Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

ACTION MODEL No, J-440 について

2022-04-25 13:47:41 | テレビ

 玩具のようなテレビは多く発売されていたが製造元の情報は検索しても見つからないことが多い。この製品はブラウン管枠にSporTVision(ちょっと洒落ている)とかACTION、裏のラベルにはMODEL No, J-440と書かれてあるがMade in TAIWAN以外の詳細は不明。白黒ブラウン管は4inch、VHF、UHFに対応して電源は外部もしくは底に単2電池6本が入る電池ボックスが装着されるらしい。DC7.5Vを接続すると特に問題なく動作する。ロッドアンテナと外部アンテナ端子がある。

 

 

 部品点数が少ないことに驚かされる。電源回路以外にはトランジスタは見当たらず電解コンデンサーだけが目立つ。チャンネルはVHF-L,VHF-H,UHF切替スイッチと可変抵抗器1個、これで用が足りてしまう。

 

 回転、仰角可変のスタンドに乗っていて昔のPCのCRTモニターのミニチュアみたい。電源は接続プラグが適合したトランス式の10V ACアダプターがあったのでなんとか分解して内部に降圧セメント抵抗を入れて7.5Vに対応させた。

ミニTVだが画質は良好。ボディはそっけない黒なので足付けしてマスキング、ミッチャクロン、プラサフ吹いて余っていた車用の塗料を塗った。

  

完全乾燥を待って組み立てます。

  

 先日塗装したBELTEKと。

 ミニチュア模型のようなテレビだがもちろんテレビの全ての回路が内蔵されている。

 

 

 

 

 お読みいただきありがとうございました。

 

雑記1

 半田吸引機とハンダゴテを新調したが両者ともセラミックヒーターで使用可能になるまでの立ち上り時間が短く電源を入れたままの作業は電気代が気になっていた。コンセントを抜くのも煩わしい(半田吸引機には本体にスイッチはついています)。そこでスイッチ付きの2Pテーブルタップを購入した。適当なのがなかったのでコンセント直付け製品を改造してコードを取り付けてボードにねじ止めした。

  

スイッチONでLEDが点るので認識しやすい。両者とも温度管理は自動(設定温度調節機能あり)。頻繁のON,OFFが製品寿命に影響があるかどうかは不明だが作業環境改善のはじめの一歩。ただテーブルタップの改造は危険なので十分な配慮が必要です。

 

雑記2

 Decca Decolaがまた不調、左の音量が小さくアームに問題ありそう。Decca MKⅢまでのカートリッジに対応するアームの接点は4個の突起で内部には極細のリッツ線がチューブ状のコネクターにハンダ付けされてるがここが切れやすい。不調の原因はやっぱりそうで復旧には細かな作業が必要で気を遣う。なんとか接続すると今度はフォノモーターのハムを拾う。電力線と信号線を別配置にするために横のパネルに穴を開けたり、、、とこの際しっかり手を入れた。

 

そして久しぶりに聴いたLP

 EPO DOWN TOWN   / RVC  1980年

 シュガーベイブの名曲を日本女子体育大学の学生だったEPOがカバーした曲が有名になったのは'80年の「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマに使われて。LPとアナログ録音の終焉も近い時期の作品かと思うがこのファーストアルバムはなかなかの仕上りで42年経った今聴いても音の鮮明さに驚く。ファーストアルバムにもかかわらず凄腕のスタジオミュージシャンに一歩も引けを取らないEPOの歌唱にも感心しきり。同時期の竹内まりやの出現などレコードもバンバン売れて音楽界はさぞ華やかだったと思う。数十年経って日本のシティーポップ(最近の造語だと思うが)が世界的に評価されているのが面白いような不思議なような、、。


National Popmeca について

2022-04-20 15:19:14 | テレビ

 National(現Panasonic) Popmeca (ポップメカ)シリーズは6inchまでの小型白黒テレビでコンセプトやデザインは非常に先鋭的、個性的な製品群。1972年から1975年まで販売されその後は「RANGER」と名称を変更した。Popmeca製品の発売順は不明だが「ポップ」という名称から飛び出すメカニズムを積んだテレビが起源に違いないと思っている。

 1970年の大阪万博EXPO'70のイベント、5000年後へのタイムカプセルの収蔵品にNationalの1.5inchブラウン管テレビが選ばれた事は以前書いたがこれは名称を変更したTR-101B、またスペースエイジデザインの代表格として有名なTR-603AなどがPopmeca製品となっている。

National カタログより抜粋

 

TR-601B

 海外オークションではたまに出品されるが国内ではあまり見かけない。トールボーイで鉛蓄電池(別売り)内蔵、VHFとUHFに対応する。ポップなメカはなくシンプルな佇まい。今回初めて見たがシリーズの中でも一番地味ではないかと思う。前面にはプラスチック製のロゴ入り同色ハードカバーが用意されているがこれは300円で別売り。

 外観はボディ一体成形の脚が1か所欠けていて反対側を型取ってレジンで修復した。後でこの部分だけ塗装する予定。

 

 電池ボックスを開けてみるとまたまた当時物が入ったままで(もう驚かない)密閉型バッテリーにも関わらず塩酸ガスによる腐食が起こっていた。この規格の6Vバッテリーは2個1組12Vで当時のNational製品に多用されていた。不思議なのは100V用の電源回路が見当たらない事でカタログにもACアダプターについての記述がない。何らかなトラブルでヒューズが切れたらしくホルダーには裸線が結ばれていた。。

 

基板全体に汚れが目立つし不十分な手を入れた跡がある。掃除しつつアルコール綿棒で清拭していく。

内蔵電池のスナップ端子にDC12Vを繋ぐが反応がない。回路図もないのだが電源の流れをみるとどうもプラスアースのようで電池へのコードは赤がプラスだが内部は赤がマイナスでやっぱり混乱する。腐蝕でイヤホンジャックの接点がダメになっていて仕方なくその部分を直結した。しかし各基板には正常に給電されていない様子。充電機能が内蔵されている機器の電源はややこしくてちょっと苦手です。基板とブラウン管をはずして

コネクターがほとんど無くワイヤー直付け。可能なかぎり詰め込んだ印象でこのあたりがSONY製品と異なる。

 電源回路は安定化されているが出力Trは破損している。外部から電源供給すると一部基板に給電されたがブラウン管のヒーターは点灯しない。高圧基板は取り付けネジからプラスアースが接続されているようで仮に繋ぐと点灯するようになった。しかしまだラスターは現れない。水平偏向出力の波形を追うと一応発振はしているが出力が弱い。最初は出力Trの破損かと思ったがこの基板も取り付けネジによってプラスアースが接続されていてこれでようやく映像と音声が出力されるようになった。

 電源については後回しにしてフレームなど金属部分の腐蝕をできるだけ落として再組み立てする。

 

チャンネルは1軸でVHFとファインチューニングとUHFを操作する。非常に面白い機構だがUHFは少し動きが悪い。ここは途中で挫折(いや妥協)した。気になっていた荒れているハンダ付けもやり直した。

 電源の大容量電解コンデンサーは破裂寸前だったので交換し、電池スペースにジャンクのスイッチング電源を組み込んだが

 

残念ながら映像に少しノイズが入る。本体から離しても同様なのでノイズフィルターが必要なのかも知れないがここも妥協して一応修理完了とした。本体の安定化電源を修理すれば解決するかもしれない。

  

  

 

TR-306R

 正真のポップアップメカでケースの蓋を押すとぴょこんと飛び出すアクションは一発芸的にウケたと思う。TVの他FM,AMラジオが内蔵されている。シリーズ中でポップアップするのはこの製品と後発と思われる(上記のカタログには載っていない)画面が小さくカセットテープレコーダーを組み込んだ2機種のみ。

  

 こちらも当時の鉛蓄電池がそのまま入っていたが幸いなことにあまり影響は出ていない。分解しながら溜まった埃を掃除して

 

特殊なコネクターの専用電源はTR-601Bと共通のようだが手元にはない。プラスアース、充電機能付きの回路で複雑、慎重に給電するが反応はない。

 基本的な回路はTR-601Bと同じようだ。電源のTrから出力されていない様子なので直接基板に給電する。徐々に電圧を上げると不安定ながら反応があるが12Vに近づくとダウンして音声が出なくなる。電源回路のコンデンサーとAF回路の出力コンデンサーを交換すると音声は安定して出力するようになった。ラジオとTVの切替ロータリーSWは信号と電源両方を切り替える。TVにすると少し暗めだが一応ラスターは出るのでアンテナから信号を入れると

 映像、音声は出力するがやはり暗いのとボケボケの画面。電源についてはよくわからないところもあり稼働させるには修理と調整が必要だが今回は全体の掃除とポップアップメカニズムの確認と調整。重量のある8inch画面を可動とするには堅牢なフレームが必要で重量増は避けられないがフレーム構造には軽量化のための配慮がされている(のではないかと思う)。

 一部のパーツの交換を行って一旦蓋を閉じました。将来電源アダプターが入手できたらもう少し詰めて調整を行う事にします。

   

 一流企業の遊び心いっぱいの製品に当時の社会の活気とゆとりを感じる。どんな人が購入したのだろう。

 

 

 

 

 

 

 


National TH6-X2 について

2022-04-19 14:21:45 | テレビ

 1970年から80年代のNational(現Panasonic)のカラーテレビは「パナカラー」という懐かしい名前、6inchブラウン管シリーズは「Th6-  」という型番で数種類発表されていた。カセットテープレコーダーと組み合せた製品もあったが1979年発売のpana color Th6-X2はテレビ単体の製品。底にはNationalブランドの鉛バッテリーを搭載してコードレス駆動が可能なのは消費電力が24Wという低電力がゆえ。バッテリー容量が3Ahなので1.5時間くらいは稼働できた。時代は5年ほど遡るが全体の形状は同じNational Th8-V5似でpana colorの兄弟製品かと思わせる。他のTh6シリーズと比べて生産台数の関係か見かけることは比較的少ない。黒(オレンジラインあり)以外のカラーがあったのかは不明。

  

 底には横にした鉛バッテリーが2本。もちろん密閉型だが長期放置されたものは塩酸ガスが漏洩して内部が腐食を起こしている。幸い何も入っていなかった。

 

   

 内外観はとても良好だが受信の2chの音声が途切れ途切れになることがあってやはりメンテナンスは必要。こちらもマニュアルや回路図は入手できていない。

 全バラしてみるとTh-8と比べてかなり整理されてメンテナンスしやすい構造になっている。

   

VHFチューナーを開けて接点の清掃をしてアルコール洗浄、接点グリスを塗っておく。

 

これで音声、映像とも安定するようになった。

 

  

Th6-X2とTh8-V5を並べるとTh6の方が少し背が高いがこれは底にあるバッテリーケースのため。奥行きはほぼ同じでこの時代のローアングルブラウン管の長さで決まる。まだ家庭用ビデオデッキが普及していなかったRF信号入力だけの43年前の製品だが酷使された様子もなく動作は安定している。昔のオシロスコープ的雰囲気なのはカラーが地味な黒という以外でもブラウン管を囲った枠や前面パネルのツマミの配置からのように思う。しかしノッポのテレビには何故か惹かれます。

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 


SONY 5-206 の修理

2022-04-07 17:55:40 | テレビ

 赤いSONY 5-206が来た。アンテナは折れてAC100Vを通電しても画像は出ない。蓋を外して電源に直接DC12Vを繋ぐと全く安定しないがブラウン管が光り出した。やれやれと暫く様子を見ていたら突然画像も音声も消えて何か大きな問題が発生した予感。AC100Vで整流後の電圧を測定するとかなり低い値で電源回路か他での短絡か。

 

 平滑回路の2本の4000μFの電解コンデンサーは2個とも吹き出す一歩手前の状態で要交換。セレン整流器もダメかもしれない。この電源部は5-303 5-202らと同じ構成でセレンで整流後、大容量の電解コンデンサーとチョークコイルで平滑していて安定化回路は無い。5-303などは偏向回路とそれ以外の2枚の基板に分かれていたが5-206になって大きな1枚の基板で全く様子が異なる。回路図も入手できていないので自分で考えながら進めるしかない。大容量平滑コンデンサーの部品待ちの間にケースから切り離して全体の掃除を行なっておいた。その後届いたコンデンサーに置き換えたが状況は変わらず。

 短絡の部位を探すがなかなか絞り込めない。フィルムコンデンサーやFBTのレヤショートも疑ったが取り外して確認するも大丈夫そう。1ヶ所焦げた電解コンデンサーを見つけて交換したが隣のダイオードの過熱が原因かもしれない。

 

 

このコンデンサーは不良になっていたが短絡はしていなかった。色々と検討して原因は水平偏向出力Trということが判明した。ジャンクから取り出した2S41と交換すると電流は正常になった(この時はそう思っていた)。ここで基板上の電解コンデンサーをできるだけ交換した。

 

ところが残念ながら状況は変わらない。水平偏向周波数は落ち着かずチューナーは受信していない様子。まだ先は長くなりそう。

 一夜明けて再度DC12Vを通電すると安定しないながらも一応画像と音声が出力された。安堵してしばらく見ていたが映し出された文字が左右逆転している!そしてまた突然無音無映像、DCRは短絡状態で最初のダウンの繰り返しになってしまった。

これは交換した水平偏向出力Tr2SC41だがクッションで敷いていたプチプチが溶けていて耐温度150℃を超えたらしい。。2SC41はSONYの開発した歴史的なパワートランジスターで貴重なTrなのにまた壊してしまった。入手は不可能ではなさそうだが互換のある適当なTrを探して注文した。なぜ過電流が流れたのだろう?

 入手した代替TrはHITACHI 2SC1413A

 2SC41を外す前に再度通電するとなぜか動作したがすぐに短絡状態となり電圧降下する。やはり不良のようで取り替えようとするが2SC1413Aの取り付け穴にスペーサーが入らず加工が必要で嫌な予感がする。通電すると一応動作したがやはり不安定でしばらくすると暴走して電圧が下がる。回路はSONY 5-303とも7-75とも異なる。5-303は一番丁寧に手厚く設計されているのが次第に簡略化されて7-75に至っては半分のtrで水平偏向回路が成り立っている。5-206はバッファなどが省かれていてその過渡期の製品らしい。回路図が無いと原因が分からない(いやあっても分からないかもしれない)。さてどうするか。