらどの部分に無理な力がかかっているかを一ヶ所づつ点検していく。

 一例を挙げるとこれはレコードを運ぶアームを左右に振るメカニズムだが左右の終端はターンテーブルの中心とストックヤードの軸で各々別々に微調整できる構造となっている。そこに達するまでの動きが無理なく力が分散されるように接合部の調整が必要。

 次第に止まらずに動作するようになったがどうしてもクリアーできない問題が残った。レコードを運ぶアームの高さ調整でストックヤードとターンテーブル軸、そしてストックヤードのアームの下を通る時に干渉しないように調整するのだがどうしてもこの部分の干渉がとれない。わざと振動させてアームからレコードを離すというカムのポジションがあるのだがその際にアームが持ち上がって当たってしまう。TD224のサービスマニュアル

 

 まだ読み込んでないがこのあたりの調整項目が記載されていればいいのだが、、。

 丸一日費やしてようやくメカニズム部分は稼働するようになった。まだアームのウェイトの垂れ下がり修理やカートリッジの取り付けなどが残っている。当たり前だがすべて機械的な動きなので辛抱強く解析すれば基本的な部分を外さなければ誰でも修復は可能かと思う。モーターの調整は最重要なのは他のThorens製品と変わらない。今までに手が入った(修理調整された)個体の場合、正確に組み上がっているかのチェックも必要になる。サービスマニュアルはちょっと難解だが各クリアランスや正常なポジションの確認には役に立つ。しかし多数のロッドにネジ止めしてあるストッパーの位置などはやはり試行錯誤が中心になる。また調整ポイントが設けられているのに気づかないこともあるし金属疲労や劣化などでクリアランスが大きくなって遊びが増えるとどうしても解決できないと思われる部分もある。今回の「レコードを運ぶアーム」をコントロールする部分はかなりの荷重がかかる上に非常にデリケートな動きが要求される部分。また「レコードが無い」とトーンアームが感知した場合は終了モードになるがこの部分の分岐が非常に巧みな動きになっている。

 

 もう一台故障したTD224がある。この個体もカム軸の大ギア部分が折れていた。多段のギアによって減速され高められたトルクは不具合によって重くなったメカニズムの軸まで折ってしまう。この部分の破損で稼働できないTD224は多いのかも知れない。形状はそれほど特殊ではないので金属加工業者さんに相談すればコピーを作ることは可能かと思われるし価格も常識的なものになるはず。しかし今回は海外オークションでたまたま出品されていて入手した残りの1本を使います。

 

 まず折れたカム軸からキーを取り出して新たな軸に移植します。なかなか抜けなかったのでバーナーで炙って取り出す。意外な盲点としてモータープーリーの2本のマイナスネジが緩まない事がたまにある。シャーシに装着したままだとできないのだが3個のEワッシャーを外してモーターを手に持って 細いマイナスドライバーをこんな風に咥えて回すと何とかなります。

 

 激しくネジ頭を傷めると面倒なことになる。何とか緩んで早速100Vで回すがやはり回転は出ない。分解するとモーターは使用頻度も少なかったらしく(早々にカム軸が折れたか?)コイルもとても綺麗。そこで軸受けは非分解で洗浄して給油した。これでどうしても回転が出なかったら分解することにした。

 回転開始する最低電圧や滑り率はあまり優秀ではなくどうかと思ったが再度組み立ててカム軸の交換と全体の調整を行った。

 調整時の備忘録

 ・レコードを運ぶアームの動きについて

   ・クリアーしなくてはならない部分が複数ある。(1)レコードをストックしておく軸に干渉しない程度の高さ、(2)ターンテーブルのスピンドルに十分沈み込んでレコードを把持するための低さ、(3)レコードを放出(パッと放す)するときにアームが上に跳ね上がってレコードをストックする構造物に当たらないくらいの低さ。一方をクリアーすると他方が不十分になることがあり別々の調整方法がないか検討したが結局妥協点を見つけのが精一杯だった。ただ(3)については他のTD224ではさほど跳ね上がらない。この動きはレコードを振り落とすためにわざと振動させていると考えられるが(間違っているかもしれない)ずいぶん迷ったが意を決してカムの加工(!)を行うことにした。

 カムのとんがっている所を少々(0.5mm程度)削除した。これではげしい垂直方向の動きは治り構造物にアームが当たることは無くなった。(1)と(2)はなんとか調整したが余裕がなくギリギリの距離でレコードを傷つけないかハラハラする。最終的には妥協点を見つけることはできたがこの症状は前回も感じていたので他に調整方法があるのかもしれない。レコードを運搬するアームには大きな力がかかるので極力スムースに動くように1ヶ所づつの調整が必要。またリンケージが甘くなって遊びが大きくなったり特に大きな力がかかるアームを上下するベアリング部分に不具合がある場合には悩ましい事になる。

 やはり100Vでは正常動作は望めず電圧は200V〜250Vレンジで250V近くをかけている。日常的に使うためにはやはり余力は必要。カム軸交換し整備しながら調整したがやはり結構な時間がかかる。もう少し理詰めで調整を行いたいものだとおもう。

 

 


WE618B

2019-09-09 15:17:10 | Western Electric

 拙宅のWE618Bです。

 

 随分前にWE141Aから取り出して自分で仕立てたものです。2次側の引出し線は太くなっています。1次側は2段階のインピーダンスの切り替えの関係で3本の少し細い線が出ています。

 このシリーズはAからDまで4種類あり形状は同一、スペックは下記の表のようになっています。

 WE618Bは一次側が600Ωと30Ω 二次側は25KΩで低インピーダンスのMCカートリッジの昇圧に適しているため特に人気がある。CとDは昇圧比が大きいためか周波数特性が狭く記述されている。アンプの入力として使う場合はどれも使用できるかと思うが比べたことはない。

 

 

 

 

 物置の壁が台風で剥がれました。。

 隣のアパート方に教えていただいて急行して唖然とする。。しばらく留守にしていたのだが帰宅したらこの有様。剥がれた外壁は隣との境目の塀に干した布団のように垂れかかっていた。剥がれた板は1枚で縦2100mmX900mm。すでに築20年以上経過しているのでくたびれていたと思う。

 さっそく近くのホームセンターで物色するも同寸のものはない。この際傷んでいたもう一枚を剥がして2枚のスペースに幅600mmの金属板を貼ることにした。なぜ壁一面の3枚とも剥がさなかったのは諸般の事情から。

 ルーフキャリヤーは便利ですね。軽トラック借りなくても大丈夫。楽々運べます。

 「まーさんガレージ」を参考にHIKOKIのドリルドライバーを購入した。早速大活躍だ。

 

「コードレス電ドリ」はいまや一家に一台の時代だが今まで拙宅には無かった。コード付きのやインパクトドライバーはあるのだがあらゆる分野で電動コードレスが席巻している。

 作業時間はせいぜい1時間くらいなのだが台風一過でとにかく残暑が厳しい。汗だくになった割には仕上がりもイマイチでお金をもらえる仕事ではない。それとトタン板貼ってから思ったのだがミニハウスみたいな外観だったのにいきなり納屋に変身した。

 

 ちょっと勢いついて小さな物置(バイクが数台入っている)の屋根に波板を載せた。経年劣化で穴の空いているボロボロだがしばらくはブルーシートを固定して凌いでいたが最近になってこれも破れてきていた。一度引越しをしていて30年以上使っている。断捨離が早いか小屋が倒れるのが早いか。