ＡＩ解析技術で製油所の予防保全能力高める ＪＰＥＣ、保安情報活用実証、実運用を検討

石油エネルギー技術センター（JPEC）は現在、AI解析技術を用いた「保安情報活用プラットフォーム」の実証試験を行っている。製油所においては、AIを活用し設備の補修のタイミングを計るなど、DXとの親和性が高いことが知られており、少子高齢化で労働力不足が問題となっている製造現場での導入が期待されている。
そこでJPECは、AI 技術を用いた解析方法である「簡易的解析方法」（テキストマイニング＋ベイジアンネット）および「技術資料に基づいた解析方法」（オントロジー）に着目。テキストマイニングとは、文章を統計学や人工知能などを駆使して有効な情報を獲得する分析手法、ベイジアンネットとは、「原因」と「結果」の関係を複数組み合わせることにより、それぞれが影響を及ぼしながら発生する現象をネットワーク図と確率で可視化する手法、オントロジーとは、知識や情報を構造化し整理する手法で、これらの解析方法について、各々のケースに関してユーザーの利用を想定したプロトタイプを作成。Web ブラウザ上で動作させるための改造を行い、インターネット上で複数ユーザーが活用できる環境を整備した。
製油所ではかつて、設備が壊れた時に補修する「事後保全」が主流だったが、国内の製油所が閉鎖されていく中で稼働停止中の需給や石油元売各社の収益への影響が大きくなったため、現在は「予防保全」に重点が置かれており、JPECの「保安情報活用プラットフォーム」の実用化に期待が寄せられている。

石油通信社