カセットテープがワカメ

キノコ国本剛章の音楽活動・妄想・ノリツッコミなど。

3和音+1ノイズの制約

2005年12月02日 | ファミコンBGM

今のゲームと違って20年前のファミコンは表現できる音楽に制約がありました。「3和音+1ノイズ」までしか同時発声できなかったのです。しかも3和音のうちの第3パートは「正弦波」「三角波」という柔らかい音色(ピッピッピッポ~~ンという時報の音)しか出せず、このパートは「ベース」的役割にしかなり得ませんでした。
さらに!ゲーム中っていろんな効果音(弾を撃つ、ナイフを投げる、ジャンプする、1機増える…)が出るじゃないですか。ピシッピシッ、バキューンバキューン、ドッカーンボッカーンピロリロリ~とか。それらはノイズパートと第2パートが主に受け持っていたんですよ。
ということはゲーム中常に鳴ってるのはパート1と正弦波三角波のパート3だけ…。
「音楽の3要素」って何でしたっけ。「メロディー」「リズム」「ハーモニー」でしたっけ?鳴ってるのが2音だけってそりゃもう音楽の3要素もヘッタクレもないわけですよ。
でもこの音数の少ない制約はキノコさんの性格に合っていたようです。無制限に音数が使えるという条件ならばついつい「足し算」の作曲になりがちですが「3和音+1ノイズ限定」ならば「引き算」の作曲法を取らざるを得ないわけです。表現したいハーモニーが4和音でもそれは全部出ないわけですから、最低限どの音が鳴っていれば一番自分のイメージに近いかを考えて泣きの涙でそれ以外の音を削るわけです。
これって「散文詩」と「俳句」の比較に似てると思います。散文詩は使える文字数の制限がない一方、俳句って5・7・5の17文字だけで1つの世界を構築するために、余分なものを全部そぎ落としてゆくわけじゃないですか。
…というわけでファミコンBGMの作曲は余分な音をそぎ落とす「ストイックな世界」の一面もあるのでした…

コメント (2)
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