話題になった当初は気になっていたのに、
ご縁のないまま
いつの間にやら忘れていた
「利休にたずねよ」
山本兼一 著
第140回 直木賞受賞作品
・・・・・直木賞作品だから気になったのか
「利休」が気になったのか、
あの時代のものが好きなのか???それすらも曖昧になった頃、
やっと手にする機会に恵まれました。
巧みな構成、緻密な描写
なかなか言葉にはしにくい「茶の湯の美意識」が
肉厚の表現によって迫ってくる、という感じ。
こういうものを読むとすぐに思考が影響されてしまういつもの癖で、
ついつい、
身の回りを「利休の美意識で見るとどう見えるか?」と
考えながら見てしまいます。
もちろん、「美意識」なんぞとは最も縁遠いところにいるので
「わかる」ことはないのですが・・・・。
利休のこだわり、ではないけれど
「美」が見えるとこの世はこの上なく面白い発見に満ちているだろうけれど
それはそれでやっかいかも・・・と思ってしまいます。
それにしても、
茶室の造作から茶道具の道具立て、名物のうんちく、と
ここまで語る作者の力量は圧巻。
茶の湯に詳しい人が読んだら随分楽しめることでしょう・・・。
久々に、満足できる読み応えの作品でした。